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読んだ本の感想あれこれ。
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22e0cb88.jpg発行年月:2011年1月


夜の海で釣り上げた、貝のむき身みたいなもの。突起をそっと吸ってみると、とろりと甘い。

タイ訪問を機に執筆され、選考委員に絶賛された川端賞受賞作「トモスイ」ほか、アジア十カ国との交流から生まれた十篇を収める。台湾の小さな島から上海の路地裏へ、そしてモンゴルの荒野、インドネシアの密林まで。それぞれの土地に息づく瑞々しい匂いとやるせない思いを吸い込み、記憶の中の熱をはこぶ、アジアの物語たち。

                                             (新潮社HPより)


10篇の短編からなる本ですが、どの話も不思議なかんじでした。

最初の話は表題作の「トモスイ」。
なんのことだろ?トモスイって?
と先ずは興味を持ったのですが・・・ナンなんでしょう?

主人公の女性が、ユヒラさんと一緒に夜釣りに出る。
そして、トモスイなる物を食す話。
ユヒラさんと主人公の関係も不可解。
恋人というわけではなさそうだけど・・・・

そしてトモスイは、突起物と穴を持つ、魚類?
なんとも怪しい生き物。
その生き物を怪しい関係の主人公とユヒラさんが食す様子は、ホラ-っぽくて官能的。


短編集の最初からかなりのインパクト!!
そして、ほかの話も結構、奇妙だった。
舞台は日本に留まらず、アジア諸国を巡る。

著者がそれらの地を旅しながら書いたらしいけど、作家って凄いな。
こんな話が国が変われば、全然違う雰囲気で書けちゃうんだから。


どれも良かったけど、5編めの「唐辛子姉妹」が面白かった。
文字通り、唐辛子の姉妹が主人公。
絵本にでもしたら、面白いかも・・・・なんてちょっと思ったけど、一部ちょっと大人じゃないとわからない表現あったので、絵本にすると子どもには適さないか?^^;
唐辛子が赤くなる秘密が書かれていたわけだけど・・・・笑っちゃいました。

成長して、韓国レストランで客に食べられて終わるのだけど、最後の一行も好きでした♪


いろいろな思考で読めるお得な短編集でした!

★★★★★
 
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0a9fcd1a.jpg発行年月:2010年11月


世界でもっとも美しい愛と命の物語。
ぜったいに忘れないこと、それが運命への復讐。
講談社創業100周年記念出版

一緒に暮らそう、一生に1度の気持ちでそう誓い合った翌日、惨劇が襲った。日本中を悲しみで震撼させたバス転落事故に巻き込まれた男と女。……なにがなんでも、あの人に会いたい。強い気持ちで待ちつづけた時、信じられないような奇跡がおこる。
切ない気持ちの輝き、強い願いの果て、空と山がまじわる場所での感動の再会。


                                            (講談社HPより)

40年ほど前に実際に起きたバス転落事故が元になったお話だそうです。
物語は、バス事故のあった飛騨川周辺が舞台になっていて、そこに向かう主人公の女性・辰子の様子が描かれる。
家には夫がいるけど、会いに行く相手は、こちらも妻子がいる男性・芳ちゃん。

二人がある宿で会い、二人だけの時間を楽しむ。

途中まではよくあるダブル不倫の話。
でも・・・段々とこの男女の行く末がわかる。

二人は別れる。
そこには、男性が家族と共に巻き込まれた事故がある。

辰子は、芳ちゃんを思い続けて生きる。
が・・・夫との間には息子も誕生して・・・・


一人の人を思い続けて、その最期に再び会えたら、幸せでしょうね。
それが夫とは違う人というのが、ちょっと男性が読んだら気分悪いでしょうけど・・・笑

なかなかロマンチックな恋愛物語でした。

★★★

 
45fc5fb7.jpg発行年月:2009年11月


高校に入学したばかりの沙織はクラスメイトに「未来から来た」と告白される。
イケてなかった青春をやり直すのだ、と……。

せつなくもきらきら輝く、青春小説の大傑作!



                        (幻冬舎HPより)

27歳の未来から高校生活をやり直すために来たという孝子。
その告白を受けた友人の沙織。

27歳の孝子は無職。どこでこうなっちゃったんだろ?と思い高校生活がいけなかったんだ。
高校生からやり直したいと強く念じて戻ったと。
過去の高校生活での記憶があり、後悔したことをそうならないように別の行動をしてみたりする。
でも、戻った高校時代は、以前体験した時と全く同じわけでもなく・・・。

なんだか面白い話でした。

孝子から衝撃の告白を受ける沙織の気持ちの描写が面白かった。

父親が医者で将来、自分も医者になろうかという村山くんのお父さんの職場に同級生たちと職場見学に行った場面での孝子の発言は、高校生の発言でなく27歳の孝子の言葉だった。
やや乱暴な発言に対して村山くんのお父さんが言った言葉は、人生をやり直そうと思っている孝子には、ガツンと来た言葉だったかも。

そして、そんなやりとりを孝子の秘密をしる沙織が客観的に見ている場面が印象的だった。



孝子が再び27歳の世界に戻るのか?と予測しながら読んでいたので、最後もまだまだ高校生としての生活が続いていくだろうラストは、やや意外だったけど、面白かったから、まあ、いいか?^^;


27歳の孝子と同じく27歳の沙織や村山くん、大海くんの姿もちょっと知りたかったけどな~。


豊島さん、只今、休筆中だとか。
休養して、また新しい作品、読ませて欲しいです!

それまで、未読の過去作品をいろいろ楽しんで待つとしよう。


★★★
41b5e556.jpg発行年月:1997年1月


遊牧民のように京都に漂着し、留学生活を始めた僕は、対面朗読というボランティアを通じて、美しい盲目の女性・京子に出会い、恋に…。格調高くうたう官能的恋愛小説。第20回すばる文学賞受賞作。


                         (集英社HPより)


著者のプロフィ-ル
1962年、スイス、ジュネ-ブ生まれ。
ジュネ-ブ大学中退、同志社大学文学部卒。
1998年、テレビ朝日退社後、執筆活動に専念。


文章が綺麗。
読みやすく、外国の方が書いたとは思えないほど。

物語は、スイス人留学生が京都で大学生活(日本文学を専攻)を送るなかで、出会った盲目の女性・京子との恋愛を描いている。
かなり官能的な箇所はあるけれど、いやらしさはなく自然。

最後は、ちょっと切ないけれど、その途中にある二人の会話などは微笑ましく素敵。

京都というある意味特殊な環境で暮らす外国人が感じる戸惑いなどが随所に出て来て、なるほどそういう風に感じるんだ~なんて興味深かった。

そのひとつ・・・外国人を見つけると、わけのわからない英語(ヤンキ-・モンキ-・ト-ク)で話す日本人にはうんざりは、著者本人が感じていることかな?


盲目の京子との付き合いは、そういう戸惑いを感じさせない物だったけど、それは京子が盲目だったからかな?
性格的なものの方が大きい気がするけど・・・。


ほかにも幾つか出版されているようなので、ほかのものも読んでみようかな?

★★★
f42fc33c.jpg発行年月:2006年4月

なんにもない田舎で暮らす小学生センリ。
でも気になることは山ほどある。
クラスメイトとの微妙な距離感、となり町での発見、
垣間みるオトナの事情・・・・。
“明るい子ども”でいるため、言葉にできなかった7つの思い。

『檸檬のころ』で注目を集めた24歳の新鋭が、
新しい発見に満ちた日々とほろ苦い成長の過程を細やかに掬い上げる。

        
                                  (本の帯文より)

小学生・センリを一年生から六年生まで7つの物語で綴っていく。

最初の「入道雲が消えないように」では一年生の夏休みの出来事。
従兄弟の家族が泊まりで来る夏休みが待ち遠しいセンリ。
6年生の洸兄が好きなセンリ。
優しくて頼もしくて・・・・。
体の弱い妹・チエミのお守は、洸兄の姉・マリが相手をしてくれる。
その間だけは、チエミを置いて遊びに行ける。

でも、従兄弟の家族が帰れば、また姉としてチエミを思いやるセンリ。

自分にも弟がいるから、センリの気持ちがよく理解できた。
下に弟や妹がいる人だったら、共感できる気持ちがよく描かれていました(^^)

その後の物語も順番に学年が1つずつ上がっての物語。

登下校途中にあるビニ-ルシ-トの下の正体はナンだろ?と当時の事件と関連付けて怖がったり、昆虫にちょっと残酷な事をする男の子がいたり、虐められっこについて考えたり、仲良くなった女の子について他の子から「あの子は嘘つきだから・・・」と言われたり・・・・担任の先生がちょっといいなと思ったり、気になる男の子がクラスに出来たり・・・

自分の小学生時代にも似たような事あったなぁ~なんてついつい思い出してみた。

表題作「夜の朝顔」は、一番最後でセンリが小学6年生の話。
気になる男の子との微笑ましい、ちょっと切ないようなお話で一番、好きだな~。


豊島さんの物語、久しぶりに読んだけど、やはりいいな。
若い人に人気があるのは納得だけど、わたしぐらいの年代の人は若かった頃を思い出せて
また違う楽しみ方が出来ると思う!

最新作は図書館にて予約中♪
早く読みたいな~。


★★★★


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