昭和40年代----。
小学3年生の僕らは、身の回りに起こる不思議な事件を解決する「ウルトラマリン隊」を結成した。やがて僕らの小学校に不思議な力を持つ少年リンダが転校してきた……。
ノスタルジックな雰囲気満載の連作長編小説。
(朝日新聞社出版HPより)
40代半ばを過ぎて振り返る小学生時代の出来事。
小学3年生で「ウルトラマリン隊」を結成。
当時モッチと呼ばれていた望月直人が、そのメンバ-だったエムイチ、ニシ、ム-坊、リンダ、ミハルとの思い出話を、転校生で謎の部分が多かった当時リンダと呼んでいた林田智樹に語りかける形式。
彼らの年代が、わたしの小学生時代と見事に合致しているので、出てくる言葉に、イチイチ懐かしさがこみ上げて来て楽しかった。
隊員で解決していった、猫探しや自転車探し、幽霊の正体を暴くあたりはワクワクした。
けれど。。。。
子どもの力ではどうしようも出来なかった辛い出来事もあって、その部分では、心が痛かった。
大人になったメンバ-の話も所々で語られ・・・
語り手のモッチは、小学4年生で転校してしまったリンダに会いたいと繰り返す。
少年時代の思い出部分を輝かしく感じるモッチの今は、もしかしたら充実した日々ではないのかな?
なんて、ちょっと深読みし過ぎかもしれないけど、途中から、なんだか切なくなってきた。
今、自分が彼らと過ごした同じくらいの時間を生きてきているからかな?
若い人が読めば、ただの幼い頃の思い出を懐かしく思い出している楽しいお話なんだろうけどね^^;
★★★
直木賞作家・朱川湊人、こよなく愛する「ウルトラマン」ワールドに挑む!
新たな歴史を刻む小説版『ウルトラマンメビウス』、堂々の完成!!
CREW GUYS研修隊員・ハルザキ カナタ。
夢は、ウルトラマンだろうが何だろうが、
すべての異星人を地球から追い出すこと。
若き地球防衛隊員を通して描く、
ウルトラマンメビウスの活躍と葛藤。
一級品のSF小説として描かれた、ファン必読の新たな「ウルトラマン」像!
(光文社HPより)
主人が図書館から借りて読んでいたので、わたしも読みました。
朱川さんが実際にウルトラマンメビウスの脚本を担当していた事実は知らなかったのでビックリ!
ウルトラマンシリ-ズは子どもの頃、弟は夢中で観ていましたが、わたしが見たのはウルトラマンやウルトラセブンくらいかな?
メビウスが放送されていたのは、2006年4月~2007年3月までだそうで、結構最近なんですね?
なので、ここに登場するGUYSのメンバ-の面々が実際にも登場する人物なのかもわかりません。
けれど・・・面白かった!
ウルトラマンは見ていていたので、本当はメビウスなのに人間の姿に変えて普段はGUYSのメンバ-として地球防衛にヒビノ隊員の働きは映像的に頭に浮かびました。
この物語の主人公はハルザキカナタ。研修隊員としてGUYSのメンバ-に加わる青年。
最初はほかの隊員の言動にやや違和感を抱いたり、いまひとつ溶け込めないのですが、研修を終える最後の方には、立派なメンバ-の一員になっている。
彼の成長の物語でもあったのかな?
いろいろな怪獣やら異星人が登場して地球の危機か!?とすぐ思っちゃうのですが・・・
幼い頃、見ていた怪獣=敵の考え方はちょっと改めなくてはいけないのかも?なんて思うお話が幾つか。
地球に接近した異星人たちにもちゃんと理由があったり人間と同じように相手を理解しょうとする優しさもあった。
<怪獣使いの遺産>の話は結構、ジ~ンと感動した。
メイツ星人・ビオとカナタ・・・・それぞれお互いが異星人なのに、何か通じるものがあって分かり合えた瞬間。
話し合うって大切なんだな。。。。なんて思った。
ウルトラマン世代の大人には懐かしい気持ちにさせてくれる物語。
活字で読むこういう話もいいな。
でも逆に見たこと無い、ウルトラマンメビウスが見たくなった!
DVDとかあるかな?
★★★★
短編の名手が贈る“世界一うつくしい物語”
美人だけど性格が悪い僕のおばさん。
でも彼女は、正真正銘の天使だった。
なぜなら、自分の命を分け与えることができたから-----
(文藝春秋HPより)
表題作を含む7つの短編集。
どの話も著者独特のノスタルジックな雰囲気の優しくて温かいお話でした。
時代は昭和40年代あたり?
わたし自身の子ども時代にもダブるので、懐かしさ倍増です。
物語の中に、自分も見ていたTV番組「巨泉・前武ゲバゲバ90分!」やら「フィンガ-5」が出てきたり・・・笑
朱川さんの話には、ちょっと不思議な話が多いのですが、今回も幾つか。
表題作の「あした咲く蕾」に出てくる叔母さんは、自分の命を少し相手に分けてあげられる能力を持っていた。
「雨つぶ通信」では人の心が読めてしまう子が居たり
でも全部の話に共通していたのは、人の優しい気遣いが切なくもあり、温かくもありひとつひとつのお話に感動しました。
最後の「花、散ったあと」なんて、もうなんていうか・・・・泣けました。
それは哀しいのか?嬉しいのか?
切ないほどに美し過ぎる優しい気持ち。
短編集って、暫くすると「どんな話だっけ?」と忘れちゃう事多いけど、
これは題名で思い出せるかも。
リストラ寸前の中年サラリ-マンは、ある日「今日が自分のサ-ビスデ-」なのだと知らされる。神様が世界中の人間に与えているサ-ビスデ-。
表題のほかは「東京しあわせクラブ」 「あおぞら怪談」 「気合入門」「蒼い岸辺にて」の5つのお話。
どれも面白かった。
何処かで読んだことあるような、聞いたことあるようなお話が多いけど、朱川さんの語り口がすきなので楽しく読みました。
表題作の「本日、サ-ビスデ-」では、冴えないサラリ-マンが主人公。
リストラ寸前のサ-ビスデ-の登場で、大逆転の予感。
でも、自分の願いが何でも叶う局面で、ふと考える。
リストラされない状況が果たしてベストなのか!?
苦しい状況や辛い状況でも、考え方を変えたら、違う明るい未来が開けることもあるということかな?
なかなか良いお話で、最初から爽やかな読後感。
「東京しあわせクラブ」は、ちょっと不可解なクラブの話で、少し不気味。
あまり関わりたくないわ~
これだけ、ちょっとほかの作品にはない、雰囲気でした。
「あおぞら怪談」は、題名のように、ちょっと爽やかな怪談話。
幽霊の女性を大事に接する大学生の優しさが良かった。
「気合入門」の主人公は、小学1年の男の子。
いつも自分をバカにしてるような3つ年上のお兄ちゃんに、なんとか認められようと、一人、ザリガニ釣りに奮闘する様子が可愛くて・・・。
そういえば、わたしが子どもの頃、男子はザリガニ釣りやっていたっけ。
うちの弟も大きめの空き缶に、いっぱいザリガニを入れて泥だらけで夕方、帰宅してきた昔を懐かしく思い出して、楽しかった。
最後の「蒼い岸辺にて」は、自殺してあの世に来た女性がそこの門番みたいな者と接するうちにもう一度、やり直したい!と思う話。
寿命まで生きないまま、自分の命を絶つと、その後、関わるはずだった人の将来まで変えてしまうことになるという話は、なるほど!と思いました。
生きていれば、いろいろあるけど、気持ちを常に前向きにして歩いていけたらいいな。
鈴音と和歌子、上条姉妹の前に現れた謎の女、御堂吹雪。
鈴音と同じ能力を悪用して他人の秘密を暴き、恐喝の種にしている。鈴音への憎しみに満ちたまなざしに秘められた理由とは?
大好評『わくらば日記』に続編登場!
(角川書店HPより)
『わくらば日記』は2005年の発行。
わたしも確か、その年に読んだと思います。
昭和の懐かしい時代を描いたような、なんともノスタルジックな雰囲気が好みでした!
そして、今回も不思議な力を持つ、鈴音と、その妹の活躍。
鈴音は、人や物の過去の思い出を見る力があり、前作でも、いろいろな事件解決にその力を発揮していました。
ただ、鈴音自身は、とてもおっとりした性格で、自ら進んでその力を使おうとは思っていないところも好感が持てました。
妹の和歌子(ワッコ)は、お転婆な感じで姉を時には庇ったり、姉の言い難い心中をズバリ代わりに言ったり・・・・そんな姉妹の絶妙なコンビネ-ションが今回にも活きていて楽しかった。
登場人物で気になる存在の薔薇姫(御堂吹雪)の登場で、今回は、この同じような力を持つ者同士の話かな?と思いきや・・・意外と出番が少ない薔薇姫。
やや肩透かしの感を否めないのですが、ま、先へのお楽しみということでしょう・・・^^;
薔薇姫以外の話もなかなか面白かったので、今回の追慕抄もわたし的には大満足。
昭和20年の東京大空襲や、昭和29年の青函連絡船沈没事故などを体験し、その後も心の傷を抱えて生きている人たちの話は切なかった。
それらの人の心を優しく思いやる鈴音の特殊能力の使い方は好き。
薔薇姫は、その点、ちょっと乱暴で、真実のみを伝えるだけの横暴さ。
この書の中では、2人の何やらありそうな因果の部分も明かされず、第3弾が待ち遠しい!
薔薇姫は、鈴音をすごく恨んでいる様子なのも、どうして?
それと、これは、和歌子が成人して、かなりの年になってから、昔を回想する形になっていますが、鈴音は若い時に亡くなったとも。
そのことも気になります。
兎に角、気になることだらけで、終わってしまって・・・・
また来週~と良いとこで終わるドラマみたい。
朱川さん!記憶が薄れないうちに、ぜひとも続きを早く書いてください!!(笑)
★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;