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読んだ本の感想あれこれ。
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IN.jpg発行年月:2009年5月


小説家・鈴木タマキは、今は故人となった、緑川未来男が残した私小説と言われる「無垢人」に登場する緑川の愛人とされる○子の謎を追いながら自身の小説「淫」を書き上げようとしている。

小説「OUT」から10年。




「OUT」は、読みました。
確か、お弁当工場に勤める主婦の一人が犯した殺人を、みなで切り刻んで処分する話。
映画化もされたけど、映像でそれをみる勇気なく、未だに見ていませんが・・・・^^;
小説の内容は衝撃的でしたが、面白かった。


その関連本かと最初、思って手に取りましたが、全く別の物語でした。

「IN」は、人間の内面の葛藤というか、外からは予測できない事柄を書いている?
物語には小説家が複数出てきます。
過去の作品「無垢人」で、自分の私小説(といわれる)作品を残した緑川未来男。
緑川の妻で専業主婦から、童話作家として世に知られることになる千代子。
○子も作家・三浦弓実だと言う話も出てきて、その三浦弓実を師事していた村上貞子も作家。
ほかにも・・・兎に角作家ばかりが登場してくる。

作家の周りには、こうも作家ばかりが集まるものなのか?
途中、少々、混乱しながらも・・・・話が面白いので読み進めました。

緑川の私小説とされる「無垢人」の○子は誰?を元に取材を重ねるタマキも妻子ある編集者・阿部青司と別れたり、よりを戻したりを繰り返す。
自身も夫と子どもが居るのに・・・。

緑川の「無垢人」に実名で登場する人たちとその複雑な関係。
タマキの私生活のW不倫の顛末。

両方を交互に読ませる小説で、なかなか興味深かったけど、少し疲れたかな?^^;

登場する人たち、それぞれがインパクト大の人たちでした。

しかし、これを読んで思った!

小説家の家族(特に妻や夫)、恋人って大変だな~。

私小説なんて言われる物が出ると周囲はそれが事実なのか偽りなのか、知りたがり、そこに実名を出された小説家の家族や恋人にも興味の対象が及ぶですから・・・・。


文中のタマキの言葉
<真実は、真実ではないからです。真実と思えたものを書いた時点で、それはフィクションになります。それを知っている作家は、真実と思えるものを魅力的に、そして面白くします。そのためには、真実に間違われるフィクションが必要なのです>

これ、すごく印象深かった!

桐野さんの持論かな?


小説家が小説家を書くこの小説、なかなか深いものがありました!
面白かった!!

★★★★

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81c4b266.jpg発行年月:2008年5月

あたしは必ず、脱出してみせる---- -----。

32人が流れ着いた太平洋の涯の島に、女は清子ひとりだけ。いつまで待っても、無人島に助けの船は来ず、いつしか皆は島をトウキョウ島と呼ぶようになる。果たして、ここは地獄か、楽園か?いつか脱出できるのか---。よくを剥き出しに生に縋りつく人間たちの極限状態を容赦なく描き、読む者の手を止めさせない傑作長篇誕生!

                       
(新潮社HPより)

結構、好きな作家さん。
いつものように図書館から借りたので、随分、順番を待ちました!

でも待った甲斐あり、おもしろかった!
無人島に32人が流れ着いたといっても、一度にじゃないのね。

最初に主人公である女性・清子とその夫・隆が乗っていたクル-ザ-大破により流れ着き、その後、日本人のフリ-タ-の若者たちが流れ着き、また暫くして、中国人の密航者、フィリピン人と島民が増えてゆく。
清子は46歳。島で唯一の女性ということで最初は、男たちからチヤホヤされる。
本人もその状況をまんざらでもなく受け入れていて、日本にいるときには、貞淑な妻だったのに、何やら野生化していく様子は滑稽。

夫の隆は、島に馴染めず体調を崩し、ついには謎の転落死を遂げるが、清子はさほど悲しそうではなく、次の夫を迎える。
何とも気の毒なご主人。

清子は、状況を見て、自分の得になることを素早く判断し行動に移す。
身勝手なようだが、生き延びるためなら仕方ないのかも。

日本人の中でも嫌われ者は、皆と離れた箇所に追い払われ、後から来た中国人たちも日本人は嫌い遠ざける。
しかし、その場凌ぎのやや能天気ぎみの日本の若者に比べて、中国人たちはサバイバル能力は勝っている。
そこにある道具を工夫して使い、塩を作ったり、火をおこしてちゃんと調理したり。
そんな様子を観察して、清子は中国人(皆はホンコンと呼んでいる)たちに近づく。
そして、日本人たちを裏切る行為。

島には、幸いなことに食べ物は結構、豊富にあるようで、それだけでも危機感は半減かな?
これで食べ物も少なかったらもっと悲惨なことが起こったでしょう。
実は、読む前は、それを想像していたので、覚悟していたのですが・・・。
争いはあるけど、なんだか少しリアリティないかんじで最後まで可笑しく読みました。
実際、笑える箇所もあったし。(亀仙人・・・想像して吹き出しました)


最後、ホントに脱出できるのか?気になっていましたが・・・なるほどそういう結末でしたか?

結構、生き残った者、それぞれがその状況を受け入れて明るいかんじなのでホッとしました。


以前、何かの雑誌(だったかな?)の記事に、この話と似た事実は昔あったと読みました。
島の名前がちょっとおもしろかったので、覚えていました!

思い出して探したら・・・アナタハン島事件というのが、ありました。
気になる方は、飛んでみてください。
何らかのヒントにしたのかな?

桐野さん、新刊が出ましたね。
そちらも図書館で予約待ち。
早く読みたいなぁ~

★★★★
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