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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年11月

輸血を拒む少年と、命を委ねられた女性裁判官。深い余韻を残す長篇小説。

法廷で様々な家族の問題に接する一方、自らの夫婦関係にも悩む裁判官の元に、信仰から輸血を拒む少年の審判が持ち込まれる。聡明で思慮深く、しかし成年には数か月足りない少年。宗教と法と命の狭間で言葉を重ねる二人の間には、特別な絆が生まれるが――。二つの人生の交わりを豊かに描きながら重い問いを投げかける傑作長篇。

                   (新潮社HPより)



ああ、余韻が残る物語。
さすが、マキューアン!!


エホバの証人を信仰する両親を持つ17歳の少年・アダム・ヘンリ。
白血病で輸血をしなければ死が迫る状況だが、信仰により輸血を拒否。
本人も輸血を拒否すると答えるが、フィオーナは輸血は合法であり
彼の生命は彼の尊厳よりも価値があるとして、医療側の行為を認める判決を下す。

少年は、それにより命を取り留め、快復し退院までする。
ここまでは、めでたい物語。


しかし、ここからが物語の核心。
少年は、命を救ってくれたフィオーナに特別な感情を持ち、彼女を訪ねて来る。
自分をそばで暮らさせて欲しいとまで言い、フィオーナ自身も彼に年齢を超えた

好意を一瞬抱く。

少年の知的で無垢な一生懸命な物言いは、とても魅力的。
自分を必要としてくれる少年に誰でも同じ状況になったら心が揺れるかも。

でも、聡明な女性・フィオーナは彼を拒絶する。
当然といえば、当然なんだけど・・・それが、後に彼に悲劇的決断をさせた?
と思ったら、たまらない。

哀しい。

なんて哀しい物語なんだろう。


                        ★★★★
 
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発行年月:2004年9月


 何が起こっているのか知らないほうがいい。自分もその謎を作りあげた張本人なのだから――。欧米各国で絶大な賞賛と人気を得た、不条理で物語にみちた新ロシア文学。

恋人に去られ孤独なヴィクトルは売れない短篇小説家。ソ連崩壊後、経営困難に陥った動物園から憂鬱症のペンギンを貰い受け、ミーシャと名づけて一緒に暮らしている。生活のために新聞の死亡記事を書く仕事を始めたヴィクトルだが、身辺に不穏な影がちらつく。他人の死が自分自身に迫ってくる。ロシアの新鋭による傑作長編小説

                        (新潮クレストブックHPより)



売れない小説家・ヴィクトルは、動物園から譲り受けたペンギンのミーシャと
暮らしていた。
そして、ある日、編集担当者・ミーシャから暫く娘を預かって欲しいと頼まれ
4歳のソーニャを預かる。
警察官・セルゲイと親しくなり、彼の姪であるニーナがソーニャの保育係を
引き受けてくれて・・・・
段々と家族のような雰囲気になる。
この辺りまでは、なんだか微笑ましいかんじでした。

ペンギンのミーシャも喋らないし自己主張なしだけど、存在感あって可愛いし。

でも段々と周りの人たちが事件に巻き込まれ、自身の身の危険を感じるヴィクトル。


そして、ラスト、ヴィクトルの下した決断にビックリ!
本気か?

この後のペンギンのミーシャやソーニャ、ニーナはどうする???

他にも謎がいろいろ。
だけど、十分に楽しめた。

物語の雰囲気がすごく良かった!
続編があるみたいだけど、翻訳されているのかな?
後で探してみよう。


                          ★★★★



発行年月:2015年10月


 ポール・オースターが絶賛した『インディアナ、インディアナ』(朝日新聞出版、2006)につづく、柴田元幸が翻訳を熱望するレアード・ハントの長編翻訳第二弾。南北戦争以前、ケンタッキーの山の中に住む、横暴な男。そこに騙されて連れてこられた一人の女性が二人の奴隷娘たちと暮らし始めると……。雲の女王になった話、黒い樹の皮の話、濡れたパイだねの話、タマネギの話など、密度の濃い語りですすむ、優しくて残酷で詩的で容赦のない小説。

                    (朝日新聞社出版HPより)




1960年頃、14歳で母のまたいとこである男・ライナス・ランカスターの元に嫁いだジニア。
そこには黒人の姉妹、ジニア(12歳)とクリオミー(10歳)が居て、奴隷とて
男の農場の豚の世話やら家事をしていた。
ジニアは最初、年が近い姉妹と本当の姉妹のように遊んでいたけれど・・・
あることを境に、姉妹に対して折檻する立場に。
そしてジニ-は夫に支配されるという日々。

過酷な状況で、精神的に参ってしまうジニアだったんでしょうけれど、姉妹に
とっても過酷さは同様。

姉妹のほかにも、ライナスに仕える奴隷がいて、アルフィブラスが時々
語る話は面白かった。
が・・・・彼もライナスに暴力を振るわれ、そのために命を落とす。


物語は、語り手が変わって行く。

奴隷として居た家から姉妹で逃げ出した姉妹のその後を語る姉のジニア。
時は50年後。
逃げ出してから姉が産んだ息子のプロスパーと共に、再び50年前に居た場所を
訪れる。
ジニーに会うため。

救いは、ジニーも家から出た後、優しい雇い主・ルーシャス・ウィルソンの元に身を寄せ、
穏やかな暮らしを迎えられていたこと。


物事の分別もつかない少女・ジニーが奴隷たちにした仕打ちは許されないけれど
彼女もまた被害者で弱い立場の者を力で押しつけて支配する男に腹が立った。

表題の意味は深い。

この時代、同じような優しい鬼が、たくさん居たんでしょう。


訳が巧いのか、読みやすかった!
同じ著者で同じ訳者の「インディアナ・インディアナ」もそのうち読んでみたい。


                          ★★★★★



発行年月:2015年6月

 中庭のあるアパートに住んでいる子供たちが出会った奇跡。六つの物語からなる大人のための絵本。

遠縁のおばあさんに引き取られた、けなげな孤児の姉妹の話…「キャベツの奇跡」、ほとんど目が見えない時計職人の曾祖父が、孫娘にしてやったこと…「つぶやきおじいさん」、いじめられっこのゲーニャのために母がひらいた誕生会で起きた思いがけない出来事…「折り紙の勝利」等六篇。静かな奇跡に満ちた、心揺さぶられる物語集。

                   (新潮社HPより



6つの短編から成るが、最後の話で、みなが再び登場。
旧ソ連時代の人々の暮らしぶりも垣間見れる。

子供たちは、孤児になって、おばあさんに引き取られていたり、たいていの子供には
父親が居ない。
多くは戦争で亡くなったりしていて、どの家庭も貧しい。
そんな生活のなかでも、人と人のふれあいの中で微笑ましい場面があって
温かい気持ちにもなれた。

特に最後の話<折り紙の勝利>は、虐められっこの少年・ゲーニャの誕生会を
開いたお母さんの思惑通り、皆がゲーニャのことをバカにするどころか注目の的に
なって楽しいひと時を過ごすことが出来て良かった!

友だちと仲良くしたり、家族と笑い合ったり出来る日常の大切さを
感じさせてくれた気がする。

絵もユニークで良かった。


                       ★★★★★



発行年月:2014年8月


 若くして命を落とした弟。身重の妻と結ばれた兄。

過激な革命運動のさなか、両親と身重の妻の眼前、カルカッタの低湿地で射殺された弟。遺された若い妻をアメリカに連れ帰った学究肌の兄。仲睦まじかった兄弟は二十代半ばで生死を分かち、喪失を抱えた男女は、アメリカで新しい家族として歩みだす――。着想から16年、両大陸を舞台に繰り広げられる波乱の家族史。

                 (新潮社HPより)




著者はロンドン生まれだけど、両親はカルカッタ出身のベンガル人だそう。
幼少期に渡米し、この物語の舞台でもあるロードアイランド州で育ったらしい。
きっと彼女の生い立ちが、この物語に影響されているんだろうなぁ~。


物語は、最初、1つ違いの兄・スパッシュとウダヤンが仲良く遊ぶ姿を描く。
やんちゃなウダヤンに対して控え目な兄のスパシュ。
両親を驚かせたり、感心させたりするのは弟の役目だと思って居る。

2人は成長し、いつも一緒に行動していたが、それぞれ別の大学に進み
お互いが別の環境で親しい人たちと接する時間が増えていく。
大学卒業後、スパシュはアメリカに渡り、博士課程で学ぶ。

一方に弟・ウダヤンは次第に反政府運動にのめり込み、警察から追われる身に。
そして身重の妻と両親の目の前で警察官により射殺され遺体も連れて行かれる。

そんなことを知ったスパシュは、ウダヤンの妻・ガウリをこの家から連れ出すことが
救うことだと決意し、説得しアメリカに連れて行く。
やがて、夫婦として生まれて来た女の子・ベラを育てる。


スパシュの取った行動はなかなか出来るものではないし、彼の優しさに感動する。
が・・・・やがてガウリは家から出て行く。
ガウリの行動は母親としてはヒドイなぁ~と思うけれど、その心境を考えると
一概に避難だけするのも酷な気もする。

スパシュは弟の娘を自分の子として愛情を持って育て、本当のことをいつ
話そうか考えている。

スパシュの苦悩を思うと胸が痛む。

物語は、スパシュ目線で書かれたり、ガウリ目線で書かれたり、またベラ目線、または
スパシュの母・ビジョリ目線でも描かれる。
射殺されたウダヤンのその時も気持ちもまた最後の方で語られ、色々な人の思いが
それぞれよく伝わってくる。

色々な人の心の奥の苦悩を伝えているので、重苦しいけれど、この家族の行く末が
気になり、最後まで一気に読んだ。

ラストは、スパシュが自分の幸せを掴んだようで、ホッとした。


海外の文学は、やはり日本の文学と雰囲気が違うのでたまに読むのはいいな。


                        ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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