発行年月:2014年11月
「亡失」「等閑」「匿名」「紐帯」「雷同」「黙過」「増益」…
日常の、私たちの生活に地続きで潜む狂気。誰も逃れることはできない、
誰もが犯しうる現代版「七つの大罪」を描く短篇集。
(河出書房新社HPより)
なかなか面白い短編集でした。
特に最初の「亡失」は最高!
大学時代の友人から2年前まで付き合っていた桔梗さんの話が出されるが
桔梗さんって誰?状態の58歳の男の話。
特に目立った出来事もなく、ありきたりに生きてきた。
女性とは何人か付き合ったけれど、覚えているくらいの人数で、そんなに長く付き合った
人も居ない。
けれど、桔梗さんと言う人とは、2年前まで35年間も別れを繰り返しながらも
続いていた仲らしい。
実際に友人を介して、桔梗さんに再会する男。
桔梗さんと男の会話も笑えるし、本当にこんな風に完全に忘れてしまうことは
ないでしょうが、話としてはこの最初の話が一番良かった。
他の話もそれなりに面白かったのだけど・・・・
3番目の「匿名」の男は、本当に悪い奴!
大嫌いだ!こういう人!
何らかの罰を受けるべきだよ!と突っ込みを入れたくなりました。
名前が小泉太郎というのも許せない。
小泉孝太郎さんは好きな役者さんなので、なんでこんな嫌な奴の
名前をこう設定したんだ!!
と著者の藤谷氏にも悪を感じてしまった。
★★★
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発行年月:2014年9月
その若者には、見たくないものが視えた。他人の「死」が。「運命」が――。本屋大賞受賞後初の長編小説、遂に刊行!
幼い頃に両親と妹を亡くした木山慎一郎には、友人も恋人もいない。一日中働き夜寝るだけの日々。夢も自信も持てない孤独な人生だった。その日までは――。ミリオンセラーを連発する著者が、満を持して選んだテーマは「愛」と「死」と「選択」を巡る、人間の「運命」の物語。大切な人の「死」が見えたとき、あなたなら、どうしますか?
(新潮社HPより)
主人公の木山慎一郎が、良い人過ぎて・・・・
彼に与えられた能力(他人の死が迫っているのが見える)のために苦悩し、出した結論が
あまりにも切ないもので、泣けました(/_;)。
生まれて初めての恋人・桐生葵との出会いの場面で、
ああ、葵も同じような能力を持った人なんだなと気づいてしまうので
なんだかその後の展開が辛くて辛くて・・・・
こんな切なくて辛いだけの物語は、好きじゃないな。
個人的意見ですが・・・・^^;
★★★
発行年月:2014年8月
奈良時代。父・藤原不比等(ふじわらのふひと)から「闇を払う光となれ」と光明子(こうみょうし)の名を授かった一人の少女は、やがて聖武天皇の妃に。女として、母として、皇后として、苦難の日々を凜と歩んだ生涯に魅せられる歴史長編。
(集英社HPより)
主人公は45代聖武天皇の妃となった光明子。
父から幼いときより、やがて天皇になるだろう首皇子(おびとのみこ)を助けるのだと
言われて育った光明子。
まだ幼いとき、「生まれてから一度も母に会ったことがなく、会いたい」と
首皇子から言われ、母に会わせようとするがそれは叶わず。
聖武天皇の母・宮子夫人は心を病んで出産後から離れた場所で療養していた。
首皇子が天皇になるのを阻もうとした長屋王(ながやのおおきみ)側との敵対関係も
興味深かった。
長屋王の息子・膳夫(かしわで)は、そんな関係にあるなかで、光明子には敬意を
払い、お互いが惹かれあう仲であったのが、なんとも切ない。
長屋王の変は、そんな敵対する関係のなかで起きた事件で、痛ましい。
それによって自害した膳夫の最期は哀しかった。
こうして読むと、聖武天皇よりもその妃であった光明子の方が、人間的には
とても魅力的。光明子が居たから聖武天皇が存在できたというかんじ。
奈良の大仏=聖武天皇の認識でしたが、光明子の力も大きかったんですね~。
光明子は、施薬院や悲田院を設置したり、民が平穏に暮らすための施設を
建てたり、名前の通り、人々に光を明るく届ける働きを生涯した方。
素晴らしい。
聖武天皇の49日後には、多くの宝を正倉院に納め、今
、それが奈良(国立博物館)で公開されているんですよね~。
ああ、見たいなぁ~。
今年はムリか?^^;
子どもの頃、叶えてあげられなかった「母に会いたい」の気持ちを
ちゃんと皇后になってから、叶えてあげられた場面が一番好きでした。
しかし、昔は次に誰が天皇になるのか?でこんなに争いがあったんですね。
それだけ皇族が多かったということでしょうけれど
そして女帝も多かった。名前だけだとよくわからなかったのですが・・・・^^;
今は皇族も段々に減って行って・・・・ なんとなく今後の日本の皇族のあり方も
考えてしまった。
女性が天皇になってもいいんじゃない?なんて個人的には思います。
名前の読み方で慣れるまで難儀しましたが、大変面白かった!!
★★★★ ★
発行年月:2014年5月
美魔女と呼ばれるミチルはバツイチの45歳。諦めきれない厄介な世代。人生初、恋人に裏切られ、仕事まで失った自己中女が、地味なバイト仕事を通じて様々な人達と接し、今後の人生の活路を見出していく。
(集英社HPより)
若い頃は、バブル期で仕事先でもプライベートでもミチルはモテた。
結婚した男がいるのに、別の男性と付き合い離婚。
付き合っていた男とは離婚後別れた。
元夫は、離婚後、別の女性と結婚し、子どもも生まれ幸せな家庭を作っている様子。
最初は、何やってるんだ?この女は!とやや否定的に見ていた。
でも、その後の行動を見ていたら・・・
案外良い人!
優しい気配りの出来る女性みたいだし・・・。
元夫や、元彼と再会して、どうして別れたのか?疑問を整理していきながら
今後の生き方もちょこっと考えるというお話。
45歳だけれど、容姿もまあまあ、性格も良さそうだから、まだまだ
素敵な出会いあるんじゃないかな?
がんばれ、ミチルさん!
と最後は応援したくなった(^^)
ササッと読めて面白かった♪
★★★
発行年月:2014年6月
京都の路地にたたずむ古びた町屋長屋。
「男子限定」の料理教室を舞台に繰り広げられる、滋味たっぷりのやさしい物語。
(ポプラ社HPより)
京都の古い町並みの残る住宅内にある「小石原愛子、料理教室」。
大正時代に建てられた町屋長屋の1階。
風情ある書き出しから、頭のなかに風景が浮かんでくるようでした。
でも時は現代。
表紙の絵もレトロな雰囲気でしたが、これは終章の若き頃の愛子先生なんですね~。
序章
第1話~4話
終章
とありますが、第1話~4話は、料理教室の様子のほかに、生徒さんたちの
料理教室以外の様子がわかる話でした。
生徒は・・・
真渕智久・・・・建築事務所勤務の独身青年。図書館司書の永遠子に好意を寄せている。
佐伯・・・・妻の勧めで教室に通い始めた初老の彫金職人。
ヴインセント・・・フランス人。パティシエ。自分のカフェを開きたいと思っている。
ミキ・・・心理学を学ぶ大学生。見た目は乙女。
それぞれの生徒がなぜ、料理教室に通っているのかや、教室の仲間と語り合いながら
自分のなかの気持ちも良い方向に変化し、万事丸く納まる感じが良かった。
終章での愛子先生の若いころのお話も少し切ないけれど、料理教室を開くキッカケの出来事がそこにあったんですね~。
初めて読んだ作家さんでしたが、ほかの作品にも興味が湧きました!
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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