希望は、国ではなく、あなた自身の中で、芽吹きを待っている。
多くの人々が、将来への不安を抱えている。だが、不安から目をそむけず新たな道を探る人々がいる。婚活、再就職、家族の信頼の回復、友情と出会い、ペットへの愛、老いらくの恋…。さまざまな彩りに充ちた「再出発」の物語。
(出版:幻冬舎)
55歳頃に転機を迎えた男女の物語が5つ。
「結婚相談所」
54歳で離婚した中米志津子。
離婚の原因は、60歳で定年退職した夫と一緒に居るのが苦痛だから。
しかし、58歳でこの先の経済的不安と夫以外の人と付き合ってみたいという2つの理由で
結婚相談所通いを始める。
う~ん、離婚したのに、また再婚しようとする気持ちが理解できない。
経済的不安があるのに、なぜ離婚したんだ???
「空飛ぶ夢をもう一度」
6年前、出版社勤務だったが54歳でリストラされた因藤茂雄。
妻のパ-ト収入だけではこの先、不安なので再就職先を探すがうまくいかず・・・。
なんとか見つけた交通誘導員の仕事中に、中学時代の同級生・福田に再会。
中学時代の思い出などを語る。
茂雄が友の死の後、思うことばに、そうだよ!!と強く共感!
しかし切ない話だなぁ~(;_;)
「キャンピングカ-」
冨裕太朗は58歳で会社の早期退職に応じた。
自由な時間が出来たらやってみたかったのは、キャンピングカ-で妻と日本全国を旅行すること
が。。。妻は乗り気でない。
全く、妻に同感!!
この夫は何を考えているんだか??
一緒に大喜びで、旅行に行く妻は、たぶん、居ないんじゃないかなぁ~?
ま、でも他に生き甲斐を見つけられたようでホッとした。
「ペットロス」
高巻淑子はマンションで定年退職した夫と2人暮らし。
息子が海外赴任で居なくなった寂しさを埋めるため犬を飼うことを夫に認めさせて柴犬のボビ-を飼い始める。
だが、ボビ-は亡くなってしまう。
淑子の夫は、ぶっきらぼうなだけで実は優しい。
妻が病に倒れたボビ-と過ごす時間を横で見ながら、自分も同様に心配していた。
ボビ-の命と引き換えに、夫婦は信頼関係を深めた。
5つの話のなかでは、一番、感動的でした(^^)
「トラベルヘルパ-」
下総源一は63歳の長距離トラック運転手。
本を読むのが趣味になり、本屋に入りそこで、堀切彩子と知り合う。
上品な彩子と親しくなりファミレスでのデ-トにうきうき気分。
しかし10回目のデ-トで明かされたこと。
彩子の生活は厳しい状況だった。
辛い生活のなかで彩子も源一と会うことでひと時の希望があったのかなぁ~?
なんだかこの話も切ない。
でも辛い状況でも理解してくれる誰かがいれば、心強いだろう。
結構、気分が落ち込む話が多かったな。
55歳からの・・・・とあるけれど、転機がおきるのがそのくらいで
実際の主人公達は、それから何年か経ったかんじ。
健康で前向きな気持ちで生活出来る力を今のうちに養っておかなきゃいけないなぁ~
なんて思ったけれど、どうすればいいんだろ???
とりあえず、心身を鍛えてるために適度な運動と規則正しい生活を続けよう!!と
なんだか強く思った^^;
★★★★
生誕90年、三浦綾子9年ぶりの単行本。
「氷点」「銃口」他、キリスト者の視点から人生を見据え、多くの忘れ得ぬ小説作品を残した三浦綾子。生前彼女が多くの雑誌、新聞等に寄稿したまま、単行本に収録されることのなかったエッセイの数々が、生誕90周年を迎える2012年を機に、初めて単行本として刊行される運びとなりました。
三浦綾子さん自著としては、9年ぶりの単行本刊行となります。
著者の人柄と信仰そのままに、温かく真摯な視点で語られるエッセイは、今もそこに三浦さんが健在であるかのようにわたしたちの心に語りかけます。旭川の澄明な丘の上から、わたしたちにより良い人生への気づきをメッセージにして送り続ける、三浦綾子さんと出会ってください。
三浦綾子生誕90年記念および、小学館90周年記念の共同企画としてお届けいたします。
(小学館HPより)
図書館の棚を見ていて、ふと目に留まり借りました。
そういえば、亡くなられたんだ・・・。
「氷点」「塩狩峠」は若いころに読み、感動しました。
キリスト教の信者ということは知っていましたが、巻末の年譜をみても驚くことに、若いころに結核を患い、その後の長い療養生活があり、亡くなるまで、いろいろな病気と闘っていたと知りました。
最初の職業は、学校の先生だったんですね。
教え子が成長してから再会する様子を書かれたお話もあり、生徒からも慕われた先生だったんでしょう。
三浦さんといえば、北海道。
やはり旭川という土地には、特別な思いがあったんですね。
6月になると、隣の農家で自分と三浦さんの為だけに栽培しているグリ-ンアスパラを
いただいて食べるというお話が印象的!
今頃、美味しい時期だなぁ~なんて。
表題の「邂逅」の意味、どういう意味だっけ?と気になり調べました^^;
めぐり合い、偶然の出会い、何か意味がある出会い だそうです。
表紙の絵も素敵です。
三浦さんの作品、また読み返してみよう。
★★★★
13世紀、フランス。“天啓”を受けた羊飼いの少年・エティエンヌの下へ集った数多の少年少女。彼らの目的は聖地エルサレムの奪還。だが国家、宗教、大人たちの野心が行く手を次々と阻む―。直木賞作家・皆川博子が作家生活40年余りを経て、ついに辿りついた最高傑作。
(ポプラ社HPより)
少年十字軍のお話。
悲劇的な最後が待っているのかなぁ~と思いながら読み進めたけれど
史実に基づきながらも、悲しいだけでない物語だったので、最後はちょっと救われた。
ある日、神の啓示を受けた貧しい羊飼いの少年・エティエンヌ12歳と彼の力を信ずる子どもたちが聖地エルサレム奪還を目的に旅を続ける。
彼が本当に神に選ばれた者なのか、疑う者もあり、信ずる者もあり。
少年たちに付き添う形で大人も数人、途中から旅に加わる。
そしてエティエンヌに対抗心を燃やし、自ら胸に十字の焼印を押し、自分こそが神に選ばれた者であり
エティエンヌは偽者と申し出たレイモン。
レイモンとは対照的にエティエンヌは、始終、穏やか。
仲間のなかにけが人が出れば、癒しの力を使い、レイモンの瀕死状態も救う。
レイモンに仕えていた者もエティエンヌのほうを心の中では認めたり・・・・
そして、旅の仲間で唯一の女の子・アンヌ(13歳)の洞察力は鋭い。
アンヌ視点の、エティエンヌとレイモンについての語りの部分が興味深かかった。
聖地に向かう難所、海を目の前にしてのラストの場面は
現実と空想が入り混じるような不思議な感覚で果たして少年十字軍たちは、この先どうなる??と
はっきりした終わり方ではない。
けれど、史実通りならば・・・・・・・とあれこれ想像。
もう少し、別の書物でも少年十字軍について学んでみたいと思った。
読み応え十分でした!
表紙の絵も素敵です。
★★★★
単行本は2000年3月発行
あなたの中にも「共生虫」がいる!
体内に謎の「虫」を宿した、引きこもり青年ウエハラ。彼はネットを通じ、インターバイオと名乗るグループから、その虫が殺戮と種の絶滅を司る「共生虫」であると教えられる。選ばれた存在であることを自覚した彼は、生贄を求めて外の世界に飛び出してゆくのだが……!?
衝撃のインターネット文学、ついに文庫化。
(講談社HPより)
引きこもり青年が主人公。
彼が引きこもりになった最初の原因は、教師の整髪料の臭いが我慢出来なかったからとか。
精神科受診して、自分のなかにいる「虫」のことを話すが医師は、信じてくれない。
こんな状況に置かれたらと思うと、苦しくなってくる。
ウエハラ(本名は全くちがう名前らしいけれど・・・)の苦悩が伝わり、読むのが辛くなってくる。
でも、そんなウエハラが外に向かう辺りから何か希望が見えて来るのか?と期待した。
ある意味、ウエハラは引きこもりから脱出するのだけど・・・・
ちょっと恐ろしい顛末。
この後、ウエハラはどんな人生を送るのだろうか?
ラストの著者のあとがきもなるほど・・・・と興味深かったけれど
これをフランス語に翻訳しているシルヴァン・カルドネル氏の解説が更に印象的だった。
フランス語のタイトルは「PARASITES」らしい。
読後感は良くないけれど、なかなか面白かった。
★★★
「ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?」-----
親の介護から夫婦の危機、忍び寄る更年期、
老後資金の計算までを、自身の体験を交えて赤裸々に描いた話題作。
大佛次郎賞受賞。
(中央公論新社HPより)
ちょっと長かったな。
母親が亡くなったところから始まるけれど、その母親がまだ元気だった頃の話に戻り、
また母親の祖母の代まで遡り、母親のル-ツも描かれる。
主人公は、美津紀。
フランス留学中に知り合った夫・哲夫は大学教授で外国滞在中。
子どもは居ない。
美津紀も大学の非常勤講師をしていたが、現在は自宅で翻訳の仕事をしている。
姉の奈津紀は、資産家の夫と玉の輿婚。
娘と息子がいる。
年老いた母親の世話は美津紀が主にしていた。
が、認知症を患い体も不自由になってしまったため、施設入所になる。
まだ母親が母親らしいとき、尊厳死を望み、胃ろうなどはしたくないと文書で書き留めていた。
しかし、胃ろうのような経管栄養は延命措置とはみなされないと知る。
延命処置の拒否は人工呼吸器や心臓マッサ-ジに限られるのが一般的。
入院させている以上、医療期間側も利益がない状態で置く事はないというわけですね。
自然死を望むならば自宅で看取ることが美津紀のいうとおり、最悪で最善の判断。
運よく、その気持ちを理解してくれる医師が見つかり最期はクリニックで迎えたのだけど・・・
こういうことは、まだ先のことと思わず、ちょっと親の意見とか聞いておいた方がいいかもなぁ~
なんて読みながら思ってしまった。
母親の世話をよくしていた美津紀だけれど、本音ははやく逝ってくれないかな?と思っている。
それは介護を経験していない人には薄情なことばに聞こえるけれど
実際、美津紀のような経験をし、同じ立場になったら、自分もそう思って不思議じゃない。
これは自伝的物語?
とちょっと調べたら、お母さんも作家としての作品を遺されていました。
水村節子/著の「高台にある家」・・・・だそうです。
う~ん、これもちょっと気になるな。
★★★
12 | 2025/01 | 02 |
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;