発行年月:2001年2月
医学生時代の友人に誘われた、海へ行ってみようか。心の病を得て以来、一人で電車 に乗るのは十年ぶりである。旧友の海辺の診療所で過ごす五日間の休暇。朝市の老婆 に亡き祖母の顔を見、崖下の洞窟でイワシを焼いて少女と語らう。
(文藝春秋HPより)
医者である著者の自伝的小説。
神経症うつ病の診断をされて、パニック障害の発作に怯えながらの生活。
想像出来ないがそれは、大変なことだと思う。
ある日、学生時代の友人・松山から自身の診療所兼住居に暫く来ないか?の
誘いの電話を貰い、海に近いという彼の元を訪ねる。
簡単に訪ねられるわけではなく、新幹線に1人で乗るという難題もクリアしなくては
ならない。
そして、なんとかパニック障害も起こさず、海辺の松山の診療所へ到着。
松山の娘(高校生)・千絵との場面が良かった。
千絵は賢い。人の気持ちを汲むことができる良い医師になれそう。
海辺の診療所で過ごした5日間、触れ合った人たちとの間に生まれた
温かい交流が、重たいものをこれからも抱えて生きて行くであろう
医師の癒しとなったかんじ。
医師の妻も明るいかんじ。
うつ病を持つ者には、病気にについて正しく理解し、
温かく見守る人が居ることが一番の薬でしょう。
そんなことを改めて勉強させてもらったような物語でした。
文章が美しく、内容的には重たいけれど、引きこまれて読みました。
ほかの作品も読んでみたいと思いました!
★★★★
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発行年月:2008年5月
あなたと一緒に眠りたい。でも、こんなに幸福なのだから、ひとりで眠るのもわるくない。
どこまでも凛とした、恋の形を描く長編小説
画家の彩夏を、優しく包む大貫。盲目の舞子を、さりげなく支える恭一。1枚の古い写真とマチスの画集が4人を出会わせた。2組の恋人たちの間に、はぐくまれる絆と優しい時間。
(講談社HPより)
2組のカップルの話。
彩夏(26歳)と大貫(41歳)。
高校からの同級生カップル、舞子と恭一(28歳)。
イタリアンレストランでそれぞれのカップルが食事していて、そこで出会う。
きっかけはマチスの画集。
そして恭一の顔が偶然、大貫が依然付き合っていた女性の顔に似ていた。
恭一と大貫の元恋人との接点は全くなかったのだけど・・・
最後に偶然の出会いがあって、このカップルの関係は変化するのか???
なんてちょっと不安が過りましたが、大丈夫で、ホッ。
それぞれのカップルが親交を深め、これからの事を考える良い刺激になっていく。
ああ、こういう付き合いが出来る知り合いカップルがいるといいなぁ~。
なんて羨ましい状況でした。
それぞれのカップルが一緒に暮らし始めたキッカケも偶然のようなもの。
暮らし始めた頃は、まだお互いを束縛してまで引き留めておこうとは思わない状況。
でも少しずつ、お互いが大事な存在になっていることに気づく。
盲目の舞子にも視力が戻れば、またそれはそれで楽しいことを共有できる時間が
増えそうだなぁ~とちょっとワクワクする終わり方なのも良かった!
★★★★
発行年月:2006年11月
「ママに秘密、作ってみない?」その言葉に、少女は頷いた――
女優・脚本家、さらには「BS週刊ブックレビュー」司会者としても幅広く活躍する著者の初小説作品。NHK出版ホームページ上で二〇〇五年十月~二〇〇六年八月まで連載され、大好評を博した『結婚写真』を単行本化。また、脚本家デビュー作を大幅に加筆して小説化した『納豆ウドン』も同時収載。
(NHK出版HPより)
先に読んだ『ティン・ホイッスル』がとても良かったので、デビュー作の『納豆うどん』
を一緒に収録した、本書を読んでみた次第。
う~ん、なかなか面白かった!
『結婚写真』は、母親と娘の関係を描いていて、『納豆うどん』では、両親と娘の関係を
描いていた。
いろいろな家庭環境があると思うけれど、そんななかで家族が信頼し合って
それぞれが一番の理解者で居られたら、最高だな~なんてことを読みながら思った。
最近では情報番組のコメンテーターとして活躍している姿を見ているけれど
女優としての彼女は、最近、あまり見ていないので、演じる姿も見てみたいな。
そして、また素敵な物語も読ませて欲しい。
才能豊かな方なんですね~と改めて思いました。
★★★★
発行年月:2013年1月
「選択」に迷う人へ――。芸能界を題材に描かれる、"再起"の物語
「初めてあの音を聞いた時、触れたことのない場所に触れられたようだった――」。情熱を失ったマネジャー、復活に賭ける女優と舞台に招かれる元女優。三人の「運と運命」をわけるものは? 入魂の長編小説!
(角川書店HPより)
芸能界というなかでの人間関係を描いていて、最初から興味深く読めた。
主人公の大崎藍子は、女優・河野みさきのマネージャー。
みさきは離婚後、やや人気低迷の女優。
気位が高く、扱いにくさは業界内では有名。
ほかには、みさきの付き人・今野。
彼女は元は女優志望だったが、女優としてはデビュー出来ず、芸能界で働くためならと
付き人をしている。頭の回転がよく、よく気が付き、付き人としての才能を
周りからは高く評価されている。
それから衣装・小道具係の野沢。
皆、目立たない仕事を懸命にこなし、ひとつの映画やドラマを作るのに
こんなに多く陰で働く人が居るんだ~と思った。
そして、ロケ先の田舎で藍子が見つけた、見た瞬間から気になった親子。
母親の片山愛とその娘・真菜。
愛は、元アイドルとして芸能界に居た経験を持つ。
現在は離婚して、幼い娘と二人暮らし。
愛の父親はアイルランド人。
アイルランドのティンホイッスルを真菜はいつも手にしていて
言葉を話すより、その笛を吹くことで感情を表現する。
登場人物たちの背景にあるものが、どんどんうまく繋がっていく。
巧いなぁ~話の進め方が!
あまり期待せずに読んだけれど、女優としてより作家としての才能がある方なんだと
思った。
テレビのコメンティターとしての活躍もされていて、話すことが
凄くしっかりしているなぁ~と思っていました。
ほかの書も読んでみたい!!
★★★★★
発行年月:2013年11月
あたしは猫であると同時に、音楽なの。
ねえ。あたしのメロディが聴こえる? 黒猫のクロエ、ゴールデンレトリバーのジュディ、 ドールハウス製作に打ちこむ栞、イラストレーターの優喜。 Cat Meets Dog そして、Girl Meets Boy── いま、奇跡のような物語が、生まれる。 「ついに会っちゃいましたね」栞が冗談めかした調子で言うと、 「そうですね」優喜はうなずいたあとで、数秒の後に、 「やっと会えた」まるで運命の恋人に囁くみたいな科白を、 おそろしく無造作でありながら、 それでいて、掛け値なしに優しい声で言った。(本文より) イノセンスは永遠だろうか。 ボリス・ヴィアンの『日々の泡』に捧げられた、 限りなく優しくて哀しい、どこか不思議な、GirlとBoy、猫と犬の物語。 |
ひょんなことから犬・ジュディのいる一軒家に住むことになった広瀬優喜(33歳)。
フリーランスのアーティスト。
一軒家を紹介してくれたのは、カフェを営む田中曜子。
一軒家の持ち主である家族とはそのうちの長女・日登美と友だち。
日登美たち家族は海外で暮らしていると聞くが・・・
そして、カフェの常連客の一人、遠山栞(31歳)は、黒猫のクロエと共にいつも居る。
クロエは元ストリートチルドレンだったらしい。
優喜とジュディ。栞とクロエ。
優喜も栞も失恋した相手への想いをちょこっと引きずっているかんじ。
人間同士の関わりと共に、ジュディとクロエの心理描写も描かれるのが
楽しかった。
犬とか猫って、こんな風に飼い主のことを、よ~く観察してるのかな?
人間の言葉で喋らないからわからないけれど、結構、深いところまで理解してたりして・・・。
今、犬とか猫を飼ってる人には楽しい物語でしょうね~。
ああ、また猫が飼いたくなってくる~(笑)。
しかし、ジュディは前の飼い主の日登美ちゃんのことを深く愛しているんだな~。
離れていてもこんな風に思ってくれていたら、日登美ちゃんも嬉しいだろうな。
再会できる日が来るといいな。
楽しい物語でした♪
★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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