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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2001年7月 (単行本は1997年7月)

その本はたった一人にだけ、たった一晩だけしか他人に貸してはなりません。
かつて一度でも、むさぼるように本を読む幸せを味わったことのある人に。

第一章 待っている人々
第二章 出雲夜想曲
第三章 虹と雲と鳥と
第四章 回転木馬

                  (講談社HPより)





それぞれの章は独立した話だけど、共通しているのは

一冊の本「三月が深き紅の淵を」という作者不明の本。
ごく限られたものだけが所有していて、作者が決めた掟を守らければ
ならないという。


第一章は、とあるお茶会に招かれた若手社員の鮫島巧一。
招かれた屋敷に隠されているであろう1冊の本「三月は深き紅の淵に」に
ついて語る面々。


第二章は別々の出版社に勤める編集者の女性二人が
「三月は深き紅の淵に」の著者は出雲出身ではないかと夜行列車で
その地を訪ねる話。


第三章は崖下で見つかった二人の少女の遺体。
2人は異母姉妹だった。
彼女たちを知る者たちが生前の二人の様子からその死の真相をあれこれ
考察する。そして二人の父親の住んでいた地で父親に関する凄惨な事件を
知る。


第三章は「三月は深き紅の淵を」を書いている著者が語る部分と
水野理瀬という少女が転校した先で暮らす寮のなかで起きた不可解な事件に
ついての部分が交錯している。
著者の語りは恩田さんそのものの考えかな?
そしてもう一つの少女・理瀬の物語が今後、別の本で新たに展開していくのか?



1冊を通して、4つの章の主人公たちが変わるのに共通している不穏な
空気感にぞわぞわ。

この後に書いた「麦の海に沈む果実」を読むのが楽しみ。

やっぱり恩田さんは凄い作家さんだ!


                      ★★★★

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発行年月:2001年12月


華麗にして「美しい謎」
恩田陸の全てがつまった最高長編
――目の前に、こんなにも雄大な森がひろがっているというのに、あたしは見えない森のことを考えていたのだ。どこか狭い場所で眠っている巨大な森のことを。
学生時代の同級生だった利枝子、彰彦、蒔生、節子。卒業から十数年を経て、4人はY島へ旅をする。太古の森林の中で、心中に去来するのは閉ざされた「過去」の闇。旅の終わりまでに謎の織りなす綾は解けるのか……?

                   (講談社HPより)



理瀬シリーズの番外編的なものらしい。
シリーズは、まだ読んでいないけれど、これから読もうと思っているので
興味深く読んだ。


40歳手前で、4人の大学時代の同級生がY島へ旅行。
4人それぞれが語り手となって4部構成。


彰彦以外は、高校も同じ。
節子と蒔夫は家が近所で幼稚園もおなじ。
蒔夫と利枝子は高校生のとき、恋人同士だったのに、別れる。
その原因になったのは、利枝子と仲のよかった梶原憂理。
蒔夫が憂理に惹かれてしまったから。

しかし、憂理は、突然、行方知れずになってしまう。
彰彦は憂理と遠い親戚関係にあり、噂で亡くなったことを聞いているという。


Y島に着き、島を巡りながら、各自の過去の話も出てくる。
それぞれが胸のなかに、ちょっとした重たいものを抱えている。


旅を計画した彰彦が旅の宿題にした「美しい謎をもってくること」をもとに
それぞれが持ってきた謎についても意見を交わす。

なかでも表札泥棒の謎は面白かった。

4人が再び同じように集まるのは51歳になったとき?

旅を終えて、それぞれの生活に戻る4人。
そこには、お互いの接点はなさぞう。


こんな友達関係がずっと続くのっていいな。



                        ★★★





発行年月:2021年5月


変貌する少女。呪われた館の謎。
「理瀬」シリーズ、17年ぶりの最新長編!
英国へ留学中のリセ・ミズノは、友人のアリスから「ブラックローズハウス」と呼ばれる薔薇をかたどった館のパーティに招かれる。そこには国家の経済や政治に大きな影響力を持つ貴族・レミントン一家が住んでいた。美貌の長兄・アーサーや、闊達な次兄・デイヴらアリスの家族と交流を深めるリセ。折しもその近くでは、首と胴体が切断された遺体が見つかり「祭壇殺人事件」と名付けられた謎めいた事件が起きていた。このパーティで屋敷の主、オズワルドが一族に伝わる秘宝を披露するのでは、とまことしやかに招待客が囁く中、悲劇が訪れる。屋敷の敷地内で、真っ二つに切られた人間の死体が見つかったのだ。さながら、あの凄惨な事件をなぞらえたかのごとく。
可憐な「百合」から、妖美な「薔薇」へ。
正統派ゴシック・ミステリの到達点!

                    (講談社HPより)



理瀬シリーズは読んでないけれど、楽しめた。
始終漂うなんとも言えない不気味な空気感を感じながら・・・。

舞台が日本じゃなくブラックローズハウスと呼ばれる広大な土地のなかにある館。
これだけで何か起きそうな雰囲気。

実際、最初からインパクト大の切断された遺体が遺跡の目立つ場所に・・・。


途中の犬と人が爆発の場面は、キャ~ッ!と鳥肌。

最後まで読みやすく楽しめたけれど、理瀬のことをもっとちゃんと知ってから
読む方が楽しめそう。

時間が出来たらシリーズを全部通して読んでみたい。




                         ★★★



発行年月:2021年2月


大学の同級生の二人の女性は一緒に住み、そして、一緒に飛び降りた――。
いま、「三面記事」から「物語」がはじまる。
きっかけは「私」が小説家としてデビューした頃に遡る。それは、ごくごく短い記事だった。
一緒に暮らしていた女性二人が橋から飛び降りて、自殺をしたというものである。
様々な「なぜ」が「私」の脳裏を駆け巡る。しかし当時、「私」は記事を切り取っておかなかった。そしてその記事は、「私」の中でずっと「棘」として刺さったままとなっていた。
ある日「私」は、担当編集者から一枚のプリントを渡される。「見つかりました」――彼が差し出してきたのは、一九九四年九月二十五日(朝刊)の新聞記事のコピー。ずっと記憶の中にだけあった記事……記号の二人。
次第に「私の日常」は、二人の女性の「人生」に侵食されていく。
新たなる恩田陸ワールド、開幕!

                 (河出書房新社HPより)




小説家のわたしは、20代後半でまだ小説家になりたての頃、女性二人が
投身自殺をしたという記事読みを、それがずっと体のどこかに刺さった棘のように
忘れられなかった。


物語は、小説家の「私」が、この記事の二人のことを頭に置いて書いた小説の
舞台化が決まり、その主役のオーディション見学、そして出来合った舞台の
鑑賞までの時間を描き、その途中に、亡くなった二人の女性の暮らしぶり
小説家の「私」の日常などを交えながら進む。



この小説家は恩田さん自身?こういう風に事実からヒントを得て
物語を作っていくのかな?など、なかなか興味深かった。



亡くなった2人は、大学の同級生で、亡くなったとき44歳と45歳。
Mは独身でTは、結婚して離婚。子どもはなし。
離婚後、かなり長い間、会っていなかったが、離婚した方が連絡をして
再会し、一緒に住むことになった。


女性2人の暮らしは、なかなか楽しそうだけれど、段々と年を経ていくなかで
色々な感情が沸いてくる。
ある日、在宅の仕事をしているTが揚げ物を夕飯のおかずに作り、
固めるテンプルがないことに絶望し帰ってきたMに「疲れた」と言う。


この場面は、女性でないとわからない。
Tの絶望が理解できてしまった。
きっと男性だったり、若い人だったら、わからないと思う。



こういうことをちゃんと物語に出来る恩田さんは、やはり凄いなと
改めて思った。



                       ★★★★★



発行年月:2020年11月

少女時代のエピソードあり、笑える読書日記あり、真摯で豊かなレビューあり……。
約10年ぶりに放たれる待望の新刊エッセイ集! 
書き下ろしあとがき収録。

                (筑摩書房HPより)


恩田さんの読書記録。
「土曜日は灰色の馬」も出ているんですね。知らなかった。


読書量が半端なく多いですね。
作家になる人は、やはり子どもの頃から本が好きで沢山、読んでいるんだなぁ~。


知らない本もいっぱいだけど、たま~に読んだことのなる本の話になると
興味深く嬉しくなった。


ブラッドベリは死なないのところは、うんうんと。
「たんぽぽのお酒」暫く読んでいないなぁ~。
家の本棚にもあるから、読みたくなった。

山本周五郎とわたしの章で、恩田さんの本名(ななえ)が知れたのは嬉しい。
ファンならもう知っている人、多いのかな?
「長い坂」読んでみたい!



本は殆ど、単行本で読んでおしまいだけれど、文庫には解説がつくのがいい。
一度、読んだ作品でもお気に入りは文庫が出たら再読することも
今後は習慣にしていこうかな?


                       ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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