発行年月:2005年7月
「私が愛されたことの、
しるしが欲しい」
1964年サウスカロライナ。父親のもとを飛び出し、養蜂家の
黒人姉妹が住む家にたどりついた、
リリィ、14歳の夏・・・。
(本の帯文より)
映画では「リリィ、はちみつ色の秘密」でしたか?
ちょっと気になっていた映画で、見そびれたままだったので、図書館からその原作本を借りました。
4歳のとき、母親は事故で亡くなったと聞かされていた。
が、かすかな自分の記憶は・・・・銃が床にあり、母親が倒れていて、銃声も聞いた。
そして、その銃を自分も触った記憶。
お母さんを殺してしまったのは、わたしなの?その罪悪感から離れられないでいる。
母親が亡くなったあとは、父親と暮らしてきた。
だが、それは父と呼べるような人でなくリリィは「T・レイ」と呼んでいる。
リリィの面倒をずっと見てくれたのは、黒人のロザリン。
ある日、父親から「おまえを捨てたのは母親だ。死んだ日は、ここに荷物を取りに来ていた」と聞かされたリリィは、両親のどちらからも自分は愛されていなかったんだとショックを受ける。
その年、アメリカ大統領は公民権法を発効させると発表。
ロザリンは街に出て、黒人にもそれが適用されるのか?まずは選挙権登録をしようとする。
リリィは、一緒に連れて行って欲しいと頼み、父親にナイショで家を出る。
が、その先で事件が起こり、ロザリンは警察に連行されてしまう。
リリィが機転を利かせ、なんとかロザリンを警察の手からから連れ出し逃亡。
そして、行き着いたのが、黒人の3姉妹で暮らす養蜂家の元。
行き場がない事を話すと長女のオ-ガストが快く受け入れてくれる。
次女のジェ-ンは最初は冷たく接していたが、次第にリリィたちを受け入れてくれる。
三女のメイは、繊細なゆえ心を病んでいるがリリィたちには優しい。
他に、メイと双子のエイプリルが居たが、15歳のとき、黒人差別による無気力感からうつ病になり自殺している。
メイが心を病んだのは、エイプリルの死が原因。
そんな3姉妹と暮らしながら、蜂蜜づくりの手伝いに毎日、忙しく過ごすリリィ。
同じように蜂蜜づくりに関わる黒人少年・ザックとも心を通わせるが、黒人ゆえに哀しい事件に巻くこまれるザック。
まだまだ、不平等なアメリカ社会を痛感する出来事は哀しいが、逞しく立ち直る彼のその姿は感動する。弁護士になるのが夢だと、その夢に向かって進もうと強い意志をリリィに語る。
小説家になるのが夢と言ったリリィに綺麗なノ-トをプレゼントしたり、二人の様子が微笑ましい。
両親の二人に愛されていなかったと悲観するリリィだったが、偶然にも母親がこの地で暮らし3姉妹とも顔見知りであった事実が明かされ、自分の知り得なかった母親の事を知らされる。
そして嫌いだった父親にも以前とは違う気持ちで向き合えるようになったリリィ。
読み始めた最初は、重苦しい話かと思いましたが、最後は明るい終わり方で良かった!
リリィの家族以外は黒人が多いのですが、皆、前向きで、明るい。
辛いことが度々、起こるのですが、その度に皆で支えあう人たちには、何か勇気をもらったよう。
蜂についてのちょっとしたウンチク話も勉強になりました。
今度は映画をみてみようかな?
とても良いおはなしでした♪
★★★★
学校帰りに気分が悪くなった15歳のミヒャエルは、母親のような年の女性ハンナに介抱してもらい、それがきっかけで恋に落ちる。そして彼女の求めに応じて本を朗読して聞かせるようになる。
ところがある日、一言の説明もなしに彼女は突然、失踪してしまう。彼女が隠していたいまわしい秘密とは何だったのか・・・・・。
(本の表紙裏の解説文より)
来月公開予定の映画「愛をよむひと」の原作本です。
映画の予告を観て、その原作があることを知り、図書館で借りました。
全世界500万人が涙したベストセラ-小説・・・・と映画のチラシにもありました。
15歳のミヒャエルが36歳のハンナに気分が悪いときに優しくしてもらい、その後も家を訪ね、恋が芽生える。
が、それは短い時間に幕を閉じ・・・・でも、その後、再会するのは、法律を学ぶ大学生になったミヒャエルがゼミの担当教授の指示で傍聴したナチス時代の強制収容所で起こった事件に対する裁判だった。
ハンナは複数の被告者のうちの一人として、裁かれる側。
その罪とは?
とても重い内容でした。
アウシュヴィッツの近郊の収容所に当時、看守として勤務していたハンナ。
その収容所から再び、アウシュヴィッツに戻される囚人は殺される。
ハンナは再び戻される囚人を呼び出し、本を朗読させていた。
それは、直接的な罪でもないのだが・・・・裁判では、そんな事すらも罪だとハンナを攻める。
複数の被告人のなかでハンナだけが重い罪を着せられるその過程は辛い。
それを傍聴し続けるミヒャエルの心中も想像すると辛い。
一人だけ、重い罪を背負うことになってしまうハンナだが、それを覆すことが出来る事実を掴むミヒャエル。
しかし、それを暴露することをハンナ自身は望むか?自分でその事実を述べないハンナに代わって自分がそれを言うことはハンナにとって良いことなのか?
自分だったら、どう行動するだろう?
でも、そんなに隠したいことだろうか?(あえてここでは言いませんが・・・・)
無知ゆえにこういう仕事に就いてしまったか?と思うとハンナが気の毒でした。
裁判で無期懲役を言い渡され、長い服役生活をする間に、ミヒャエルは同じように法律を学ぶ女性と結婚、娘も生まれ、幸せそう。
でも、ハンナを想う気持ちが常にある。
ラストの方では、恩赦により18年の服役生活から開放されることが決まったハンナとミヒャエルの再会。
だけど結末は。。。。。切ない。哀しい。辛い。
泣けます。
ハンナの気持ちを想像すると・・・・。
彼女の一生って、何だったんだろう?
すごく重たい恋をしちゃったミヒャエル。
でも最後まで、ハンナへの想いを貫き通したのは、スゴイ!
こういうのを本当の無償の愛というのでしょうか?
映画ではハンナ役はケイト・ウィンスレット。
これは映画も観なくては!!と思いました。
現世を享楽的に生きる主人公が自動車事故に遭い、病院に運び込まれる。重度の火傷に絶望し、死を決意した男だったが、そこに中世ドイツで彼と恋人どうしだったと称する女が現れる。彼女、マリア-ネ・エンゲルは男の快復に力を貸しながら、日ごと夜ごとに語る。異なる、異なる国に生まれ変わっては繰り返される男と女の壮絶な愛の物語を---------。
(本の表紙裏の解説文より)
図書館の外国文学の棚を見ながら歩いていて、赤い表紙のこれが目に留まりました。
手に取り、表紙を開くと(ここの図書館の蔵書は帯文が表紙裏に貼ってあります)、アンジェラ・アキさん絶賛の文字。
後ろには、特別寄稿文として彼女の話が載っていて、立ち読みして、「是非、読まなきゃ!!」と思いました。
著者のアンドリュ-とは、アンジェラがシンガ-ソングライタ-としてデビュ-する前からの友達で、お互いがメジャ-になるときが来たら・・・・という当時はまだ夢物語でしかなかった話が書かれていました。
この本は既に27ヶ国語に訳されているそうで、二人の夢物語は、夢でなくなったことを意味するでしょう。
肝心の本ですが、最初から最後まで飽きませんでした。
重症の火傷を追い、かつては美しい男らしい容姿を誇示していた男性(名前はずっと出てこなかったような・・・^^;)が退院したら24時間以内に死のう。それを心の支えに生きている。
彼の病室に同じ病院の精神科病棟に入退院を繰り返す女性・マリア-ネが訪れるようになる。
彼女は、彫刻家。
石の中に居るガ-ゴイルたちを見つけそれを掘り出すのが仕事と。
マリア-ネは、あなたも彫刻を昔はやっていたと話し、自分たちが知り合ったのは、ずっと昔(700年ほど前)の事なのだと告げる。
そして、いろいろな時代、いろいろな国での男と女の哀しく美しい話を聞かせる。
その話のどれもが良かった。
ドイツ、イタリア、イギリス、アイスランド。
日本の話「ガラス吹きの僧侶」もあって、日本で愛し合う二人、セイとヘイサクの話は印象的。
哀しいけど、美しい。
人をそこまで純粋思い続ける女性の強さ、優しさには感動した。
日本人の心みたいのをよく表現してるなぁ~と感心したら、プロフィ-ルに5年間日本で暮らした経験があるとか。
なるほど・・・。
マリア-ネと男は、二人が退院した後は一緒に暮らし、ハッピ-エンド?と思うとそう単純ではなく、そのラストまでは、また過去に遡った話が絡んできて、なかなか予想がつかない展開で、二人はどうなる??の気持ちを最後まで引っ張ってくれました。
そして、ラストは・・・・・・。
う~哀しいけど、納得!
これがデビュ-作だというから、また傑作を書いてくれるかな?
期待して待とうと思う、海外の作家さんにまた一人出会えた幸運に感謝したくなりました!
こちらは裏表紙のプロフィ-ルに載ってた写真です。
なかなか格好いいです。
1969年カナダ生まれ。
そして、その下にあった、印鑑?
安土龍・・・アンドリュウ
アハハ・・・なんだか可愛い。
茶目っ気たっぷりなかんじで、いいなぁ~。
そして、本の表紙写真のガ-ゴイルは、どこの?とあれこれ探していたら、この画像を発見しました!
同じでしょうか??
ちなみにこちらは、パリ ノ-トルダム寺院のだそうです。
中世ヨ-ロッパの建物には、魔よけ的な意味でこういうガ-ゴイルが結構付いているんですね。ちょっと不気味だけど、愛嬌もあるかんじ。
横道に結構、逸れましたが、読み応え十分の物語でした。
543ペ-ジと長いですが、読み始めたら結構、スラスラ読み終えました。
★★★★
1953年夏、アメリカ・ニュ-ジャ-ジ-州。
11歳のペニ-は幼くして父を亡くし、母とその両親である祖父母との3人暮らしをしていた。亡くなった父方の親戚も近くに住んでおり、そちらの賑やかな親戚とも交流するペニ-だが、母親や祖父母は父方の親戚とは、わだかまりがある。
第二次世界大戦後のアメリカのあまり知られていない史実が織り込まれたお話で、いろいろと勉強になりました。
ペニ-は本名ではなく亡くなった父が、ビング・クロスビ-ファンの歌「ペニ-・フロム・ヘブン」が大好きだったので、ペニ-と幼いときから周りにも呼ばれている。
ペニ-が一緒に暮らす母方の祖父母は、アメリカ国籍だが、亡くなったペニ-の父は両親とまだ幼い時にイタリアから移民してきた人たちだった。
アメリカ人の母とイタリア人の父。
亡くなった父の弟・ドミニク叔父さんは、元野球選手で父より先にアメリカ国籍を取得していた。
ペニ-は、父親の事を知りたいと「何で死んだの?」と聞くのですが、その質問は何故か皆の哀しみを呼ぶ様子で、「病気だよ」という者あり「事故だよ」という者ありで一貫性がなく、父親の死の真相を知りたいと一層強く思うようになる。
そして、ある偶然から、真相を知るペニ-。
ショックを受けながらも、それを受け入れる。
大人たちより、この辺は立派だったかも。
そこには、アメリカの知られざる史実があるのです。
イタリア系移民に対し「敵性外国人」というレッテルで多くの者がスパイ容疑を掛けられ、収容所送りになったそうです。
そんな事に巻き込まれてしまったペニ-の父親。
気の毒としか言いようがなく辛かった。
こんな背景があり、お互いの親戚関係に溝が出来てしまっていたのですが、最後は少しずつ歩み寄りを見せた形でよかった。
ペニ-の存在が大きかったのかな?
これも図書館の児童書コ-ナ-で見つけましたが、なかなか良いお話でした。
大人が読んだほうが理解出来るお話でしょう。
小学6年生のグレッグはお金が大好きな少年。
レオネ-ドを売ったり、近所の雑用を引き受けたり・・・・。
しかし仲の悪い幼なじみの女の子・モ-ラがグレッグのお金もうけの方法を 真似し始めたから、大変!
どうするグレッグ!?
面白そうな表題とこのイラストに惹かれ図書館の児童書コ-ナ-から借りてきました。
日本の子どもはやらないけど、アメリカでは、子どもがレモネ-ドを売ったり、他所の家のお手伝いを引き受けてお金を貰うことは、珍しくないのかな?
お金もうけに奔走する少年・グレッグは、とうとう、学校のなかでの商売を考え出します。
ここまでやると、ちょっと心配で・・・。
案の定、先生に注意されちゃうのです。
グレッグの母親も「子どもらしくお金よりものびのび遊ぶことで時間を費やしてほしい」と思っているようでしたが、わたしも同感。
ちょっと、こういう子、好きじゃないかも・・・・・なんて事も正直、思ってしまいました。
でも、止めないグレッグ。
これなら注意されなかな?という次の手段に出るのです。懲りないこの根性はスゴイ!
グレッグのお金もうけは、仲の悪い幼なじみのモ-ラが真似をするという邪魔が入るのですが、ここからが面白い展開になってゆきます。
最初は、真似されたということで喧嘩になるのですが、最終的に協力してお金もうけをするようになっちゃう。
で、それを応援する先生も現れます。
校長先生や教育委員会にも理解を示して貰う方法を考えてくれたりして。
この辺は、日本の学校ではまず、ありえないことでしょうけど・・・・。
そしてある条件を出して許可されます。
その条件を満たすことで、グレッグは単なるお金もうけの楽しさ以上の喜びを見つけたラストはホッとしました。
★★★
12 | 2025/01 | 02 |
S | M | T | W | T | F | S |
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1 | 3 | 4 | ||||
6 | 7 | 9 | 10 | 11 | ||
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;