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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年10月


第7回暮らしの小説大賞受賞作!
誰かに認められたい。でも自分は自分—
不仲な両親の間で、体と心が2つに裂かれるような痛みを味わう薫子。
性的違和を感じ、ある日突然セーラー服で登校し始めるクラスメイトの中鉢。
それぞれが抱える戸惑いに互いにシンパシーを覚え、
心友となった2人が見つけた「居場所」とは……。
 
暗闇の中、「ありのままの自分」を受け止めてくれる「居場所」を目指し、
遠くの光に向かって歩く。
14歳の揺れ動く心情を細やかに、そしてユーモラスに描いた、
心にあかりを灯すデビュー作。


                   (産業編集センターHPより)


幼い頃から自分の心は女の子と思ってきた中鉢章雄。
中学で近藤薫子と知り合う。
薫子は両親の不仲に加え、女の子らしくを求められることに反発している。


2人が感じている違和感は、正直、うまく理解できないけれど
そう感じて生き難さのなかでも日々の生活を送っている姿は、読んでいて辛い。
特に章雄の場合、父親に過度なしつけという名の暴力を受けている。
そんな親、捨ててしまえばいいと思うのだけど、そういう簡単なものでは
ないのだということも知り、益々、辛くなる。

保健室の竹茂先生は、良い先生だな。
薫子と先生の連携があって、章雄は、父親から離れて生きることが出来そう。
父親は自分の過ちに気づくのだろうか?


こんな風に自分の性に違和感を感じて生きている子が、身近にいたら
どう接したらいいんだろう?
わからない。
でも否定はしたくない、わからないけど、寄り添うことは出来るかな。
違和感を感じて悩んでいる子が、そういう自分の胸のうちを吐き出せる
場所が、それぞれにあるといいんだけれど。


章雄の場合、皆の前でカミングアウトしたけど、凄いな。
そして薫子という親友が出来たのも良かった。
2人の友情がずっと続くといいな。


いろいろ、考えさえられた。
皆がよむべき書だと思う。



                       ★★★★★

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発行年月:2019年5月


「思い出のとき修理します」シリーズの著者が贈る、優しくも愛おしい物語
忘れていた幸せの味、思い出してみて。
子供のころの記憶に苦しむOLや、父の再婚に悩む少女──
迷える人々の心を、絶品サンドイッチが癒やします。
大阪の靱公園にある『ピクニック・バスケット』は、
開店して三年を迎える手作りサンドイッチの専門店。
蕗子が、姉の笹子──笹ちゃんのこの店を手伝いはじめて、半年になる。
笹ちゃんは店を訪れた人たちの、具材への思いや記憶、
そして物語をやさしくパンにはさんで、誰が食べてもなつかしいような
新しいような、そんなサンドイッチをつくっているのだ……。
おっとりした姉としっかり者の妹、店を訪れる個性的な人々──
常連客の小野寺さんやパン職人の川端さん──が織りなす、優しくも愛おしい物語。


                   (角川書店HPより)



表紙の絵に惹かれて・・・・
表紙の絵の通り、ほんわか癒される物語でした(^^)


姉妹で営むサンドイッチ専門店。。
姉妹と言っても血のつながりはなく、再婚した両親のそれぞれの連れ子。
それでも姉妹はお互いを思いやっていて素敵な関係。


5つのお話には、ちょっとした謎があり、その真相を探る過程も楽しい。


たまごサンドって関西は厚焼き玉子が挟んであるのが主なんだ~。
わたしはゆで卵を潰したたまごサンドも両方、同じくらい好きだけどな。
甘い玉子焼きも塩味だけの玉子焼きも、どちらもそれぞれ美味しいと思うし・・・。


続編もあるようなので、また近いうちに読んでみよう。



                       ★★★



発行年月:2021年12月


75年の時を超えて発見された奇跡の日記文学――田辺聖子版「アンネの日記」
我が家の焼失、敗戦、早すぎる父の他界……。
すべてを失った彼女はそれでも、小説家への夢だけは諦めなかった。
2019年に惜しまれつつこの世を去った国民的作家・田辺聖子。
没後2年の今年、1945年から47年までの青春期を綴った日記が発見された。
記されていたのは、「大空襲」「敗戦」「父の死」「作家への夢」……。
戦時下、終戦後のままならない日々を、作家志望の18歳はいかに書き過ごしたのか。
月刊「文藝春秋」に掲載されるや、たちまち新聞・テレビ等で大反響となった、
田辺文学の源泉にして、一級の時代の証言。
雑誌未掲載原稿、中短篇4作を収録したほか、梯久美子氏の解説をはじめ、
注釈、年譜なども加えた完全版、ついに刊行。

                    (文藝春秋HPより)



田辺さんの小説は若い頃によく読んでいたなぁ~。
親しみやすい文章で好きだった。


そんな田辺さんの死後、見つかったという日記。
18歳のとき終戦の年の4月1日から書き始めている。
少女らしい日常の一コマから、段々と戦況が厳しくなり、空襲警報が鳴り
住んでいる町も甚大な被害を受ける(大阪大空襲)。


この頃は、日本各地で空襲の被害を受けているけど、大阪は7回も空襲を
受けていたとは、知らなかった!
リアルな空襲のあとの街の様子は、胸が痛くなる。
遺体があちらこちらに・・・
興味本位で見に行く様子も。
もう日常になってしまうと人の感覚も変わってしまうということなのか?
凄い恐怖を感じた。


若いころから小説家になることを夢見て、勉学に励もうとしていたのに
そんなことよりやらなけれはいけないことが出来てしまうなんて。



日記のなかにあったという短編
<蒙古高原の少女><公子クユクの死><ある男の生涯><無題>
も18歳でこの筆力は・・・と圧倒される。
日々の日記も結構長いし、本当に書くことが好きなんだなぁ~



この日記が世の中に出てくれたことに感謝!

また沢山の田辺さんの小説を読みたくなった。



                      ★★★★★



発行年月:2021年8月


播州高砂の漁師から身を起こし、豪胆な船乗りとして名を揚げ、時代を先取りする海商となった松右衛門。やがて千石船の弱点だった帆の改良に自ら取り組み、苦難の末に画期的な「松右衛門帆」を完成させて、江戸海運に一大革命をもたらすこととなる。あの高田屋嘉兵衛が憧れた、知られざる快男児を活写する長編歴史小説。
目次
第一章 金比羅船 播州高砂浦の巻
第二章 唐船 兵庫津の巻
第三章 千石船 浪華の巻
第四章 北前船 越後出雲崎の巻
第五章 異国船 恵土呂府の巻
第六章 蒸気船 鞆ノ浦の巻

                   (新潮社HPより)



名前は知らなかったけれど、凄い人だな。
ふつうの漁師から大きな船の船頭になるだけでも凄いと思うのに
どんどんと上を目指していく。

船をいかに早く正確に進めるかを考えて帆の改良に成功し、冬には無理だった
航海を成し遂げ北海道の先の地まで船を走らせ荷を運ぶ。


そんな男・松右衛門を支えた女たちも皆、魅力的だった。

最初の章では、まだ少年の松右衛門で牛頭丸と呼ばれていた。
体が大きく力持ちで、優しい。
蔵元の娘・千鳥との初恋。

その後船乗りになり湯屋で知り合った女中の小浪。
浪華(大阪)で知り合った鍛冶屋の娘・津弥(一回り以上年下)とは夫婦に。
そして越後出雲埼で知り合った八知とは仕事仲間に。


小浪、津弥、八知は、松右衛門を助けるためのチームみたいな関係だった。


帆に使われた布は、今もバッグなどになって残っている。
帆布のバッグは色々あるけど、ここが元祖なんだぁ~!

すごいな。こういう発明みたいなこともやって、大掛かりな港を造ることにも
尽力して、幕府から工楽(くらく)の姓を貰うのも納得!


知られていない(わたしが無知なだけ?)人の偉業を知れて
楽しかった!



                     ★★★★




発行年月:2021年4月


都会の白兎は何を食って生きているのか?
オオカミ県出身の俺は、ネットの書きこみに「オオカミ県の奴らはステーキを食うから田舎者だ」という悪口を見つけ、気になって東京に出てきた。俺の目に映った兎たちの姿とは? オオカミ県で起きるある事件とは? 苦みのきいたユーモアで現代社会を諷刺し、不思議さ、可笑しさ、不気味さをはらんで展開する物語を、美しく細密な銅版画絵で彩った、初の多和田葉子書き下ろし絵本。

                   (論創社HPより)



現在の日本のことを皮肉っているかんじで面白かった。

東京では、色々な動物が自分は兎と偽っていないと住めない。
昔は新聞でニュースをチェックしていたのに、今ではみんな「風の噂」と
いうウェブサイトでしかニュースをチェックしないので
どれが本当のことかわからない。


お偉いさんのいうことに犬みたいに尻尾を振っているわけにはいかない。
とオオカミ県出身の俺は思う。



うんうん、なるほどね。



これは大人の絵本ですね。

絵も凄く素敵。
銅版画家の溝上さんのほかの作品をもっともっとみてみたい!
絵本として、最高級!



                         ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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