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読んだ本の感想あれこれ。
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               発行年月:2012年1月             
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     世界はもう、かつてと同じ場所ではない。
     2011年の静謐と小さな奇跡を切りとった、「東京」短編集。


    もの悲しくも優雅な、東京タワ-とスカイツリ-の往復書簡


                                        
(本の帯文より)




最初の 眺望よし【往診】は、スカイツリ-が語り・・・・
最後の 眺望よし【復診】では、東京タワ-が語る。

それを挟んで、二つの塔が見下ろす世界での人々の暮らしがあれこれ8つの話で描かれている。

面白い手法だな・・・(^^)

東京に住んでいる人には、より楽しめるのかも。

新しい時代をこれから見つめていくスカイツリ-。
過去の東京を見つめ続けてきた東京タワ-。

こんな風に人々の暮らしを見守ってきたのか~と思ったら最後の東京タワ-の語りは、なんだかジ-ンとしたなぁ~。
新しいスカイツリ-にもエールの気持ちをこめていう言葉がまた良かった!

立っていれさえすれば人々は、わたしたちを見上げて安心し、明日を生きる活力を身に
蘇れらせることができるのです。




なかに挟まれた人々の暮らしの物語は、切ないものだったり、ちょっと変だったりで
ひとつひとつの話がいろんな雰囲気で、これまた面白かった。


スカイツリ-からの眺望、いつか見に行こう!


★★★

 






              
PR
77584139.jpg発行年月:2011年8月


恋情、妄想、孤独、諧謔…中島京子ワールドへようこそ
女の部屋の水漏れが、下に住む男の部屋の天井を濡らした。女が詫びに訪れたのをきっかけに二人は付き合い出し、やがて男は不思議な提案をするが…。(「天井の刺青」)。直木賞作家が紡ぐ珠玉の7篇。



                       (集英社HPより)


7つの短編集。

植物園の鰐
シンガポ-ルでタクシ-を拾うのは難しい
ゴセイト
天井の刺青
ポジョとユウちゃんとなぎさドライブウエィ
コワリョ-フの鼻
東京観光


過去5~6年の間にいろいろな媒体に発表済みの作品を集めたものだそう。
わたしにはコワリョ-フの鼻以外は初めての作品でした。

ちょっと不思議なかんじで始まった「植物園の鰐」。
次の「シンガポ-ルで・・・」は結婚5周年の記念旅行にシンガポ-ルを訪れた夫婦の可笑しなお話。
「ゴセイト」は、放課後にだけ現れる男子生徒との思い出を語る話。
とSFチックだったり青春小説風だったりといろいろ。


いろいろなテイストだけど、どれにもクスッと笑えるユ-モアがあり読んでいると楽しい♪


既読だけど、「コワリョ-フの鼻」は、やはり面白い!
夫婦の会話が、漫才みたい。

表題作の「東京観光」もよかったなぁ~。
会社の研修で東京に3日間滞在した主人公が、滞在先に選んだ格安ホテルで知り合った外人のマリアナとのこと。
ちょっと変わった東京観光だけど、気持ちが通じ合う人と出会えたのが最高の思い出でしょう。


表紙の絵(挿絵)も素敵。
これがデビュ-作の木版画作家の千原博美さんだと、あとがきに紹介ありました。


次は長編がまた読みたいな。


★★★
 
c16cc9e7.jpg発行年月:2011年2月


昭和の香り漂うアパートで、へんてこな住人に面食らい、来し方を振り返っては赤面、行く末を案じてはきりもなし……。40代シングル女子の転機を描く、ほのぼの笑える長篇小説。


                      (中央公論新社HPより)
 

 


楽しいお話でした。
主人公の花村茜は43歳、独身。
15年前に母が逝き、その後一人暮らしの父・桃蔵は、老後の支えにアパ-ト「花桃館」を経営していた。
その父も亡くなり、茜はアパ-トを相続することに。
古いアパ-トで取り壊したいと思うが、壊すにもお金が掛かる。
そこの住人たちを立ち退かせるのも厄介そうだと、最初は渋々、引き受けたアパ-ト経営の様子が、空いている部屋101号室に住み込み、住人たちと接するなかで、起きる諸々のことが愉快。

103号室の住人・雨宮季華からは父の知らなかった生前の様子を聞かされたり
201号室の住人・妙蓮寺一家は父子家庭(3人の男の子あり)ゆえ、母親みたいな助けもしたり
302号室の住人・玉井ハルオにはウクレレ演奏の場を同級生・尾木の経営するバ-に紹介したり


まだまだいろいろな関わりのなかで、生まれる新たな人間関係。


全体にほのぼのしていて、とても楽しい物語でした。



★★★★

 

df2ce909.jpg発行年月:2010年12月


女子大生・瑛は、恋人から逃れて、南の町のホテルにたどり着いた。そこで、ホテルの部屋の電話機に残されたメッセージを聞く。「とても簡単なのですぐわかります。市電に乗って湖前で降ります。とてもいいところです。ボート乗り場に10時でいいですか? 待ってます」そして、瑛とニノは出会った。ニノもまた、何者かから逃げているらしい。追っ手から追いつめられ、離ればなれになってしまう2人。「1人で行っちゃだめ。私も行くから」

                                           (講談社HPより)

21歳の瑛は、恋人の元から南の町に逃げてきた。
そして出会った、寡黙な少年・ニノ。

灰色の人から逃げて来たと語る。
ニノは、日本人の父とフィリピン人の母を持つらしいが、母親は自分を出産後祖国に帰ったとか。
そして父親は行方知れずで、施設で育った。
灰色の人は、ニノを外国に住まわせようとしているらしい。

二人の逃げている者同士が出会い、一緒にあちこち住む場所を変えていく。
最初、南の町というのは、沖縄か?と思ったけど・・・・読んで行くと
辛子レンコンやら、ざぼんやら出てきたので、これは九州なんだ!と気づく。
でも、なんだか異国っぽい描写もあったりして不思議。

二人の逃避行の話も面白いけど、途中途中に語られる逸話も面白かった。
最初に二人が出会った子守町で、瑛は最初、ホテル暮らしをしていたが、その後おばあさんが一人で店を開いている石松砂糖販売で暮らすようになる。

子守町に伝わる子守地蔵の言い伝え。
日本に砂糖が伝わった話。
なるほどなるほどと思いながら本筋の話をちょっと置いといて語られる話がその後も沢山!
こういう書き方面白い(^^)

「森のくまさん」の歌詞の不思議も言われてみれば、妙だと気づく。

逃げる瑛の話とこういう風に繋がるとは・・・感心しちゃいました!

瑛とニノは、逃げたままじゃいられない。どうなるのかな?と心配しながら読みましたが、
最後は、ホッと出来る結末だったのも良かった。


★★★★★

 
518f9957.jpg   発行年月:2010年5月

昭和6年、若く美しい時子奥様との出会いが長年の奉公のなかでも特に忘れがたい日々の始まりだった。女中という職業に誇りをもち、思い出をノートに綴る老女、タキ。モダンな風物や戦争に向かう世相をよそに続く穏やかな家庭生活、そこに秘められた奥様の切ない恋。そして物語は意外な形で現代へと継がれ……。最終章で浮かび上がるタキの秘密の想いに胸を熱くせずにおれない上質の恋愛小説

                            (文藝春秋HPより)


2010年 第143回直木賞受賞作品ですね。
中島さんの作品は、結構好きなので受賞は嬉しかったなぁ~(^^)


この物語は、タキが女中奉公をした時代の回想録のような話で進みます。
昭和5年に尋常小学校を卒業し、先ずは小説家の小中先生の家に女中として入り、その後、小中先生の知り合いの娘さんの居る平井家に女中として住み込み。
その平井家での事が主に語られる。
奥様の時子は穏やかで優しい人柄。
恭一坊ちゃんも可愛らしく素直。
二人とも女中のタキを信頼し、家族の一員のように接していて、読んでいて心地いい。
昭和の時代のレトロでお洒落な上流階級の暮らしを垣間見るかんじ。

しかし、時代は、段々と戦争を背景にした穏やかでない情勢へと変化していく。
史実に基づいた事件、昭和11年の2.26事件やらも語られ、そのときの話で、暗殺を逃れた岡田首相を助けたのは、女中たちの機転だったという話は、事実かどうかさておき、タキの気持ちになって読んでいたので、ジ~ンとした。

タキの記す回想録を時々、読んでは矛盾を感じる箇所に文句をつけるタキの甥の次男の健史が、後々、重大なことを成し遂げるのだが、それは読んでる途中には予想出来ない事で、
最後の方で登場したときには、前に書かれていた多くの事が少しずつ繋がっていたんだと気づき衝撃的だった。

タキが女中として平井家に仕え、奥様の時子やその周りの人達と接するなかで気づいたある秘密。
それは他言はしてはないないこと。

ラストの方で、語り手がタキから他の者に変わり、その秘密の真相が明らかになり、今までのタキが語った回想録を再び最初から読み返したくなった!

タキが抱えていた秘密を良い形で明らかに出来て、皆がそれを知り当時の事を懐かしく思い出す。
年月が経てば秘密も公にした方が、良いこともあるんだなぁ~。

読後感は、なんだか幸せな気持ちになれるお話でした。

表紙の絵も、読み終えてみると違った感動がありました。

★★★★★


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