美人ベストセラー作家は、なぜ突然絶筆したのか?
突然筆を折ったベストセラー作家・咲良怜花。
執筆復活を願う編集者に対し怜花が告白した衝撃の物語。
甘美で残酷な究極のラブストーリー
(文藝春秋HPより)
かなり厚い本(560頁)ですが、一気読みでした!
入社3年目の編集者・渡部敏明が、8年前に絶筆宣言をしたままの作家・咲良怜花に連絡をとり、個人的にもずっと気になっていた「なぜ、絶筆宣言をしたのか?」を問う。
そして、始まる怜花(本名は後藤和子)の過去の話。
驚くほどの美貌を備えた作家という評判どおり、57歳になった咲良怜花は美しかった。
しかしその美貌にも隠された秘密があった。
和子が自らが語る過去の物語がこの本の殆ど。
ひとりの女性の一途な恋愛話と言ってしまえば何処にでもあるような話だけど、作家として成功したのもその恋愛があったから。
作家という仕事は、やはり私生活で経験したことが大きく関わるんだろうな・・・・。
和子が一途な想いを寄せる男性・木之内徹は、優しいけれど、それは誰に対してもであり何だか嫌なかんじ。
ほかにも和子のことを想ってくれた男性は居たのに、ずっと想い続けている健気さが哀しい。
本人はそれで十分幸せだったのかもしれないけど。
若い編集者になぜ、自分がずっと秘めて来た思い出の一全てを語ったのか?
疑問だったけど、最後に、そういうことだったのか?と思うことが出て来る。
そして最後のエピロ-グが衝撃的。
特に感動するとかの要素はなかったけど、なかなか面白かった!
今までの作品とは、ちょっと違った路線だけど、こういうのもいいな。
★★★★
冤罪で人生の全てを失った男は、復讐の荒野へ踏み出した。貫井ミステリーの新たなる頂点。
身に覚えのない殺人の罪で、職場も家族も日常も失った男は、復讐を決意した。刑事、検事、弁護士----。七年前、無自覚に冤罪を作り出した者たちが次々に殺されていく。だが男の行方は杳として知れず、宙に消えたかのように犯行現場から逃れる。彼が求めたものは何か。次の標的は誰か。あまりに悲しく予想外の結末とは。
(新潮社HPより)
読み応えある物語。
そして、いろんなことを考えさせられました。
冤罪が生まれる過程のようなものも描かれ、怖い!と思った。
自白を迫られて、やってもいない殺人を認めてしまう。
そんなこと何で認めちゃうの!?と今まで免罪事件が報道されるたびに思ったりしたけど
こうして読むと、認めざるを得ない状況にこうまで追い込まれると誰でも、早く辛い取調べから逃れたい心理が働き、認めてしまうのも仕方ないかもと思った。
免罪により懲役6年の刑を終え、社会に戻った主人公の江木雅史。
彼は自分を追い詰めた人たちへ復讐することでしか、生きている意味を見いだせなくなっていた。
そして、裁判に関わった
刑事、検事、弁護士、裁判官、目撃者が狙われていく。
一番、許せないのは、最初の刑事だ!
自らの手柄を優先して、執拗に目をつけた江木を追い詰めていく。
そして、目撃者に対しても江木を犯人と認めさせる供述を誘導していく様は本当に、恐ろしいとしかいえない。
こんな強引な捜査はあってはならない!
実際の事件の場でこんなことが起きないよう祈りたい。
犯人に仕立てられてしまった江木のことを最後まで信じた母親には共感するものが多く泣けた。
最後まで息子を信じたゆえに起した行動にも驚いたけど、その気持ちはよくわかる。
兎に角、辛い話でしたが印象に強く残る話でした。
日本で新たに高校生活を始めた帰国子女の栄美(エイミー)。
淡いときめきも別れの痛みも、
いつかは青春の思い出になるはずだった。
だが後に知ったのは……
貫井徳郎が青春小説に仕掛けた「驚き」とは!?
(集英社HPより)
3部作構成の物語。
最初の話「In the hight school」では、日本人の両親を持つ栄実(通称エイミ-)がアメリカから日本に両親と共に引っ越し、日本の高校の3年生として生活をする話。
クラスメイトともすぐ慣れ、楽しい高校生活を送る。
仲良しの女友達も出来たし、スポ-ツ万能、成績優秀の飛鳥部くんとも親しくなったけど、ちょっと気がかりは、クラスに馴染まず、いつも一人でいる小金井くんのこと。
友人の菜都美に「どうして?」と問うと、彼の父親が犯罪者で、関わりたくないから・・・とか。
そんな理由で彼を差別することに疑問を感じる栄美は、自分だけは差別しないよう接する。
皆から好かれている飛鳥部くんが急接近してダブルデ-トをする栄美。
二人だけで今度は会おうと言われるが、デ-トの日になると何故か、邪魔が入る。
そして、ある日、急に飛鳥部くんとの関係はギクシャクし、そのまま自然消滅。
そして、次の話「At Roppongi」
舞台は六本木。
最初の話と共通する人物は、居ない様子なので、全く別の話?とやや凹む。
アンディという黒人とアメリカに憧れる日本人青年の物語。
で、最後の「In the university」
ここで、最初の主人公・栄美が大学生になって登場する。
そして、二番目の話で登場の日本人青年と栄美が出会い・・・
二番目の話は、最初の話と三番目の話に繋がってるんだ!と気づく。
そういうことだったんだ!!と驚くことがあれこれ。
最後まで読むと、その前の話で読みながら疑問に感じたことが、全て解消されていくかんじ。
なかなか面白かった。
ちょっと最後は切ない気持ちにもなったけど・・・。
明るく終わってるから、読後感は爽やかで良いな♪
幼い命の死。報われぬ悲しみ。
遺された家族はただ慟哭するしかないのか?
良識派の主婦、怠慢な医師、深夜外来の常習者、無気力な公務員、尊大な定年退職者。
複雑に絡み合うエゴイズムの果て、
悲劇は起こった・・・・・・
(本の帯文より)
複数の人のそれぞれの日常が交互に書かれます。
普通の暮らしのなかで、ちょっとしたル-ル違反。
家庭ごみを出先のサ-ビスエリアに捨てたり、暇つぶし半分で道路拡幅工事に伴う街路樹伐採に反対のクレ-ムをつけたり、退職後の虚しさを埋めるため、犬を飼い、その散歩に出かけることに充実感を得るが糞の始末はしなかったり、虚弱体質ゆえ、頻繁に風邪をひくが、混みあう昼間の診察へは行かず、空いている夜間救急外来を利用したり・・・・・・などなど。
ここに出て来る事は、わたしはやってない!と半ば呆れながら読んでいましたが
その小さなル-ル違反が、少しずつ繋がって、一人の幼い命が犠牲になってしまって・・・
なんともやり切れない気持ちになりました。
誰が一番、悪いのか?
簡単には言えない状況で、幼い命が犠牲になったことには、皆、胸を痛めるが自分は悪くないと言い張る人たち。
命を落とした子の父親がル-ル違反者たちを新聞記者という職業柄もあってか、調べて追い詰める。
気持ちとしては、わかるけど・・・・ちょっとその行為は引いちゃいました。怖いです。
そのなかで、医師が夜間診察の常連者の名前を言ってしまうのにはビックリしましたが(笑)
普通、こういう事は医師や看護師なら言いませんからね^^;
一人一人にル-ル違反を責めていきながら・・・・最後にふと気づくこと。
切ないけど気づいてよかった。
後味は、あまりよくない話ではありますが、なかなか考えさせられるものでした。
わたしも何か知らずに人の迷惑になってる行為してないかしら?と不安になりました。
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;