忍び寄る殺意、
崩れ落ちる日常。
かつて暮らしていた街。
偶然、再会した同級生。
通り魔の被害者となった私。
私は何を見たのか、誰に見られていたのか……。
ヒット作『転落』の著者による、
「悪意」の連鎖が引き起こす長編サスペンス
(光文社HPより)
主人公の芳沢夏帆・32歳は、住宅地図の調査員をアルバイトでしている。
ある日、調査している街で小学校時代の同級生と再会。
後日、家に行く約束をし、向かう途中で、通り魔に遭遇し怪我を負う。
そして、その同一人物らしい犯人による殺人事件が起き、夏帆は警察から
事情聴取を再三受けることに。
事件の真相も気になりつつ、夏帆の周りで起きる日常にある出来事にも興味を覚えた。
同級生たちが噂する街のなかの変わり者の存在。
街のなかの情報通の女性。
夏帆の家族や親戚関係。
32歳独身の女性の心理もよく表現されていて、夏帆の心の声のようなものも面白かった。
事件の真相は、明かされてみたら、なるほど、そういう事でしたか!?というような
想像では思いつかなかったものでした。
そして表題の意味がわかりました。
読み終えて、本の表紙を見ると、なんとも不気味な表紙写真でゾッとしちゃいました^^;
★★★
物書きの「私」は、ひきこもりの弟、古道具屋の父とともに佐渡への旅に出る。目的は、祖父母の隣家に住む「おばちゃん」の骨を、郷里の墓に納骨すること。ところが、骨壷をユニクロの袋に入れて運ぶくらい儀礼にかまわぬ一族のこと、旅は最初から迷走気味で……。
表題作「佐渡の三人」に始まり、「戒名」「スリーナインで大往生」「旅人」と、一族の佐渡への「納骨」の旅を描く連作長編小説。
(講談社HPより)
物書きの「私」は、ひょっとすると著者自身なのかな?
フィクションとノンフィクションの融合か?と思わせる物語でした。
物語は4つだが・・・話は繋がっている。
「私」は女性・道子。道子は京都に住んでいる?
ひきこもりで祖父母宅でその介護をしながら暮らしている弟と、離れて暮らしている父(二人は東京在住?)とともに親戚のおばさんの納骨のため3人で佐渡へ行くのが最初の話。
弟も父親も個性的。
会話のひとつづつが結構、笑えます。
そんな3人が骨壷を抱えて佐渡へ。
弟なのに敬語で話す弟。
みな離れて暮らしていて、納骨のために久しぶりの再会というシチュエ-ションらしい。
納骨しに行くのに何処か旅気分。
実際に寺に着き、僧侶に会っての場面も可笑しい。
納骨料と戒名料は別に用意しなければいけなかった!と気づきあたふた。
お金はなんとかあるが、むき出しのままのお金じゃダメでしょ?と慌てて・・・
いちいち、コント劇みたいな可笑しさ。
そして、佐渡への旅はその後も親族が亡くなる度に同じように続く。
2番目に佐渡に行くのは、祖父が99歳の大往生で亡くなったあと。
この祖父は東大卒で医者だったとか。
道子の父は祖父の三男で古道具屋経営だけど、長男・ヨツオは言語学の大学教授で次男・ムツオは医学部教授らしい。
エリ-ト一家なのである。
が、全くそういうかんじじゃないのが良い。
3回目の佐渡は、祖母の納骨のためだけど、
そこで最初の話で亡くなった親戚のおばさんのご主人のお骨も一緒に納めるとかで、一族の多くが佐渡に集合。
ここでも祖父母と実際に暮らしていた弟が仕切る。
これは使えるひきこもりだな・・・・笑
登場人物も続々出てきて、フルネ-ムじゃないので、覚え難いけど、それでも
こんな風に一族が集まる風景って愉快。
場面は納骨だから、明るい集まりじゃないんだけど、ある程度の年を生きての最期なら
そんなに暗い雰囲気じゃなくてもいいと思うし・・・・
いつか自分もこんな風に納骨されるのかな?と明るく思う主人公もいい。
しかし、佐渡=拉致被害者・曾我ひとみさんという認識が自分にもあるけど
こんなに度々、そのことを登場させた意図はナンだろ?
大した意味はないのか??
★★★
鳥人間コンテストに青春をかける若者たちの爽快エンタテインメント小説!
きっと世界で一番、私は飛びたいと思っている。
大ロングセラー『100回泣くこと』の著者が贈る、“空飛ぶ”青春部活小説。
「鳥人間コンテスト」アナウンサー・羽鳥慎一氏大絶賛! の爽快ストーリー。
(角川書店HPより)
毎年夏の琵琶湖で開催の「鳥人間コンテスト」。
それに挑戦する工業大学の学生の物語。
パイロットに選ばれたのは、二人。
一人は昨年の大会でも飛んでわずか15Mで墜落。
号泣しながら救出された様子がテレビ画面に写された坂場先輩。
そしてもう一人は、女子の鳥山ゆきな。
一浪のすえ、機械工学科に入学の1年生。
ゆきなの訓練に付き合うのは、一学年上でも同年の高橋圭。
二人は段々、良い関係に・・・・・。
鳥人間コンテストって、こんな風に準備してる人たちが出場していたんだぁ~。
工学部の学生で参加するチ-ムは結構、いるんだろうなぁ~。
仲間と一つの目標に向かって取り組むって楽しいだろうなぁ~。
いいなぁ~こんな学生生活。
青春ってかんじで・・・・(^^)
最後は大会の場面。
飛んでる間にまさかの告白!?
でもウマくかわしたゆきなちゃん♪
爽やかで楽しい物語でした。
暫くこの大会みてないけど、来年は見てみよう!
★★★
書店員さん大注目作家・中田永一最新作!
長崎県五島列島のある中学合唱部が物語の舞台。合唱部顧問の松山先生は産休に入るため、中学時代の同級生で東京の音大に進んだ、元神童で自称ニートの美しすぎる臨時教員・柏木に、1年間の期限付きで合唱部の指導を依頼する。
それまでは、女子合唱部員しかいなかったが、美人の柏木先生に魅せられ、男子生徒が多数入部。ほどなくして練習にまじめに打ち込まない男子部員と女子部員の対立が激化する。夏のNコン(NHK全国学校音楽コンクール)県大会出場に向け、女子は、これまで通りの女子のみでのエントリーを強く望んだが、柏木先生は、男子との混声での出場を決めてしまう。
一方で、柏木先生は、Nコンの課題曲「手紙~拝啓 十五の君へ~」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を課していた。提出は義務づけていなかったこともあり、彼らの書いた手紙には、誰にもいえない、等身大の秘密が綴られていた----。
(小学館HPより)
爽やかな青春小説でした!
中田永一さんって乙一のもうひとつのペンネ-ムだったかな?
こういう路線の方がわたしは断然、好きだな。
NHK全国学校音楽コンク-ル(Nコン)目指して練習する中学の合唱部のはなし。
五島列島という特異な場所設定もよかった。
合唱部顧問だった松山先生は産休に入るために、音楽教師の柏木先生が東京から赴任。
そして合唱部顧問になる。
美人の先生目当てに入部する男子たち。
そんななか、先生目当てではなく、ひょんなことから入部してしまう桑原サトル。
サトルは、いつもひとり、彼曰く、ぼっち街道を爆走中だったとか。
サトルが入部をキッカケにどんどん変わっていく様子がよかった。
ほかの部員たちのエピソ-ドもそれぞれ、成り行きが気になりつつ読んだ。
家族に重たいものを抱えて居る者あり、恋に悩む者あり。
合唱という共同作業のなかで生まれる人間関係。
いいなぁ~青春ってかんじ。
Nコンの課題曲「手紙」。
アンジャラアキが歌っていたから、歌詞もメロディも知っている。
その課題曲を理解しながら歌うために、15年後の自分に宛てて手紙を書く部員たち。
彼らの手紙もよかった。
本音のことばが綴られていた。
サトルの手紙にはちょっとウルウル。
最後、Nコン長崎県大会の場面にも再びウルウル。
大人でも彼らと同年代の子達でも楽しめる作品だと思う。
乙一さん、中田永一としての書もまたお願いします。
★★★★★
某出版社とのお歳暮を巡る「闘争の記録」、大江健三郎先生とスパークするディスコミュニケーション、そして「人力発電」提案まで、世界がユラユラ反転し始める待望の最新エッセイ集。
(平凡社HPより)
最初から最後まで、笑える。
著者本人が日常で、あれこれ考えることが可笑しい。
中には、共感するのも結構あるけど・・・そんな風に普通思わないでしょ?みたいなのもあって読みながら、ツッコミを入れたくなる。
最初の「蕃爽麗茶」から面白かったなぁ~。
こんな商品名を出しながら、はっきり不味いと言っちゃってる勇気が凄いな、この人と先ずは驚いた!
そして更にお歳暮に贈られたそのお茶を「不味いから要らない」とハッキリ言っちゃうのも凄い。
ま、結構、気を遣いながら断っているのだけれど・・・・
相手側が謝りながら、承知するのに、その後も贈り続けるというのも妙で、その度にガックリする著者の様子が可笑しい。
蕃爽麗茶・・・飲んだことないけど、逆に飲んでみたくなった(笑)
最初からこんなに面白い話で、このまま面白さは持続するのか?と思って次を読むと・・・・
またまた笑える。
もう全部可笑しい!
どこから読んでも笑える。
そして、最後にある補足みたいな話では、写真を載せてくれていたり・・・
スヌ-ピ-好きなわたしとしては
「世界的に有名なビ-グル権のニセモノコレクション」が一番気になった。
文中には、写真がなかったので、
どんなの?見たいよぉ~!と思ったら・・・巻末の「補遺」に、そのニセモノコレクションの写真が載っていてひとり歓喜した!(笑)
ニセモノでも結構、可愛い♪
わたしもコレクションしたいくらいだ!
この著者の作品は、数冊しか読んでないけど、
芥川賞を受賞していたのは、知らなかった^^;
その受賞作品「猛スピ-ドで母は」が気になるので、近いうち読んでみよう!
表題からして気になる!
★★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;