発行年月:2022年2月
児童文学者の著者が英国で二十代の学生時代を過ごした下宿の女主人ウェスト夫人や様々な人種の住人たちとの騒動だらけだがとびきりの日々。夫人の「理解はできないが受け容れる」徹底した博愛精神と時代に左右されない手仕事や暮らしぶりは、生きる上で大事なことをそっと心に落としてくれる。この時代に静かな共感を呼ぶ九章。
(新潮社HPより)
梨木さんのエッセイは、物語のよう。
登場人物たちが個性的で魅力的。
イギリスで留学していとき、お世話になっていた下宿先でのお話あれこれ。
そして、20年以上経ち、再び訪問したときのことなど。
ウェスト夫人がとても素敵。
アメリカ人で離婚後、三人を子どもを育てたそう。
ウェスト夫人も児童文学者だそうで、二人はずっと親交を深めながら
お互いを見守っているかんじ。
下宿先以外のお話も興味深かった。
<それぞれの戦争>は、偶然、列車で隣に座った男性との会話。
アメリカ生まれのその男性は、戦争のとき、アメリカの強制収容所で過ごしたと
いう。
こういう話を聞くと、戦争は本当に人間の醜いところがさらけ出されて
嫌だなと強く思う。
<夜行列車>では、カナダ旅行で列車に乗った際、やや高齢の男性車掌に
侮蔑的な対応をされた話。
怒るよりも彼がそうした態度に出る背景を想像して、歩み寄ろうとする
梨木さんの大らかさがいい。
ウェスト夫人も「理解はできないが受け入れる」という精神を受け継いでいる
のかな?
でも、こういう気持ちはとてもいいと思う。
わたしも見習おう・・・( ..)φメモメモ
梨木さんの長編小説をまた読みたいな。
★★★★
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発行年月:2021年3月
「これは新しい形のバードウォッチングではないかと思った。アウトドアとは無関係の、ごく個人的な内界を覗き込む形の」(梨木香歩/本書「あとがき」より)。作家・梨木香歩による四季の野鳥と植物をめぐるエッセイ集。梨木が綴る鳥と草木を画家・ユカワアツコが古い抽斗の中に描く。その抽斗を写真家・長島有里枝が街に連れ出し、撮影した。言葉、絵、写真が織りなす三重奏で、暮らしに身近な自然が輝き出す。オールカラー、函入り、クロス装。
(福音館書店HPより)
素敵な1冊。
図書館で借りたものなので、残念ながら綺麗なこの紅い函入りは見られず
残念だったけれど。。。
梨木さんの鳥に対する愛情は凄いな。
鳥はどちらかというと苦手ですが、草木の絵が素敵で楽しく絵と共に文章を追えた。
写真も素敵。
ユカワさんの古い抽斗の中に描くというアイデアは面白い。
どこにでも立て掛けられていいかも。
だから、普通飾らないような場所が背景にあったりして面白かった。
★★★★★
発行年月:2019年7月
森を歩き、鳥を観る。きのこの生命に学び、人の未来を思う……物語を育む日常の思索を綴る。「この文章が、いつか生きることに資する何かになってくれたら。受け手があって読んでくれて、初めて物語は完成する。作り手を離れ、そこから紡がれていく何かがあると思うのです。」――創作の萌芽を伝え、読み手を照らす光が、胸に静かに届きます。
(新潮社HPより)
梨木さんの小説は殆ど読んでいる。
どれも好き。
これはエッセイだけど、時々、小説の一部みたいだなとも思う。
自然や人、物、日常で出会うものたちに対する想いがなんだか
どれも素敵。
ただただボ~ッと生きているだけじゃ勿体ないなと反省。
空の青さとか、風の心地よさとか、そういうものをちゃんと感じて
日々を過ごしていかなきゃ!なんて思ってしまった(^^ゞ
エッセイのなかで特に印象的だったお話は
<家の渡り>。
とある地域で家探しをしていて、紹介してくれた家。
___緑の美しいことで有名な公園の木立の続きにあるような形で
その家はあった。___で始まる。
想像を掻き立てられる。
その家の持ち主は既に他界してしまっているけれど、その家の佇まいが
その家に住んでいた人となりも表しているかのよう。という。
無理をすれば手に入れられるとわかるけれど、結局、その家を買うことは
止めた梨木さん。
そして、今、その家のあった土地はほかの人のものとなり家は
すべて取り壊されたらしい。
残念という思いと、それでよかったんじゃないかと思う気持ち。
うんうん、同感!
でも、どんな家だったんだろうか?凄く気になるなぁ~。
素敵な1冊でした!!
★★★★
発行年月:2019年8月
出会ったのは森の奥深く、きみの夢の底深く
秋はしだいに深まり、冬ごもりの支度におおいそがしのヤービたちは、博物学者であったグラン・グランパ・ヤービが、ややこし森でみつけたという、まぼろしのキノコ、ユメミダケを探す冒険に出発します。同じころ、フリースクールの生徒ギンドロと、ウタドリ先生たちも、ギンドロの見つけた不思議な手紙に導かれ、テーブル森林渓谷、ヤービたちのいうところのややこし森へと向かっていたのでした。ヤービシリーズ待望の第二弾。
(福音館書店HPより)
待っていました!
再び、ヤービの世界観を堪能~♪
大きい人(人間)のウタどりさんとヤービがそれぞれの仲間と別々の目的ですが
同じ場所を目指して冒険。
ウタドリさんはフリースクールの教師。
生徒たちは家庭環境に何らかの問題を抱えていて、そんななかの一人・ギンドロが
受け取った見知らぬ誰かからの手紙を機にウタドリさんと庭師のカンヌキさんの
3人でテーブル森林渓谷へ。
一方、ヤービはトリカのママの頭痛を治す薬になると思うユメミダケを探すため
ややこし森へ。
ヤービとトリカのほかには、ヤービのいとこのセジロも一緒に。
キジバトのミリとキャリの背中に乗って・・・・
二組の冒険の様子がそれぞれ楽しい。
ヤービたちが探していたユメミダケは不思議なものを目の前に見せてくれて
結果、二組の冒険は目的達成!
挿絵がまたまた素晴らしく、物語にピッタリ!
最後のつづくのイラストには歓喜しました(^^)
また別の季節のヤービの物語が読めそうかな?
楽しみに待ちます!
★★★★★
発行年月:2019年5月
深遠でコミカル、重くて軽快。
著者五年ぶりの傑作長編小説。
自然、人間の体、こころの入り組んだ痛みは
家の治水、三十肩、鬱と絡み合い、主人公を彷徨えるツボ・椿宿へと導く。
皮膚科学研究員の佐田山幸彦は三十肩と鬱で、従妹の海子は階段から落ち、ともに痛みで難儀している。なぜ自分たちだけこんな目に遭うのか。
外祖母・早百合の夢枕に立った祖父から、「稲荷に油揚げを・・・・・・」の伝言を託され、山幸彦は、鍼灸師のふたごの片われを伴い、祖先の地である椿宿へと向かう。
屋敷の中庭には稲荷の祠、屋根裏には曽祖父の書きつけ「f植物園の巣穴に入りて」、
明治以来四世代にわたって佐田家が住まいした屋敷には、かつて藩主の兄弟葛藤による惨劇もあった。
『古事記』の海幸山幸物語に3人目の宙幸彦が加わり、事態は神話の深層へと展開していく。
歯痛から始まった『f植物園の巣穴』の姉妹編。
(朝日新聞出版HPより)
痛みに苦しむ佐田山幸彦(通称・山彦)。
化粧品会社でメイクアップ部門に所属し、化粧品の研究をしている。
肩の強烈な痛みに苦しみ、それゆえ、鬱状態へ。肩から痛みは首にまで・・・・
従妹の海幸比子(通称・海子)も膝痛から股関節痛と激痛に苦しむ日々。
自分たちのこの痛みには、なにか共通のものがあるのでは?と。
海子が最初に世話になった仮縫鍼灸院を訪ねる山彦。
院長の仮縫氏から「この痛みは、カメシに・・・」と院長の双子の妹・亀子(カメシ)
の診察を受ける
するとこの痛みの除去を助けたいと言う神がいるという。
それは実家にある小さな稲荷。そして亡くなった祖父が油揚げをお供えするようにと。
そんなわけで痛みに堪えながら生まれて初めて郷里の実家のあった地を訪ねる山彦。
亀子も同伴。
亀子と一緒に入った喫茶店。
そこは鮫島家の関わる場所だった。
店主は、今は行くえ知れずの宙幸彦(そらゆきひこ)の妻・泰子(タイコ)。
宙彦の母・竜子も以前、住んでいた家に行きたいということで3人で
実家(椿宿)に向かう。
そこで知る、佐田家と鮫島家のルーツ。
痛みは、その後、消えた山彦。
海子の痛みも、また消える。
<f植物園の巣穴>の続編と知っていただが、これが?とずっと疑問に
感じながら読んだ。
でも終盤になって、ああ、そういう繋がりだったんだ!と。
ああ、<f植物園の巣穴>もまた読み返したくなってきた!
古事記の海幸山幸の話は、今回初めて知ったけれど、現代とこんな風に
繋がっていくのも面白い。
先祖が、子孫に気づいて欲しくてサインを送ることってあるのかな?
それが今回のように痛みということもあるのか?
自身が肩痛でこの主人公の山彦のように苦しんだ経験があるので
ふと考えてしまった。
表紙の絵もステキ。
今回も読み応え十分でした!!
★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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