発行年月:2020年4月
大阪万博に沸く日本。絵描きの父と料理上手の母と暮らしていた銀花は、父親の実家に一家で移り住むことになる。そこは、座敷童が出るという言い伝えの残る由緒ある醬油蔵の家だった。家族を襲う数々の苦難と一族の秘められた過去に対峙しながら、少女は大人になっていく――。圧倒的筆力で描き出す、感動の大河小説。
(新潮社HPより)
主人公・銀花の波乱万丈の人生。
父親の継ぐはずだった老舗の醤油蔵を継ぐことに決めた銀花。
次々の起きる、厄介な出来事。
それに耐えて、自身は常に前向きに気持ちを切り替えて生きる
銀花を「がんばれ~」と思いながら、読み続けた。
蔵に現れると伝えられてきた座敷童の正体がわかり
そのことが家族間の事態を一層、こじらせてしまったと悔やむ者あり。
蔵を継いだ、父の母・多鶴子や、杜氏の息子・剛。
それぞれが心の中に抱えてきた思い。
銀花はそれらに対しても向き合い、優しい言葉をかける。
銀花の人間性が素晴らしい。
波乱続きの醤油蔵にも未来は明るそうな終盤の展開は嬉しかった。
ドラマになりそうな話だなぁ~。
時代背景が、自分の子ども時代と被るので、懐かしい歌が出てきたり
してそれも面白かった。
★★★★★
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発行年月:2019年9月
ミモザの父・閑に一通の封筒が届いた。白い線で描かれた薔薇の絵のモノクロ写真が一枚入っていて、裏には「四月二十日。零時。王国にて。」とあった。病床の父は写真に激しく動揺し、捨てろと彼に命じる。その姿を見たミモザは春の夜、余命短い父のために指定された明石ビルに向かう。廃墟と化したビルの最上階には三人の男たちが待っていた。男たちは過去を語りはじめる。白墨の王国だったこのビルの哀しく凄まじい物語を──。
(光文社HPより)
哀しい物語。
明石ビルで起きた50年前のこと。
そこで暮らしていたのは、最上階にビルのオーナー明石とその娘(白墨)。
そして、山崎、源田、鵜川、和久井。
物語の冒頭で登場のミモザは、このビルで暮らしていた和久井閑の息子。
ビルで起きたことは衝撃的だった!
でもその真相を知ったときは・・・ショック。
鵜川が許せないと怒りが沸いた。
でも罪の意識を抱いて苦悩していたのは想像出来る。
最後にとった行動も納得。
ミモザは、この後、幸せになって欲しい。
妻と子どもと再び暮らせるように・・・。
始終、つらい物語だったけれど、最後にわずかな希望があって良かった。
★★★
発行年月:2018年10月
峠越えの“酷道”を照らす一軒の食堂。
義父を殺めた少年、幼い娘を喪った女、親に捨てられた男。
孤独と絶望の底で三人の人生が交差したとき、
〈まほろば〉が見せた
“十年に一度の奇跡”とは?
「人殺しになるくらいなら、
生まれてけえへんかったらよかった」
奈良県南部の秘境の村を通る峠越えの旧道沿いで、細々と営業を続ける「ドライブインまほろば」。ある日、憂(ゆう)と名乗る少年が幼い妹を連れて現れ、「夏休みが終わるまでここに置いてください」と懇願(こんがん)する。
一人娘を喪(うしな)った過去を持つ店主の比奈子(ひなこ)は、逡巡(しゅんじゅん)の末、二人を受け入れた。
だが、その夜更け、比奈子は月明かりの下で慟哭(どうこく)する憂に気付く。震える肩を抱きしめる彼女に、憂は衝撃の告白をはじめた……。
(祥伝社HPより)
子どもが理不尽に痛めつけられるのは許せない!
小学6年の憂は、実の父親からも、継父からも暴力を受けて育った。
我慢できずに継父を殺してしまう。
そして父親違いの妹。来海(5歳)を連れて逃亡。
辿り着いたのは、秘境の村にあるドライブインまほろば。
まほろばの店主・比奈子(37歳)は、5歳の時、娘を事故で亡くし
その後、夫とも別れ一人暮らし。
娘の事故は、自分の母親が運転する車に同乗していたとき。
母親は許しを請うが未だに許せない気持ちが強く、母親の存在そのものも
疎ましく感じている。
不幸な境遇の者たちが出会い、新たな幸せを見つけていく。
本当に辛い話だったけれど、憂がとても賢くて良い子なのには感心。
どうしてこんな良い子が生まれたのか???
罪を償ったあとには、きっと幸せがあると思うし、是非、幸せになってほしい!!
しかし、不幸は連鎖していくんだなとよくわかった。
憂に虐待を繰り返していた継父の流星とその双子の兄・銀河。
2人もまた同じように幼少期、辛い生活をしていた。
子どもの頃の育つ環境で人はこんなにも卑屈になっていくんだなと哀しくなった。
実際、こういうニュースも多いし・・・
子ども達が助けを求められる場所。
避難できる場所の確保が行政の力でなんとかならないか?と強く思った。
しかし、最後は、何となく希望が持てて、少しホッとした。
★★★★
発行年月:2017年10月
「あの世からだっていい、俺の名前を呼んでくれ」
森二が刑務所を出た日、塀の外で二人の「兄」が待っていた――。自らの犯した深い罪ゆえに、自分を責め、他者を拒み、頑なに孤独でいようとする森二。うらぶれたアパートの隣室には、バンドネオンの息苦しく哀しげな旋律を奏でる美少女・沙羅がすんでいた。森二の部屋を突然訪れた『娘』冬香の言葉が突き刺さる──「私、あの夜のこと、憶えているんです。あなたは私の目の前でお母さんを殺しました」。森二の「奇跡」と「罪」が事件を、憎しみを、欲望を呼び寄せ、人々と森二を結び、縛りつける。更に暴走する憎悪と欲望が、冬香と沙羅を巻き込む! 森二は苦しみを越えて「奇跡」を起こせるのか!?
(幻冬舎HPより)
吉川森二(37歳)が刑務所を出る場面から。
妻を殺したというが、どういう経緯だったんだろ?先ずはそれが頭のなかにずっと
残っていました。
森二の言動をその後読みながら、妻の唯を故意に殺害したとは思えない、
妻のことを凄く大切に思っていたが、なんらかの裏切り行為があってのこと?
終盤、その夜のことが詳細に記され、故意ではなかったとわかる。
それゆえ、森二の後悔、哀しみが強く感じられ同情する。
生まれて、育つ家の環境って、凄く大事で、その人のその後の人生にまで
大きく影響を与えてしまうものなんだと感じた。
森二、森二の娘・冬香、森二が出所後暮らすアパートの隣人・沙羅。
それから、唯の兄(終盤その続柄は変わるけど)の長嶺圭介。
みんな過去の出来事によって心のなかに重いものを抱えながら苦しんでいる。
なにかキッカケがあれば変われそうな人たち。
悪人はいない、むしろ、心優しい人たち。
物語はどう終結するんだ?
そして、あるひとつの事実が判明して・・・・・それからは急展開。
森二が唯のお墓参りをした場面。
「え~?このお墓にある名前って????」
その真相は、ビックリ仰天でしたが、あり得ることかな?
それにより、森二が義兄・圭介とのわだかまりが解け、冬香との関係も良い方向に
向いそう。
それが一番、嬉しかった。
実の兄・光一もずっと敵対する相手だったのが、信頼できる兄に変わった。
沙羅も真実をしり前を向いていけそう。
ず~っと暗くて重くてシンドイ物語でしたが、最後に救いがあって
本当に良かった!
ちょっと韓流ドラマっぽいかも(笑)
でも読み応え十分で面白かった!
★★★★★
発行年月:2017年4月
大阪で鷹匠として働く夏目代助。ある日彼の元に訃報が届く。12年前に行方不明になった幼い義弟・翔一郎が、遺体で発見されたと。孤児だった代助は、日本海沿いの魚ノ宮町(おのみやまち)の名家・千田家の跡継ぎとして引き取られた。初めての家族や、千田家と共に町を守る鷹櫛神社の巫女・真琴という恋人ができ、幸せに暮らしていた。しかし義弟の失踪が原因で、家族に拒絶され、真琴と引き裂かれ、町を出て行くことになったのだ。葬儀に出ようと故郷に戻った代助は、町の人々の冷たい仕打ちに耐えながら、事件の真相を探るが……。『雪の鉄樹』で最注目の新鋭が濃密な人間ドラマを描く、最高傑作!
(東京創元社HPより)
冒頭の愛美の遺書から始まる物語。
愛美は自殺だったが、物語のなかには、もう一つの事件。
まだ幼かった翔一郎の行方不明事件。やがて誰かの手によって殺されたことがわかる。
物語の主人公・夏目代助が以前、暮らしていた海沿いの町での話に戻る。
代助は孤児として施設で暮らしていたが、千田雄一郎・京香夫妻の元に。
跡継ぎとして鷹匠の仕事を仕込まれる。
が、後に千田夫妻に翔一郎が生まれ、千田家の跡取りとしては不要な存在になった
代助。
それでも翔一郎の兄として今まで通り、日常を過ごす代助だったけれど、
翔一郎の失踪に何らかの関与があるのではと町中の皆から疑いの目を向けられる。
代助の気持ちが痛々しい。
神社の巫女・真琴との恋の行方も気になった。
そして終盤、次々わかる事実にビックリ!
えぇ~?そういうことだったんだぁ~!!
遺書を遺し自殺した愛美も本当に気の毒な人生だったとわかる。
なんだか気持ちがズ~ンと重くなる物語だったけど、最後にちょっと明るい兆しも
見えたかな?という終わりが救い。
この後、どうなるんだろ???
あれこれ想像しちゃう。
一気読みの面白さでした!
★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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