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読んだ本の感想あれこれ。
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                    発行年月:2012年1月  
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「この口紅をつけて恋はしないよ」

初恋、結婚、別離・・・ドラマはいつも口紅とともに。
すべての女性に贈る、角田光代書下ろし短編小説。

2007年、銀座「HOUSE OF SHISEIDO」で行われた同名の展覧会において、角田光代が書き下ろした「口紅」をテ-マにした小説がついに書籍化。
女性の幼年期から高年期まで、さまざまな年齢のシ-ンでの口紅とのエピソ-ドを描いた作品は、「口紅」の持つ特別な存在感を描き出し、化粧文化のなかで成長していく女性のこころと姿を描き出す。
静謐な文体でありながら、しなやかで力強い生命力が感じられる作品は静かな感動を与える。


                                           (求龍堂HPより)




6歳、12歳、18歳、29歳、38歳、47歳、65歳、79歳
ひとりの女性が年を増しながら語る口紅に関わる物語。

ひとつひとつの話は、とても短いけれど、そこに描かれる情景は、頭のなかに容易に浮かんできた。
65歳と79歳については、まだ経験してないけど・・・^^;

とくに最初の話は、自分も同じようなことを思った記憶があるので、すごくよく理解できた。

女性にとっての「口紅」って、やはり特別なものんなんだと思った。

途中にある、上田さんのモノクロ写真も素敵で、とてもお洒落な本でした(^^)


                            
                                         ★★★★★
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184acaac.jpg   発行年月:2011年12月


   なにげない日常の隙間に口を開けている闇。
   それを偶然、覗いてしまった人々のとまどいと恐怖。
   
   夢とうつつの狭間を描く傑作短篇集


                            (文藝春秋HPより)



8つの短編集
「おみちゆき」 「同窓会」 「闇の梯子」 「道理」 「前世」
「わたしとわたしでない女」 「かなたの子」 「巡る」

どれも怖かったけど、わたしは前半3つが特に怖かったぁ~!!

夜、一人でいる居間で読んだので、相乗効果もあったかも。

最初の「おみちゆき」は特にゾゾッ~とした。
ちょっと田舎のちょっと昔の雰囲気。
昔から伝わる村の儀式が「おみちゆき」
寺の和尚さまは、皆の願いを叶えるために、自ら生きたまま土の奥深い棺のなかに入った。
村人が当番制で、和尚さまの生存確認に出向く。
棺から出ている筒の先から声をかけ、和尚さんの返事である鈴の音の有無を聞く。

その様子を想像するだけでも、何か背筋が凍る。

そして、和尚様が亡くなったあとの村人たちの反応も・・・・恐ろしかった。

あ~これ読んで、夜読んじゃいかん本かも!と思ったけれど、怖いものみたさと
角田さんの文章がペ-ジを捲る手を止めてくれなかった(笑)。

次の「同窓会」も閉じ込めてしまった話で・・・・次の「闇の梯子」も暗いところの話。

後半の短編も怖いけど、慣れて来たのか、意外と普通なかんじで読めた(笑)


で、何と言っても、怖いのがこの表紙!!


全部読んだあと、本を閉じるのが怖かった!
話の内容は、どこかで既に読んだり、聞いたりしたようなものでしたが、
角田さんの文章がそんなことはチャラにしてくれる。

なかなか楽しませてもらいました。


★★★

 
376c5667.jpg発行年月:2012年1月


 

愛し方も
死に方も、
自分で決める。


江戸時代、元禄期の大坂で人々が狂喜したように、激烈な恋の物語が今また私たちの心を掻きたてる。
運命の恋をまっとうする男女の生きざまは、時代を超えて、美しく残酷に、立ち上がる ―― 。


300年前、人形浄瑠璃の世界に“心中もの”の大流行を巻き起こした近松の代表作「曾根崎心中」を、直木賞作家・角田光代が現代に甦らせる!


--
これが恋か。初は思った。これが、恋か。
ほほえみながら、泣きながら、高笑いしながら、物思いにふけりながら、不安に顔をゆがめながら、嫉妬に胸を焦がしながら、記憶に指先まで浸りながら、幾度も幾度も、思った。
これが、これが、これが、恋。
(本文より)
--


出会ってしまった心を、止めることはできない。
これが、恋のかたち。

幾世の時を超え、いま究極の恋物語がふたたび始まる。

              (リトルモアHPより)


とても読みやすく、アッという間に読了。

大阪に実際にあった物語らしいですね。
堂島新地の遊女・お初とそこに通う醤油屋の徳兵衛の物語。
似たような話は、幾らもこの時代にはあったと思うけど、こうして読むと、二人の恋はとても純粋で切ない。

いつか徳兵衛が見受けしてくれると信じていたのに、それが叶わぬ事態に。
徳兵衛の不運が重なり、二人が一緒になれるのは、死しかないと。

こんな風に一人の人を強く想い、死ぬこと(死んだあとのこと)に希望を託す二人が、哀し過ぎる。


原作も読んでみたいな。
そうしないと、角田さん独自の解釈がどの辺にあるのかわからないから・・・。


                                           ★★★★
79860bc2.jpg発行年月:2010年7月


幼い頃、毎年サマーキャンプで一緒に過ごしていた7人。輝く夏の思い出は誰にとっても大切な記憶だった。 しかし、いつしか彼らは疑問を抱くようになる。 「あの集まりはいったい何だったのか?」 別々の人生を歩んでいた彼らに、突如突きつけられた衝撃の事実。 大人たちの〈秘密〉を知った彼らは、自分という森を彷徨い始める-----。

親と子、夫婦、家族でいることの意味を根源から問いかける、角田光代の新たな代表作誕生。

<主な登場人物>
  樹里(じゅり)・・・イラストレ-タ-
  沙有美(さゆみ)・・・求職中、29歳
  紀子(のりこ)・・・主婦、一児の母
  波留(はる)・・・シンガ-ソングライタ-
  賢人(けんと)・・・広告代理店勤務
  弾(だん)・・・レコ-ド機器会社の次期社長
  雄一郎(ゆういちろう)・・・フリ-タ-

                                          (毎日新聞社HPより)


読み応えありました。
最初は、親たちに連れられて毎年、とある山荘に集う幼い子どもたちの様子が、とても微笑ましく幸せそうでさえあり・・・それゆえ・・・この後、どう展開していくんだろう?
ここから、どんな物語へと進んでいくんだろう?と期待感が高まりました。

微笑ましいサマ-キャンプに集う親子たちの姿を描きつつ、どこかで、何か不自然だな・・・という気持ちを読み手にも感じさせる
子どもたちも年々、成長し、自分たちはどうしてここに集まるのか?疑問に感じる者が出て来て
自分たちの出生の秘密を各自がそれぞれの場面で知る。

あ~そういう事だったんだぁ~と分かったときには、納得!


それぞれの子どもたちが、葛藤しながら成長していく様子が描かれ、やがて大人になった彼らは再びかつての仲間たちを探し会う。
生きることの意味を見失う者あり、事実を受け止めてたうえで前を向いて歩む者あり。

自分はどうして生まれたのか?
自分にとって家族とは?

う~ん、奥が深いテ-マを描いた作品だったなぁ~。

文章が巧いので、引き込まれるように最初から最後まで読ませてくれて、さすが!

面白かった!


ラストの沙有美が書いた手紙に、今、生きていることに意味があり、そのことに感謝したいという内容には胸が熱くなりました。


★★★★★
 
fe8d84ea.jpg   発行年月:2010年10月


   すべての家庭の床下には、戦争の記憶が眠っている

   謎多き祖父の戸籍----祖母の予期せぬ“帰郷”から
   隠された過去への旅が始まった。
   満州、そして新宿。熱く胸に迫る翡翠飯店三代記

                             (文藝春秋HPより)


読み応え十分の物語でした。
物語は、翡翠飯店という中華料理店を始めた藤代泰造の死から始まる。
泰造の死後、気力を無くしたような祖母・ヤエだが、「帰りたい」とつぶやく。
もしかしたら・・・以前住んでいた、満州に行きたいってことかも?

孫の良嗣とヤエの息子で良嗣の叔父に当たる太二郎とで、祖母を懐かしい地へと連れて行く事になる。
その旅の様子と交互に語られる、藤代家の歴史物語。

日本人の泰造とヤエは、別々な理由で、満州に移り住んでいた。
あるとき、出会い、好きという感情とは別のもので、繋がり共に生きることにする。

日本が戦争に巻き込まれ、また世界もあちこちで争っていた時代。
異国の土地で祖父母は、そんな不穏なものから逃げ続けることで生き抜いていく。

住んでいた満州がまた危機的状況になり、終戦後の日本に引き揚げ船で再び戻る。
日本はその後、高度成長期を向かえ、泰造とヤエは小さな中華料理店を開く。
その後、子どもが生まれ、孫も生まれ、少しずつ家族が増えていくが、それぞれに降りかかる問題。

日本の史実もたびたび登場。
浅間山荘事件、学生運動、神戸の大震災、地下鉄サリン事件・・・・。
史実が家族の生活にも影響していて、その時代をリアルに生きている家族の様子がわかった。

祖母が旅を終えて、帰りつぶやく言葉に、なんとも言えない気持ちになった。

逃げることしか教えられなかったことを申しわけなく思う。あの時代は逃げる以外、時代に抗う方法を知らなかった・・・・・今はそういう時代じゃないけど・・・・・

みたいな言葉。

ラストは、祖母の死後も藤代家の家族が、逞しく生きていくであろう様子が描かれていて
良かった。

結構、厚い本でしたが、なかなか面白かった!!


★★★★

 

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