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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年2月


 たとえ「毒」でも、「ボケ老人」でも――親を捨てられない長女たちの行く末は?

痴呆が始まった母のせいで恋人と別れ、仕事も辞めた直美。父を孤独死させた悔恨から抜け出せない頼子。糖尿病の母に腎臓を差し出すべきか悩む慧子……当てにするための長女と、慈しむための他の兄妹。それでも長女は、親の呪縛から逃れられない。親の変容と介護に振り回される女たちを描く国民総介護時代に必読の連作小説。

                    (新潮社HPより)


3つのお話。
3人の長女たちの苦悩が、こちらにも痛いほど伝わってきて、苦しくなりました。


<家守娘>
島村直美
離婚して実家に戻り、母親と二人暮らし。
昔は、綺麗で料理も上手、何もかも完璧だった母が、今は認知症。
母は、幻の女の子・ユキちゃんを見る。
病院で処方される薬も拒否。
そして、母親を連れて行った病院で知り会い、直美と親しくなった男性のことを
悪く言う。そして、事件が起きる。


<ミッション>
秋本頼子
母が50代で病死。
一人暮らしをしていた父は60代半ばで孤独死していた。
頼子は、26歳で大学医学部に入学し、恩師の園田の死後、その仕事を引き継ぐ
ことを決め、インドの山奥の村へ。


<ファーストレディ>
松浦慧子
父は医師で自身の経営するクリニックで多忙な日々。
母は糖尿病が進行している。
医師の妻だから他の病院に受診させても自己管理が家庭で出来ると判断されてしまい
それがアダとなっている。
母は食欲を抑えられず、甘いものを食べ続ける。



3人の長女たちは、皆、親のことを大事に思っている良い娘。
それゆえ、苦しんでいる姿は痛々しい。
他人ごとじゃないなぁ~と思えて、ちょっと怖くもなった。

どんどん、高齢化が進み、医療が進歩して、昔なら亡くなっていた病気も命だけは
助けられるようになったりして・・・・
二番目の話<ミッション>で、へき地に医者が来たことは喜ばしいことだと思うのは
こちら側の常識で、元々、医師など居なかった暮らしをしてきた村人には
医者が来たことで、自然に死ねなくなったと考えているというのは、言われてみれば
なるほどなぁ~と思った。
ある程度の年齢になったら、自然に亡くなることの方が幸せかも。
ベッドの上で化学療法を受けながら生き長らえても苦痛なだけだから・・・。

この本で、いろいろな事を考えさせられました。

決して読んでいて楽しい話じゃなかったけれど・・・^^;


                          ★★★★
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発行年月:2013年8月


 麻酔医の貴之は、妻と一緒に行ったコンサートで不思議な夢を見る。粛な悲しみをたたえながら演奏する女性の姿だった。夢のことが頭から離れず、彼女の手掛かりを求めるうちに、意外な事実を知る――。「ミストレス」
ゲリラ活動を追っていた勝太郎は、十二年ぶりに日本へ戻る。音信不通にしていた妻のもとを訪れると、以前と変わらない態度で出迎えてくれた。だが、彼女には隠された秘密があった……。「宮木」

                   (光文社HPより)



官能的で不思議な話が5つ。
ちょっと篠田さんの今までの作品とは雰囲気違うかんじでしたが、まあまあ
楽しめました。


<ミストレス>
麻酔医の貴之は、妻とコンサートに行き、疲れからかウトウトしながらも不思議な
情景を見る。その場には居ないはずの演奏者の女性の姿を後日、折に触れ思い出す。
そして、その正体を知る。


<やまね>
恋人が居るのに、恋人の友人女性-・結衣と関係を持つ翔。
結衣は身長141cm、いつも眠そうで体力がなく、体は冷たい。


<ライフガード>
新婚旅行先のタイで、亡くなったと聞いていた元恋人とウリふたつの男性を見かける。
彼はタイ人で名前も違った。
ホテル近くの海でライフガードとして働いている。


<宮木>
ジャーナリストとして近隣の部族地域を移動しながら10数年現地の反政府武装勢力と
行動を共にしていた勝太郎。
共に行動していた通称・ヤスミンという女性の死を機に12年ぶりに帰国。
妻が住むマンションに帰るが、妻の容姿も周りの雰囲気も様変わりしていた。


<赤い蕎麦の実>
アルコール依存症から立ち直るために参加した農業活動。
そこのリーダー的存在の女性・岡野と知り合う。
そして彼女の背後には、ある宗教団体の影。



表題作の「ミストレス」は、なかなか雰囲気があって良かった。
ミストレスとは?愛人の意味もあるそうですが、
ここでは、コンサートミストレスのこと。
コンサートマスターの女性版をそう呼ぶそうで、オーケストラの主席奏者の
意味だとか。
なるほど・・・ひとつ勉強になりました^^;

官能的な話が多いなぁ~と思ったら、そういう趣向のものを書くという元で
書かれた作品たちだったとか。
ちょっと篠田さんの作品には今までなかったかんじで違和感ありでしたが
まあまあ全体的には面白く読めました。

「やまね」と「ライフガード」が個人的には面白かったかな?

しかし、篠田さんには、やはり長編作品を読ませていただきたい。


                            ★★★

41jaq9AQcEL__SX230_.jpg    発行年月:2013年1月


   サラダ工場のパートタイマー、野菜生産者、学校給食の栄養士は何を見たのか?
会社の不祥事で故郷に逃げ帰ってきた元広告塔・栄実、どん詰まりの地元農業に反旗を翻した野菜生産者・剛、玉の輿結婚にやぶれ栄養士の仕事に情熱を傾ける聖子。真夜中のサラダ工場で、最先端のハイテク農場で、閉塞感漂う給食現場で、彼らはどう戦っていくのか。
食い詰めて就職した地元のサラダ工場で、栄実は外国人従業員たちが次々に体調不良に見舞われるのを見る。やがて彼女自身も……。その頃、最先端技術を誇るはずの剛のハイテク農場でも、想定外のトラブルが頻発する。
複雑な生態系下で迷走するハイテクノロジー。食と環境の崩壊連鎖をあぶりだす、渾身の大型長編サスペンス。週刊朝日連載の単行本化。


                                       (朝日新聞出版社HPより)


いろいろと考えさせられる物語でした。

東京で名前もそこそこ名前も知れるくらいに成功した栄美が故郷に戻り、勤めたのが深夜のサラダ工場。
女性の外国人労働者が多く勤めるその職場で、栄美は、彼女たちが次々と体調を崩す様子に危機感を覚える。

地元の元同級生たちにもそのことを相談し、独自調査するがハッキリした因果関係は認められず・・・・。


ス-パ-やコンビニで見かけるサラダなどがなんだか急に恐ろしく思える。
しかし、今は泥つきの野菜は殆ど手に入らないし、実際、虫だらけの野菜は触りたくない。
綺麗に処理された野菜の方が安易に手に取り易い状況である。

これを読んだからと言って、すぐにパック詰めのサラダ=危険なものとは、判断しにくいけれど
いろいろ食の安全性については、勉強しなきゃいけないな~とは思わせてくれる。

そして、外国から研修という名目で働きに来る労働者たちの過酷な労働状況には驚いた。
セクハラ上司の男性・片岡は、彼女たち外国人には頼りになる存在で、片岡の行動は、ちょっと嫌悪感を覚える部分もあったが、こういう人でも頼りにせざるを得ない状況にいる彼女たちが気の毒だった。

ラストは、ちょっとよくわからないまま・・・^^;

でも沢山の人から話を聞いて書き上げただろう本書、読み応えはありました!


★★★
 
 
51bEIgcBNUL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年11月


壊れてゆく家庭、会社の倒産、倒壊するツイン・タワー、親友の死……
望んでもいなかった<人生の第2幕>

「男の本分は仕事」。それは幸せな人生ですか? 歳月を経て、夫婦がたどり着いた場所。働くとは。結婚とは。幸福とは。直木賞作家が描き出す、激動する時代の「家族」の物語。野心や出世のためというより、責任感と義務感で仕事をする。そんな普通のサラリーマンが今の時代は貧乏くじを引く。やりきれない現実の中で、どのようにして人生を立て直し、切り開いていくのか。最後に救われるのは-----


                                       (毎日新聞社HPより)


銀婚式という表題ですが、物語早々で主人公たちは離婚してしまう。
え?と驚いたけれど・・・・最後まで読むと、この表題の意味するところが何となくわかった。

主人公は男性。
高澤修平。証券会社に勤務し、アメリカに転勤となり妻・由貴子と6歳の息子・翔も一緒に移住。
しかし、妻の様子が次第に変化し、家から出たがらず、何をするのも気力がなくなり、日本に帰りたいと漏らし、ついに息子と二人で日本に帰ってしまう。
そして協議離婚が成立。

修平はその後、アメリカに一人残るが、突然、会社が倒産。
しかし、その後の処理に終われ帰国したのは、倒産から二年後。
その後の再就職先は、友人から紹介された損害保険会社に就職するが心労から体調を崩し、受診すると鬱病と診断され退職に追い込まれる。
そして、次は、これまた違う友人から紹介された大学の教師になる。

目まぐるしく職を変える高澤だけど、その場所ごとに多くのことを経験して、少しずつ成長していくかんじだった。

そして、離婚した妻のことをもっと大事にすればよかったというようなことも思ったり・・・・

離婚したけど、お互いが嫌いで別れたわけではないというところが、この夫婦が息子を介してずっと繋がっていけた理由かな?
高澤には、ちょっとした恋愛話もあるけど、結局はうまくいかず、いつも心のどこかで心配なのは、元妻や息子のこと。

年齢が50くらいだと親の介護問題もあったりで、由貴子も苦労していたけど、こういうことはリアルにいずれは自分にも?と身につまされる。

それから子どもの進学問題や結婚問題。
これらについても離婚した修平と由貴子だけど、連絡を取っていた。
別れていても夫婦と変わらないかんじ。

ラストは、成長した息子の翔が独り立ちして、元夫婦は、また新たな絆を結ぶのかな?という終わり方。
一緒に暮らしていようが、離れていようが、信頼出来る人が常にいるというのは心強い。

読み終えて、この表紙の絵を見ると、微笑ましい。


                                         ★★★★

8a61af9d.jpg   発行年月:2011年7月

   科学に翻弄される人間の滑稽な姿を描く、現代の黙示録

   レアメタル入りのウナ ギ、蘇生した縄文時代の寄生虫、
   高性能サル型ロボット……
   科学技術発展の先に人類の幸福は本当にあるのか 
                           

                           (文藝春秋HPより)   



4つの短編からなる。
どれもとても面白かった!


「深海のELL」
駿河湾沖の漁に出た漁師たちが引き上げた大量の巨大うなぎ。
そのうなぎは異様なかんじで、目が異様にキラキラ。
体内にパナジウムを取り込んでいることがわかる。
プラチナと同様、希少価値の金属(レアメタル)をなんとか資源として使えないか?
パナジウムをうなぎから取り出す開発チ-ムが組織される。

「豚と人骨」
マンション建設予定地の地下で、見つかった大量の骨。
かなり昔の人骨と何やら獣のような骨。
調べた結果、獣は豚と予測される。
そして、骨の発掘調査に関わった者達に広まる異変。
大量の骨と一緒に蘇った寄生虫。

「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」
自分で判断して行動する猿のロボットに追い掛け回される女性の話

「エデン」
気づいたら異国の地でトンネル掘りの重労働をさせられることになった青年。
新世界を求めて63年間そのトンネルは掘られるのだという。


どの話も実際にはない話・・・・でしょう。
でももしかしたらこれに近いことはあるのかも?

全部面白かったけど、後半の2つが好き。
「はぐれ猿・・・・」は、最初は、なんとも異様なかんじでぞわぞわするような恐怖を読みながら感じるのだけど、ラストはちょっとほのぼのした気持ちになれる不思議な展開。

最後の「エデン」も最初は、変な世界から早く逃げ出せたらいいなぁ~と主人公の気持ちで読んでいましたが、ラストは、そういう生き方もありかな?
と今までの緊張感が取れて良い意味で脱力。


短編集だけど、内容はすごく充実で読むのが楽しかった!



 

★★★★★

 

 


 

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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