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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2021年6月


河童の子どもが猫に姿を変えてやってきた!
河童族の生き残りの中で、人間でいうと8歳になったばかりの「八寸」と呼ばれる河童が、修行を積んで人の目から姿を隠す術を学ぶため、猫に姿を変えて人間の世界に送り込まれることになった。八寸は麻という女の子の家で暮らすことになり、母親を亡くしたばかりの麻は、猫の八寸に大いに慰められるが、ある日猫を洗ってやると、八寸は河童の姿に戻ってしまったのだった…。心の問題を抱える少女とかわいらしい子どもの河童とのユーモアと感動に満ちたファンタジー。

        
                    (福音館書店HPより)


優しくて温かくていいお話だった。

河童の八寸がなんとも愛らしい。
人間でいうと6歳(河童の年齢では60歳過ぎたところ)の八寸が
住んでいる池でひとりぼっちになってしまっていた。
兄たちが出かけたあと、その兄たちを探しにいった親たちも帰って来ず・・・

河童の長老に8歳になったとき「人間の世界に夏の間だけ修行にいったら
どうだろう?」と言われ人間の世界にうまくなじむようにと猫に姿を
変えられる八寸。
水を切らさないようにせなくてはならないが、浴びてしまうと河童の姿に
戻ってしまうから注意せよ。
首に珠を付けてくれ、月のあかりを十分に浴びせれば河童に戻って
しまうことになっても3度は元に戻してくれる力があるという。



人間の様子を観察しながら生活した5日目。
情けない顔の犬に出会う。
その様子を観察していると、女の子が夕方帰ってくるとすごく嬉しそう。
そんな様子をみて、羨ましく、沼で家族で過ごした思い出が蘇り
しんみりしてしまう八寸。


その後、その犬・チェスタトンと麻(小学5年生)と出会う。
麻が仔猫の八寸の世話をしながら、河童であることも知ってしまうのだけど
変わらず八寸を大切な存在として接してくれる姿がいい。
ラブラドール犬のチェスタトンも大人し優しい。
盲導犬に臆病すぎてなれなかったらしい。

麻は、母親を半年前に病気でなくしていて、父親が帰宅するまでは
チェスタトンと過ごす日々だった。
そこに八寸も加わったことで麻自身も気持ちが前向きになっていくのも
いい。
人間じゃなくても気持ちが通じれば絆が生まれる。


終盤、いじわるな男の子3人に対峙する八寸とチェスタトンの様子が
勇ましく微笑ましかった。


最後は元の生活に帰った八寸。
八寸のことを心配していた家族の様子も後半は知れて
再び、家族揃って楽しく暮らしているかな?

麻のその後が少し気になるけれど・・・自分のために男の子と闘ってくれた
ことは、嬉しかっただろうな。


「かはたれどき」=彼は誰?と顔の見分けがつきにくい、おぼろげな朝刻のこと
           (夕刻にも同様なことがあるので両方で使われる)


挿絵も素敵で大人でも楽しめる1冊だった。

朽木さんの書く物語は、いつも温かい気持ちにさせてくれる。



                      ★★★★★
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発行年月:2022年5月


美人画は「色気がない」、役者絵は「似ていない」と酷評されてばかりの歌川広重。鳴かず飛ばずの貧乏暮らしのなか、舶来の高価な顔料「ベロ藍」の、深く澄み切った色味を目にした広重は、この青でしか描けない画があると一念発起する。葛飾北斎、歌川国貞が人気を博した時代に、日本の美を発見した名所絵で一世を風靡し、遠くゴッホをも魅了した絵師の、比類なき半生を描く傑作長編。
受賞
第42回 新田次郎文学賞
テレビ化
特集ドラマ「広重ぶるう」(2024年3月放映)


                   (新潮社HPより)



先に「ふたりの歌川」を読んで、広重のことを更に読みたくなり、こちらを
手に取った。

絵師として少し仕事を始めた頃。
師匠の豊広は一昨年に亡くなったところ。


絵だけではまだ食べて行けず、定火消同心としても働く身。

同い年の国芳は自分を弟子にしなかった豊国の元で既に世に名を知られる
絵師になっているし、70歳の北斎もまだまだ新しい作品を出し人気は
衰え知らず。
それに比べて、自分は・・・・と鬱々とする気持ちもありの広重。

それでも広重の絵を評価してくれる者も出て来て弟子にしてほしいと次々に
若者が来る。

が、そんなとき、どんな時も笑顔で寄り添ってくれていた妻が亡くなり
気落ちする広重のもとに師匠・豊広と親しかった喜三郎が弔問にきて
師匠の話、妻・加代の話を聞き、自分は色々な人に見守られていたのだなと
つくづく感じ、師匠に対しての感謝の気持ちを強く抱く。


祖父の後妻が生んだ仲次郎が30歳を超えたあたりで急死。
遺された嫡男はまだ幼い。

妹のさだが赤子・辰を産むが、辰が6歳の頃、夫の了信(僧侶)と別れ再婚したいが
嫁ぎ先には4人の子があり、辰を預かってほしいと言われる。
そして辰を預かったあと、了信には50両の借金があり、借金取りが・・・


波乱万丈な広重。
借金を返すために嫌々、描くことになった枕絵。
元々、女性を描くのは苦手な広重が豊国に指南して貰って、なんとか
描いて借金を返済。

絵師にも得意分野があるんだな・・・^m^


加代がなくなり家の細々したことをしてくれる女性・お安が来て加代とは
性格は真逆ながら、こちらもしっかり広重を支えていて
結構、人間関係には恵まれていたんだなと感じた。


絵師として成功するには、良い版元、彫師、摺師に巡り会うことも必要だった
んだと思う。

先に読んだ「ふたりの歌川」同様、楽しかった。


「広重ぶるう」が以前、NHKでドラマ化されていたと知り、見逃したと
がっかりしていたら、明日BSで再放送の情報を得て、うれしい!!
なんともラッキー!


梶よう子さんの作品、今まで読んでなかったけれど、これから
読んでいこうかな?



                     ★★★★★



発行年月:2025年6月


★第33回日本児童文芸家協会賞 受賞作品
★第23回赤い鳥さし絵賞 受賞作品
 
「こんど、また遊んでね」
「こんども、こんども、また、こんどもね」
也子が出会った、ふわふわのしっぽの小さなきつね。
あしたも、きっときつねを探しに行こう。
そう思っていたのに――。
戦時下の広島でくらす、小学4年生の也子。
子ぎつねと次第に仲よくなっていく
つつましくも穏やかな日々が、
一発の爆弾によって、突然奪われます。
あたりまえの暮らしが奪われることこそが、非戦闘員までも巻きこむ戦争の恐ろしさであり、悲しみなのです。~あとがきより~
教科書に採用された『たずねびと』の著者による、新しい戦争児童文学の原点。
日本児童文芸家協会賞、赤い鳥さし絵賞受賞作品。
※本書は2008年に発行された『彼岸花はきつねのかんざし』(Gakken)の新版です。新版の刊行にあたり、全編を通して表記を改め、表現の一部を加筆修正しました。


                    (佼成出版社HPより)





B29が飛んでいくのがみえる。
戦時下の広島の田舎で暮らす小学4年生の也子(かのこ)が主人公。
ある日、竹藪で友達とかくれんぼをしていて、気づいたら皆、居なくなり・・・
子ぎつねにあう。
子ぎつねが「わたしにばかされたい?」と聞くので「ぜんぜん」と答える。
その後、暫く会えず、また会いたいなぁ~と思っていると、再び会えて
一緒に追いかけっこ。

子ぎつねとの会話のなかで、かのこが「白い彼岸花がいいな」と話すと
「町のほうにはある」と。

そして再び会えない日が続き・・・・


8月6日、ぴかどんが空から降って・・・・



最初は、ファンタジーだけど、戦争の怖さや虚しさを感じる物語。

絵もかわいい。


こういう話は、辛いけれどずっと誰かが書いてくれないといけないな。




                    ★★★★★



発行年月:2016年4月  (単行本は2010年10月刊行)


私は“幸せ”ですか?
人間の“業”とは、そして幸福とは。
乱歩賞作家が問いかける、予測不能の人間ミステリー!!
母に捨てられ、父を殺された有子。
犯人の自殺、消えた青年、母との再会。
鎖のように繋がる怒りと悲しみ。
そして叶わぬ恋――。
人間が持つ“業”に翻弄されながら、
一人の女子短大生は自分の道を歩き始めた――。


                   (潮文庫HPより)




何とも理不尽な・・・


実直な父が何者かに刺殺される生田有子(19歳)。
幼い頃に母は男性と失踪し、その後は父親と二人暮らし。

父親は警備会社で働き、ある日、工事現場に侵入してきた女性・及川明菜が
建物から転落し、今は病院で寝たきり状態。
その時、女性は従業員の男の名前を呼び、その男も一緒に転落したが
搬送された病院から姿を消したまま。

不可解なことだらけで、父親がなぜ、刺殺されなければならなかったのか?
真相を知りたい有子は、警備会社の職員で元刑事の中原とともに
真相究明をしていく。


父親を刺したのは、及川明。
転落事故で寝たきりになっている明菜の父親。
けれど、及川明は「たいへんな過ちを犯してしまった」とのことばを遺書に遺し
自死。


真相が段々、わかると怒りが沸いてきた。

明菜と一緒に転落した男もしょうもない男だけど、その父親もまた酷い男。
そんな親子のせいで有子の父親と及川明は命を落とすことになったのか?


寝たきり状態の明菜に会う有子。
その事実を知って、彼女のために自分が何か出来ないかと行動するのは
凄いことだと感心したけど、なかなかこういう気持ちになることは
難しいだろうな。


最後の解説を書かれた医学博士で栄養士の言葉を読むと、なるほどねと
思うところはあったけれど・・・・

でも、物語としては、まあまあ楽しめた。




                      ★★★



発行年月:2024年11月


六十代の主婦・雅美は、大谷選手の書いたマンダラチャートを真似て、マス目を埋めてみる。もし、人生をやりなおせるならば、「女性が胸を張って生きられる世の中にしたい」。そう記した途端、雅美はマンダラチャートに飲み込まれ、中学生に戻ってしまう......。同じくタイムスリップした、かつての憧れの人・天ヶ瀬とともに昭和の古くさい価値観を変えようと、奮闘する雅美だが......。


                   (中央公論新社HPより)


正にドンピシャ!
主人公とほぼ同年なので、雅美の思うことに激しく同意!

63歳の雅美が急に中学2年生の教室にタイムスリップというのも面白い。
自分なら大パニックに陥るところだけれど、雅美は結構、冷静だったな。
瞬時に状況を判断して行動していた・・・賢い人なんだと思った。


同じような状況でタイムスリップしてきたのは、当時の初恋の天ヶ瀬良一。
顔よし、スタイルよし、頭脳よしの言うことなしで、女子の憧れの的。
そんな天ヶ瀬が雅美をみて同じ状況なんじゃないかと接近。


彼らが凄いのは、そこから、未来に向かって前の生活よりいい状況になれるように
目標を持って努力していくこと。


でも昭和は男女の格差が今では信じられないほど大きく、雅美は苦労する。
就職のときの様子は、腹が立ってきた。
それでも、なんとか、求められる場所に就職して、さてこれからどうなる?
と思ったら・・・・再び現代へ・・・・。


その辺も面白かった。
この先の雅美と天ヶ瀬のことも気になるけれど、いいラストだった。




                     ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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