恋ではなく、愛でもなく、もっと不純で、純粋な欲望
東京のアンティーク着物店に京都の葬儀社。
2組の夫婦関係が交差し、秘めた性的嗜好があらわになる。
堕ちていく男女を描く問題作
(文藝春秋HPより)
話の展開は面白く、文章も読みやすいのだけど・・・・・。
やや辟易しちゃう、男女の絡みの部分・・・・^^;
東京の夫婦
結城麻子と誠司・・・麻子は実家の老舗呉服店で働き、やがて自分のアンティーク着物を扱う店を出す。
誠司とは、元の職場であるブライダル専門のプロデュ-ス会社勤務時代に知り合い結婚。
京都の夫婦
桐谷千桜と正隆。
千桜の実家である葬儀会社に勤務していた正隆はその営業の手腕を見込まれて社長の娘である千桜と結婚。
7歳の息子あり。
簡単に言えば、この物語は・・・
この二組の夫婦のダブル不倫の様子を描いている。
小説だから、こういう偶然はあってもよしとするとして・・・・
この4人がお互いの夫婦の異性に惹かれる要因ちょっとイマイチわからない。
お互いの配偶者に隠していた、性癖がドンピシャ一致ということらしいんだけど、
なんだかなぁ~・・・・・。
ただ、今回は着物の話がよく出てきて、呉服屋さんのトキ江さん(麻子の祖母)は、粋なかんじで好きだった。
トキ江さんの恋バナをもっと知りたかったなぁ~。
しかし、文藝春秋の特設サイトにはビックリ!!
あの刺青は本物なんだ!!!
ちょっとわたしの中の村山さんのイメ-ジが180度変わったわ~。
ちょっと前は、田舎で野菜づくりとかやってますみたいなインタビュ-見てたんだけど・・・・。
ま、書く力はすごくある作家さんだと思うので、今後の作品も読ませていただきますが・・・。
こういう路線のは、ごく、たまにでいいかな?
★★★
母を持つすべての大人たちへ。自伝的長編
38歳で離婚歴のある女流作家・夏帆。自由奔放に暮らす一方で、実は長年抱えこんできた秘密があって…。今だから見えてきた、母娘の愛憎と家族の歴史。共感と感動をよぶ、衝撃の自伝的長編小説。
(集英社HPより)
強烈な個性のある母親だな。
でも、自分の母親にもあてはまるような部分もある。
夏帆にとって、幼いときの母親というのは、抵抗できないくらいに怖い存在だった様子で、結構、従順にしている。
もう少し、反発して、納得できないことには反論すればよかったのに・・・・と思うけれど、そうすることが無意味な相手と割り切っているから仕方ない。
実際、こんな母親を持ったことがない人には、母親が忌み嫌っていることを選んでしていりような夏帆の行動には、嫌悪感すら覚えるかも。
わたしは、わからなくもないな・・・・という感想を読みながら持ったので、夏帆に対しては嫌悪感はないけど、共感もしなかった。
まあ、こういう母と娘もいるということね・・・と大した感情も抱かずササッと読みました。
村山さんの半自叙伝ということですが・・・
小説家というのは、私生活をも暴露しお金に変えるのか?と思ったらちょっと興ざめしちゃいました。
自叙伝と謳わなければ、結構楽しめたかもしれないけれど・・・
サハラ砂漠を舞台にした傑作ロ-ド・ノベル!
「死んだら遺灰をサハラにまいてほしい」。弟の遺言を叶えるため、姉は弟の友人や恋人らと共にモロッコを旅することに。葛藤を抱えた大人達が旅の果てに辿り着いたのは・・・・。多様な愛のかたちを描く長編小説。
(集英社HPより)
前作の「ダブルファンタジ-」は、やや毒々しかった愛を描いていましたが・・・^^;
これは、ソフトでした。
青年・周(あまね)の死後、彼の希望である遺灰を空き缶に詰め、サハラまで旅をする男女4人。
女性二2人、男性2人なのだが・・・・中年フランス人男性は、周と亡くなる寸前まで同居していた仲。
そして、段々にわかってくる、それぞれの抱えている愛の憂い。
4人の同行するイスラム教徒のガイドの男性の視点もなかなか面白かった。
旅をする4人とそれに付き添う1人が、交互に語る形で物語が進んでいく。
そして・・・亡くなった周もまた肉体は無くなっても魂は残っていて、皆と一緒にいるかたち。
周が語る部分もあって、それぞれの人間関係がわかってくる。
サハラまでの旅の様子も情景描写が頭のなかに浮かんでくるようで楽しかった。
遺灰を撒きに行くのでなければ、楽しいグル-プ旅行という感じもあったかな?
イスラム教徒の暮らしも感じつつ、そこにある食べものも魅力的。
モロッコといえば、最近、流行のタジン料理。そしてクスクス。あとはミントティ-。
旅行記の要素もなかなか充実。
著者は過去に実際に旅したそうと知り、納得(^^)
それぞれが、抱える問題も少しずつ手がかりが見えてきたかな?という流れ。
しかし、フランス人・ジャンはちょっとこの先のことを考えると気の毒だな。
周は、多くの人に愛され、そして自身も愛したんだろうけど、サハラに辿り着き、やっとこれで安らかに眠れると感じるのは切ないな。
生まれた時から、一時も心が安らげなかったとしたら・・・。
大きな感動は、あまりないけど、静かに胸打つ物語でした。
私はまだ“本当の自分”と出会っていない
女として人生が終わる前に性愛を極める恋がしてみたい。
35歳脚本家・高遠奈津の性の彷徨が問いかける
夫婦、男、自分自身
(文藝春秋HPより)
発売当初から話題の書でしたね。
図書館予約でも結構、待ちました。
表紙写真(?)に、まずはビックリ!
これは人前で読むときには膝に表紙を置いて読まなきゃ^^;
肝心のお話は、脚本家の奈津は元ドラマ制作に関わっていた夫・省吾と子どもは居ないが二人で仲良く暮らしていた。
今は家庭の雑事を全て引き受け、仕事に没頭出来るようにしてくれる夫には感謝しつつも奈津の書き進める脚本については、昔同様、一番にチェックし、厳しい評価を下すのが常で、それについて不満がある。
しかし、争い事を抱えるのがイヤで夫に管理され束縛されることに辟易しているのも関わらず、穏やかな夫婦関係を保とうとしている。
そんな葛藤のなかで、自身の師と尊敬する、演出家の志澤一狼太と会話(メ-ルが多いけど)するうちに、やはり自分はこのままではダメだ。
志澤に言われた
「穏やかな生活を続けるうちは、大した作品は生まれない」の通りなのでは?と
ついに夫に本音をぶつけ、夫の元を出奔。
それからの奈津は凄かったなぁ~。
志澤との性愛シ-ンもかなり激しかったけど、これは激しすぎて、逆に色っぽくなかった^^;
でも、その後、大学時代の先輩・岩井、元精神科医の僧侶・祥雲、俳優の大林
と次々に・・・・
村山さんの作品は、過去に数冊読みましたが、どちらかというと清純物語。
こういう作品は書かない人だと思っていたので、驚きです。
主人公の奈津は脚本家。
どうしても著者本人の経験によるもの?主人公=著者のイメ-ジを読み手は頭に浮かべてしまう。
そういう事を勿論、覚悟のうえでの作品なのだと思うと、その事に対して敬意さえ覚えてしまう。
奈津のように、次々と性愛を求める女性について、共感出来ないけど卑下する気持ちは全くないです。
奈津も自分自身のなかにある覚悟を持って行動している事ですから。
潔さみたいなものも感じました。
いや~恐れ入りましたというかんじです。
賛否両論ありそうですが、わたしはこの作品、すごく良いと思いました!
これからの作品も今まで以上に期待したい!
★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;