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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年8月

白いワンピースに、麦わら帽子。
廃ビルに現れる都市伝説の“少女”とは?
古道具店を営む兄と、ときおり古い物に秘められた“記憶”が見える弟。
ある日、ふたりはビルの解体現場で目撃された少女の噂を耳にする。
再開発予定の地方都市を舞台にした、ファンタジックミステリー。

                 (集英社HPより)



ホラーの要素もミステリーの要素も十分にあるのに、なぜか清々しい。
古道具屋を営む兄の太郎とその手伝いをする弟・散太の日常が
いいかんじの緩さだからかな?


二人の苗字が変わっている。最初読み方間違っていて途中で調べた(^^ゞ

「纐纈」(こうけち)って読むんだ~。「こう」はなんとなく読めたけど
そうか!「纐纈染め」ってあるもんね。

そしてまた途中から登場する「醍醐覇南子」さん。「だいごはなこ」さん。

なんと兄弟の母親の旧姓だったそうで、醍醐から結婚して纐纈って、普通ないよね~。
と一人にんまり。


二人の両親はともに建築家で、仕事の帰りに二人で交通事故に遇い、亡くなっている。
二人は、1930年竣工の阿久津ホテルが解体されそのなかに使われていたタイルを
使った建築物を探していたらしい。

弟の散太には、時々、触れたものから過去の情景がみえる不思議な能力があり
ホテル由来のタイルに触れると、強烈な熱を感じ、色々なものが見える。


物語のなかにでてくる「スキマワラシ」は、兄弟だけがそう呼んでいる
解体される建物に現れる謎の少女。
麦わら帽子に白い夏のワンピースの姿はいつもおなじ。
兄弟も別々のところで少女に遭遇していて、「ハナちゃん」を探している様子。
ハナちゃん=ダイゴハナコ?

弟の過去を見られる能力で、散太は、まだ自分が生まれる前の両親に遇う。
その時の場面が、なんともいえない。
こんな風に会えたら嬉しいな。

自分の名前がなぜ「散太」なんだ?という疑問も、え?そういうこと?
と笑ってしまったけど。



全体を通じてのなんだか、ふわふわと夢のなかの話のようなかんじが心地いい。

結局、スキマワラシと呼ばれた少女は誰だったんだ?
なぜ、解体現場に現れていたのか?
ダイゴハナコとの関係は???
両親はなぜ、ホテル由来のタイルを探していた?



謎は謎のまま終わる。
でも、ま、いいか。

この不思議な物語を楽しめたから。


                       ★★★
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発行年月:2019年11月

とある立てこもり事件の証言をたどるうちに、驚愕の真相が明らかになって……(「ありふれた事件」)。幼なじみのバレエダンサーとの再会を通じて〈才能〉の美しさと残酷さを流麗な筆致で描く「春の祭典」、ある都市伝説を元に、世界の“裂け目”を描出させた表題作ほか、小説の粋を全て詰め込んだ珠玉の一冊

                      (新潮社HPより)




短編集18編。
どれもそれぞれ面白かった。

ちょっと怖いのもあったけれど、夜、寝る前に読んでもまあ平気なくらい(^^ゞ

あとがきで、恩田さんの短編ひとつひとつに解説があって、それを読むと
作品をより楽した。

ちょっと怖かったのは
<球根>案内係の注意をつい忘れて敷地いっぱいにチューリップの球根が植えられた
場所に足を踏み入れてしまう訪問者・・・・その後、どうなったんだろ?

<風鈴>祖父の家にあった風鈴が怖かったという話。
風もないのに何故か鳴る風鈴・・・何が通った?想像して怖くなる。子どもの頃
似たような体験があるので、思わず「!?」となった。


可笑しかったのは
<楽譜を売る男>静かに座ってただ楽譜を売っている男をみて、あれこれ男のことを
妄想する。
最後、男のことが少しわかる情報があって、妄想は見事にハズレ。
人間観察って、面白いよね~^m^

<柊と太陽>もなかなか。
冬至祭の夜、家に侵入してくる白い袋を背負った老人。
「悪面 悪面(あーめん あーめん) 悪い子はいねかーっ」
12月25日はきよひこの誕生日。
警備にあたっている者が交代するときの挨拶は 
「滅理、来衆益し (めり くるしゅまし)」

なんじゃこりゃ???でも可笑しい


表題作は一番最後<歩道橋シネマ>
なんのことだろうと思ったら、歩道橋の橋がつくる四角い空間が
まるでシネマのスクリーンのようということ。
気づく人だけが見える、そこからのシネマ。
そのスクリーンの中で大事にしていた記憶に出会える。
なんだか素敵。


色々な雰囲気の短編、じゅぶんに楽しみました!


                      ★★★★



発行年月:2019年10月

大好きな仲間たちの、知らなかった秘密。
入賞者ツアーのはざまで亜夜とマサルとなぜか塵が二人のピアノ恩師・綿貫先生の墓参りをする「祝祭と掃苔」。
芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員ナサニエルと三枝子の若き日の衝撃的な出会いとその後を描いた「獅子と芍薬」。
作曲家・菱沼忠明が課題曲「春と修羅」を作るきっかけとなった忘れ得ぬ一人の教え子の追憶「袈裟と鞦韆」。
ジュリアード音楽院に留学したマサルの意外な一面「竪琴と葦笛」。
楽器選びに悩むヴィオラ奏者・奏に天啓を伝える「鈴蘭と階段」。
ピアノの巨匠ホフマンが幼い塵と初めて出会った永遠のような瞬間「伝説と予感」。
全6編。

                      (幻冬舎HPより)



「蜜蜂と遠雷」の映画を見ているので、読んでいると俳優さんの顔が浮かんでしまう。
でも、それも楽しかった♪

ピアノを通じて知り合った若者たちの、それぞれの物語。
彼らが今後、どうやって音楽を奏でていくのか、また読みたいなぁ~。


でも、一番、感動したのは「春と修羅」を作曲した菱沼の物語だった。
教え子の小山内との物語。
作曲という新しいものを生み出すって作業って大変なことなだろうな。
教え子の思いをしっかり受け取めたから出来た曲だったんだな~。
それがわかったことが一番、嬉しかった!
「春と修羅」、また聴きたいな。


                        ★★★★
 

発行年月:2007年7月


一組の男女が迎えた最後の夜。
明らかにされなければならない、ある男の死。そ
れはすべて、あの旅から始まった――。
運命と記憶、愛と葛藤が絡み合う、恩田陸の新たな世界

                (発行:中央公論新社)




奇妙なミステリー。

高橋千浩と藤本千秋。
2人は双生児。アパートの部屋で二人の語りが始まる。

3歳までは一緒に暮らし、その後、千秋は他所に貰われて行き別々に
過ごしたけれど、大学進学後、同じ大学でサークルも一緒だったことで再会。


2人は、一緒に山登りをする。登山ガイドの父親と共に・・・
しかし、父親はその最中、転落死してしまう。

お互いを犯人だと疑っていたと告白し合い、二人とも明確な殺意はなかっと
言いながら、転落死の原因を作ったかもしれないと。


話しながら色々な憶測を交換し、会話から疑問が生じ、新たな真実が判明。
えええ?2人は、いとこ同士だった???


結局、父親の死の真相は分からず仕舞いなのだけど、二人の心理描写が
巧みに表現されて読んでいて飽きない。

結構、前の作品なのに、やはり恩田作品は面白いなと思った。


                    

                      ★★★★




発行年月:2016年12月


夏流城(かなしろ)での林間学校に初めて参加する光彦(てるひこ)。毎年子どもたちが城に行かされる理由を知ってはいたが、「大人は真実を隠しているのではないか」という疑惑を拭えずにいた。ともに城を訪れたのは、二年ぶりに再会した幼馴染みの卓也(たくや)、大柄でおっとりと話す耕介(こうすけ)、唯一、かつて城を訪れたことがある勝ち気な幸正(ゆきまさ)だ。到着した彼らを迎えたのは、カウンターに並んだ、首から折られた四つのひまわりの花だった。少年たちの人数と同じ数――不穏な空気が漂うなか、三回鐘が鳴るのを聞きお地蔵様のもとへ向かった光彦は、茂みの奥に鎌を持って立つ誰かの影を目撃する。閉ざされた城で、互いに疑心暗鬼をつのらせる卑劣な事件が続き……? 彼らは夏の城から無事に帰還できるのか。短くせつない「夏」が終わる

                      (講談社HPより)




「七月に流れる花」を先に読んで、謎に思って居た部分がこちらで

結構明かされていた。

「七月・・・・・」は、女の子たちの話で、こちらは、男の子たち。

夏流城のホテルに宿泊を招待された四人の男の子たち。

卓也、光彦、耕介、幸正。

幸正は、今回二回目。

共通して登場は、佐藤蘇芳(すおう)。
光彦と親友という関係。

女の子と男の子は、別れて宿泊しているけれど、時々、会って情報交換。


それから、謎多き緑男。

でも、その緑男の謎が明かされる。

これはホラーだ。
緑男の命の引き継ぎ方が別の表現だったら良かったんだけどなぁ~^^;

挿絵が綺麗だから、怪しく美しい話みたいにも思えるけれど挿絵に救われている。




                           ★★★


 
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