注目の著者が贈る、明日への「リスト」の物語
突然、婚約破棄を言い渡され目の前が真っ暗になった明日羽は、叔母に、やりたいことやほしいもののリスト作りを勧められる。ひとりの大人の女の子の、本当の成長の物語。
(集英社HPより)
二年間付き合った後、結婚の約束をした恋人・譲から突然の別れを告げられた主人公・明日羽(あすわ)の物語。
何故、譲は別れを決めたのか、その辺はよくわかりませんが・・・
あすわの周りの人たちがすごく良い人ばかりで、そんな素敵な人ばかりが集まる、あすわって人も良い人なんじゃないかな?なんて思いました。
だから・・・別れを切り出した譲とは別れてよかったのよ!きっと・・・なんて。
あすわの叔母さん・ロッカさんが、失恋したあすわに、やりたいことをリストを書き出せとアドバイスして、その通り、書き出し、それを実行していくのだけど・・・途中で気づく。
リストを実行していくことより大事なことに。
叔母さんのロッカさんが作った「太陽のパスタ」はちょっと敬遠したいけど、お友達の郁ちゃんが作った「豆のス-プ」は食べてみたいな♪
物語は、これといって変わったものではないけど、登場人物たちが話す言葉にいいな~(^^)
と思うものが、沢山ありました!
これは宮下さんの作品ではよくあることなので、上手いこと言うなぁ~と感じます。
例えば・・・
あすわのお母さんが言うことばで
「毎日のごはんがあなたを助ける。それは間違いないこと」とか
美容師の友達・京のことばで
「かわいがられて育った子はすでに自信を持っている。自分が気づいていないだけ」とか
まだまだ郁ちゃんの言葉にも、いいなぁ~と思うものがあって、優しい子なんだなぁ~と感じたり。
状況としては最悪のものだけど、周りにいる人たちの存在が、あすわを優しく包み、それによって前より成長して前に進んでいくあすわの姿が最後にあって、読んでいると、心が温かくなるお話でした。
★★★★
御木元玲は著名なヴァイオリニストを母に持ち、声楽を志していたが、受かると思い込んでいた音大附属高校の受験に失敗、新設女子校の普通科に進む。挫折感から同級生との交わりを拒み、母親へのコンプレックスからも抜け出せない玲。しかし、校内合唱コンクールを機に、頑なだった玲の心に変化が生まれる-------。あきらめ、孤独、嫉妬……見えない未来に惑う少女たちの願いが重なりあったときにあふれ出す希望の調べ。いま最も注目すべき作家が鮮烈に描く、青春小説の記念碑!
新設の私立女子校に進学した御木本玲は、母親が有名なヴァイオリニスト。
音大附属高校に受験したが、失敗。
音楽科のない今の学校に何ら望むものはなく、友達も作ろうとせず過ごしていた。
誰からも自分が期待されずにいることに多少、ホッとする気持ちもあり、このまま3年間をやり過ごせばいい・・・・そんな風に思っていた。
が・・・・ある事を機にそんな気持ちが変化していく。
玲と同じように、この学校には望んで入学して来たわけではない生徒も多く・・・
本当はピアノが好きでその道に進むことが夢なのに、家庭の経済状況を考えるとそれは叶わない事と思っている千夏。
ソフトボ-ルで高校へ推薦入学を認められていたのに、怪我で自ら入学辞退した早希。
見てはいけない人、見えるはずのない人が幼い時から見える為、伝統のある学校、混雑した電車を避けて通える学校を選んで入学した史香。
ほかにも数人の生徒たちが登場し、それぞれがリレ-方式で自身の事を語る。
同じ学校の同じクラスなので、前で誰かが言った同じ出来事に対してのそれぞれの気持ちなども書かれていて、前に出て来た子がその後、どうなったか?も教えてくれたりで、なかなか楽しい展開でした。
それぞれ、心にわだかまりを持ちつつ、入学してきた彼女達ですが、友達と接しながら、自己を見つめ直し良い方向に向かって進む話で、読んでいてそれぞれの成長ぶりに拍手を贈りたくなりました。
多感なこの時期の友達関係ってすごく大切だなぁ~。
生き方まで変えてしまうんだから。
最初と最後は玲の語りですが、その違いには驚きます!
今後の彼女の成長も見てみたい!
音楽そのものは学べなくても、大きな物を手に入れられたはず!
それが今後の音楽にも活かされていくといいな。
物語だからこれでお終いなんだけど、この先もずっと何処かで成長し続けて行ってくれるかんじ。
清々しい青春物語でした(^^)
発行年月:2007年1月
人生には4つの小さな学校(スコ-レ)がある。
家族、恋愛、仕事、そして---------
骨董品店の三人姉妹として生まれた麻子は、欲しいものを人と最後まで争ったことがない。すぐ下の妹、七葉のように欲しいものを人に渡さないほどの執着がない。親友のように仲のより七葉は美しい子で、そのため子供の頃から可愛さで勝負することはあきらめていた麻子だったが、骨董店で父親から美しいものを見せられて育った審美眼が認められ、繊細な感受性を持った女性に成長していく。
丹念に重ねられた日常の描写から立ち上がる瑞々しさに定評がある著者初の書き下ろし長篇。
(光文社HPより)
宮下さんの作品は前にも2つほど読んでいるかな?
心理描写がやはり上手い!
物語は4部制で、麻子の成長を順番に追う形。
NO・1では、中学生になったばかりの麻子。姉妹のなかでは大人しく、すぐしたの七葉のように強く主張したりは出来ない。なんだかどれを取っても七葉には負けている感が強い麻子。
一番下の妹、沙英とは年がかなり離れているので、いつも面倒を見てあげるべき子と思っている。
友達の好きな人と自分の好きな人が同じ!?と少々、複雑な心境になったり。
要するに、良い子なのです。麻子は。
そして長女らしい長女かな?
NO・2では、共学の公立高校に進学した麻子。
いとこの槇にちょっぴり恋心を抱いたり・・・・・でも妹の七葉も同じ気持ちなのだと気づいて、またまた複雑な心境に陥る。
NO・3では、国立大学の英文科に進学した麻子。
七葉から離れよう・・・いつまでも負け続けてしまうという思い。
初めて男子から「可愛い」と言われてもすぐに本気にせず・・・何十回目に同じように言われて初めて向き合い付き合うことに。
そうそう!男子がこのくらい強引なくらいじゃないとダメね、この子は・・・なんて思ったりして^^;
卒業後は、貿易会社に勤め、いつのまにか恋人は別の人に。
この男子も告白したみたいで・・・・あれれ?本人が思うのと違って、魅力のある子なんだ!と気づく。
しかし、週末も仕事でなかなか恋人と会えず・・・・「このままの状態が続くなら。。。仕事を辞めれば?」の言葉を境になとなく溝が出来たかんじで付き合いは消滅。
自分も好き!と強く思える相手には、まだ出会ってないんでしょうね・・・・。
現場を先ず学ぶの会社の方針で靴屋の販売員として2年働く。
職場の人たちに恵まれ、最初はうまく溶け込めないが少しずつ、仕事の面白さを実感していく過程が良かった!
NO.4では、会社の本社に配属が変わり、靴屋の現場から事務仕事に。
ここでも最初は要領を得ず、四苦八苦の日々。
しかし、真面目に取り組み、あるとき、イタリアの買い付けに同行することが決まり、上司たちとイタリアに。
彼女は靴の買い付けを任される。
不安いっぱいでの買い付けだったが、2年間靴屋で培った販売の経験が役立ち、途中からは、買い付けが楽しくて仕方なくなる彼女。
それを同行していた先輩が見ていて褒めてくれる。
自分のことを見ていてくれる。わかってくれていると思える男性がそばにいてくれるっていいな~。
初めて、麻子自身が好きだと思える男性かな?このまま上手くいけばいいのになぁ~と思いながら読んでいました。
そしてラストは、本当にステキ。
ず~っと読んでいると彼女の頑張りを見守り続けた応援者の気持ちになるので、彼女には、きっと幸せな未来が続いていくんだと思える感じは嬉しかった!
★★★★★
ほんの少し心をほどけば、わたしたちはいつだってどこだって行ける。
OL、母親、料理家、看護婦。普通の人たちの日常におとずれる小さな「気づき」の瞬間が、まるで自分のことのように胸にしみ入ってくる。
ペ-ジをめくるたび、頑張っているあの人の顔が浮かぶ。ごぶさたしている人に手紙を出そうと思う。“最も新作が待たれる新人作家”による、ほんの少し前に進む勇気をくれる12の物語。
(新潮社HPより)
この作品は12の短編集。
以前、Re-bornというアンソロジ-に書かれていて、その時、この著者の作品をもっと読んでみたい!と思っていました。
1つ1つの話は、本当に短くて、すぐ読み終えてしまうのですが、全て完成されたものでした。
特に変わったことが起きるのでもなく、それぞれの主人公たちがいつもと同じ生活をするなかでふと、気づくことが描かれてるような・・・・。
前半の方で登場した物語の人物たちが、後ろの方の物語の登場人物と繋がりがあったり、人と人の繋がりって面白いな~なんて思ったりしながら楽しみました。
こういう普通の日常を送る人の話の中に読者をひき付けるものを散りばめられるって凄いな~。
いいなぁ~。好きだなぁ~。
以前、看護師だったわたしなので、病院のことを書いた「うなぎを追いかけた男」は、看護師の気持ちに共感しながら読みました。
ただ、潜るという看護師の中で隠語のように使われている言葉の行為は、全く、わたしには経験なくそこだけちょっと引っかかりましたが・・・・^^;
「うなぎを追いかけた男」は、一番最後の「夕焼けの犬」にもリンクしていて、静かな余韻を残してくれました。
好きだったのは「白い足袋」かな?
幼なじみの花嫁の為、買い忘れたという足袋を懐かしいお店に買いに行き、お店のおばちゃんに昔も足袋を買いに来たねと言われる場面では思わず「えっ!」
運動会で足袋を履いて走る・・・・・わたしも同じ経験ある!ある!
余談ですが、前に主人と何かの話の折に「子どもの頃、小学生の運動会で足袋を履いて走ったよね?」と言ったことがあるのですが、その時「なに!?足袋?へんなのぉ~なんでそんなの履くの?」と大笑いされた記憶があり・・・・・
自分の周りだけの流行だったのか?と思っていたので、この話は妙に嬉しかったのです!(笑)
12の短編どれも良かった!
短編集で全部、よかった!ってなかなかないのでこれは凄い!!
長編作もぜひ、近いうちに読まなきゃ!
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;