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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年5月

第153回直木賞受賞作!
選考会は前代未聞の満票決着。
「20年に一度の傑作。とんでもない商売敵を選んでしまった」(選考委員・北方謙三氏)
「私は何度も驚き、ずっと幸福だった。これほど幸せな読書は何年ぶりだ?」(選考委員・伊集院静氏)

何者でもなかった。ゆえに自由だった――。
1975年、台北。偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。
内戦で敗れ、追われるように台湾に渡った不死身の祖父。なぜ? 誰が?
無軌道に生きる17歳のわたしには、まだその意味はわからなかった。
台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。歴史に刻まれた、一家の流浪と決断の軌跡。

                  (講談社HPより)



凄い物語だったなぁ~。
ノンフィッションっぽい。

主人公の葉 秋生は、蒋介石が亡くなった1975年のすぐ後で何者かに
室内で殺された。
誰が何のために?
その謎をずっと抱えた秋生が大人になって、自らその謎を解くまでの物語。


舞台は台湾。
あまりよく知らない、中国との関係がこの物語によって少し理解出来ました。
元々は中国人だったのに、国民党員たちは、共産党員に追われ台湾に逃げて来た。
秋生の祖父・尊麟も山東省出身だが、逃げのびてきた一人。

同じ中国人でも憎み合い殺し合った過去がある。

しかし、長い年月を経て変わる人の気持ち。

ラストの尊麟がかつて多くの村人を凄惨な方法で殺した村を訪ねる秋生の場面は
ドキドキした。
祖父を殺した者もわかり、その背景にあった事実もわかった。

憎しみを相手に向けると必ず返って来る。
それを受け止めまま鎮めることは難しいけれど、とても大事なことだな。

秋生を温かく迎え入れてくれた宇文叔父さんを秋生も幼い頃から親しんだ叔父さんと
して懐かしい気持ちで会えて良かった。


著者は日本名ですが、調べたら台湾の方でした。
著者だからこそ、書けた物語でしょうね。


歴史小説でもあり、青春小説でもあり、ちょっとミステリーの要素もあったりで
読み応え十分の素晴らしい1冊でした!!


                         ★★★★★

 
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発行年月:2015年2月

無気力に生きるケータリング業者の水島健一。先輩の忠告も、派遣先で問われる不可解な薬の存在も軽く受け流してきたのだが、ある少年と出会い、それらと真面目にかかわらざるを得なくなる――。少年が最後に下した決断に、水島はどう向き合うのか! 傑作感動長篇。

                   (中央公論新社HPより)




いや~地味に泣けます(/_;)


表題が「僕とおじさんの・・・」だけど、僕って誰?と思っていました。
主人公は、44歳の水島健一。離婚歴あり、17歳の息子は元妻と暮らす。
フリーランスでケータリングをやっているけれど、市販品にちょっと手を加えたり
して見栄え重視の料理。

度々出てくる都市伝説<ケータリングの仕事をしている料理人は楽に死ねる薬(ショートカットドラッグ)を売ってくれる。その薬は病死と判断されるらしい>
水島は度々、その都市伝説の料理人と思われてしまう。
 

いい加減なかんじもするけれど、そうなったのには、哀しい過去があった。
妹と友を同時に登山で亡くしている。
そして根は人の気持ちを汲むことが出来る優しい人なんだとわかるエピソードが
いろいろ。

そして出会った少年・大谷英樹13歳。
出会ったのは、水島が腰を痛めて通いはじめたリハビリセンター。
英樹は車いすに座った青白い顔の少年。
何度も手術を繰り返し、学校に通ったのは小2の4か月だけという。

健一が持参する弁当に興味を持ち、ケータリングの仕事をしているけど仕事の
依頼がなかなか来ないとWEBページを見せると、これはもっと修正した方がいいと
アドバイスを貰う。

英樹の病気への向き合い方が、切ない。
長く療養生活をしている者の苦悩が強く伝わってくる。
健一は、無理強いせずに英樹に食べる意欲を沸かせる。
その過程が素晴らしい!

著者はもしかして、長い療養生活の経験あり?

終盤は、泣ける。
哀しいけれど、よかったねという気持ちの方が大きい。

表紙の朝ごはんの写真が、読み終えてみると数段美味しそうに見える。



                         ★★★★★



発行年月:2011年4月


 「待っていたのですよ」
深く吸い込まれた息が、ほっとはき出されるように、
この小説は この物語は いまここに存在する。

                 (講談社HPより)



図書館棚で気になり、借りて来た本。

初めて読む作家さんかも。

主人公は、安倍アズサ。
短大を卒業したけれど、就職浪人中。
特技は、探し物を見つけること。
そんなアズサをバイトで採用したのが、山の上にある登天郵便局。
郵便局のメンバー。
赤井局長、青木、鬼塚、登天(ここの地主)。

アズサにある物を探して欲しいという。
(後でちゃんと見つかる)

そしてこの郵便局は、死んだ人と生きて居る人が利用出来る郵便局。
ここで功徳手帳を発行。

郵便局員たちも元は、ヒナゲシだったりカラスだったり。

それから、殺害後放火された島岡真理子。
怨霊となって、現世に留まっている。

登場人物たちが、多いけれど、混乱することはない。
ただ、時々、頭に映像を思い浮かべてしまうと結構、怖いかなぁ~?


話は面白くないわけじゃないけれど、なんだかゴチャゴチャしてたかな?
終盤、真理子が殺害された経緯がわかり、無念だったろうなぁ~と思った。
本人が犯人を知り少しスッキリしたようなので良かったけれど・・・。

郵便局の出来る前にあった神社に祀られていた狗山比売(いぬやまひめ)も
気の毒。

兎に角、話があれもこれもで真理子のこと、狗山比売のこと
それぞれをもっと深く知りたかったかなぁ~?

これシリーズっぽい?
他にも著者の「幻想・・・」っていうのが沢山あるけれど・・
まあ、これだけでもういいか?^^;


                          ★★★



発行年月:2015年5月(初刊:昭和55年)


お産が近づくと屏風を借りにくる村人たち、
両腕のない仏さまと人形――
奇習と宿業の中に生の暗闇を描いた表題作をはじめ七篇を収録。

                  (中央公論新社HPより)





以前読んだ、「洋子さんの本棚」で出てきた本。

興味を覚えたので、図書館で借りて読んでみました。


時代が少し前なのかな?
表題作を含む7編の物語は、どこかノスタルジックで、暗く重たい雰囲気を
漂わせるお話でした。
地方に伝わる風習だったり言い伝えだったり・・・。

表題作は一番はじめに登場。
みちのくで「旦那さま」と呼ばれているまだ30代くらいの青年と知り合った
主人公が彼の住む山深い家を訪問する話。
その青年の家に住むものは代々、旦那さまと言われていた。
そのわけは・・・

最初から、ちょっとゾクゾクと背中が寒くなるようなお話で、そんな雰囲気は
ほかの話でも感じました。


文章も読みやすく、他の作品も読んでみたいなと思えた。


                             ★★★



発行年月:2014年12月


 岡野藩領内で隣国との境にある峠の茶店。四十過ぎの寡黙な半平という亭主と、「峠の弁天様」と旅人から親しまれる志乃という三十半ばの女房が十年ほど前から開けている。ふたりは武家の出らしいが、詳しいことは誰も知らない。ある年の初夏、ふたりの静かな生活に事件が起こる。傑作時代小説

                    (双葉社HPより)



峠の茶屋を営む夫婦・半平と志乃。
二人の過去が気になりつつ途中までは読みました。

寡黙な半平と美人で物腰に品が漂う志乃。
二人は夫婦だが、そうなるまでの経緯が中盤に記され、ああ、そういうことだっのか。
と納得。

藩の派閥争いに巻き込まれて志乃は夫であった天野宮内の元から離れる。
まだ幼い一人娘・小春を残して・・・・
そんな志乃を助けたのが半平。

静かに茶屋を営んでいたけれど、やがて再び騒動に巻き込まれていく志乃と半平。

半平が格好いいのです。
葉室さんの作品には、必ず恰好いい男と美しい女が出てきて
途中困難があるけれど、最後はめでたしめでたしの結末になるという
のがお決まりなので、ハラハラドキドキはするけれど、安心して
途中のハラハラドキドキを楽しめます(^^)


最初は怖い存在だった盗賊夜狐のお仙が最後は自身を犠牲にしてまで
志乃たちを守ったのには、ジ~ンと来ました(/_;)。

今回も文句なしで楽しませていただきました!


                        ★★★★★
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