「この口紅をつけて恋はしないよ」
初恋、結婚、別離・・・ドラマはいつも口紅とともに。
すべての女性に贈る、角田光代書下ろし短編小説。
2007年、銀座「HOUSE OF SHISEIDO」で行われた同名の展覧会において、角田光代が書き下ろした「口紅」をテ-マにした小説がついに書籍化。
女性の幼年期から高年期まで、さまざまな年齢のシ-ンでの口紅とのエピソ-ドを描いた作品は、「口紅」の持つ特別な存在感を描き出し、化粧文化のなかで成長していく女性のこころと姿を描き出す。
静謐な文体でありながら、しなやかで力強い生命力が感じられる作品は静かな感動を与える。
(求龍堂HPより)
6歳、12歳、18歳、29歳、38歳、47歳、65歳、79歳
ひとりの女性が年を増しながら語る口紅に関わる物語。
ひとつひとつの話は、とても短いけれど、そこに描かれる情景は、頭のなかに容易に浮かんできた。
65歳と79歳については、まだ経験してないけど・・・^^;
とくに最初の話は、自分も同じようなことを思った記憶があるので、すごくよく理解できた。
女性にとっての「口紅」って、やはり特別なものんなんだと思った。
途中にある、上田さんのモノクロ写真も素敵で、とてもお洒落な本でした(^^)
★★★★★
なにげない日常の隙間に口を開けている闇。
それを偶然、覗いてしまった人々のとまどいと恐怖。
夢とうつつの狭間を描く傑作短篇集
(文藝春秋HPより)
8つの短編集
「おみちゆき」 「同窓会」 「闇の梯子」 「道理」 「前世」
「わたしとわたしでない女」 「かなたの子」 「巡る」
どれも怖かったけど、わたしは前半3つが特に怖かったぁ~!!
夜、一人でいる居間で読んだので、相乗効果もあったかも。
最初の「おみちゆき」は特にゾゾッ~とした。
ちょっと田舎のちょっと昔の雰囲気。
昔から伝わる村の儀式が「おみちゆき」
寺の和尚さまは、皆の願いを叶えるために、自ら生きたまま土の奥深い棺のなかに入った。
村人が当番制で、和尚さまの生存確認に出向く。
棺から出ている筒の先から声をかけ、和尚さんの返事である鈴の音の有無を聞く。
その様子を想像するだけでも、何か背筋が凍る。
そして、和尚様が亡くなったあとの村人たちの反応も・・・・恐ろしかった。
あ~これ読んで、夜読んじゃいかん本かも!と思ったけれど、怖いものみたさと
角田さんの文章がペ-ジを捲る手を止めてくれなかった(笑)。
次の「同窓会」も閉じ込めてしまった話で・・・・次の「闇の梯子」も暗いところの話。
後半の短編も怖いけど、慣れて来たのか、意外と普通なかんじで読めた(笑)
で、何と言っても、怖いのがこの表紙!!
全部読んだあと、本を閉じるのが怖かった!
話の内容は、どこかで既に読んだり、聞いたりしたようなものでしたが、
角田さんの文章がそんなことはチャラにしてくれる。
なかなか楽しませてもらいました。
愛し方も |
とても読みやすく、アッという間に読了。
大阪に実際にあった物語らしいですね。
堂島新地の遊女・お初とそこに通う醤油屋の徳兵衛の物語。
似たような話は、幾らもこの時代にはあったと思うけど、こうして読むと、二人の恋はとても純粋で切ない。
いつか徳兵衛が見受けしてくれると信じていたのに、それが叶わぬ事態に。
徳兵衛の不運が重なり、二人が一緒になれるのは、死しかないと。
こんな風に一人の人を強く想い、死ぬこと(死んだあとのこと)に希望を託す二人が、哀し過ぎる。
原作も読んでみたいな。
そうしないと、角田さん独自の解釈がどの辺にあるのかわからないから・・・。
★★★★
幼い頃、毎年サマーキャンプで一緒に過ごしていた7人。輝く夏の思い出は誰にとっても大切な記憶だった。 しかし、いつしか彼らは疑問を抱くようになる。 「あの集まりはいったい何だったのか?」 別々の人生を歩んでいた彼らに、突如突きつけられた衝撃の事実。 大人たちの〈秘密〉を知った彼らは、自分という森を彷徨い始める-----。
親と子、夫婦、家族でいることの意味を根源から問いかける、角田光代の新たな代表作誕生。
<主な登場人物>
樹里(じゅり)・・・イラストレ-タ-
沙有美(さゆみ)・・・求職中、29歳
紀子(のりこ)・・・主婦、一児の母
波留(はる)・・・シンガ-ソングライタ-
賢人(けんと)・・・広告代理店勤務
弾(だん)・・・レコ-ド機器会社の次期社長
雄一郎(ゆういちろう)・・・フリ-タ-
(毎日新聞社HPより)
読み応えありました。
最初は、親たちに連れられて毎年、とある山荘に集う幼い子どもたちの様子が、とても微笑ましく幸せそうでさえあり・・・それゆえ・・・この後、どう展開していくんだろう?
ここから、どんな物語へと進んでいくんだろう?と期待感が高まりました。
微笑ましいサマ-キャンプに集う親子たちの姿を描きつつ、どこかで、何か不自然だな・・・という気持ちを読み手にも感じさせる
子どもたちも年々、成長し、自分たちはどうしてここに集まるのか?疑問に感じる者が出て来て
自分たちの出生の秘密を各自がそれぞれの場面で知る。
あ~そういう事だったんだぁ~と分かったときには、納得!
それぞれの子どもたちが、葛藤しながら成長していく様子が描かれ、やがて大人になった彼らは再びかつての仲間たちを探し会う。
生きることの意味を見失う者あり、事実を受け止めてたうえで前を向いて歩む者あり。
自分はどうして生まれたのか?
自分にとって家族とは?
う~ん、奥が深いテ-マを描いた作品だったなぁ~。
文章が巧いので、引き込まれるように最初から最後まで読ませてくれて、さすが!
面白かった!
ラストの沙有美が書いた手紙に、今、生きていることに意味があり、そのことに感謝したいという内容には胸が熱くなりました。
すべての家庭の床下には、戦争の記憶が眠っている
謎多き祖父の戸籍----祖母の予期せぬ“帰郷”から
隠された過去への旅が始まった。
満州、そして新宿。熱く胸に迫る翡翠飯店三代記
(文藝春秋HPより)
読み応え十分の物語でした。
物語は、翡翠飯店という中華料理店を始めた藤代泰造の死から始まる。
泰造の死後、気力を無くしたような祖母・ヤエだが、「帰りたい」とつぶやく。
もしかしたら・・・以前住んでいた、満州に行きたいってことかも?
孫の良嗣とヤエの息子で良嗣の叔父に当たる太二郎とで、祖母を懐かしい地へと連れて行く事になる。
その旅の様子と交互に語られる、藤代家の歴史物語。
日本人の泰造とヤエは、別々な理由で、満州に移り住んでいた。
あるとき、出会い、好きという感情とは別のもので、繋がり共に生きることにする。
日本が戦争に巻き込まれ、また世界もあちこちで争っていた時代。
異国の土地で祖父母は、そんな不穏なものから逃げ続けることで生き抜いていく。
住んでいた満州がまた危機的状況になり、終戦後の日本に引き揚げ船で再び戻る。
日本はその後、高度成長期を向かえ、泰造とヤエは小さな中華料理店を開く。
その後、子どもが生まれ、孫も生まれ、少しずつ家族が増えていくが、それぞれに降りかかる問題。
日本の史実もたびたび登場。
浅間山荘事件、学生運動、神戸の大震災、地下鉄サリン事件・・・・。
史実が家族の生活にも影響していて、その時代をリアルに生きている家族の様子がわかった。
祖母が旅を終えて、帰りつぶやく言葉に、なんとも言えない気持ちになった。
逃げることしか教えられなかったことを申しわけなく思う。あの時代は逃げる以外、時代に抗う方法を知らなかった・・・・・今はそういう時代じゃないけど・・・・・
みたいな言葉。
ラストは、祖母の死後も藤代家の家族が、逞しく生きていくであろう様子が描かれていて
良かった。
結構、厚い本でしたが、なかなか面白かった!!
★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;