発行年月:2015年10月
東京で挫折し、愛媛の実家で療養のような日々を過ごす・和樹。2020年のオリンピックが東京に発表されたとき、寡黙な祖父から糊付けされたままの一通の古い封筒を預かる。「これは……」。開くと中から古い写真と「私たちの約束をここに埋めました」と書かれた手紙が入っていた。
(キノブックスHPより)
主人公の藤川和樹は、信頼していたひとに裏切られ、仕事をなくし東京から実家のある
愛媛に戻る。
みかん農家を営む両親は日中は家にいない。
その為、祖父の面倒をみることになる。
祖父は78歳。
ある日、祖父が封筒を差出しそこには手紙と写真。
祖父の代わりに和樹は、再び東京に戻り、その手紙に書かれた5人を探し
約束を埋めた場所をみつけようと決める。
寡黙な祖父の過去が5人と順番に会ううちにわかってきた。
1964年の「東京オリンピック」開催が決まったときの、祖父と5人。
それから2020年開催予定の「東京オリンピック」。
タイムリーな物語でした。
和樹の行動のおかげで、祖父の新たな生きる活力も沸いてきた様子。
和樹自身も前向きに先に進む姿勢を見せた。
2020年の東京オリンピック、わたしも楽しみ♪
★★★★★
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発行年月:2015年12月
恋愛小説の名手が描く、すこし不思議な短編集。
普通じゃない私を、受け入れてくれるのは誰? 存在感を消してしまった少女。 瞬間移動の力を手に入れた引きこもり少年。 危険な発火能力を持つ、木造アパートの住人…… どこかおかしくて、ちょっぴり切ない 超能力者×恋物語 この世界で、たしかに生きていると信じたい――。 そこらへんに落ちている石ころのように人畜無害で、存在感のない人間、鈴木伊織。彼女がこんな存在に成長したのは、生きるためだった。鈴木伊織のことを認識できるのは、友人の春日部さやか、ひとりだけ。そんな不思議な力を持つ彼女は、春日部の話をきっかけに、上条先輩のことを知る。かっこいい先輩は、バスケ部で主力選手として大活躍。気になった鈴木伊織は“体質”を活かして、こっそり彼のストーキングを始めたが…… ――――――「私は存在が空気」より |
(祥伝社HPより)
乙一の別名での作品ですね。
わたしは、こちらの乙一が好みです(^^)
短編形式で、色々なちょっと人とは違う能力を持つ人たちを描いています。
最初の話<少年ジャンパー>が一番好きかな?
能力として、ちょっと持っていたら使えそう^m^
何処でもドアみたいなものですが、行ったことがある場所でないと瞬間移動できない
というのがネック。
でも、主人公のカケルは海外にも行った経験ありで行ける場所が多くて羨ましい。
表題作の<私は存在が空気>の伊織は、家庭内の問題から自分の存在を消す努力をして
獲得した空気のように存在を消す力を利用して、人を助ける。
キャラクターとして魅力的だったのは<フアイアスターター湯川さん>かな?
この力はちょっと厄介だけど、湯川さんは、いい。
アパート管理人の大学生との接点があった経緯はちょっと切なかったけど。
不思議な力を持つ人たちだけれど、皆、良き理解者に巡り会えたのは良かった!
誰にも気づかれずに暮らすのは疲れることだけど、理解者が居ると思えば
少しは気楽になれそう。
楽しい短編集でした(^^)
★★★★
発行年月:2015年6月
何があっても、生きるのよ。戦火や不条理に襲われたとしても。3.11以降の日本で書かずにいられなかった渾身の大長篇。
関東大震災後の横浜に生まれた異母姉妹の慧子と蒼。ミッションスクール、ジャズ、ダンスなどのヨコハマ文化を楽しみ、恋を知る二人。しかし戦争の暗雲が港町を覆い尽くす。3・11以降の日本で書かずにいられなかった、戦争と平和、生きることの歓びと哀しみ。
(新潮社HPより)
お嬢様育ちの慧子。
同じ父親を持ちながら妾の子として生まれた蒼。
二人が出会うのは、昭和10年、10歳のとき。
慧子の母は病気で亡くなる前、妹の存在を話し、仲良くできるといいねと言う。
蒼の母もまた慧子に対してお嬢様と呼びながらも家に来たら温かく迎える。
それぞれの母親がとても大らかな気持ちの優しい人であることにホッとする。
慧子の母が亡くなり、父親は、蒼の母を正妻にするのかと思いきや
若い多恵という女性を妻に迎え、慧子には弟2人と妹が出来る。
時代は戦争に突入する時代。
そして関東大震災。
誰もが生きることに必死な時代。
横浜という舞台がその時代、どんな様子だったのかもわかった。
やがて、慧子も蒼も恋をして・・・・・
しかし、戦争で辛い別れがあって・・・・
それでも二人はずっとそばにいて、支え合って生きたんだなぁ~。
蒼の子どもたちや、慧子の弟や妹たち、みんなが親戚関係を大事にその後も
生きて来た様子が終盤の現在の様子でわかり温かい気持ちになった。
読み応えあり面白かった!
★★★★
発行年月:2015年7月
『漢方小説』から10年。新たな舞台は病院のカフェ。人々にそっと寄り添う空間で、醸し出される温かさが通奏低音ように流れる傑作。
総合病院のロビーにあるカフェ。「ここのコーヒーはカラダにいい」と繰り返す男や白衣のコートを着る医師は常連客だ。土日だけこの店でアルバイトをする主婦の亮子は、鳴かず飛ばずだけれど小説も書いている。自然酵母のパン職人の夫との間には子どもができない。子どもは望むけれど、がむしゃらに治療する気にはなれない。不妊は病気なんだろうか。実家の親の面倒で他人の世話をし続ける朝子は、介護人生に疲れ切っている。ついに夫の孝昭も難病に見舞われた。不満も満足も口にしないでわだかまりをかかえた中年夫婦。
「院内カフェ」に集う、人生の困難が否応なくおしよせる、ふた組の中年夫婦のこころと身体と病をえがく長編小説。
(朝日新聞出版HPより)
最初は短編連作?と思わせる。
病院内ロビー横に併設されているカフェに集まる人たちの話を順に描いていく。
カフェ定員の相田亮子は週末だけバイトしている主婦。
作家でもあり、夫はパン職人。
亮子と共にバイトで働く村上くんも飄々としていていい感じ。
カフェの客は、病院に入院中だったり通院中だったり、ドクターだったり・・・。
病院に入院が決まった藤森孝昭と妻の朝子、夫婦の関係が最初はギクシャクしていて
どうなるの?と思っていたら、最後は仲良くカフェに来店する関係になって
ホッとした。
良い夫婦だな~。
亮子と夫の関係も素敵だった。
お互いの気持ちをちゃんと伝えることって大事だね。
難しいことだけど。。。
クリスマスプレゼントとして1万円で皆に奢ったのは誰だったんだろ?
菅谷医師(カフェではデジゲント)見かけと違って優しい人だったから
彼かな?
一風変わった青年・ウルメにカフェを教えたのも菅谷医師だったし・・・。
病気を抱えた人たちが、ホッと出来るカフェっていいな。
★★★
発行年月:2005年1月
薬も、癒しも効かない、あなたに贈る処方箋。
みのり31歳、独身。元カレが結婚すると知ったその日から、原因不明の体調不良になった。行き着いた先は漢方診療所。悪戦苦闘する女性をそこはかとないユーモアで描く、あなたのための処方箋。第28回すばる文学賞受賞作。
(集英社HPより)
表題の通り、漢方のお話満載。
主人公・みのりが医療機関を転々としながら、自分の症状をどれも「異常なし」と
片づけられてしまうことに絶望感を抱き、最後に随分、前に受診した漢方医の
ことを思い出し、その漢方診療所を訪ねることで症状が少しずつ
好転していくお話。
昔、受診したときの老医師は居なかったけれど、若い医師の診察を一度受け
信頼しようと思えたのは幸運だったなぁ~。
医者を信頼出来ないと、治療効果もうまく出ないってことはありそう。
みのりは、物書きの仕事をしているから、これって著者の実体験?
と思ってしまったけれど、実際どうなんだろ?
凄く詳しく漢方の話、東洋医学の物の考え方とか書かれていて
勉強にもなりました。
話のテンポも語り口調もよくて、読みやすい。
他の作品もまた読んでみたい。
★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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