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読んだ本の感想あれこれ。
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512hSIr7yuL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年6月


直木賞作家の珠玉の7篇
長年共に暮らす男の秘密を知らせる一本の電話、中学の同窓生たちの関係を一変させた401号室での出来事…誰かのささやかな行為に突然、日常を切り裂かれる人々の物語。名手の手腕に酔う一冊。


    
                          (集英社HPより)


題名の「そこへ行くな」の意味が読んでいるうちにわかる。
読む前から、なんとなく想像は出来たど・・・・・。

7つの短編の題がいろいろな場所。
・遊園地
・ガラスの学校
・ベルモンドハイツ401
・サ-クル
・団地
・野球場
・病院

それぞれの場所でいろいろな事が起き、何ら変哲のないような情景のなかで登場人物たちの心の有り様が変化していく様子が描かれている。


最初の「遊園地」は法律上では結婚はしていない夫婦の話。
妻はある日、夫は別の場所でまた違う家庭生活を営んでいると知る話。
そして、遊園地に子どもと3人で出かけ「結婚」の二文字を口にする・・・。
その後の展開は読者の想像に任せるというかんじで、唐突に終わるけど、こういう感じは嫌いじゃない。

続く話もそれぞれに面白かったけど、最後の
「病院」が話としては好き。
中学生のリュウがその後、どう行動するのか、クラスの皆の反応は?
気になるけれど、これも読者の想像任せというところで終わる。


表紙の赤は警告の色か?
表題は「そこへ行くな」だけれど、行ったから良くないことに事が運んだという話ばかりではなかったような・・・。

楽しみながら読めました♪


★★★
PR
86666b5d.jpg発行年月:2011年3月


直木賞作家・井上荒野氏の短編小説集。アラフォー世代を迎えた、大学時代の同級生である4人の女性たちの微妙な人間関係を描く書き下ろし短編「ハニーズ」をはじめ、思いを寄せる同僚の既婚男性が住んでいる島を訪ねていく、惣菜工場で働く女性の淡い恋心と、やはり同僚のブラジル人との友情を描いた「他人の島」、ゲイカップルの別れを描く「きっとね。」、幼稚園時代の父への回想を描き、著者の父・井上光晴氏との思い出が重なる私小説的短編「泣かなくなった物語」など著者がこれまでに発表した作品のなかから選りすぐった全9篇。

                                           (小学館HPより)


スラスラと読める短編集。
どこにでもありそうな話ですが、そこに現れる女性たちの心理描写は、同じ年代の自分のなかで
「うん、うん、わかるぅ~!!」と言うものが多く面白かった。

面白かったのは5作目の「犬と椎茸」。
この題からして、どういう話よ?って興味あったけど、犬も椎茸も出てくる。
そしてその二つはこの物語の重要アイテム(?)。

30年ぶりにかかってきた電話の主は、かつての恋人と結婚した友人。
出来れば会いたくない友だけど、誘われて再会。
次に自宅の招かれ出かけると、友人の旦那である元恋人もいる。
複雑な胸のうちが巧く描写されていた。
けれど、友人の余命が短いことを知る。
そしてまた考えるあれこれ。

自身には、夫もいる。娘も同棲している恋人が居て、娘の住むマンションに出向いて、最近は夫が飼いたがっている犬、(自分は苦手な犬)に慣れるため、密かに娘の恋人が飼う犬に触れる訓練をしている。

元恋人とその妻である余命短い友人の事を思い悩んでも自宅に戻れば、全く異世界のような日常がある。

家族にはあえて言わないけど・・・っていう事、このくらいの年代にはあっても不思議じゃない。


ほかの短編も、少し秘めた想いみたいなものを抱えている人の話だった。


大きな出来事じゃなく、どこにでもある物語をこうして、書ける作家さんは凄い!と思う。
井上さんもそんな作家さんの一人です。

★★★★
 
9393acad.jpg発行年月:2010年12月


結婚5年目。私たちの店は、郊外の古いビルの地下にある

「coffee NADA」のマスター夫婦をめぐる不穏な日常
----共有される時間と不在の時間の記憶。
現在と過去、変わらぬ日常と秘密の外出

                        (文藝春秋HPより)
 

NADAってなんだ??と思ったら、物語の夫婦が営む喫茶店の名前だった。
夫婦は結婚と同時に喫茶店を開いた。
そこには、近所の常連客が集う。

物語は連作形式で、時々、夫婦の過去の元恋人の話だったり、ずっと昔の小さい頃の思い出だったりが語られる。
夫婦仲は悪くもなく良くもなく?

お互い、恋人が出来たりしてそれをお互い気づいている。
でも、夫婦は特にお互いのことは干渉せず、夫婦の変なル-ルを作ってゲ-ム感覚で楽しんでいたり・・・
他人から見たら変わっているかも。
わたしは絶対出来ない(笑)

でも、二人が似たもの同士だから、こういう状況でも暮らしていけるんだろうなぁ~。

常連客のメンバ-も似たようなかんじで、古本屋の夫婦もなかなか面白かった。
夫婦でラブホテルに行った話は愉快でした。

取り立てて、珍しい出来事が起きるわけでもないけど、こういう雰囲気の話は好き。


次回作も期待してます(^^)

★★★
 

                                               

357fefff.jpg   発行年月:2010年4月

  気づかないふりをしていた。
  もう愛していないこと。
  もう愛されていないこと。

  直木賞作家が美しくも儚い恋の終わりを描いた傑作

                       
 (祥伝社HPより)


10この短編集。
ひとつひとつのお話は短いのですが、そこにある人間関係は濃厚。

結婚してるのに、夫以外の男性を気になったり・・・
または男性側の視点で描かれる話があったり、様々な人間模様の中にある「恋」?

なんて事無い話のなかにある心理描写の上手さは、井上さんらしい。

どれもそれぞれ面白かったけど、結構すきなのは「犬」かな?
夫の会社の同僚男性に少し惹かれている妻の気持ちの表現がよかった。
この夫の鈍感なところに、苛立つかんじもちょっと微笑ましいものを感じました。


暫くしたら「どんな話だっけ?」と思うような話なんですが、読んでる間は楽しめました♪

この表題の短編はない。
ということは、この表題は全てを含めた言葉ということ?
う~ん、そう思うと、この題、結構、深いかも~。なんて一人で思ってます(^^)


★★★
   
d576d0ad.jpg発行年月:2010年4月


「つや」、夫がふと口にした、謎の言葉。それはだれ? どんな女?
絡み合う七つの恋と性の物語。


私は愛されているのだろうか----夫、恋人、父と関係のあったらしい、艶という女の危篤の知らせをきっかけに、自分の男をいつも以上に観察する女たち。立ち現れる男たちの他人のような姿。性的に奔放な一人の女をめぐる大きな渦のような人間模様の中に、女と男の恋の本音を描き出す刺激的な長編。著者の真骨頂。


                                           (新潮社HPより)

表題がひらがななのが良い!
読む前は、「通夜?」と勝手に理解しましたが、それだけではなかったのです!

物語の中心にいる「艶」という一人の女性。
彼女は、物語のいつも真ん中に居ながらも多くは登場しない。

物語は連作形式で進み
最初の話では、艶の従兄弟にあたる行彦が、艶がO島で死にかけているという連絡を受ける。
その電話を受けた夫を横で見ている妻の環希(51歳)が語る、いろいろ。

そして、艶の最初の夫の愛人・湊(29歳)
・艶の愛人だったかもしれない男の妻、サキ子(60歳)
・艶がスト-カ-していた男の恋人、百々子(33歳)
・艶のために父親から捨てられた娘、麻千子(20歳)
・艶を看取った看護師、杏子(31歳)
・艶の最後の夫、松生春二(49歳)

と艶に直接、接点があった者やその者の近い立場の人が登場して、自分の今の状況を語る。
そこから、あまり登場しない艶という一人の女性がどんな人なのかが段々と見えてくる
面白い展開の物語でした。


艶の存在が多くの人の人生を引っかき回しているかんじ。
今までその存在を忘れていた者たちも、艶が死にそうという事を知り、日常に変化が起きる。

人って生きているとどんどん繋がっていくんだな。
知らないうちにいろんな人の生き方にも影響を与えてしまうものなんだな。
なんて思いながら読んでいました。

ラストは、唐突過ぎるほど自然で、続きがあるかと思わずペ-ジをめくり・・・・
「あ、終わったのね・・・^^;」なんて具合でした。

でも、よかった。
どういう風によかったのか?伝えるのが難しいけど、
こういう物語、好きです。

★★★★
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