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読んだ本の感想あれこれ。
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MOMENT240_.jpeg発行年月:2002年8月


最後に一つだけ、必ず願いごとを叶えてくれる人物がいる。
そんな不思議な噂が、患者たちの間で囁かれていた。
アルバイト清掃員の学生が垣間見た、その病院の伝説とは・・・・


             (本の帯文より)
 

先に本書の続編と言われる『WILL』を読みました。
こちらの主人公は、大学生でアルバイトで病院の清掃員をしている神田。

その病院に患者同士の間で伝わる噂を耳にし、どうやらその願いを叶える人物は清掃員の格好をしているとか?
予後が悪く、死期もそう遠くない患者たちから、そんな話を聞き、どんな願いがあるのか聞く神田。

そして、自分のできる範囲のお願い事を引き受ける。
そのお願い事をする患者たちとの話が短編形式で進む。

願いを聞くと言っても、バイトの延長みたいに気安く。
そんなところが、かえって偽善ぽくなくて良かったな。

先に読んだ『WILL』の主人公である葬儀屋の幼なじみ・森野も度々、登場。
死期の迫った患者に「森野葬儀店をよろしく伝えろ」とか口は相変わらず悪いけど、根は優しいと知って読むので、二人のそんな会話も微笑ましい(^^)

喉頭がんの男性、心臓病の中学生、乳がん再発の女性などなど・・・いろいろな患者と接する神田。
最後はどの人も亡くなる・・・が、単純に悲しい、可哀相という話でもなく、かといって残りの人生光り輝くようなもので、残された人には希望の光・・・みたいな大袈裟なものでもなく・・・・全てが淡々と進んでいく。
そんな淡々とした話の中に、時に胸にグッとくる言葉があったり、ハッと気づかされる言葉があったりで、どの人の話も胸に沁みるものがありました。

そのなかでも乳がん患者の女性との話「FIREFLY」は素敵だったな。
泣けました。
神田の人柄にも惚れた!(笑)


あ~また『WILL』を読み返したくなったな~。

神田と奥野の『WILL』以降のその後も書いてくれないかなぁ~。


 
★★★★
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WILL0_.jpeg発行年月:2009年10月


名作『MOMENT』から7年。待望の姉妹編。

29歳の森野は、11年前に亡くなった両親の跡を継ぎ、寂れた商店街の片隅で葬儀屋を営んでいる。そんな彼女のもとに、仕事で関わった「死者」を媒介した、数々の不思議な話が持ち込まれてくる・・・。


                    
(集英社HPより)

この作品に姉妹編にあたる物があるのは知らずに読みました。
何ら、困ることはなかったですが・・・。

高校生のときに両親を一度に亡くした主人公・森野。
両親の跡を継ぎ、昔から店にいた従業員・竹井と良い関係を保ちながら社長として働く。

言葉遣いがやや乱暴ですが、故人を悼む気持ちは優しい。
プロロ-グとエピロ-グを挟んで、3つの話にそれぞれ出てくる依頼人たちとの関わりも良かった。

第1話「空に描く」は、高校時代の同級生が葬儀の依頼人。姉の子どもが亡き父の幽霊をみたと言う。同級生のちょっと複雑な生い立ちを探り、亡き父の思いを汲む

第2話「爪跡」は、執り行った葬儀のやり直しをして欲しいと訪ねてくる故人の愛人を名乗る女性。調べると、名乗った名前の女性は既に亡くなっていた。

第3話「想い人」は、亡き夫の生まれ変わりだと言う15歳の少年が訪ねてくると老女から相談を受ける

故人を巡ったちょっと不可解な出来事を、故人の家族や親しかった人に話を聞きながら、真相を探るちょっとミステリ-の要素もあるお話たちだった。

謎が解明されると、そこには故人やその近い人の優しさが起した出来事とわかり、温かい気持ちになれました。

エピロ-グとプロロ-グでは、森野自身のことが綴られて
両親を亡くしてから、ずっと自分が良い娘だったか?今は良い娘か?と問い続けてきた彼女だったが最後は彼女を温かく見守り続けた人たちにより、迷いのようなものを吹っ切り、新たな気持ちで前に進んでいく姿が良かった!

森野の名前・・・気になっていたけど、最後の最後に明かされてました(^^)

表題「WILL」は、ピッタリだと読み終えて思います。


姉妹作だという「MOMENT」も是非、読まなくちゃ!


★★★★
353518dc.jpeg   発行年月:2009年8月


   男はなぜ、ゴミ屋敷の主になったのか?

いまはひとりゴミ屋敷に暮らし、周囲の住人たちの非難の目にさらされている男。戦時中に少年時代をすごし、昭和期日本をただまっとうに生きてきたはずの男は、いつ、なぜ、家族も道も、失ったのか。誰もが目を逸らすような現在のありさまと、そこにいたるまでの遍歴を、鎮魂の光のなかに描きだす。
橋本治、初の純文学長編。


                                    
(新潮社HPより)

主人が図書館から借りて先に読み「なかなかおもしろい」というので、読んでみました。

物語は主人公・忠市が、ゴミ屋敷と化した家に住み、近隣住人たちに大迷惑をかけているところから始まり、テレビのリポ-タ-が住人たちにインタビュ-して周る。

昔、まだ忠市の住む家が荒物屋として存在していた時代を知る人はわずかだが、昔はあんな人じゃなかったんだけど・・・と。

人目を避けるような時間帯には外へも出る。
どこかに行くアテのある人を羨ましくも思う。

ちょっと前、実際にワイドショ-番組でもゴミ屋敷に暮らす女性を取り上げた番組を見ていたときもその人は「これはゴミじゃない」と言ってたっけ。
忠市も「これはゴミじゃないんだ」と。
到底、普通のひとには理解出来ないことば。

物語は、途中から、忠市の過去の話になる。
戦後まもなく荒物屋に住み込みで働きに出て、その後、家業の荒物屋「丸亀屋」に戻る。
見合いで結婚もした。子どもも出来た。
けれど・・・・父親が病に倒れた辺りから、バタバタと不幸が続く。

12歳年下の弟・修次も結婚し、その妻は家事の段取りもよく姑の扱いも上手でなとなく一家がまた明るい方に向かうのか?と思ったら・・・・
ある事を機に弟夫婦は家から出ていく。

店の仕事が減り、母親が亡くなって一人きりの忠市。
そのころから、ゴミが少しずつ溜まる。

なんとも切ない、胸が痛い。
忠市は、普通の人。家業を継いで真面目に働いていたのでしょう。
でも、戦後のめまぐるしい変化に取り残されてしまったかんじ。

近所に迷惑をかけている。片付けなきゃいけない。頭ではわかっている。
けれど・・・この環境を変えられない。

最後はどうなる?と思ったら・・・・
35年ぶりに弟がテレビで実家が凄いことになっているのを知り、兄の元に来る。
偉いぞ!弟!
そして、この弟が現れたことで、忠市の気持ちが大きく変わる。

表題の「巡礼」はどこに?と思っていたら最後、弟が、この先のことを四国88ヶ所をお遍路しながら、お大師さまに教えてもらおうと二人で旅に出るのです。

最後は、ちょっとホッとして、救われました。
ず~っと重たい気持ちで読んでいたので。

なかなか、読み甲斐のある物語でした。

★★★
d14d8f41.jpg発行年月:2009年4月



エネ研、ソ-ラ-カ-、大潟村 太陽の光に導かれて、
淡い恋が始まった------。
ソ-ラ-カ-レ-スにかける高専生たちの青春!



                                (講談社HPより)


毎回、いろいろな場面で青春を謳歌する学生たちの清々しい姿を描いてくれる濱野さんの作品。

今回は、高専生。さきたま高専の生徒たちの青春物語。
その高専生の部活動(エネルギ-研究会 ソ-ラ-カ-研究部)の話。

何人か生徒達が出てきますが、主人公は、澄川怜。
高専の3年。
頭も悪くないし、手先も器用。何でもあまり努力しないでそこそこ出来ちゃう。
羨ましいような気もするけど、本人はそれゆえ、何を将来したいのか?本当にやりたいものはナンなのか?わからないでいる。
彼の姉は、そんな彼を器用貧乏という。

そんな彼が、同級生(留年してるけど)に器用を見込まれて、手伝って欲しいと連れられた先でソ-ラ-カ-に出会う。
最初はただ友達の頼みだから・・・という受身的感覚だったのが段々、仲間と関わり、ソ-ラ-カ-のレ-ス出場に向かううちに自身も熱くなる。
そんな生活のなかで、自分の将来の道も少し見えてくるラストは、よかった。


太陽のエネルギ-で走るソ-ラ-カ-。名前は「レッドシャイン号」。

地球の環境問題、エコの話を彼らがするのも興味深かった。
悪い事じゃないし、考えることは必要だと思うけど、取り組んでいることには矛盾も結構あるよね?という話。
余裕のある人しか取り組めないようじゃ変だよね~みたいな箇所では
「そう!そう!」とうなずいちゃった。

高専って、あまり実態は知られてないかな?
わたしは、弟が、実は高専出身なので、学校内や寮生活の話を、たまに聞いていて少しだけ知っていたこともあり、その様子を垣間見られた感じが面白かった。

恋の話もちょっとあったりして、そちらも爽やかでいいかんじでした!

そういえば、弟が学生の頃は、ロボコンとか、ソ-ラ-ボ-トの大会の話も出たっけ。
ソ-ラ-カ-の大会の話はなかったけど、いろいろな大会があるんでしょうね。

今回は、主に男の子たちの青春を描いたものでしたが、女子でも楽しめるお話だと思います。



★★★★

8527fa6f.jpg   発行年月:2005年1月


   お姉ちゃん、僕たちもう
   帰れないかもしれない。

   中学生姉弟が突然迷い込んだ、もうひとつの
   不思議な日常。

                   (本の帯文より)


先日、テレビ放送されたのを録画で観て、なかなか面白かったので、その原作本にも興味が沸いて読んでみました。
映画を観たときの感想は・・・http://www.dhcblog.com/ykyoko/archive/988 ここでどうぞ。


本を読むと、映画がこの原作にとても忠実に作られたものだと思いました。
会話の細かいところまで同じなので、つい映画で見た多部未香子とその弟(名前知りません^^;)の顔が本を読みながらも浮かびました。

突然、別の世界に迷い込んだ姉(エリ子)と弟(ダイゴ)。
帰りたいといろいろその方法を探るのですが、帰れず・・・。
家の中は、さっきまで母親が料理していたシチュ-がまだ温かいままなのに、両親は帰宅しないまま。
一人じゃないから、まだなんとか気持ちの平静さを保っていられるかんじの二人。

家に居ても仕方ないからと、それぞれ中学(エリ子は女子校、ダイゴは男子校)にもいつもどおり登校する。

自分たちが居た世界とは、同級生もおなじ姿なのに、ちょっと違う。
死んだはずのダイゴの同級生の女の子も生きてるし・・・。
最近、あまり良い関係とは言い難かったエリ子の友達、大久保ちゃんも自然に接してくれる。
でも、マッチョ(太っていてマッチョとは程遠いブヨブヨけど、名前が松本だからこの呼び名)は、相変わらず本当にいい子。
そして、マッチョのお母さんも良い人。おやつをくれるだけに登場なんだけど、
これ、映画ではなかったので、頭の中で映像化しちゃって楽しんじゃった。

そして可笑しいのが、この迷い込んだ世界では弟が好きなプロ野球選手・高橋好伸がちょっと太ってるっていうこと。
それについての姉弟のやり取りも笑える。


元の世界に戻れないという緊迫した状況にも関わらず、どこか楽観的な二人。
ラストもそんな二人らしい終わり方。

ハッピ-エンドなのかどうかは、読み手の解釈でどうにでも変わりそう。

ちなみに、わたしは一応、ハッピ-エンドなのかな?と思いました。

本も映画と同様、面白かった!!


★★★★



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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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