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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2024年4月


昼と夜で、一つの身体を共有する茜と咲子。
しかし「昼」が終わりを告げたとき、予想だにしなかった「夜」の真相が明かされる。
この物語には、二人の「私」と、二つの「真実」がある――。


                   (中央公論新社HPより)




今回も終盤で「え?そういうこと?」という真実がどんどん明かされていった。


<第一部昼のはなし>では、交通事故で両親を亡くし祖父母に育てられた
高校3年生の鈴木茜が、近所のおばさんに連れられて
10代の頃、交通事故で両親を亡くし、自身も頸椎損傷により首から下が麻痺して
人工呼吸器で命を繋いでいる厚浦咲子(29歳)と知り合う。
二人は気が合い、その後、茜は咲子の元へ時々、通う。


<第二部夜のはなし>では、茜のもう一人の人格・サキ(咲子が名付けた)と
咲子の話が主に。


昼のはなしで語られた茜と咲子の話は、微笑ましいエピソードが多かったが
こちらはややダーク。
茜は素直で優しい子だけれど、サキはもう少し、精神的に大人なかんじ。
考え方もドライなかんじだけれど、そのため、咲子も本来の自分の姿をさらけ出し
易かったのかも。



茜の両親の事故と咲子が関わった事故は、おなじものだということがわかり
そこには隠された真実があった。

咲子の高校時代の友人・保谷奈々美と咲子の高校時代の先輩で付き合っていた
鎌田朋哉との話でそれがわかってくる。

茜も二人には会うのだけど、真実を聞き出すのはサキ。



後味は良いとは言えないものだけれど、面白かった。
咲子はサキに会えてよかったのかな?
忘れていた真実を知ることを望んでいたのだから、良かったのか・・・。
読み終えた後も少し、余韻が残った。


今回も楽しませて貰えた。



                        ★★★★


昼のはなしでは、茜
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発行年月:2023年11月


祖母が守りたかったもの、それは?
瑞ノ瀬村に暮らす佳代、千代、三代の三姉妹は、美しい自然の中をかけまわり元気に暮らしていた。大切な人が戦地から帰ってくる日も、村中から祝われながら結婚式を挙げた日も、家で子を産んだ日も、豊かな自然を讃えた山々の景色が、佳代たちを包み込み、見守ってくれていた。あるときそんな瑞ノ瀬村に、ダム建設計画の話が浮上する。佳代たちの愛する村が、湖の底に沈んでしまうという。佳代は夫の孝光とともに懸命に反対運動に励むが──。
 定年退職まで営業部で忙しく働く佳代の娘・雅枝と、海外留学先であるイタリアで「適応障害」になり、1ヶ月と少しで実家に帰ってきてしまった孫・都。湖の底に沈んだ瑞ノ瀬への想いはそれぞれにまったく異なっていた。
 大藪春彦賞受賞、吉川英治文学新人賞ノミネートなど、いま最注目の若手作家・辻堂ゆめの最新刊! 都市開発や自然災害で、瞬く間に変わりゆく日本の古き良き故郷(ふるさと)の姿。私たちが得たものと失ったものは、一体何なのか。若き作家が三世代の親子の目を通じ、変わりゆく日本の「故郷」を壮大なスケールで描いた感動作。

                      (小学館HPより)


最近、よく読んでいる作家さん。
これも素晴らしかった。

孫、娘、祖母の順に語り手が変わり、時代を遡っていく。

最初は大学生・都の物語。
大学3年生を休学して、憧れのイタリアに1年留学のはずが、海外の生活
人間関係、言語、すべてがうまくいかず適応障害になって留学からわずか1か月少々で
帰国。
近くに一人で住む祖母の元にいくことで、何とか気持ちを保っている


次はバリバリ仕事をしている雅枝。
夫は元部下だが今は専業主夫。
優しすぎる性格故、仕事場のストレスから精神が参ってしまった。
寡黙で何を考えているのかわからない夫。
行く先が不安な娘のことなどで、ついつい家では不機嫌になってしまう。

最後は、ダムに沈んだ村・端ノ瀬村への想いを持ち続けた佳代の話。
夫の孝光とは同い年で、ほぼ毎日、一緒に遊んでいた。
2つ下の妹・千代。まだ幼い三代は佳代が背中におんぶして。
孝光も弟の茂則をおんぶして競争したり・・・。
やがて孝光と佳代は結婚。戦争があり孝光も出兵するが無事、帰る。
千代が戦後すぐ結核で亡くなる。

端ノ瀬村にダムが出来る話が出て来てから、そんな幸せな光景が一変してしまう
のが辛かった。
多くの人が最初は建設反対を訴えていたけれど、時間が経つと国の補償金と今の暮らしを
比べ補償金を貰うことの方が将来的には良しとする者が増えていく。
反対を続ける佳代と孝光を邪魔者扱いする者も。
どんな状況になっても夫婦の気持ちはひとつ。
けれど、ある日、孝光は置手紙を残し、村から姿を消してしまう。

これは納得できなかったな・・・。
佳代が気の毒過ぎて・・・・(/_;)


前の娘の雅枝の話で、父親のものかもしれない骨と腕時計が出てきたという話の
その腕時計の話がまだ二人が希望を捨てていなかった頃の話で出て来て
泣けた・・・・(/_;)

佳代の覚悟もすごいもので、そこまでそこに居続けることは夫をそこで待ちたいと
いう思いだったのかな?
諦めて、違う土地で、娘や孫と穏やかに暮らす方が幸せのような気がするけれど
それは他人が思うことで佳代にとっては、そうすることが一番大事な
ことだったのかもしれない。


重たい話だったけれど、行き詰まりのようだった都と雅枝のこの先が少し
明るいものになりそうなかんじになって、ホッとした。


まだ若い作家さん、これからの作品にも期待!



                       ★★★★★




発行年月:2022年12月


第169回直木三十五賞候補作
『ジェノサイド』の著者、11年ぶりの新作!
マスコミには決して書けないことがある――
都会の片隅にある踏切で撮影された、一枚の心霊写真。
同じ踏切では、列車の非常停止が相次いでいた。
雑誌記者の松田は、読者からの投稿をもとに心霊ネタの取材に乗り出すが、
やがて彼の調査は幽霊事件にまつわる思わぬ真実に辿り着く。
1994年冬、東京・下北沢で起こった怪異の全貌を描き、
読む者に慄くような感動をもたらす幽霊小説の決定版!

                 (文藝春秋HPより)




表紙が怖い。

幽霊の話?ホラー?
ホラーは苦手なので、恐る恐る読み始めた・・・・(^^ゞ


最初からホラー感・・・ドキドキ( ノД`)
でも、段々、怖さより、幽霊になった女性のことが知りたくなって読み進める。

踏切のそばで亡くなった女性は、何者かにその近くの小屋で刃物で刺され
絶命する前に自力でその場に辿り着いた。
なぜ、殺されなければならなかったのか?苦しみのなかで必死にそこまで
移動したわけは?


女性が殺された背景に大物政治家の黒い疑惑がある。それを暴こうとする
雑誌記者・松田法夫。元は新聞記者。新聞記者時代の顔見知り刑事・荒井から
情報を得ながら女性殺しの真相に迫っていく。
そのなかで、被害女性のことを知る者を見つけ、話を聞き、女性自身のことに
のめり込んでいく。
このままもしかして、憑かれたりしないかな?と心配になった。

女性を刺した男は最期まで怯えていたけれど、なんで?


が、急に霊媒師が現れるという展開になり、ややがっかり・・・。
ま、真相を知るのは手っ取り早いか?


女性は大物政治家の愛人だったゆえに殺されたみたいだけれど、
無口で暗いという元同僚の話などから、殺す必要あるかな?
社交的で、口が軽い女性なら、口封じしたというのもあり得るけれど・・・


幽霊になった女性の心情を考えて切なかった。
最後は、無縁仏としてでなく、母親の元に帰ることが出来たのかな?
松田がその辺りを働きかけてあげて・・・
母親が帰って来た娘の名前を呼ぶとか・・・
そういうラストを期待したんだけれどな~。


読み物としては、面白かったけれど、ちょっと自分としては腑に落ちないな



                       ★★★



発行年月:2023年1月


「こんなはずじゃなかった」。進路を断たれた高校生、恋人と別れたばかりの青年、ワンオペで初めての育児に励む女性……。市役所に開設された「2020こころの相談室」に持ち込まれたのは、切実な悩みと誰かに気づいてもらいたい想い、そして、誰にも知られたくない秘密。あなたなりの答えを見つけられるよう、二人のカウンセラーが推理します。
明日への一歩のために、私たちは心を映す鏡になればいい。本当も噓も映し出す鏡に。

                 (光文社HPより)


最近、気にって読んでいる辻堂さん。
今回も楽しかった。

コロナ禍、生活が一変し、追い詰められた状況に陥った人たちが相談室に
訪れる話。

市役所が開設した相談室なので、無料。
段々と口コミ的に評判が広がり、最初は閑古鳥が鳴いていた相談室も予約制に。

相談室を担当する2人の人柄がいい。
臨床心理士の晴川あかり(20代後半~30代?)と
認定心理士の正木昭三(60代半ば~70代?)。

問題がその場で解決しなくても、こういう人たちに自分の不安や不満を吐き出す
だけで、かなり心理的には良いんじゃないかな?と思う。

<第一話 白戸ゆり(17)>将来の夢を失った
就職希望だったがコロナ禍で希望する接客業の求人が激減。
合唱部の最後の大きな大会も中止。
大好きだった祖母が亡くなったがお見舞いもお別れも出来なかった。


<第二話 諸田真之介(29)>婚約者を失った
婚約者の彼女と口論になる。
彼女は看護師で、コロナ禍の今は、仕事を一旦辞めてほしいと言ったことから
別れることに


<第三話 秋吉三千穂(38)>幸せな未来を失った
初産で入院したが、コロナ禍で夫の立ち合い出産は叶わなかった。
しかも仕事で忙しいと夫は産後も見舞いに来ず、出産から1か月経って
やっと家に来た。
一人での子育てに四苦八苦している間、夫が不倫していたことがわかり
別れることに


<第四話 大河原昇(46)>人間の尊厳を失った
建設作業員として働いている。
コロナ禍まではネットカフェで寝泊まりして気ままな生活を楽しんでいたが
店が閉店し寝る場所がなくなりホームレス生活。
公園で寝ていると不良の集団に嫌がらせをうける。
最近、その仲間の一人らしい男が夜、公園に現れ、自分を観察しているのが
不気味でしかたない


<第五話 岩西創(19)>
父親と暮らしている。
大学に入学したが授業はオンライン
高校までの生活が大学では変わると思っていたのに・・・



話の最後に、それぞれ晴川あかりが謎解きをする。

第一話の白戸ゆり・・・高校で発生したクラスターは所属していた合唱部からでは?
そして、ゆり自身も感染し、祖母に感染してしまったのでは?

第二話の諸田真之介・・・看護師だったのは自分で、恋人に仕事を辞めてといわれた。

第三話の秋吉三千穂・・・三千穂が不倫相手側。夫であると言った男性は妻との離婚話に
奔走していて、やっとその見通しがついたのでは?

第四話の大河原昇・・・建設現場で働きながらネットカフェで寝泊まりというが
それはかなり金銭的な無駄使い。ほかに収入を得ていたのでは?
商店街の防犯カメラの位置に詳しかったのは、すりをしていたからでは?


第五話の岩西創・・・大学生と言っていたが、話に矛盾が・・・本当は二浪している
浪人生なのではないか?


謎解きが必ずそうとは言えないけれど、なるほどと思う箇所もあり面白かった。
人は知らない人にでも自分を少しよく見せたいという思いがあるのはわかる。


第一話の白戸ゆりと第五話の岩西創は兄妹だった。
両親が離婚して苗字が変わり、別々に暮らしているけれど、仲は良さそう。
建設作業員の大河原と岩西創の関わり方も面白かった。
大河原が犯罪者というのは、ちょっと嫌な想像で、そうでなければいいのにな。



                     ★★★★



発行年月:2020年4月


「辻堂ミステリの最高傑作であり真骨頂。本書で秘密を解くのは探偵ではない。読者である」先生、聞いて。私は人殺しになります。お願いだから、じゃましないでね?(「教師と児童」)わたしだって本当の気持ちを書くからね。ずっと前から、ムカついてた。(「姉と妹」)嘘、殺人予告、そしてとある告白……。大切な人のために綴られた七冊の交換日記。そこに秘められた、驚きの真実と感動とは?――この緻密な仕掛けを、是非読み解いてください。

                  (中央公論新社HPより)



先に読んだ作品より、こちらは明るいかんじでよかった。

最初の話<入院患者と見舞客>は
10歳(小学4年生)で白血病の治療のため入院中の愛美とそこに訪れて愛美と
交換日記を交わす先生の話。
愛美は快方に向かい退院し、小学6年生で学校に通い始める。

以後、色々な交換日記の話が続くのだけど、
それらがどれも感動的。
読んでいくと、最初の登場人物2人と関わりの在った人たちの話なんだと気づく。


愛美は大人になり小学校の先生になって、担任になったクラスの子どもたちと
交換日記をしていく。
2番目の話<教師と児童>は、大杉寧々香を殺したいと思いますという児童の
衝撃的な告白。
交換日記に対しても否定的。
そんな児童があることを機に変わっていく話。
以下
第三話 姉と妹
第四話 母と息子
第五話 加害者と被害者
第六話 上司と部下
第七話 夫と妻


ネタバレ・・・自分の覚えかき

第一話の愛美と交換日記をしていた先生は、入院中の子どもの勉強をサポートする
先生・坂田小百合。
51歳の時、孫のさくらとすみれとの散歩中に孫をかばって交通事故死。
事故の加害者は飲酒運転だった。そしてその助手席に乗っていたのが
第五話の加害者・礼二。
礼二は坂田の直接の加害者ではないが、見舞いに訪れ、坂田と交換日記を
していたが坂田が脳内出血により亡くなったと知り、命日には事故現場に花を持って
訪れていた。
そんなある日、出会ったのが愛美。
二人は言葉を交わしやがて結婚。
礼二は坂田と会う時は、「伊吹」として会っていたが、加害者の名前を使っていた。
本名は「葉山礼二」。


色々なしかけがあり伏線がのちに判明する。
途中、事故死したのは愛美?と勘違いした・・・(^^ゞ

この著者の本は、過去の作品もこれからの作品も全部、読みたい!!



                     ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

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