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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年12月


2021年へ!時代を貫く親子三代の物語
 スミダスポーツで働く泰介は、認知症を患う80歳の母・万津子を自宅で介護しながら、妻と、バレーボール部でエースとして活躍する高校2年生の娘とともに暮らしている。あるとき、万津子がテレビのオリンピック特集を見て「私は・・・・・・東洋の魔女」「泰介には、秘密」と呟いた。泰介は、九州から東京へ出てきた母の過去を何も知らないことに気づく。
 51年前――。紡績工場で女工として働いていた万津子は、19歳で三井鉱山の職員と結婚。夫の暴力と子育ての難しさに悩んでいたが、幼い息子が起こしたある事件をきっかけに、家や近隣での居場所を失う。そんな彼女が、故郷を捨て、上京したのはなぜだったのか。
 泰介は万津子の部屋で見つけた新聞記事を頼りに、母の「秘密」を探り始める。それは同時に、泰介が日頃感じている「生きづらさ」にもつながっていて――。
 1964年と2020年、東京五輪の時代を生きる親子の姿を三代にわたって描いた感動作!前作『あの日の交換日記』が大好評!!いま最も注目を集める若手作家・辻堂ゆめの新境地となる圧巻の大河小説!!

                  (小学館HPより)



初めて読む作家さん。
何かでお薦めされていた「あの日の交換日記」も読みたいと思い、こちらも
図書館で借りてみた。



東京オリンピックが開催された1964年と二度目の開催となった2020年。
両方の年代を交互に物語が進む。


1958年、15歳の万津子は中学を卒業し、熊本から愛知県の紡績会社に集団就職。
そこでバレーボールをはじめ、仕事の後はバレー部の練習。
仲良しの友達も出来て充実した毎日。
18歳・・・見合い話が実家から。
相手は熊本大学の工学部を出たとか。
自分のような農家の貧しい学歴もない者には、勿体ないくらいの人だと
万津子自身も思ったが、話はとんとん拍子に進み、夫となった佐藤満の会社の
社宅で暮らし始める。

けれど、悲劇がここから・・・
満は、すぐに癇癪を起し、暴力も。
実家に帰りたいが母は「辛抱がたりない」と。
そして妊娠。生まれた泰介は夜泣きが酷く、成長すると益々、手が付けられないほど
の癇癪を起す。
次男の轍平より手がかかる。

2020年では、泰介が50過ぎ。
部署が変わり慣れない事務仕事でミスを繰り返したり、遅刻も多く
部署内では、なんとなく浮いたかんじ。
自分より年下の者が上司で、周りもみな若く仕事が自分よりも出来る。
そんな状況でいることに辟易している。

イライラを家に帰り、母の万津子に当たる。


泰介が、若い頃の満にそっくりだなと思った。
高校生の娘の一言で、ADHDのことを知った泰介が、少しずつ変わっていくのは
嬉しかった。
こんな風に自分から受診して治療を受けようとする人は珍しいかも。
でも、最後、母親に感謝の気持ちが持てるほどになって、良かった。


重たい話だったけれど、良い話だったな。




                   ★★★★

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発行年月:2024年4月


安徳帝は入水せず、三種の神器の剣とともに土佐山中に消えた」。伝承を信じて、後鳥羽上皇のため神剣探索の旅に出た忠臣・有綱。苦難の果てに帝一行が住み着いたという集落を発見するが、そこでは思いも寄らない運命が待ち構えていた。一人の若者の冒険と恋を通じて、日本史最大の謎に挑んだ著者新境地の長編歴史ロマン。


                 (新潮社HPより)



壇ノ浦の戦いから36年後。
幕府軍に敗れ、隠岐の島へ追いやらる後鳥羽上皇。
三種の神器の剣さえあれば、再び力を持てるのに・・・・という心があったのか?
上皇の愛妾である伊賀局(亀菊)からの頼みで、その神剣を探す旅に出る
小楯有綱。途中刀匠・長船暁斎の元を訪ね、その愛弟子・伊織も同行。

有綱と伊織の関係が最初はギクシャクしたものだったが段々と良き相棒に
変わっていく。
更にある里で出会った不思議な少女・奈岐が剣の在る場所を知ると申し出
同行。
3人の旅となる。
ここからは、冒険ファンタジーのようなかんじで楽しかった。
歴史も絡み、壇ノ浦の戦いで敗れた平家側の苦労などもよくわかった。

そして、後鳥羽上皇の苦悩も。

旅の結末は・・・・
上手い具合におさまった。
納得の結末。

有綱がある集落でであった可乃と良い関係になり、旅の終わったあと
再びそこに向かうのかな?というのもいい。

色んな要素(歴史、冒険、恋愛)が楽しめた。



                    ★★★★★



発行年月:2015年2月(単行本:2013年1月)


上総の貧しい農村に生まれたあいは、糸紡ぎの上手な愛らしい少女だった。十八歳になったあいは、運命に糸に導かれるようにして、ひとりの男と結ばれる。男の名は、関寛斎。苦労の末に医師となった寛斎は、戊辰戦争で多くの命を救い、栄達を約束される。しかし、彼は立身出世には目もくれず、患者の為に医療の堤となって生きたいと願う。あいはそんな夫を誰よりもよく理解し、寄り添い、支え抜く。やがて二人は一大決心のもと北海道開拓へと踏み出すが……。幕末から明治へと激動の時代を生きた夫婦の生涯を通じて、愛すること、生きることの意味を問う感動の物語。

                  (角川春樹事務所HPより)




関寛斎という名前は、本書で初めて知った。

医師としても立派に世の中のために働いたけれど、73歳でその全てを棄てて
北海道の開拓の道で歩み出すというのには驚いた。
最初は、妻・あいと離縁して、一人でいくつもりだった様子だけれど
妻は一緒に行かせてほしいと願い、ついていく。
結果、そのことで、結構な心労が重なり、あいは北海道の開拓地・トマムの地には
入らず、札幌の7男・又一の家で最期も迎えることになるのだが・・・・。

寛斎を手助けした濱口悟陵という醤油製造所を営む人物も今回、初めて知った。

この人も素晴らしい人物。
寛斎の志に感銘し、財政面での援助を厭わず自身の死後も息子にそれを
継続することを伝えていた。
この人物の存在がなかったら、寛斎はここまで多くのことを
成し遂げられなかったでしょう。

夫婦には、子どもが12人。
しかし、産まれてすぐ亡くなる者、幼児期に亡くなる者
ある程度、大きくなってから病気で亡くなる者と半分が亡くなっている。
けれど、残った子どもたちは、立派にそれぞれ成長し、開拓地では7男と甥っ子
が大いに手助けする。

あいもそんな様子を最期のときまで見守り、後悔はないでしょう。
凄い一生だな・・・・。
ただただ、感嘆!

大河ドラマを読んでいるような感覚。
高田さんの書はシリーズ「みをつくし料理帖」で知ったけれど、他にも
単発ものあるかな?
とても読みやすい。


                     ★★★★★



発行年月:2023年10月


小説と現実の境目が溶けはじめる、サスペンスフルな傑作
嘘だけど嘘じゃない、作家デビューの舞台裏!
「おいしいごはんが食べられますように」で芥川賞を受賞した高瀬隼子さんが挑む新たなテーマはなんと「作家デビュー」。
ゲームセンターで働く長井朝陽の日常は、「早見有日」のペンネームで書いた小説が文学賞を受賞し出版されてから軋みはじめる。兼業作家であることが職場にバレて周囲の朝陽への接し方が微妙に変化し、それとともに執筆中の小説と現実の境界があいまいになっていき……職場や友人関係における繊細な心の動きを描く筆致がさえわたるサスペンスフルな表題作に、早見有日が芥川賞を受賞してからの顛末を描く「明日、ここは静か」を併録。

                   (文藝春秋HPより)




芥川賞を受賞した高瀬さん自身の話なのかな?と思う。


バイトをしながら小説を書いている長井朝陽。
バイトは、駅そばの商業ビルの4階にあるゲームセンター(PAL)。
常に音が鳴っている職場。

今、書いている小説の主人公は、実に嫌なかんじの人。
その友達たちもなんだか最低なかんじで腹が立つ。

書いている小説と朝陽のバイト生活が交錯していて、途中
「あれ?これは小説のはなし?朝陽の現実のはなし?」と分からなく
なってくる。
まあ、これは著者が意図してやっていることみたいだけど・・・


しかし芥川賞みたいな賞を受賞すると作家さんは色々な苦労が出てくるんだなと
思った。
賞なんてとらず、誰も本人と気づかないペンネームで書いているくらいが
案外、居心地いいのかも。

誰でも知ってる賞をとれば、メディアにも取り上げられて、雑誌の
インタビューで過去のことなどを話したら
地元の人たちにも知られ、「あれは〇〇さんのことかも・・・・」なんて
妙な憶測が飛び交い、著者の思わぬところで傷つく人もいるとか。


実家の母親からもそんなことを聞かされ、恩師だと思っていた先生が訪ねてきて
苦情を言われちゃったり・・・・。


でも、そんなことを気にしているようじゃあ小説なんて書けないってことかな?


面白かったけど、ちょっと疲れた(精神的に)・・・(;^ω^)



                       ★★★★


発行年月:2007年8月


これが日本の恋愛小説の底力。
田辺聖子「最高傑作」3部作 復刊第3弾!
人は自分が愛したもののことは忘れても、自分を愛した人のことは忘れない。
結婚生活から「出所」して、ふたたび1人に。乃里子、ピッカピカの35歳。

                 (講談社HPより)



3部作というのは知らずに読んだけれど、面白かった。
主人公の乃里子(35歳)は離婚して一人暮らしを楽しんでいる。

女友達も、男友達もいて、元夫の中谷 剛も友達としてならいいかんじ。
なんやかんや言いながらも乃里子のことを心配してくれている。

イラストレーターの仕事も順調だし、乃里子には、この生活が合っている
様子。

でも、最後、親友の交通事故死は、辛かった。
突然、親友をなくすのは、ショックだよね~(/_;)。
そんなとき、元夫の剛がそばにいてくれたのは、感謝だな。


前作2つも機会があれば読んでみようかな~?



                     ★★★
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