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読んだ本の感想あれこれ。
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e138e444.jpg発行年月:2010年11月


「短篇小説の女王」による、国際ブッカー賞受賞後初の最新短篇集!

子連れの若い女に夫を奪われた過去をもつ音楽教師。新しい伴侶とともに恵まれた暮らしを送る彼女の前に、自分の過去を窺わせる小説が現れる(表題作「小説のように」)。ほか、ロシア史上初の女性数学者をモデルにした意欲作「あまりに幸せ」など、人生の苦さ、切なさを鮮やかに描いて、長篇を凌ぐ読後感をもたらす珠玉の十篇

                       (新潮社HPより)


読み応え充分の短編集でした!!

10篇の物語、どれも良かった!
1つ読み終えると、暫くは静かにその余韻に浸っていたくなるかんじ。

一つ一つの物語に登場する女性たちのいろいろな人生。
そのなかで感じる、喜び、絶望、驚きなどなど、いろいろな感情を読みながら共感。

一番最初の「次元」からやられた!
夫の手によって3人のこどもを殺された女性・ド-リ-。
しかし、完全に夫を恨むことは出来ず、隔離されている夫の元に定期的に通う。
そしてそんなある日、バスに乗っているとき、そこに飛び出して来た少年を救助する。

その少年との出会いを機にド-リには今後、もっと明るい未来を歩んで欲しいと願った。


次のお話は表題作になっている「小説のように」。
これも面白かった。
学校で音楽を教えているジョイス。
大工の夫・ジョンと幸せに暮らしていたが、彼の元に見習いだという女性・エディが娘を連れて一緒に暮らすようになり生活が一変してしまう。
学校では、エディの娘はジョイスの教え子という環境。

やがて、ジョイスは家を出て、ほかの男性と幸せに暮らすようになるが・・・・
その後、エディの娘が小説家として書いたものを偶然、目にすると、自分がかつてジョイスとエディ母娘と暮らしていたことが書かれていて驚く。

自分のことを第三者が冷静に見つめていて、それを小説にされたら・・・・ちょっとイヤだな。
小説家が身内にいると、こういう事態もあり得るのか?なんて考えた。


ほかの作品も読むたびにいろいろ考えた。
ひとつひとつに思う感想がちゃんとあるので、全て書くとすごく長くなるので省略しちゃうけど

「深い穴」は、優秀だった息子が自分から離れたところに行ってしまい、どういう暮らしをしているのか心配していたら・・・・数人のわけのわからない貧しそうな人たちと貧しい共同生活をし、路上で施しを求める日々を過ごしていたという話は、母親の立場に立ったら、なんともやり切れない気がした。
こどもはそんな暮らしでも生きる意味を感じているのがせめてもの救いだったけど・・・。

最後の「あまりに幸せ」は、実在した数学者で小説家のソフィア・コワレフスカヤの人生を描いた物語だそうですが、実在した人物の話なのに、一番、フィクションぽかったという印象。
ロシア人ゆえに苦労したことが沢山あって、すごい人生だ。

この最後の話をもっと詳しく書いても1冊の小説になりそう。
そして、表題を「小説のように」でも通りそう。

あ~そうして考えると・・・・この表題は最後の話があるからそうしたのか?
なんて、あれこれ一人考えたりして・・・(笑)

さすが「短編小説の女王」と称されているだけある作品!!

ほかの作品も読んでみたくなった!

★★★★★
 
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912e6203.jpg発行年月:2010年5月

古い写真の中の、胸に黄色い星をつけた少女----いま彼女を探すこと、それは私自身を探すことだった。

パリで平穏に暮らすアメリカ人記者ジュリアは、60年前にこの街で起こったユダヤ人迫害事件を取材することになった。それが人生のすべてを変えてしまうとも知らず……。国家の恥と家族の傷に同時に触れてしまったひとりの女性が、真実を、そして自分自身の生きかたを見つけようともがく闘いの記録。全世界で300万部突破。

                                           (新潮社HPより)

ナチス占領下のユダヤ人迫害の話は、過去にも幾つか読んだけど、正直、フランスにもこういう事実があったのは、知らなかった!

物語は1942年7月、パリでのフランス警察によるユダヤ人強制検挙から始まる。
当時10歳の少女・サラは、警官が家を訪ねてきたとき、とっさに当時4歳の弟・ミシェルを二人がいつも隠れて遊んでいた納戸に隠れているように言い鍵をかける。
弟を守るため。そして、すぐに戻って来て、出してあげればよいと思って・・・
しかし、それが弟との別れになってしまう。

そして、サラの物語と同時進行の形で、その60年後、2002年のパリ。
ジャ-ナリストのジュリアの物語が進む。
45歳のジュリアはアメリカ人だが、フランス人の夫・ベルトランと11歳の娘・ゾ-イと穏やかに暮らしている。
しかしあるときを機に、60年前のユダヤ人迫害の真実を追うことになる。


サラの体験の場面は、悲惨で胸が苦しくなる描写ばかり。辛い。
なんで、同じ人間なのに、何も個人的には非のない人間に酷い仕打ちが出来るのか!?
人間が人間にする事じゃないでしょ!?と怒りすら沸いてくる!
毎回、この類の物語を読むと感じることだけど、まだ知らないそういう事が世界中にあるんでしょうね。


2002年のジュリアの話に切り替わると、ホッとしながらも交互に出てくる二つの時代の話は、それぞれに惹き込まれる。
そして、段々とジュリア自身がサラと関わりがあることがわかる。


最後は、泣けました。
サラの人生は壮絶だったけど、それに関わったジュリアの平穏な暮らしも大きく変化して、でもジュリアの揺るがない真実を追い求める姿勢は感動的だった。

記憶せよ。決して忘れるな。

深い意味を含んだ言葉だと思いました。


★★★★★
25df2a25.jpg   発行年月:1971年6月


  夏の陽ざしの中をそよ風にのって走る12歳の少年ダグラス。
  その多感な心に刻まれるひと夏の不思議な事件の数々。
  輝ける少年の日の夢と愛と孤独を描ききった、
  SF文学の巨匠が贈るファンタジーの永遠の名作。

   
    
                        (晶文社HPより)


この書を始めて手にしたのは、中学生の夏休み。
そのときは、内容云々よりも美しい文章を書く作家だなぁ~と思った。
主人公は12歳の少年。
その少年が体験するひと夏の出来事あれこれが、キラキラした夏の陽射しを感じさせるような情景のなかで描かれていく。


「タイムマシ-ン」に人生を捧げているフリ-リ-大佐とその死は印象的なエピソ-ドですが他にもダグラスの周りで起きる大人達の日常の様子が子どもの目線で語られ、胸に響く。
またダグラスや弟のトムの会話も可愛いなかに感受性の豊かさを感じる。
全体的に受ける印象は詩的。

表題の「たんぽぽのお酒」は、ダグラスの祖父が摘んだたんぽぽの花で作ったお酒。
ダグラスにとって、夏の象徴。
そこにあるだけで夏を思い出させるもの。
そして、夏が過ぎた後も、それを少しだけ口にすることで鮮やかな記憶として夏を思い起させるもの。


わたしにとっては、この「たんぽぽのお酒」という本そのものが、夏を感じさせるものかなぁ~
(ちょっと格好良すぎ?・・・^^;照)


やっぱりブラッドベリは最高!!
★10個くらい付けたい!
★★★★★


d53e1c07.jpg発行年月:2010年5月

SF・ファンタジー界の巨匠として半世紀を超える創作活動を経てなお、瑞々しくも壮大なヴィジョンを抱き続けるブラッドベリの最新作。イノセンスと生の再発見の物語「どこかで楽隊が奏でている」、メルヴィルの『白鯨』の舞台を宇宙空間におきかえて構想された「2099年の巨鯨」 -----永遠をテーマに、豊かな創造力に満ちた中篇二作を収録

                                           (晶文社HPより)


1920年生まれのブラッドベリ。今年で90歳!まだまだ健在は、ファンには嬉しい。

この作品は、未発表の2つの作品が収められている。
書かれたのは、若い頃かな?

どちらもブラッドベリらしい、不思議で壮大なものがテ-マの話だった。

「どこかで楽隊が奏でている」は、記者のカ-ディフが何かに導かれるように訪れた不思議な町・サマ-トンでの話。一見普通の町なのに、滞在しているうちに、違和感を感じる。
子どもが居ない。町の人たちは年を取らない。
そして、カ-ディフを追って、町を訪れた記者仲間のマッコイとのこと。
町にある希望記念図書館の真実。
どこかで「死」を意識づけさせるような気がした。

もう1編の「2099年の巨鯨」は、舞台が壮大な宇宙。
宇宙船のなかでの人間関係。
白い彗星が出てきたり、神が出現したり・・・・自分のなかでの想像が追いつかない^^;

ブラッドベリって、やっぱり何か凄い!
内容を正しく、自分のなかで消化しきれないんだけど、読んでる間は幸せ。
雰囲気に酔うかんじかな?
言葉遣いが、崇高なかんじも好き。
これは訳者の北山さんの力も大きいのでしょうが。

贅沢な願いを言えば、今度は90歳過ぎて書く新刊が読めるといいなぁ~

★★★
 
bf3c853e.jpg発行年月:2010年4月


不老不死以外のどんなことでも叶えてくれる不思議なびん。
欲のために、幸せのために、そしてときには愛のために、
ケアウエはそのびんを手に入れようとするが……。


                       (福音館書店HPより)



作者のR・L・スティ-ブンソンは世界的ベストセラ-『宝島』 『ジキル博士とハイド氏』などで知られるイギリスの作家。
この物語は19世紀末に南太平洋の島々を舞台に書かれ、当時は宣教師によりポリネシアの言葉で訳されたそうです。


お話は、ガラスの小瓶をめぐる不思議なお話。
主人公の男・ケアウエは、ある日、お金持ちの男から不思議な瓶の話を聞きます。
この瓶のおかげで金持ちになったんだと。

瓶の中には小鬼が住み、寿命を延ばすこと以外の望みなら、なんでも叶えてくれると。
ただし、死ぬときまで瓶を持っていると、永遠に地獄の炎で焼かれることになる。
瓶を人に譲るには、自分が買った金額より安い金額で売ること。そうしないと、再び瓶は自分の元に戻ってきてしまう。

話を聞いたケアウエは、条件さえ守れば、自分も金持ちになり何不自由ない暮らしが出来ると瓶を男から買います。
長年、瓶は人の手に渡ったので、瓶の値段はとんでもなく安く、90ドルで買ったという男からケアウエは50ドルで買います。
ただし、まだ条件があり、売り買いは硬貨でなくてはならない。


さて、ケアウエは瓶をどうするか?
勿論、すぐお金持ちの象徴である豪華な家を手に入れます。
でも、ずっと瓶を持っているわけにはいかないと友人のロパカに瓶のことを詳しく説明し売ります。
友人は悩みながらも、自分の夢を叶えたらすぐ瓶を手放すと瓶を買ってくれる。
その後、美しい妻・コクアを迎え幸せの絶頂のケアウエですが不治の病に罹ってしまう。

慌ててケアウエは、瓶を探し小鬼の力で病を治してもらう。

再び瓶を手に入れたケアウエだが、既に瓶の値段は5セントだった!

どうする?ケアウエ!
妻に瓶の秘密を全て話し、どうしたら良いか相談。
そして二人で瓶を手放す事を計画する。


ハラハラドキドキ。
一体どうなるんだ~?と思いながら読んでいました。

最後は、二人にとっては、ハッピ-エンドなんですが、その後のことのほうが気にかかって
ハッピ-な気分になれない。
不思議な物語でした。

わたしは、要らない!絶対そんな小瓶。

児童書なので、すぐ読めるけど、かなり深いものが詰まってる本だと思います。
面白かった!!

★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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