小学校四年生のさよは、母親と二人暮らし。離婚した父とは、以来、会っていない。ある日、町の図書館で『七夜物語』という不思議な本にふれ、物語世界に導かれたかように、同級生の仄田くんと共に『七夜物語』の世界へと迷い込んでゆく。大ネズミ・グリクレルとの出会い、眠りの誘惑、若かりし両親、うつくしいこどもたち、生まれたばかりのちびエンピツ、光と影との戦い……七つの夜をくぐりぬけた二人の冒険の行く先は? 著者初の長編ファンタジー。
(朝日新聞出版HPより)
結構、厚い本なのに、面白くて一気読み。
主人公は、小学4年生の鳴海さよと仄田鷹彦(ほのだくん)。
仄田くんは、クラスでは変わり者として、仲良しの友達が居ない男の子。
でも、さよと共通するものがあって・・・・
さよは、そんな仄田くんを冷静に見つめている。
二人の共通は本を読んでいること。
そして、二人は、ある日、本の世界のような不思議な空間に入り混む。
冒険ファンタジ-の要素が大きいけれど、普通の生活をしている世界にも戻って来て、冒険で体験したことが実生活でも良い影響を与えていくかんじがいい。
仄田くんが、どんどん逞しくなっていけばいいのになぁ~。
そして、さよも幼いころに別れた父との再会を母親に申し出たのも冒険での経験に基づいてだった。
下巻では、どんな展開になっていくのやら・・・・楽しみだ~!!
表紙の絵とともに頁下に小さく描かれる酒井駒子さんのイラストも素敵です!!
★★★★
くまにさそわれて散歩に出る。「あのこと」以来、初めて――。
1993年に書かれたデビュー作「神様」が、2011年の福島原発事故を受け、新たに生まれ変わった――。「群像」発表時より注目を集める話題の書!
2011年。わたしはあらためて、「神様2011」を書きました。原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません。それよりもむしろ、日常は続いてゆく、けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう可能性をもつものだ、という大きな驚きの気持ちをこめて書きました。――<「あとがき」より>
(講談社HPより)
神様をまだ読んでなかったけど、この本には先ず「神様」があり・・・
その後「神様2011」があり、二つを続けて読むと、平和でほのぼのとした日常が、変化してしまったことの怖さや切なさや哀しさや・・・いろいろな感情が沸いてきました。
短いお話なのに、そういう複雑な気持ちを抱かせる物語って凄いなぁ~。
すごく深い意味を感じた書でした!
奇妙な味とやわらかな幸福感の恋愛小説集
☆「一実ちゃんのこと」一実ちゃんは、「私、クローンだから」と言う。父がクローン研究に携わっていて、19年前亡くなった母を「母株」にして一実ちゃんは誕生したらしい。
☆「ユモレスク」17歳のハナのイイダアユムに対するコイゴコロは見事に破れた。「私、玉砕?」。
☆「エイコちゃんのしっぽ」「しっぽがあるんだ」とエイコちゃんは言った。エイコちゃんは女だけのガソリンスタンド、あたしは市場調査の会社で働いている。
☆「壁を登る」母はときどき「妙なもの」を連れてくる。最初はおばさんとその息子。次におじいさん。三番目に五朗が来た。「何者?」と聞いたら「わたしの弟」と母は言う。
☆「金と銀」治樹さんは泣き虫でのんびりしていた。彼とばったり出くわしたのは大学生のときだ。治樹さんは絵描きになっていた。
☆「夜のドライブ」40歳のわたしは、ある日、母を誘って車で温泉に出かけた。旅館に泊り、真夜中、母がわたしを呼んだ。「ねえ、夜のドライブに行きたいの」。
☆「天頂より少し下って」45歳の今まで、真琴は何人かの男と恋をした。今つきあっている10歳年下の涼は柔らかげな子だ。涼は真琴のことを「猛々しい」と言う。
(小学館HPより)
7つの短編集。
過去に発表されているものをまとめた1冊みたいだけど、幸いまだ読んでいないものばかりだったので嬉しかった♪
最初の「一実ちゃんのこと」は、驚きの設定。
ちょっとSFチックなかんじで可笑しかった。
将来、クロ-ン人間も誕生しちゃうのかなぁ~?
好きだったのは、最後の2作。
「夜のドライブ」と表題作の「天頂より少し下って」。
「夜のドライブ」は、母親と娘の話。
「天頂より・・・」は母親と息子が出てくる話。
わたしには娘が二人なので、「夜のドライブ」の話の方が感情移入しやすかった。
将来、娘とこんな風にドライブ出来る関係になれたらいいな。
娘に老いた自分を見て涙して欲しくはないけれど・・・・そういう優しさはいいものかも。
「天頂より・・・」の母親は、自分より11歳年下の恋人が居るという設定だし、息子に感じる気持ちもちょっと理解できない部分ではあったけど、45歳でこんな風に楽しく生きていられるのは、ちょっと羨ましいかも。
でも二つの話とも旦那は他界してるのよね。
そのあたりは、ちょっと寂しいかな~?
ササッと読めて面白い短編集でありました。
次は長編小説を読みたいな。
★★★
川上弘美、第一句集220句
人気小説家である著者が、俳句を始めて16年。
恋愛、日常、食卓、旅…小説同様、なにげない日常の光景から、
男女の機微が浮かび上がる220句をまとめた初句集。
新たな川上ワールドの魅力が明らかに。
(集英社HPより)
川上さんの小説が好き。
どこか不思議な雰囲気があって・・・。
この俳句集もそんな川上さんらしさが表れていた気がするなぁ~。
短いことばの並びのなかに、ちゃんとその情景を浮かばせてくれて、クスッと笑っちゃうようなものもあったり、ちょっとエッチなものもあったり、すごく高尚なかんじのものもあったり。
楽しく最初の句から最後の句まで読ませて貰いました。
1994年~2009年までに作った作品が順番に載っていたけど、結構、最初の方のが面白かった!
1994年の
はつきりしない人ね茄子投げるわよ
この夏でバカヤロ日記三年目
この二つの句は笑った!
最後の
俳句を、作ってみませんか。
では俳句に出会った経緯などから俳句づくりのコツのようなことなどが書かれていました。
う~ん。
でも自分で作るとなるとあれこれ考えちゃって、なかなか上手く出来そうもないな^^;
言葉選びのセンスがないとね~
恋愛の多彩な貌を描いて、深々と心にしみる短編集。
どば。ばりばり。どかんと恋に落ちて、あたしは、しわしわの黒豆みたいになる。-----「クウネル」の人気連載が本になった。絶賛を博した第一弾「ざらざら」につづく最新短編小説集。
今回の短編も、恋愛の情熱や欲望ではなく、恋愛関係のうちにある何かとらえどころのない心のゆらめきを魔術的といってもいい文章で描いた傑作ばかり。読み終えたあとに、また本を開きたくなる川上ワ-ルド。おなじみの、アン子とおかまの修三ちゃんも再登場。新たな主人公、誠子さんとコロボックルの山口さんの恋の行方にも注目だ。深刻な感情がユ-モアに転換され、そのあとに<しん>とした淋しさが残る22篇。
(マガジンハウスHPより)
↑の解説が全て言いたいこと、言ってくれてる・・・・笑
22の短編集のどの話もよかった。
どこにでもありそうな恋の話だったりするけど、そこに描かれる男女の気持ちの表し方がいい。
「うんうんわかる」、上手い表現だな。とか思いながら読みました。
表題作の「パスタマシ-ンの幽霊」は、恋人の隆司の部屋で見つけたパスタマシ-ンの話。
料理が得意な前の彼女の物か?と思う、料理が不得意なあたしだったけど、
それは隆司の亡くなったおばあちゃんの物だった。
おばあちゃんが幽霊になって時々、現れて料理を教えてくれる。
恋のアドバイスなんかもしてくれる。
楽しいお話で、一番好き♪
川上さんのお話は、どれもいい。
ハッピ-エンドじゃないのもあるけど、それでおしまいじゃない。
まだこれから先、良いことがきっと起きるでしょうと思わせてくれるかんじもいい。
第一弾の短編集「ざらざら」もそのうち読んでみたいな。
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;