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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2005年11月


 禁断の恋。懊悩。ホロコースト。孤独な少年の夢想が残酷な過去を掘り起こす。

父と母は何か隠している……。ひとりっ子で病弱なぼくは、想像上の兄を作って遊んでいたが、ある日、屋根裏部屋で、かつて本当の兄が存在していた形跡を見つける。両親の秘密とは何か。ナチスによる弾圧と虐殺のはざまで、二人に何が起ったのか。一九五〇年代のパリを舞台にした自伝的長編。高校生が選ぶゴンクール賞受賞作。

                     (新潮社HPより)




スラスラと読めました。

ナチスによるユダヤ人迫害の物語ですが、淡々と描かれていて、読むのが苦しくなる
ような描写は少ないのです。
けれど、それを体験した家族のことを考えると何とも言えない重たいものを感じます。

この物語は、著者人の自伝書。
物語の主人公・フィリップは著者自身。

パリで両親と暮らすフィリップ少年。
両親は鍛えられた筋肉を共に持ち、スポーツ用品の専門店を営んでいる。
けれど、少年は病弱でやせっぽち。
幼いころから、兄のいる友人たちが羨ましく、一人っ子の自分にも兄がいたらいいなと
想像上の兄がいつも一緒であるという雰囲気を感じながら生活する。
けれど・・・ある日、母と一緒に屋根裏部屋に行き、思わぬ発見をする。

両親が結婚するまでのこと。
そして、驚くことに、自分には本当にかつて兄がいたということ。
15歳で大抵の両親の秘密を知ることになる。


成長した少年は、大学生になり、かつての両親のそれぞれの妻と夫(ふたりは姉弟)
のことを調べる。
記録名簿を閲覧して、強制収容所に送られた人の名前や登録番号、列車で送られた先、
収容所への到着の日付、そして生き延びられなかった場合には亡くなった日付を
知ることができるとか。
それによって、かつて存在した兄とその母親(かつての父の妻)はポーランドのガス室で
殺害された事実を知る。


それを知ったときのフリップの気持ちは、どんなだったろう?

あまり自分の感情を出さずに進む物語で、そのあたりは読者が想像するしかないけれど
それゆえ、余計にいろいろな物が胸に迫ってくる。


読み終えて、この表紙の写真、幼い男の子が、何やら会話しながら狭い路地を
行く姿を見たら、堪らない気持ちになりました(/_;)


                        ★★★★★

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発行年月:2000年12月


妹にしか見えない大切な友だち ポビーとディンガン。
行方不明になったふたりを懸命にさがす兄と町じゅうの人々が
おりなす小さな奇跡。
せつなくて、あたたかくて、いとおしい。
世界一かわいくて、けなげな兄と妹の物語。

                 (本の帯文より/アーティストハウス)



図書館棚から借りて来た本。
表紙の絵が可愛かったので・・・。

お話の舞台は、オーストラリアのパールの採掘場がある街。
父親のレックスは一攫千金を目的に、この街に家族とともに引っ越して来て、
毎日土埃にまみれながら鉱山でオパールを探す。


ああ、オーストラリアに新婚旅行に行き、お土産に、オパールのイヤリングを
母に買ったっけ・・・なんて思い出したりして読みました。



表題のポビーとディンガンは、8歳の妹・ケリーアンにしか見えない友達。
兄のアシュモルはいつもそれをバカにしていたけれど・・・
行方不明になった友達を心配し、段々と衰弱していく妹の姿を見て
自分が見つけ出して、妹を元気にしてあげなきゃ!と
実際に探し回り、町じゅうの人たちにも協力を求める。

このアシュモルの姿が健気で泣ける(/_;)。


そして起きた奇跡!
それで、ハッピーエンドになるかと思えば・・・・。


なんと切なく温かい物語なんでしょう。


調べていたら、これ映画化もされてるみたい。



ちょっと興味あるので、機会があったら見てみよう。


                             ★★★★ 



発行年月:2000年4月

時は中世。公国の若き領主に仕えてきた老摂政が亡くなった。将来を案じた彼が遺していったとっておきの秘策、それが飼い猫ニフィのことだったとは! 賢い猫はやがて“摂政”として敏腕ぶりを発揮。領主の恋に政治的陰謀が絡まりだすとき、隠れ摂政ならどんな妙手を繰りだす? 『歌う船』や〈パーンの竜騎士〉で知られる現代SFの女王が贈る、猫ファンタジイの逸品。訳者あとがき=赤尾秀子

                  (東京創元社HPより)




図書館棚から表題に惹かれて借りて来ました!

表紙の絵も可愛いし・・・。


猫のニフィが大活躍のファンタジーでした!
時代は中世ということで、どこかおとぎ話の雰囲気。

黒猫・ニフィは、エスファニア公国のジェイマス五世の摂政・マンガンが可愛がっていた猫。
マンガン亡きあと、若き領主・ジェイマス五世の元で彼を助ける。
猫なのに、人間以上の献身ぶり。

表題は『だれも猫にはきづかない』 なのに、誰からも愛されているニフィ。

でもその表題の意味が最後にわかった!
なるほど。。。気づかないのは、悪者でしたね。


悪巧みのモーリティア王妃をニフイ1匹でアッと言う間に退治しちゃうんですから
凄いわ~。


著者の経歴で、猫を七匹と暮らしているとありました。
ああ、猫好きな著者だったんですね~。

偶然、手に取った本ですが、猫好きのわたしには、ツボでした!!


                          ★★★★★



発行年月:2013年9月


 初心者も安心の素朴な恋物語、上級者ならではの屈折した恋愛...恋をテーマに現代作家の作品をセレクト。訳者書下ろしの「恋するザムザ」を加えた全10短編収録。恋愛甘苦度表示付き。

                    (中央公論新社HPより)




「愛し合う二人に代わって」・・・マイリー・メロイ

「テレサ」・・・デヴィッド・クレーンズ
「二人の少年と一人の少女」・・・トバイアス・ウルフ
「甘い夢を」・・・ペーター・シュタム
「L・デパードとアリエット---愛の物語」・・・ローレン・グロフ
「薄暗い運命」・・・リュドミラ・ペトルシェフスカヤ
「ジャック・ランダ・ホテル」・・・アリス・マンロー
「モントリオールの恋人」・・・リチャード・フォード
「恋するザムザ」・・・村上春樹



10の恋愛小説。それぞれ面白かった。

最初の話「愛し合う二人に代わって」は、ロマンチックで印象的。
代理人結婚を引き受ける男女のその後。
アメリカでの9.11その後のイラク侵攻など時代背景もありながら・・
代理人結婚ってこういう時代ならなんだかわかる気もするな。

あと、印象に残ったのは
「二人の少年と一人の少女」。
表題そのままの少年2人と少女の関係。
いわゆる三角関係というものですが、3人は仲良しで、一組のカップルと行動を
いつもともにするもう一人の少年の気持ちが切ない。


「L・デパードとマリエット・・・」は、え?そういう展開?と意外性が
面白かった。43歳の元水泳オリンピック選手と16歳の車いすの少女の物語。
少女の印象がどんどん変化するんです!


ほかの作品もそれぞれ良かった!


でも最後の村上氏の「恋するザムザ」は、正直・・・う~ん。よくわからないな。
カフカの「変身」をベースにしたらしいけれど、そのベースにした作品を
良く知らないからいけないのか??
編訳の前の作品たちの方が面白かったな・・・・あくまでも私的に・・・・^m^

しかし、この本1冊としては、とても楽しめた♪


                           ★★★★



発行年月:2013年11月


 撮影現場から姿を消した人気女優と、あとを追うベテラン俳優。よみがえる禁断の恋の記憶――。

最愛の娘を失った老俳優と、今をときめく人気女優の、奇妙な逃避行。その途上で彼の脳裏によみがえるのは、友人の母親との禁断の恋の記憶だった。二人きりで過ごした短い時間があんなにも光に満ちていたのは、なぜだったのか? 数十年の後、その手がかりが不意に明らかになる――。ブッカー賞、カフカ賞受賞作家による最新長篇。

                     (新潮社HPより)





年老いた俳優の男性が、自身が15歳のときの恋を回想しながら
現在の話も進む。

15歳で親友の35歳の母親と肉体関係を持つって、ちょっと気味悪いんだけれど
文章が綺麗なので、嫌なかんじはしない。

そして、現在の話は、映画出演の話が舞い込むが、共演する人気女優が撮影を
放り行方をくらます事態に巻き込まれていく。

主人公の老俳優は10年前に娘を亡くしている。
娘は27歳だったが、精神的に弱っていたのは父親も知っていた。
そして、死後、娘は妊娠していたことに更なるショックを受ける。
妻のリディアは、娘の死を未だ受け入れられずに苦しんでいる。


娘のことを救ってやれなかった事で、人気女優の抱える問題を解決するために
何とかしたいと思ったのかな?

親友の母親・ミセスグレイのその後のことが終盤に明かされ、
息子の親友と、ふつうなら考えられない行動を起こしたわけが明かされる。
切ないな・・・(/_;)


ラスト、精神的に追い込まれていた女優を、再び、撮影現場に戻す力を与えたのが
リディアであったことが、嬉しい。
これを機にリディアの喪失感が今後、薄れていくといいな。

内容的には、前に誰かの小説で読んだような話(15歳のときの思い出話はシュリンクの「朗読者」を思い出すかんじでした)でしたが、文章が巧みで美しい。

強烈な思い出が生きて行くうえで蘇ってくるなんて経験、わたしにはないけれど
ふと、した瞬間に過去の何でもない情景を思い出す瞬間は誰にでもあるでしょうね。

なんだか、この表紙の絵も素敵。
穏やかな未来がこの、道の先に開けていそう。


                            ★★★
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