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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年9月


 過去と現在の間に立ち現れる存在 都と陵はきょうだいとして育った。
だが、今のふたりの 生活のこの甘美さ!「
ママ」は死に、人生の時間は過ぎるのであった。

                   (文藝春秋HPより)



55歳の都と54歳の陵。

姉と弟とその家族の物語。

子ども時代の回想シーンから、亡き母の言動。
そして、都の夢の中に現れるママ。


場面がコロコロ変わりながら話が進む。


姉と弟として育った二人には、共通の思い出が多く、今もそれを共有しながら
会話する場面は、微笑ましい。
二人の両親の関係が、やや複雑。
でも二人が姉と弟という事実は揺るがない。
それぞれ、恋人と生きようとしたときもあった様子だが、結局、他人と生きることを
諦めてしまったんだろうか??


自分にも弟がいるけれど、こういう気持ちは共感出来ないですね・・・^^;
でも、こういう二人の関係も物語を読んでいれば、気味悪くはないな。

川上さんの文章の力かもしれないけれど。

このまま二人は、一番の理解者として近くに居続けるのだろうか?
不思議な空気感を漂わせた話でした。


                           ★★★
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発行年月:2013年11月


川上マジックがいっぱいの最新短篇集は
たとえばこんな話が21篇も収められている。

                 (マガジンハウスHPより)



どれも短い話だけれど、それもステキ♪
21篇のなかでもお気に入りの話をちょっと覚え書き。


<はにわ>
子どもの頃から周りの男の子とは違っていた息子がゲイであることをカミングアウト。
でもその時、むしろ、ホッとしたわたし。

こんな母親と息子の関係いいなぁ~。


<真面目な二人>
大学の授業で知り合いになった助成と二人。
上原菜野は、カウンター機で何かを数えていた。
それを見て声を掛けた島島英世。

心が動いたらカウントするという遊び(?)なかなかユニークでいいな。
ちょっとやってみたい。


<猫を拾いに>
平均年齢75歳の町内に住む30代のわたし。
回覧板にはその月に誕生日の人の名前が載る。

誕生日プレゼントが拾ってきた猫って・・・・笑
それを貰って喜んでくれるダッシュ(あだ名)もユニーク。
こんな風に年齢がすごく離れている人と友達みたいに付き合えるっていいな~。



ほかにも、なんだかほのぼのするような話が満載でした!


                       ★★★★



発行年月:2013年2月



 最初から、こんなふうなものだと知っていた気がする――性のふしぎを描く瑞々しく荒々しい作品集。

なつかしいのは、男たちの弱さだ――。(ignis)/「それ」は、人生のさまざまな瞬間にあらわれては「子供」を誘い、きらきらと光った――。(mundus)……年齢も男女の別も超越し、生と死の交差する場所からあらわれては消えてゆく何ものか。いやおうなく人を動かす性の力をさまざまなスタイルで描きあげた魅惑的な作品集。全五篇。

                    (新潮社HPより)



タイトルからして、よくわからない抽象的なかんじですが、5つの短編全て
変わった話でした。

aqua・・・水
terra・・・土
aer・・・風
ignis・・・炎
mundus・・・宇宙

それぞれのタイトルはラテン語だそうですが、その話のタイトルがなぜ、
それなのか?と思ってしまう物も多かったな。

ちょっと分かるというものもちろんあったけれどね・・・^^;

印象に残ったのは、妊娠から出産後を書いた三番目の「aer」。
赤ちゃんのことを・・・「しろもの」と呼ぶのには、驚いた。
なんのこっちゃ?と思ってしまった(笑)。

しかし、出産の様子やら、その後の授乳の様子やらをリアルに表現していて
子どもを産んだ経験のあるひとなら「ああ、わかるそのかんじ」と思うでしょう。


全く難解だったのが最後の「mundus」。
話があちこち飛ぶというか、途中で違う話になって、また戻って、暫くすると、またまた別の話?と思うような本当に、よくわからず迷路のなかをグルグル彷徨ってるような
不思議なお話でした。

ああ、でも読んでいる間中は凄く楽しい。
これぞ川上ワ-ルド・・・(^^)


                        ★★★★






発行年月:2013年7月


日々の暮らしの細々とした発見。

忘れられない出会いの思い出、大好きな本のこと・・・・

などなど、やさしい眼差しに満ちたエッセイ集!


                     (講談社HPより)




小説が面白い人のエッセイは、やはり面白いなぁ~。

川上さんの日々感じることがあれこれ。
最初の『匂いの記憶』は、季節ごとに順番に。
どれも、ああ、なるほど~と思うものばかり。

どんどん焼き・・・・睦月
春の雪・・・・如月
よもぎ・・・・弥生
ツベルクリン・・・・卯月
衣更・・・・皐月
ながぐつ・・・・水無月
蚊取り線香・・・・文月
扇子・・・・葉月
新蕎麦・・・・長月
こおろぎ・・・・神無月
セーター・・・・霜月
だいこん・・・・師走 


ほかの章は
『ぬか床のぎきげん』
ぬか床の4つのご機嫌のお話は面白かった。
笑ったり、慇懃だったり、怒ったり、淋しがったり・・・・
そういう風に感じて表現できるって凄いなぁ~。
ぬか床を持ったことがないけれど・・・^^;


『いつもそばに本が』『いつもそばに本が2』
川上さんのお気に入りの本の紹介があれこれ。
まだ読んだことがない本も多かった。
現代文は得意なのに、古典が苦手だったとは意外。
白石一文さんの「この世の全部を敵に回して」は、是非、
読んでみたいと思った!


『お訊ねしますが』
川上さん、作家さんになる前は、大学で生物を勉強したこともあって、学校で
生物を教えていたんですね~。
大学時代のウニの研究の話は興味深かった!
卒業研究は「ウニの精子のしっぽの運動性」だそうです。


『晴れたり曇ったり』
そういう名前の喫茶店があったそう。
大学時代、バスに乗っていていつも車窓から見ていて、いつか寄ってみようと
思いつつ、ついに行かなかったお店。
うんうん、そういうお店なら、わたしも沢山、あるわ~。

特に共感したのが、「スナックとスナップ」。
えんどう豆、確かに昔はスナックエンドウだった。
そして気づいたら、スナップエンドウと表示されるようになっていた。
わたしも川上さんとおんなじように、いつから変わったんだろ?と思ってました。
同じものなのに、全く違う呼び名になっているものって意外と多くて
若い子との会話の最中、お互いに「?」となることがあって・・・
川上さんの言葉にウンウンとうなずきながら読みました。


ああ、楽しいエッセイ集!!


                         ★★★★★


32756439.jpg   発行年月:2012年5月


  小学校四年生のさよは、母親と二人暮らし。離婚した父とは、以来、会っていない。ある日、町の図書館で『七夜物語』という不思議な本にふれ、物語世界に導かれたかように、同級生の仄田くんと共に『七夜物語』の世界へと迷い込んでゆく。大ネズミ・グリクレルとの出会い、眠りの誘惑、若かりし両親、うつくしいこどもたち、生まれたばかりのちびエンピツ、光と影との戦い……七つの夜をくぐりぬけた二人の冒険の行く先は? 著者初の長編ファンタジー。


                                    (朝日新聞出版HPより)


下巻も面白かった。
5つ目の夜のつづきからスタ-ト。

体を小さくしての二人の冒険。
いろいろなモノたちが登場。
言葉を話すエンピツたち、チョ-クたち、サヒワレスプ-ンたち。
それは自分たちが昼間過ごす小学校のなかでもよく見るモノたち。

モノたちの言葉が印象的でした。
・・・・・おまえたちは自分のものを自分と同じくらいに大事にすることなど決してできない・・・・・・

その言葉を黙って聞いたあと仄田くんの言う言葉もなかなか良かった。
・・・・・自分と同じように大事になんて、できない。でも、それだからといって、大事に思ってないわけじゃないんだ。できるだけ大事にしたいんだ・・・・・・」

昼間の世界ではか弱いかんじの仄田くんがどんどん頼もしくなっていく様子が良かったな・・。

そして、最後の夜が終わって・・・・・
物語のおしまいには、さよと仄田くん、ほかのクラスメイトたちが大人になった様子も少し書かれていて
嬉しかった♪

仄田くんもさよも、二人で過ごした夜の世界の経験を活かして立派な大人になったんだろうな~。


下巻の、挿絵も素敵でした!

★★★★★
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