発行年月:2015年9月
超巨大台風が接近、封鎖された空港。
別室に集められた11人の中に、テロ首謀者がいるという――。
閉鎖空間で推理合戦が繰り広げられる恩田ミステリー、一気読み必至!
(中央公論新社HPより)
巨大台風、テロリストと最初から物騒な展開を予測させる言葉。
そして、入国監査を待つ人たち。
そこに並ぶまでに数人の人物の様子が描かれて・・・・
彼らが物語をどう進めるんだろ?とワクワク。
そして、入国監査の際、別室に誘導される彼ら。
身に覚えがない彼ら。何がいけないんだろ??と不安に思いながら・・・
ひとり、入国監査ではOKだったのに、不運にも別室行きになった者あり。
別室に集められたのは男女+男の子で10人。
・小津康久・・・エンジニア
・大島凪人・・・大手出版社勤務、離婚歴ありの40代
・岡本喜良・・・デザイナー
・成瀬幹柾・・・甥の結婚式のスピーチが待っている
・三隅渓・・・海外で働く医師、ガラガラ声
・伊丹十時(トトキ)・・・天文学者
・母と子(聖斗)・・・キヨトは触れた相手がその時、イメージしているものがみえる。
・中年男性・・・人材派遣会社勤務(?)
・中年女性・・・お嬢様育ちで言葉遣いが丁寧
ベンジャミン・リー・スコット・・・アメリカから亡命しようとして日本へ。
匿名で激しい人種差別や悪意に満ちた攻撃を繰り返すものを告発した。
そのなかにはアメリカの上院議員や最高裁判官など世間では「高潔な人格」と
されてきた人々の隠された凄まじい差別意識が暴露される。
スコットの行為は「プライバシーの著しい侵害」であるという弾劾の声が上がり
「国家機密の漏洩」が罪状となってお尋ね者に。
スコットと伊丹十時がイギリスの学校で親友だった。
別室の10人をお世話するのは、キャスリン。
人間にしか見えないけれど、ロボット。
人が沢山出てきて、最初はやや混乱しましたが、途中から慣れて
10人の中にテロリストがいるのか?いるとしたら誰?ということよりも
彼らの会話が楽しくて不思議なかんじ。
キャスリンも結構、愛嬌あるし。
タイトルの「消滅」の意味も最後にわかりましたが、
消滅したら確かにいいかも。
耳栓とデンタルフロスわたしも買いに行っちゃう(笑)。
頁数は500超えですが、楽しく読み終えることが出来ました。
恩田さんらしさも十分あったと思います♪
★★★★
発行年月:2015年5月
外資製薬会社に身を置く凄腕ウイルスハンター・神原恵弥。ある博士の捜索を依頼されてT共和国にやってきたが、博士は殺されてしまう。一方、この国では全身を黒い苔で覆われて死んだ人間がいるらしい。ビジネスで滞在中のかつての恋人・橘は不穏な行動を見せる。恵弥が想像だにしない、これらの背景に存在するものとは――?
(双葉社HPより)
これシリーズ物だったんだぁ~!と
巻末にあった本の紹介で知った!
第一作は「MAZE」 二作目は「クレオパトラの夢」だとか。
でも、これ1冊でも楽しめました。
殺人事件とか起きて、いろいろな謎もどんどん膨らむんだけど
結局、あることを隠すために仕組まれたことだったんだね~。
主人公の神原恵弥の男性なのに女言葉を使うっていうのが最初から凄く興味深くて、
その元恋人・橘浩文やら、同じく高校からの友・時枝満という3人の独身男の
絡みがまた不思議なかんじで妙に楽しかった。
内容は結構、重厚なかんじの医療系ミステリーなんだけど
登場人物たちのキャラが魅力的で、謎の真相を追うよりも彼らの会話を
最後まで楽しんじゃったかんじ。
舞台がトルコのイスタンブールだったりするのも
何かエキゾチックな雰囲気でミステリー色を煽ってたかんじ。
こういう背景の設定はサスガだなぁ~。
ミステリーとしては???だったけど、そのほかの部分で楽しんで読めたから
満足(^^)
前2作品も読んでみたいな。
★★★
発行年月:2015年3月
『六番目の小夜子』『夜のピクニック』『ユージニア』『中庭の出来事』『夢違』……
ジャンルを越境していく、恩田ワールドの真骨頂!!
待望の最新長編小説。
東日本大震災を経て、東京五輪へ。少しずつ変貌していく「東京」――。
その東京を舞台にした戯曲「エピタフ東京」を書きあぐねている“筆者K”は、ある日、自らを吸血鬼だと名乗る謎の人物・吉屋と出会う。吉屋は、筆者に「東京の秘密を探るための鍵は、死者です」と囁きかけるのだが……。
将門の首塚、天皇陵……東京の死者の痕跡をたどる筆者の日常が描かれる「piece」。
序々に完成に向かう戯曲の内容が明かされる作中作「エピタフ東京」。
吉屋の視点から語られる「drawing」。
三つの物語がたどり着く、その先にあるものとは――。
(朝日新聞出版HPより)
恩田さんらしい1冊!
主人公は筆者K。
東京のあちらこちらを散策しながら、ふと不思議に思う光景など解説。
東京在住の人なら、「ああ、あそこね」と分かるでしょうが・・・・
わたしには、そういう理解はなく・・・でも写真たイラストがあるので
「へ~おもしろい」と思ったり・・・。
筆者Kが、とある場所で知り合いになった吉屋。
よくわからない謎の人物なのだけど、筆者Kとの会話がユニーク。
ちょっとエッセイ風の筆者Kの日常を軸に、筆者Kが手掛ける戯曲
「エピタフ東京」もなかなか面白かった。
文中にもあったけど、桐野夏生さんの「OUT」を連想させるような話。
吉屋が語るこちらも作中作の「drawing」も楽しめて、1冊でいろいろな
仕掛けを味わえる贅沢な本でした♪
原発のことも終盤、描かれてゴジラまで登場!
読むまで変わった表題だと思ったけれど・・・
「エピフタ」って墓碑銘のことだったんですね~。
東京の墓碑銘が「幸せに暮らしました」となったらいいんだけれど・・・・。
★★★★
発行年月:2013年12月
構想10年! “ハイパー・ゴシック・エンターテインメント”堂々完成!
大和文化を信奉する「ミヤコ民」と物質文明に傾倒する「帝国主義者」に二分された近未来の日本。そのミヤコで美青年剣士の紫風が臨む生徒会長選挙で妨害工作が続発。それは第三の勢力「伝道者」の宣戦布告だった!
(角川書店HPより)
冒頭読んだとき、時代物?と思いましたが・・・
これは近未来だったんですね~。
日本は2つに分かれている。
主人公たちは、「ミヤコ民」。
そこで行われる生徒会選挙が大きな意味をもつ。
なぜならそこの生徒会長は、自治大臣と教育省の高官も兼ねるミヤコの権力者の
ひとりだから。
現生徒会長は、春日紫風。
春日家は、ミヤコの中では由緒ある家系。
春日蘇芳と春日萌黄は、紫風の従妹に当たる
いずれも剣の達人。
選挙の候補者は、紫風のほかに2人。
及川道博と長渕省吾。
及川道博は、派手目なスター。
蘇芳と婚約関係?
登場人物たちのキャラクターがしっかりしていて、すぐにイメージが
頭に残るかんじ。
なので、登場人物が多くても混乱せずに読み進められた。
美男美女ばかり。
そんななかでの権力争いの話?
と思ったら・・・・あらら・・・最後はビックリ!
なるほど・・・そういうことでしたかぁ~。
結末の〆はやや脱力でしたが、そこまでの話が面白かったので、こういう話も
いいか?と思った。
しかし、及川光博とか長渕省吾とか、完全に遊んでるぅ~。
こういう遊び心は嫌いじゃないのでOKです^m^
これ、漫画とかアニメ化したら面白そうだな。
★★★★
恩田ワールド全開のスペクタクル巨編!
国家権力の及ばぬ〈途鎖国〉。
特殊能力を持つ在色者たちがこの地の山深く集うとき、
創造と破壊、歓喜と惨劇の幕が切って落とされる。
(文藝春秋HPより)
上巻に引き続き、一気読みでした!
途鎖国の山のなかに、潜む指名手配犯であり元夫でもある神山倖秀を見つけるために潜入する
有元実邦(警部補)とその部下・善法
そして、実邦に過去に目を潰され、雙眼となった葛城も実邦が山に入ったことをしり追いかける。
葛城が実邦を追っていることを知り、実邦の幼馴染でもある黒塚と軍勇司も山に入る。
他にも自称ジャーナリストであり、水晶を求めて山に入った青柳淳一。
不思議な力を持つ面々が得体の知れない力が潜む山の奥深くに集合する。
何が起きるのだろう?ハラハラドキドキ・・・・。
そして子どもなのに恐ろしい力で簡単に人や動物を殺してしまう少年の存在も不気味でした。
鹿ボ-ル・・・・怖すぎる~(;O;)
いろいろ知れたことも下巻では多かった。
神山倖秀は、子どものとき自分の父親・神山博士の実験台にされた
そのとき、一緒にいた子どもは、葛城晃と青柳淳一。
山で出会った老人の話。
先祖代々、水晶を発掘する仕事をしていた。
神山と娘の間に生まれた孫にある日、水晶の谷を見せてあげたら、その直後から様子が変わってしまった。
終盤、実邦がいよいよ神山を見つける!と思ったら・・・・
神山の姿を先に見つけたのは、葛城と青柳淳一のふたり。
そして実邦と善法もその場に来て・・・・
終盤は何が何やらわからないくらいドタバタ
神山は息子を呼び寄せたかったのかなぁ~?
最後、少年がお父さんと一緒になれて喜んでいるようなことばが、ちょっとホッとした。
でも、わからないことだらけだなぁ~。
実邦と敵対関係にあった葛城の関係がアッと言う間に大激変したのにはビックリ!
敵対しながらも一番、気にかけていた存在だったのか?
謎が残るんだけど、ま、面白かったからいいや。
恩田さんらしい世界を堪能させてもらったので満足(^^)
★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;