発行年月:2016年2月
奇想天外なユーモアあふれ、不思議な幻想の世界も描く。また知性と少女性をもあわせもつ児童文学作家、高 楼方子の珠玉のエッセイ。旅先で、日々の暮らしで、本や映画のなかで出会った印象深い〈おばあさん〉たちを拠りどころに、遠い日の光景や様々な思いをユ ニークな視点で綴る。深く心に沁み入る話から、思わず笑える話まで、多彩な短編集を読むようなおもしろさ。出てくる本や映画は、ぜひとも読んだり見たりしたくなる、世界が広がるエッセイ集です。偕成社ホームページで2012年から2年にわたり連載したものの単行本化。
(偕成社HPより)
高楼さんのいままで出会った老嬢さんの物語。
ポルトガルやイタリアで出会った、おばあさんたちもチャーミングだったなぁ~。
ナポリの杖を左右に振りながら交通量の多い道路を横断する、おばあさん。
オレンジの木の下でオレンジ売りをする、おばあさん。
また映画や本のなかの印象深い、おばあさんたちの話も面白かった!
いじわるばあさんが好きというのも共感。
またその絵が本当に長谷川町子さんの絵に似ていて、ビックリ!
「夕映えの道」は本と映画、両方、知らなかったので、本を読んで映画も
見てみたい!!と強く思ったのでメモ!
そして、おばあさんの絵がどれも可愛い(#^.^#)
愛される可愛いおばあさんになりたいなぁ~と思える本でした。
★★★★
発行年月:2015年11月
奈良時代、二度も皇位についた偉大な女帝がいた。著者渾身の本格歴史小説。
「女に天皇は務まらない」と言われながら、民のため、国のため、平和の世のために生きた孝謙称徳帝。遣唐使を派遣し、仲麻呂ら逆臣の内乱を鎮め、道鏡を引き立て、隼人を傍に置いた。一人の人間として、女性としての人生も求めた女帝の真の姿とは。突然の死と秘められた愛の謎を和気広虫ら女官たちが解き明かす、感動の歴史大作。
(新潮社HPより)
物語は、女帝・孝謙称徳が崩御するところから始まる。
崩御の前、気がかりだったのは、かつて信頼していた女官・広虫のこと。
女帝のあとの帝は誰にするか?の後継者問題に巻き込まれての流罪。
弟の清麻呂もまた同じ罪を追う。
崩御後、都に戻ることが赦された姉と弟。
広虫は、都に自分と弟と同じような、姉・澪と弟・日麻呂も共に都に連れていく。
女帝を最期まで側で仕えた女官の由利とも再会した広虫は、由利から女帝の
最期の話を聞く。
そこには、自分が知らない女帝の苦悩があったと知る。
権力争いって昔は、命懸けだったんですね~。
怖い怖い。
しかし、この時代の話は、よく知らないことばかり。
でも、やはり藤原氏の力は絶大だったんだぁ~と改めて知りましたが。
読み応えあり面白かった!
★★★★
発行年月:2015年10月
未来への光と希望に満ちた、少年リクの勇気と成長の物語
宇都宮から福島へ転校した小学校5年生の少年リク。引っ越した町には、人影がなかった。道路にも、校庭にも誰もいない。外で遊びたい。思いっきり自転車でかっ飛ばしたい。そんなリクが白の王国で出会ったのは、リクを対等な人間として扱ってくれる優しい大人たち、山で生きる野生の動物、そして……
(キノブックスHPより)
3.11後に医師の父と福島県に引っ越した10歳の佐藤陸。
横浜の叔母さんは陸まで引っ越すことに反対した。
「わざわざ死ににいくようなものよ」と。
転校先では歓迎され、担任の岩本先生も優しくて良い先生。
最初に手渡されたのが線量バッジ。放射線の線量を常時チェックする。
子ども達は明るくしている。
大人たちが怒っていて、愚痴っているのをみて。
自分たちが明るく振る舞わい怒りを鎮めようと無意識に感じている。
だから、実際、とても疲れる。
ひとつひとつの文章が、胸にささる。
福島で暮らす人たちの心のなかに抱えたものが伝わってくるようで・・・・。
そして、冬休み、リクは北海道への5泊6日の自然体験ツアーに参加する。
リクが最年長で4年生、3年生、2年生、1年生と各一人ずつ。
北海道では、大村さんという家で皆がホームスティ。
大村家にはおじさん、おばさんの他、司法試験を受けるため勉強中の洋一がいる。
大村家の人たちがとても温かい。
他の北海道の人たちの接し方にもリクは居心地の良さを感じる。
未来が不安とか放射能が怖いとか一言も言わず、子どもたちに同情もとくになく
がんばれも言わない。対等に扱ってくれるのがうれしい。
そして、北海道の山のなかで、自然の動物たちを見る。
夜、夢の中に知らない男の子が出てきてとても楽しく遊ぶ。
男の子と一緒に不思議な生き物がいる。「トンチ」というらしい。
リクが色々なことを経験しながら、成長していく姿がいい。
ファンタジックな部分もすてき。
福島の話って知っていて読んだけれど、今まで読んだその類の本とは違う。
特に何かを教えるものではなく、福島という地で暮らしている人たちの
ことを遠くから応援したくなる物語。
子どもにも読みやすい本だと思います。
多くの人に読んでほしいな。
★★★★★
発行年月:2001年4月
まもなく渋谷の街が抜ける、
精神病院への移送途中、逃亡した14歳の少年は、
霧雨に濡れるすり鉢の底の街に何を感じたのか?
知覚と妄想の狭間に潜む鮮烈な世界を描く傑作書き下ろし!
(幻冬舎HPより)
三部作だそうですが・・・
前の「コンセント」と「アンテナ」は未読です。
でもこれだけで十分面白かった!
主人公の佐藤ミミにとても好感が持てました。
両親を幼くして亡くし、父方の祖父母の元で幸せに成長し・・・
武道家でもあった祖父から、武道を学び、自衛官~看護師と職業を変える。
でもそこで得た技術はその後のミミの大きな力になっていくのが凄い。
文章に無駄がない。
一つ一つの出来事が全て後に繋がって行く。
そして、ミミは移送屋に。
精神的に異常だと周囲が認めた者から依頼を受けて、本人に接触し納得したうえで
病院や施設まで移送する仕事。
ある日、14歳の正也を移送中に脱走され、正也を探す。
正也とミミとの関係がいい。
正也のような人は、実際居るでしょう。
周囲からは異常者のような目で見られ、本人は、今いる世界から安心できる
居場所を求め苦しむ。時には暴力で抵抗したり・・・
ミミはそんな正也の存在から真正面から向き合い、会話を長く続けることが出来る。
精神科の患者さんとの向き合い方のような物も書かれている。
世間から偏見の目で見られる精神科疾患の人のことがこういう物語から
少し救われるといいな。
時間があれば三部作の前二作も読んでみよう。
★★★★★
発行年月:2014年10月
大災厄に見舞われた後、外来語も自動車もインターネットも無くなった鎖国状態の日本で、死を奪われた世代の老人義郎には、体が弱く美しい曾孫、無名をめぐる心配事が尽きない。やがて少年となった無名は「献灯使」として海外へ旅立つ運命に……。 原発事故後のいつかの「日本」を描いたデストピア文学の傑作!未曾有の“超現実”近未来小説集
(講談社HPより)
表題作が一番長い話ですが、5つの話が収録。
違う話ですが、全部、同じ世界観を色々な主人公たちで書いたかんじ。
恐ろしかったです。
原発事故後の日本がこんな風になったら・・・・と思うと。
表題作の<献灯使>は、100歳を優に超えた老人と暮らす曾孫の無名の話。
無名の母は、彼を産んだ3日後に息をひきとり、父親はそのショックからか
逃げだすように姿を消し行方知れず。
無名は優秀な子ども。
彼の能力を国際医学研究が分析し世界中の人々に役立てるため献灯使となることを
受け入れる。
彼のその後が気になるのだけど・・・その後の短編にその答えはあったのか???
その他の話
<韋駄天どこまでも>
<不死の鳥>
<彼岸>
<動物たちのバベル>
平成の時代がとっくに終わった時代の日本が描かれている。
それを読んでも不安になる。
著者は、ベルリン在住だとか。
なるほど・・・。
他所から見た今の日本の現状を憂い警告を示したものなのか?
★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;