著者初の自伝的小説
遺品の中から見つかったテープは、文字の書けなかった母から息子への遺言だった…。社会全体が貧しく、家族間の体温が熱かった時代の感触が濃密に甦る。「在日」の運命を生き抜いた親子二代の物語。
(集英社HPより)
「悩む力」で有名な、姜尚中さんの自伝的小説。
在日韓国人ということは知っていましたが、自身の生まれる前からの家族の歴史が綴られています。
韓国人の両親が日本に来るのは母が16歳のとき。
既に日本に渡り仕事を見つけていた父・姜大禹(カン・デウ)に見初められ、韓国に留まるより、少しは楽な暮らしが出来るかもと父親と共に日本へ。
そして、それは太平洋戦争が勃発する年の初めだった。
東京で暮らしていた二人だったが、父親の妹夫婦も一緒に尾張一宮(愛知県)へ疎開。
東京大空襲は逃れたが、その間もなく、名古屋大空襲に見舞われることになる。
そして、父の弟・テソン(大学の法学部に通い、憲兵となって熊本に赴任中だった)の元へ。
しかし、熊本でも大空襲に遭うがなんとか生き延びる。
そして終戦。
テソンは軍からの呼び出しを恐れ、祖国に戻る。残されたテソンの妻と娘は、父が面倒を見ると約束。
いつか日本に迎えに来ると約束したが・・・・・。
そして熊本で生活を始める。
空襲から逃れる最中に亡くした長男・ハルオの次に生まれたのが賛中(日本名・正男)。
そして鉄男(尚中)は三男。
貧しい暮らしのなかでも、困った家族が居れば助け共に生きる。
日本人でも敗戦後は食べるのがやっとの時代のなかで、食べて行くのは容易ではなかった様子。
しかし、母親は逞しい。
また日本人からは蔑みの言葉や不当な扱いを受ける。
それについては、日本人として申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
けれど、日本人を恨むようなことばが一切、ここには出て来ません。
そのことがさらに申し訳ない気持ちを強くさせました。
辛く厳しい生活のなかで、それでもへこたれず、前だけを向いて生きる家族たち。
そして、「永野商店」を建てる。
廃品を集めて廻る仕事。
トラックがあれば・・・と思い、懸命に勉強して車の免許を取る父。
商店はやがて兄が引き継ぎ、三男の著者が勉学に励む。
そして大学進学、海外留学・・・・。
両親の頑張りがあってこその今に感謝している気持ちがよく伝わって来た。
素晴らしいご両親だなぁ~。
とても感動しました!!
★★★★★
国有化、反日デモで中国軍が動き出す!
2012年、中国は尖閣諸島を「核心的利益」と言い出し、「(尖閣に)軍が施設を作れ!」と軍幹部が号令した。そして日本の国有化で反日デモが巻き起こり、中国海軍のフリゲート艦も進出して、尖閣海域は緊張が続く。中国は潤沢な予算で空母やイージス、ステルス艦などの新鋭艦の開発、配備を進めている。日本は経済に次いで海軍力でも中国に凌駕されるのか?漁民に偽装して中国軍が出てきたら、領土問題ではアメリカも動きにくく、日本独自で対処せざるを得ない。そこで、かつてソ連の潜水艦をオホーツク海に封じ込めてきた元海将(少将)の著者が、日中の海軍力を徹底分析し、起こりうる海戦の様相と自衛隊の戦い方を明かす。「海軍力とは武器の数やカタログ性能ではなく、戦略と統合運用能力による。勝利のカギは海自の新型潜水艦が握ると思う」(著者)
(小学館HPより)
〔プロフィ-ル〕
昭和11年、鹿児島生まれ。
35年防衛大学校卒(第4期)、海上自衛隊入隊。
対潜哨戒機パイロット、在米日本大使館駐在武官、第5、第4航空郡司令、
昔の陸・海郡大学校を統合した学校に相当する統幕学校副校長として
高級幹部教育に従事する。
退官後、NPO法人岡崎久彦研究所複理事長、日本戦略研究フォ-ラム監事。
海軍戦略、中国海軍分析のエキスパ-ト。
何度か訪中し、中国軍幹部と激論を交わす。
専門的な話が多いのですが、述べたいことはストレ-トに伝わってきました!
著者が言いたいことは大きくは3つ。
・尖閣諸島の領有を叫ぶ中国の真の狙いはなにか?
・中国海軍の実力とはどのくらい?
・日本の防衛力はどうあるべきか?
読んでいると、日本政府が中国が主張する領有権問題そのものが存在しないと冷静に対応していることが果たして正しいのか?と思えてくる内容でした。
中国は強行突破で尖閣を獲りに来るという危機感を国民も少しは危機感を持って考えるべきなのか?
そうした場合、日本の自衛隊がどう動くかがカギ。
最初は軍として獲りに来るわけではなく、漁民として尖閣諸島に接近し、上陸するするだろう。
そのときに、ナンとしても阻止しなくてはならない。
本書第7章では、中国が獲りに来たときをシュミレ-ション化した物語を載せている。
シュミレ-ションのように奪還出来ればいいけれど、そうでなかったら・・・・と考えると恐ろしい。
野田政権では、あまり動きがなかった尖閣諸島問題だけれど、
時期政権を執るであろう自民党にはそのへんも毅然とした対応で臨んでほしいと思う。
自民党の公約を見てみると・・・・
「尖閣諸島の実効支配を強化し、島と海を断固守ります」と書かれている。
何らかの形で尖閣諸島に日本の領土だと示す建物なり、形になった実行支配がされるべきなのかも。
そのためには、今の自衛隊のあり方も見直さなければならないこともあり
難しい問題もあるけれど、いざとなったらアメリカが味方してくれると考えるのは
間違いとなると・・・・・。
読みながらいろいろなことを学び、いろいろなことを自分なりに考えました。
★★★★
知的障がい者の妹と過ごした
愛と勘違いとハプニングの日々――。
共に歩み齢を重ねていった姉妹の人生の輝きが、
まれにみる美しさで胸にせまる文芸ノンフィクション!
素晴らしい人生の愛とユーモア
雨の日も、嵐の日も、
凍えるようなきびしい冬も------
人生のあらゆる季節を生き抜いた人の
抜群の笑顔があります。
(ポプラ社HPより)
著者の自伝でもある物語。
1946年妹のアイリ-ンが生まれた場面から、現在共に60歳を超えるまでの家族の物語。
幼いときから常にほかとはちょっと違う特徴のある妹の存在があり、両親と祖父母という家族構成のなかで暮らす。
アイリ-ンに脳の障害があるのは、赤ちゃんのアイリ-ンに乱暴に哺乳瓶を押し付けたせいかもしれないと思う著者・テレルは、優しい姉である。
アイリ-ンの存在をいつも温かく見守る。
それはほかの家族も同様で、当時はまだ障害を持つ家族を隠したがる風潮だった時代。
そんな時代でも広告代理店を営む父親は、自分の娘のためになる情報を集めようと自分が広告を載せアイリ-ンの存在を隠さなかった。
そして障害者の会も立ち上げる。
そんな父親の姿を見て育った著者だからかな?
大人になるとその活動を引き継ぐ。
州知事に会ってグループホ-ムを既存の施設より低コストで設立することを認めて貰うなど。
大学で知り合ったご主人の理解と協力も素晴らしい。
とはいえ、実際、成人した知的障害者と向き合うって本当に大変なことだと思う。
アイリ-ンのかんしゃくに対抗して自分も激しく対抗したテレルの気持ちはそれまでの経過を読んでいれば共感出来る。
が・・・世間は理解してくれなかった。
アイリ-ンの起こした行動のために周囲に迷惑をかけたりで哀しい想いもいっぱいしている。
両親は相次いで亡くなったけれど、その後は母方の弟・ボブ叔父さんがテレルを支えた。
アイリ-ンの家を購入する手助けをしてくれて、優しい助言も。
この物語には、心温かい人たちばかり。
こんな家族のなかに生まれたアイリ-ンは幸せだろうな。
本を読み終えて、表紙裏にある著者とアイリ-ンの並んだ写真をみたらジ~ンとした。
仲良しの姉妹そのものの写真。
そして興味を持ったのは、この本を翻訳された宇野さんのプロフィ-ル。
中学の英語の先生を勤めたあと、翻訳の勉強をされて本書に出会い、日本の読者にぜひ紹介したいと奔走しながら初の翻訳書出版を成し遂げたとか。
これからも素敵な本を翻訳していただきたいです!!
★★★★
遠く離れた異国から見た故郷ニッポン、ここが変!
「一億総おしん」で慎ましくトイレで尻まで洗うくせに何処でもしゃがみ……。
大ベストセラー漫画『テルマエ・ロマエ』の著者初エッセイにして大傑作。
(幻冬舎HPより)
漫画『テルマエ・ロマエ』もまだ見てないのですが・・・
これを読んだら、絶対見てみたいと思いました。
こんなにユニ-クな人が作った話なら絶対、面白いはずだから。
日本人なのに17歳のときに絵の勉強をしたくてイタリアへ留学。
その後、イタリア人のご主人と結婚。
息子さんが一人。
現在はシカゴに住んでいるそうですが、それまでに住んだことがある国は30カ国というから驚き!!
行く先々の国で感じたことは、こちらもビックリなことが多かったのですが、
同時に日本人と比べているのも面白かった。
日本に住んでいるとわからないことがいっぱい。
日本では常識なことが海外の人からみると珍しいこととか。
トイレ文化は日本は最先端というのはよく聞くけれど、その他の家電製品も結構、日本のものは先端を行ってたらしい。
ウォ-クマンが日本で発売され、帰国にときに購入してイタリアで使っていたら
すごく羨ましがられたとか。
東日本大震災のことにも少し触れていて、当時世界各国のメディアでも言われていたことですが、
やはり大きな災害に遭っても冷静に行動する日本人の姿はかなり驚くべきことだそうで、日本人の忍耐強さとか人のことを思いやる気遣いの心は、賞賛されることだそうで
日本人でよかったなぁ~と読んでいて感じ嬉しくなりました。
最後にある漫画も面白かったぁ~。
漫画家ですが文章もすごく面白い。
イタリア人のご主人を漫画で描いたものもあったけど、実物はどんなかんじなんだろう??
ほかにもいっぱい本を出されているようなので、ほかのも読んでみたいな。
★★★★★
2万体を検死した法医学の権威・上野正彦医師が、
退官後、時を経てなお忘れ難い、愛と生と死のドラマ。
感涙必至!
(ポプラ社HPより)
メディアに時々、登場し監察医としての意見を述べるのを何度か見たことがあります。
穏やかな口調で優しいお人柄を感じていましたが、
ここでも実際に亡くなった方と向き合う姿勢が温かい。
亡くなった方の体を調べ、どういう経緯で死に至ったのかを探る。
そして、そうなった背景にある人間関係にも言及していく。
先生は自身の仕事を天職だとおっしゃっていて、そんな風に思えることは凄い!
先生のお父様は北海道の無医村地区で開業されていて、いろいろな疾患を全て診ていたそう。
そして、「医者は金儲けではない」と言い、先生が臨床医でなく法医学を学び監察医になりたいと相談したときには喜んだそうです。
ここには32のお話があり、それぞれの遺体を監察しながら、その方が生きて生活していた頃の話が織り交ぜられて語られる。
そのどの話も切ない。哀しい。やりきれない感情が起きてきて読むのが辛かった。
先生も本のなかで何度も書いていましたが、やはり幼い子どもの死は特に辛い。
まだまだ生きていたら楽しい経験もいっぱい出来たでしょうに・・・・。
虐待、いじめ、無理心中。。。
それと老いた人の死も哀しい。
「夫の献身愛」の妻の死とそれを見届けた夫の話は、本当に切なかった。
こんな思いを両親にはさせたくないなと強く思った。
死は避けられないものだけれど、亡くなる時には安らかな気持ちで逝きたいと誰も思っているはず。
それが出来なかった人たちの物語でもあるので、いろいろ考えさせられた。
そして最後には、先生の奥様の死について。
胃癌末期の診断から1ヶ月ちょっとという短い時間で亡くなってしまったそうです。
医師として何も出来なかったことに落胆する先生の気持ちを考えたら泣けて来た。
幸いなことは、奥様が眠るように息を引き取ったこと。
最後に先生の話した言葉もジ~ンと沁みました。
監察医も医師ですが、その待遇は、臨床医などに比べるとかなり低いそうです。
そうなると監察医を目指そうとする医師も少なく優秀な人材が育ち難いという環境。
法医学の講義は人気があるのに法医学に携わろうとする者は本当に少ないそうです。
監察医の社会的地位をもっとあげるべきだと先生もおっしゃっていました。
そうしないと優秀な人材は確保し難いでしょうからね・・・・。
たくさんの書物を書いていらっしゃるようなので、ほかにも読んでみたいなと思いました。
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
