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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年12月


人間も一番美しい時に標本にできればいいのにな
蝶が恋しい。蝶のことだけを考えながら生きていきたい。蝶の目に映る世界を欲した私は、ある日天啓を受ける。あの美しい少年たちは蝶なのだ。その輝きは標本になっても色あせることはない。五体目の標本が完成した時には大きな達成感を得たが、再び飢餓感が膨れ上がる。今こそ最高傑作を完成させるべきだ。果たしてそれは誰の標本か。――幼い時からその成長を目に焼き付けてきた息子の姿もまた、蝶として私の目に映ったのだった。イヤミスの女王、さらなる覚醒。15周年記念書下ろし作品。

                     (角川書店HPより)



蝶博士として世に知られる榊 史郎が犯した猟奇的殺人。
少年6人を標本にして、その写真を残した。


物語は、蝶を採取して遊んでいた小学生の榊史郎に、画家である父親が
昆虫採集セットを一緒に買いに行き、一緒に採取し、標本にするまでを指導
してもらい、以後は一人で採取した蝶を標本にする。
ただ並べるだけでなく、背景に絵を描き、蝶を置き、夏休みの課題として
提出しようと思っていた。
そんなとき、父の元に15年ぶりに画家の一ノ瀬佐和子が連絡をしてきて
自分の肖像画を描いてほしいという。
重い病に罹り、今の姿を絵にして欲しいと。
絵が完成し、佐和子とその夫と娘の留美がいっでょに完成した絵を受け取りに。
そこで、史郎が完成させた蝶の標本も披露し、留美がそれを気に入り
欲しいと。


大人になった留美は画家に。
史郎は蝶の分野では権威と呼ばれ教授の職に就いていた。


史郎の息子・至は、祖父の血を受け継ぎ絵の才能を持つ。
留美が主催する絵画合宿に参加の誘いを受ける。
他の参加者は5人。
モデルは留美の娘・杏奈。




この夏の絵画合宿から悲劇が始まっていく。
元々、持っていた猟奇的な嗜好が、色々な偶然が重なって現実のものに
なってしまったのか?


史郎が犯人だという前提で最初から読んでいたので、終盤のまさかの真犯人には
驚き、その真犯人だと思った人物とは別の人物が・・・とビックリする
展開で、さすが湊さん!と感心。


嫌な話だけど、凄かった。

蝶をみると思い出しそうだけど。。。。(^^ゞ


                      ★★★★
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発行年月:2021年11月


ここは、再生の場所。
NHK BSプレミアム「山女日記3」原作小説。
幅広い層に支持されたベストセラー、待望の第2弾。
「通過したつらい日々は、つらかったと認めればいい。たいへんだったと口に出せばいい。そこを乗り越えた自分を素直にねぎらえばいい。そこから、次の目的地を探せばいい。」
後立山連峰
亡き夫に対して後悔を抱く女性と、人生の選択に迷いが生じる会社員。
北アルプス表銀座
失踪した仲間と、ともに登る仲間への、特別な思いを胸に秘める音大生。
立山・剱岳
娘の夢を応援できない母親と、母を説得したい山岳部の女子大生。
武奈ヶ岳・安達太良山
コロナ禍、三〇年ぶりの登山をかつての山仲間と報告し合う女性たち。
……日々の思いを噛み締めながら、一歩一歩、山を登る女たち。頂から見える景色は、過去の自分を肯定し、未来へ導いてくれる

                        (幻冬舎HPより)


イヤミスじゃない心温まるお話。

山登りする人なら、景色も浮かぶんだろうなぁ~。
4つの話どれも良かった。
山登りしながら、また前を向いて歩いて行こうと気持ちを新たにする話
なので、読後感も爽やか。


特に最後の話が良かった。
事故死した兄の代わりに京都の老舗和菓子屋を継いだ女性の葛藤。
偶然、山登りの同じ場で、自身のお店の和菓子を山登りのお供にしてくれている
夫婦の会話を聞き、迷いが吹っ切れる。
その夫婦は、最初の話に出てきた綾子さんとそのご主人かな?


工藤夕貴さん主演のドラマも好き。
また続編、書いて欲しいなぁ~。




                      ★★★★


発行年月:2020年5月


あの子は、なぜ自殺したのか――? 美容クリニックに勤める医師の橘久乃は、久しぶりに訪ねてきた幼なじみから「やせたい」という相談を受ける。カウンセリングをしていると、小学校時代の同級生・横網八重子の思い出話になった。幼なじみいわく、八重子には娘がいて、その娘は、高校二年から徐々に学校に行かなくなり、卒業後、ドーナツがばらまかれた部屋で亡くなっているのが見つかったという。母が揚げるドーナツが大好物で、それが激太りの原因とも言われていた。もともと明るく運動神経もよかったというその少女は、なぜ死を選んだのか――? 「美容整形」をテーマに、外見にまつわる自意識や、人の幸せのありかを見つめる、心理ミステリ長編。

                 (集英社HPより)




美容外科医になった橘久乃が、ひとりの少女の死の真相を追求していくかたちで
彼女を知る人たちに会って話を聞いていくかたちで進む。

以下、ネタバレ・・・ここは、ほぼ自身の覚え書きなので(^^ゞ



亡くなったのは吉良有羽。
大量のドーナツに囲まれての死。

最初に自殺?と会ったけれど、最後まで読むとそれは違うとわかる。


橘久乃は、有羽が痩せたいとクリニックを訪ねていてカウンセリングをした後、
脂肪吸引で痩せた後の死で、希望通りになったのになぜ?という思いからかな?
それとも有羽のママが同級生だった横綱というあだ名の八重子だったことも
気になった要因か?
八重子は、有羽の実の母親の知り合い。
有羽の母親は、病死していて綺麗な人だった。
太っていた八重子のことを褒めてくれたり自身の企画したファッションショーに
出演させてくれたりした恩人的な人。

自分の命が長くないことを知り、八重子に有羽のことを託して亡くなる。
そして有羽の父親と結婚。

八重子は有羽のことを大事に育てる。
得意なドーナツを有羽が喜んでくれることが嬉しくていつも沢山のドーナツを
おやつに。


関係も良好なのに、太っていく有羽のことを問題ありとする周囲の反応に
有羽自身も、痩せることを考える。

子どもをそんなに太らせる母親に問題ありとした教師の言葉が一番、親子に
とってはショックだったのかな?
教師もこんな悲劇をまねくことに自身の発言が関わると想像もつかなかった
でしょう。


健康を害するほどの肥満出ない限り、少しくらい太っていてもいいと思うけれど


人の自分を中心の考えて発言することが相手を思わぬ方向に追い込むことを
もう少し、配慮すべき。


ママに拒絶されながら命を落とした有羽が可哀そうで仕方ない。


後味悪い読後感だけれど、面白かった。
さすが、湊さん。



                    ★★★





発行年月:2019年9月


湊かなえの新たなる代表作、今年最高の衝撃&感動作。重い十字架を背負って生きる人々の心の叫びと希望の灯。“落日”の向こうに見える未来とは!?入魂の書き下ろしミステリー長篇。新人脚本家の甲斐千尋は、新進気鋭の映画監督長谷部香から、新作の相談を受けた。『笹塚町一家殺害事件』引きこもりの男性が高校生の妹を自宅で刺殺後、放火して両親も死に至らしめた。15年前に起きた、判決も確定しているこの事件を手がけたいという。笹塚町は千尋の生まれ故郷だった。この事件を、香は何故撮りたいのか。千尋はどう向き合うのか。“真実”とは、“救い”とは、そして、“表現する”ということは。絶望の深淵を見た人々の祈りと再生の物語。

                   (角川春樹事務所HPより)


いや~やはり面白いな。湊作品。

話は、15年前に起きた一家殺害事件が元になっているので、やはり重苦しいものだけど・・。

その事件を映画化しようとしている女性監督・長谷部香と
脚本家の甲斐真尋。
二人は、その事件のあった、町の出身者であり、香は幼い時、アパートで両親と生活して
いたとき、立石家とは隣人だった。

そして、真尋の姉・千穂と立石力輝人にも接点があったとわかる。


話は、過去と現在を交錯しながら進み、終盤、いろいろあった過去の事柄の真実が
明かされていく。


重く辛い話のなかに、少し、希望もありそう。
この先、二人が力輝人に会って「あの時は・・・・・」と語り合う場面が
沢山、あればいいのにと思う。


表紙の絵は、物語を凄くうまく表現していて哀しく美しい。


                            ★★★★



発行年月:2018年8月


 

湊かなえが初めて挑む、学園青春小説!

陸上の夢が潰えた僕は、まさかの放送部へ。そこに居場所はあるか。夢と友情、嫉妬と後悔。大人への反発。 陸上の夢が潰えた僕は、まさかの放送部へ。

そこに居場所はあるか。

夢と友情、嫉妬と後悔。大人への反発。
湊かなえだからこそ書けた、心ふるわす新青春小説。

町田圭祐は中学時代、陸上部に所属し、駅伝で全国大会を目指していたが、3年生の最後の大会、わずかの差で出場を逃してしまう。その後、陸上の名門校、青海学院高校に入学した圭祐だったが、ある理由から陸上部に入ることを諦め、同じ中学出身の正也から誘われてなんとなく放送部に入部することに。陸上への未練を感じつつも、正也や同級生の咲楽、先輩女子たちの熱意に触れながら、その面白さに目覚めていく。目標はラジオドラマ部門で全国高校放送コンテストに出場することだったが、制作の方向性を巡って部内で対立が勃発してしまう。果たして圭祐は、新たな「夢」を見つけられるか――。

                    (発行/角川書店)




湊さんだから・・・途中で嫌な感じになっていくの?とドキドキしながら
読んだ・・・結果、最後まで爽やかな青春小説でした!

そうか、初挑戦ね・・・・。
でも大成功だと思う。
こういう湊作品も好きです!!


中学では陸上部で長距離を走り最後の県大会では惜しくも2位。
親友の山岸良太が陸上で進学が決まっていた駅伝で全国を狙う高校に
自分は一般入試で進学を決めた町田圭祐。
一緒に陸上部に・・・・とも考えていたのに、合格発表の帰り自転車で車に跳ねられ
入院、脚の大怪我によって陸上部入部は断念。

絶望的な気持ちで入学した圭祐に一緒に放送部に入部しないか?と
声を掛けてきた同じ中学出身の宮本正也。
良い声しているから・・・と誘われ、流れのままに入部を決める。

でも、そこから新たな目標が生まれる。

高校の放送部の活動内容がわかって楽しい。
コンテストでは、色々な種目があるんだと初めて知る。

圭祐があらすじを考え正也が脚本を手がけた「ケンガイ」は、今どきの
高校生のリアルな問題を上手く表現していて良かった。
さすが、湊さんだなぁ~。

中学で虐めにあっていた久米咲楽を圭祐と正也が誘い、良い関係を築いて
いく過程もいい。

一緒に陸上が出来なくなり、親友の良太にもちょっと複雑な思いを抱えて居た
圭祐が新しい目標を見つけたとき、自然な態度で再び良太と会話出来た
瞬間も感動!


また、爽やかなお話も書いて欲しい!!
面白かった!


                       ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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