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読んだ本の感想あれこれ。
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511d4CBTdEL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2010年3月



人妻は物を感じちゃいけないなんて法があるかしら。
----せめて、きちんとした不倫妻になろう。

満ち足りているはずの生活から、逃れようもなくどんどんと恋に落ちていく。恋愛を、言葉の力ですべて白日の下にさらす、江國作品の新たなる挑戦!
恋愛のあらゆる局面を、かつてない文体で描きつくす意欲作!

私は転落したのかしら。でも、どこから?
会社社長の夫・浩さんと、まるで軍艦のような広い家に暮らす美弥子さんは、家事もしっかりこなし、「自分がきちんとしていると思えることが好き」な主婦。大学の先生でアメリカ人のジョーンズさんは、純粋な美弥子さんに心ひかれ、2人は一緒に近所のフィールドワークに出かけるようになる。時を忘れる楽しいおしゃべり、名残惜しい別れ際に始まり、ふと気がつくとジョーンズさんのことばかり考えている美弥子さんがいた-----。


                                           (講談社HPより)


面白かったぁ~。
今まで不倫を扱った物語は、沢山、読んできたけれど、文体が異質。
まるで、童話か何かを読んでいるような感覚。

主人公の美弥子は、真面目で家事も抜かりなくこなす。
いつ誰に見られても恥ずかしくないように生活することを心がけていて、見習いたいところがいっぱい。
子どもがまだ居なくて、夫の浩と二人暮らし。
夫婦仲も悪くない様子。

でも、アメリカ人のジョ-ンズと知り合い、二人で散歩をすることが習慣化し、段々惹かれていく。
先にジョ-ンズのほうが、美弥子に好意を寄せていた様子だけど・・・。

そして、親密さは増して・・・・。

今まで清く正しく暮らしてきた主婦ならこその行動かなぁ~?
本人が言う「世界の外に出てしまった」ら、もう元には戻れないのかなぁ~?


ジョ-ンズはアメリカに妻と子どもが居て、その結婚の前にも一度離婚をしていて・・・・
かなり要注意人物というかんじだけど、大学の先生だし、物腰も柔らかで無理強いはせず常に紳士的な態度となれば、最初に抱いていた警戒心のようなものも薄れるのかも。

読みながら・・・あら、良いかんじの人。とわたしも思ってしまったから・・・笑


でも、最後の・・・・・もう小鳥のようには見えないのでした。  はショックだった!
ジョ-ンズが憎らしくなってきた!

美弥子はどうなるんだろ??
と考えたら、気の毒になりました。


表紙の絵とこの物語の内容が、ピッタリ!
フランシスコ・ゴヤの「気まぐれ」No.72 お前は逃げられまい  だそうです。

★★★★
 
PR
6b842dc4.jpg発行年月:2010年11月


三世代にわたる「風変わりな一族」の物語
東京・神谷町の洋館に暮らす柳島家は、ロシア人の祖母、変わった教育方針、四人の子供のうち二人が父か母が違う…等の事情で周囲から浮いていた。時代、場所、語り手を変え、幸福の危うさ、力強さを綴る。


                           (集英社HPより)


600頁近い厚い本でしたが、面白くて最後まで夢中でした。
3世代にわたる柳島家というある変わった一家の歴史。

3世代の人々が代わる代わる時系列もバラバラで語る物語。
メモを用意して、相関図を書きながら読みました。

覚え書きとしてここに書いておくと・・・・・
ロシア人の絹は柳島竹次郎とイギリスで出会う。
そして、日本に二人で暮らし、3人の子ども(菊乃、百合、桐之輔)が生まれる。
菊乃が豊彦と結婚し、その子どもが4人(望、光一、陸子、卯月)。
けれど、望は父親が別にいて、卯月は母親が別にいる。
百合は一度結婚したが離縁して再び戻り、桐之輔は生涯独身宣言をしている。

子ども達は学校に通わず、自宅で家庭教師や親たちから勉強を教わっている。
3ヶ月だけ学校に通ってみたが、いずれも学校生活に馴染めず問題児扱いとされ学校に通うことは断念。

他者から見たら、実に風変わりな柳島家なのですが、家族は皆、仲良しで会話などを読んでも上流階級の上品な暮らしぶりといったかんじで楽しい。


段々、あとの年代になってくると、皆が年を取り、亡くなる人も出てくるけれど、この家族の一員で居られたことには、皆、満足していたんじゃないかな?
後ろの方で絹が竹次郎と知り合ったころの話には、驚きの事実があって、
あ~この家族の風変わりな様は、ここからスタ-トしていたのだなぁ~なんて思った。

抱擁とライスには塩・・・・柳島家を表す言葉が表題になっている。
ライスには塩・・・・わたしもこれはわかる!コショウも欲しいかも(笑)


本が終わりに近づくと、柳島家の話は、もうお終い?と淋しくなった。
ずっとこの一族の歴史を見ていたいと思ってしまった。
楽しかった。

★★★★★
 
9c83d156.jpg発行年月:2009年9月


あいらしく、りりしい野生雪だるまの女の子
雪子ちゃんの毎日には
生きることのよろこびがあふれています

著者が長年あたためてきた初めての長編童話に
オ-ルカラ-の銅版画を添えた宝物のような1冊

                    
(本の帯文より)

ここに出てくる雪だるまの雪子ちゃんは、自然から生まれた野性の雪だるま。

雪子ちゃんは一人で暮らしているけど、お隣の百合子さんとは家族のよう。
百合子さんのところに度々来る、たるさんとも雪子ちゃんは友達。
人間の大人なんでしょうけど、会話は実に楽しそう。

雪子ちゃんは生まれてから一度も両親に会ってないそうですが、お父さんからの言いつけは記憶のなかにある。
お父さんの助言・・・
「怖いからと言って凍りついてはいけない。にらみなさい。でも火とか、のどをかわかした動物とか、わるい人間とかそういうものには近づいちゃいけない」


雪子ちゃんは最初は警戒するけど、結構、目の前に現れたものには逃げずに接触していたなぁ~。
好奇心が勝るというかんじで、子どもらしくて可愛い♪

でも出てくる人間に悪い人は居ないので、仲良くなって、学校にも何度か行くし、友達になった子の家まで遊びに行っていたり・・・・

学校の算数の授業で九九を初めて知り・・・・説明されても理解出来ないけど
「いいわ。わたしはそれでかまわないわ」というシ-ン(セリフ)が好き!

そして夏には眠ってる。
百合子さんが時々、寝顔を見に行って・・・・再び寒い季節に目覚める。
目にうつるものを新鮮な驚きをもってながめる。
部屋に置かれていた誰かからのプレゼントを見つける。

みんな眠ってる間の雪子ちゃんのことを忘れてなかったんですね~(^^)

とても優しいメルヘンチックなお話でした♪

山本容子さんの銅版画も素敵でした。
ちょっと雪子ちゃんの目が最初、馴染めなかったけど・・・・^^;

またコンビで童話の本を作ってほしいな。

子どもが読んでも楽しい童話だと思います。

★★★★


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