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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:
2024年4月



「俺は世界を戦慄せしめているか?」
少年は八歳でバレエに出会い、十五歳で海を渡った。
一人の天才を巡る四つのspring。
構想10年、待望のダンサー小説!


                  (筑摩書房HPより)


バレエの世界の話。
全く無知な世界なので、読むのに難儀した箇所も多々・・・(^^ゞ
でも、登場人物たちは、とても魅力的。
最初からある程度、その道に進む環境が用意されている。
それを迷わず進む人たちの物語。
大きな挫折もなく、淡々と成長していくので、読んでいてストレスがないのも
良かった。


主人公は、表題にもなっている萬春(よろずはる)
両親は陸上選手の父と体操選手の母
彼をバレエの道に導いたのは、母親の弟・稔の存在が大きい。
両親より春の才能を理解しているかんじで、春自身も自分の踊りを観ておいて
くれればいい存在の一人としている。
もう一人はドイツ留学での師・ジャン・ジャメ。


他のバレエ仲間、深津純、滝澤七瀬、フランツ(その母・ユーリエ)との
関係も、いい。
天才ばかりが集まると、こんな感じなんだろか?
ただただ圧倒される物語だった。




                   ★★★★
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発行年月:2024年1月


「ゆりかご」か「養成所」か、はたまた「墓場」か。
累計100万部突破! 「理瀬」シリーズ初短編集
ゴシック・ミステリの金字塔。
湿原に浮かぶ檻、と密やかに呼ばれていた全寮制の学園。
ここでは特殊な事情を抱える生徒が、しばしば行方を晦ます。               
ヨハンの隠れた素顔、校長の悲しき回想、幼き日の理瀬、黎二と麗子の秘密、
月夜に馳せる聖、そして水野理瀬の現在。                            
理瀬と理瀬を取り巻く人物たちによる、幻想的な世界へ誘う六編。
・水晶の夜、 翡翠の朝
・麦の海に浮かぶ檻
・睡蓮
・丘をゆく船
・月触
・絵のない絵本


                   (講談社HPより)



理瀬シリーズは、ほぼ読んでいるはず。
でも忘れていることも多く、読みながら、思い出すこともあり
「え?そうだったんだ~!」と知ることも多かった。

学園の色々な人が語る短篇。

興味深かったのは、今の校長の話
<麦の海に浮かぶ織>
校長は双子だった。
校長は、要で鼎(かなえ)という妹?姉?がいた。
二人と同じファミリーになった転校生のタマラは、無口で人と接するのが
苦手だという。
校長のお茶会にほかの生徒と共に呼ばれた3人は、お茶会に。
タマラは渋々参加。
タマラの前にあるカップだけ皆と違う。
そして、そこに何やら薬を入れる校長を目撃してしまう要と鼎。

タマラの正体にはびっくり。そんなタマラを助けたいとした行動した鼎は
命を落とすことになってしまう。

驚いたのは、校長が双子を後継者にふさわしいかを試すために仕組んだこと
だということ。
命を落とした鼎とそうさせてしまったタマラが気の毒で仕方ない。

こんな辛い過去が校長にあったとは・・・・衝撃的な話だった。


<丘をゆく船><月食>も衝撃的な話。
妹を殺した母親を殺してしまった黎二。
男子として育てられた麗子。

二人の過去に似たものがあり、お互いを理解したふたり。
けれど、黎二に固執していく麗子。
黎二がほかの女子と一緒にいるのが我慢できず、その女子に襲い掛かるのを
阻止して二人は湿原に落ちていく


最後の<絵のない絵本>は理瀬のはなし。
日本を離れてイギリスで生活し、大学にも進学した理瀬はヴァカンスで
訪れている南国のホテルで、爆弾事件に巻き込まれる。

危ない!命を狙われている???なぜ?


謎が残ったまま終わってしまったけど、理瀬の話を長編でまた読みたい。


この短編集は、よかったけれど・・・・



                     ★★★★



発行年月:2023年6月


執筆期間15年のミステリ・ロマン大作『鈍色幻視行』の核となる小説、完全単行本化。
「本格的にメタフィクションをやってみたい」という著者渾身の挑戦がここに結実…!
遊廓「墜月荘」で暮らす「私」には、三人の母がいる。日がな鳥籠を眺める産みの母・和江。身の回りのことを教えてくれる育ての母・莢子。無表情で帳場に立つ名義上の母・文子。ある時、「私」は館に出入りする男たちの宴会に迷い込む。着流しの笹野、背広を着た子爵、軍服の久我原。なぜか彼らに近しさを感じる「私」。だがそれは、夥しい血が流れる惨劇の始まりで……。
謎多き作家「飯合梓」によって執筆された、幻の一冊。
『鈍色幻視行』の登場人物たちの心を捉えて離さない、美しくも惨烈な幻想譚。
【リバーシブル・カバー仕様】
恩田陸によるミステリ・ロマン大作『鈍色幻視行』作中で、幻の作家・飯合梓の唯一の著作として登場する『夜果つるところ』。
『鈍色~』の核となる小説を完全単行本化した本書のカバー、恩田陸版/飯合梓版を自由にかけかえ可能なリバーシブル仕様でお届けします!


                    (集英社HPより)


『鈍色幻視行』で皆が語っていた、飯合梓が書いた『夜果つるところ』。

舞台になった「堕月荘」は、軍人が多く訪れる遊郭の宿。

そこに幼い時から人の目からあまりつかないようにと言われて育つ
ビイちゃんが語る話。

ビイちゃんには、産みの親の和江
育ての親の文子
それから主に教育を担当の莢子の存在がある。


ビイちゃんの正体は、謎のまま、最後に明かされる。

墜月荘では、色々な人が訪れる。
ビイちゃんには、それらの人に付いているこの世の者では無くなった者たちの
姿も一緒に見える。

そして次々に人が亡くなっていく。
その亡くなり方は色々だけど、恐ろしいと同時にどこか魅入らせるものがある。

恩田さんは、こういう雰囲気を醸し出す物語が巧い!

文章は読みやすく、読めるのに、なぜか、時間がかかった(^^ゞ


読んだのは図書館本だけれど、カバーが飯合梓の書いたものとして変えられる
のは良いアイデア!


また図書館ですぐに借りられるようになったら
「鈍色幻視行」と両方を再読したい。



                    ★★★★



発行年月:2023年5月


謎と秘密を乗せて、今、長い航海が始まる。
撮影中の事故により三たび映像化が頓挫した“呪われた”小説『夜果つるところ』と、その著者・飯合梓の謎を追う小説家の蕗谷梢は、関係者が一堂に会するクルーズ旅行に夫・雅春とともに参加した。船上では、映画監督の角替、映画プロデューサーの進藤、編集者の島崎、漫画家ユニット・真鍋姉妹など、『夜~』にひとかたならぬ思いを持つ面々が、梢の取材に応えて語り出す。次々と現れる新事実と新解釈。旅の半ば、『夜~』を読み返した梢は、ある違和感を覚えて――

                   (集英社HPより)



物語の始まりからワクワク。
豪華客船で2週間のクルージングを楽しみつつ、小説「夜果つるところ」と
その著者・飯合梓について語る面々。

集まったメンバーたちが豪華。

過去2回、映画化が試みられたが、いずれも上映までには至らず。
それそれの撮影中に度重なる事故などで死亡者が合計8名出ている。

メンバーたちが揃う場で、語る話も興味深いものがあったが、後日
小説家である蕗谷梢が個別にインタビューした話も、なかなか凄かった。

小説の著者・飯合梢についての考察も面白い。

ただ、皆の憶測が主だったりで、本当のところというものがわからない。

恩田さんの物語は、そういう類のものが多いので、その辺は承知。

真実は虚構のなかだけに存在する・・・・クルージングに参加の90歳近い(?)
映画評論家の言葉が、この物語そのものなのかも。


最初から最後まで、楽しかった。
謎は残るけれど、「夜果つるところ」が凄く魅力的な作品であるという
期待が膨らんだ。

早く読みたいなぁ~。



                      ★★★★


発行年月:2022年11月


困ったことが起きたら、「なんとかしなくちゃ!」
「これは、梯結子の問題解決及びその調達人生の記録である。」
大阪で代々続く海産物問屋の息子を父に、東京の老舗和菓子屋の娘を母に持つ、梯結子。幼少の頃から「おもろい子やなー。才能あるなー。なんの才能かまだよう分からんけど」と父に言われ、「商売でもいけるけど、商売にとどまらない、えらいおっきいこと、やりそうや」と祖母に期待されていた。その彼女の融通無碍な人生が、いまここに始まる――。

                 (文藝春秋HPより)




梯 結子の幼少期から大学卒業して就職先が決まるまでの話。

幼稚園の時から、考え方が素晴らしい。

近くの公園の砂場が、いつもいない子たちに占領されていて自分は入れない。
こんな状況になったら・・・大抵は諦めるだろうな。
でも、結子は違う。
なぜこんな状況になっているのか?
そして、その状況から、どうすれば前のようになれるか?

それを誰も困らない、むしろ喜ばれることで解決してしまう。
賢いなぁ~と感心。

小学校の時の誕生会でのことも、同じ。
その後の中学、高校、大学と、色々な困りごとを持ち込まれても
鋭い洞察力と考察力で切り抜ける。

将来、こういう人に国のトップに立って欲しい!!
なんて思って読んでいた。

大学では城郭愛好研究会に所属。

そこで行われる毎年、恒例の城攻め。
守りの組と攻めの組に分かれて、いろいろな解釈でバトルする。

ここでの結子の説は先輩たちをも唸らせる。
独特だね~と称賛され カケハシ・ドクトリンの名を貰う。


そう!結子の考え方は、独特で面白い。
幼少期から既に カケハシ・ドクトリン!!

中学時代から知り合う人たちのなかに、将来、結子のよき理解者になりそうな
人たちが登場してきて、今後が益々、楽しみ。


続編、早く読みたい!!

でも他の本を既に刊行されている。
すごいな恩田さん!



                       ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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