終わりも答えもない恋愛の真実
9歳年下の鯖崎と付き合う桃。母の和枝を急に亡くした桃の親友の響子。
桃がいながらも響子に接近していく鯖崎……。"
誰かを求める"思いに、あまりに素直な男女たち="はだかんぼうたち"のたどり着く地とは-----。
(角川書店HPより)
登場人物が多い物語。
はだかんぼうたちがいっぱい(笑)。
歯科医の桃(30代半ば)は、恋人の石羽と別れて9歳年下の鯖崎と付き合っている。
桃の友人・響子は4人の子持ち。
桃は響子のことをヒビキと呼ぶ。
そして、鯖崎はなぜか、響子に惹かれていく。
響子の母親・和枝は妻子持ちの男・山口と暮らしていた。
が・・・和枝が突然、亡くなり山口は和枝と住んでいた家の二階を間借りさせていた
大学生の安寿美の要望もありそのまま母の持ち家に暫く留まる。
和枝が山口と出会ったのが、出会い系サイトというのにはビックリ!
60過ぎてそういう出会いがある時代なのかぁ~!?
和枝は亡くなってしまっているので、この辺は、物語のなかで薄いかんじだけれど
個人的には、和枝と山口の関係に一番、興味あったなぁ~^^;
歯科医の桃は、父親の医院を継いで働いている。
桃には姉の陽がいるけれど、母親・由紀と陽の関係は昔からギクシャクしている。
陽は母親が怖いと言うし・・・実際、2人で会っているときの母親の陽に対する口調は、攻撃的。
母親と娘の関係って、鬱陶しいところあるのは、大なり小なり女性なら誰も感じるところだけれど
ここまでギクシャクした要因がイマイチ、よくわからなかったな。
そして、響子とそのの娘・未来との関係も、ちょっと由紀と陽と似ていて、ギクシャク。
こちらは、母親である響子が未来のことを恐れていた。
気持ちのままに誰かを求めながら生きていく人たちのなかで、ちょっと気の毒だったのが
山口の妻。
戻って来てくれるかも?って思っていたんじゃないかなぁ~?
登場人物たちのそれぞれを次々、いろんな場面で描く物語。
こういう物語は、どうやって終わるのか?と思いながら読んでいましたが・・・・
なるほど・・・唐突に終わるのですね。
この数年後、この人たちがどうやって生きているのか、ちょっと知りたい気にもなりますが
みんなそれぞれ、幸せでありますように・・・・。
★★★★
取り戻そうと思えば、いつでも取り返せる──闇の扉を開く新しい長編。
いい匂い。あの街の夕方の匂い----人生の黄昏時を迎え、一人で暮らす雛子の元を訪れる様々な人々。息子たちと幸福な家族、怪しげな隣室の男と友人たち、そして誰よりも言葉を交わすある大切な人。人々の秘密が解かれる時、雛子の謎も解かれてゆく。人と人との関わりの不思議さ、切なさと歓びを芳しく描き上げる長編。記憶と愛を巡る物語。
(新潮社HPより)
物語を読み進むうちに段々と、登場人物たちの相関関係がわかってくるという話で
なかなかそ面白かった。
マンションで一人暮らしをする雛子は54歳。
最初に結婚した夫とは死別。
その後、再婚したが、離婚して一人。
次々に登場する人物達の話もなかなか面白い。
覚書として人物たちを書いておこう。
<父親違いの雛子の息子たち>
長男・正直・・・妻・絵里子と生後半年の娘がいる。
次男・誠・・・・法学部の学生。美人のガ-ルフレンド・亜美
<同じマンションの住人たち>
丹野夫妻・・・60台?夫の龍次は、たびたび、雛子の部屋を訪ねて来る。
岸田夫妻・・・70代後半~ 丹野夫人と岸田婦人は飼っている犬を通しての関わりがある。
これとは、別に、雛子の妹・飴子の話も。
飴子は雛子とは音信普通になっていて、雛子はそれでも妹のことが気になっている風で、度々、現れる
架空の妹と会話しながら生活をしている。
途中から、その妹は、カナダの日本人学校の教師として働いていることがわかる。
そこの生徒である小学校3年生のなつきの話から、飴子の近況もわかってくる仕組み。
なつきちゃんは、両親には言えないことでも小島先生にならわかって貰えると信頼している様子。
物語の最後で、姉妹は連絡を取り合ったり、再会したりするのかな~?なんて期待で読みましたが
それは期待はずれでした。
でも、いろいろなことが、中途半端なままで終わるこの終わり方が何故かとっても
心地良い。
江國さんの文章も、やっぱりいいなぁ~。
こん表題の意味も読んだあとだと、いろいろな解釈が出来ていいな。
ちょうちんそで・・・・いまの言い方だとパフスリ-ブ?
懐かしい子ども時代に着ていたブラウスを思い出しました。
絶賛された受賞作に、著者の最新最高の作品を合わせた花束のような短編集!
空港の国際線到着ロビーを舞台に、渦のように生まれるドラマを、軽やかにすくい取り、「人生の意味(センス)を感得させる」、「偶然のぬくもりがながく心に残る」などと絶賛された、川端賞受賞作。恋の始まりと終わり、その思いがけなさを鮮やかに描く「寝室」など、美しい文章で、なつかしく色濃い時間を切り取る魅惑の6篇。
(新潮社HPより)
既に発表済みの6編を集めた書なので、「あ、これ読んだことある」という作品もありましたが
こうして順番に読むと、何か共通するようなものを感じた。
<犬とハモニカ>
空港の到着ロビ-に居る人々、それぞれがどういう経緯でここにいるのかが個別に語られる。
そして、飛行機が空港について同じ飛行機に乗り合わせていた人たちが降りてきて
僅かな関わりがあって・・・・。
犬とハモニカもそこに登場。
空港の情景が目に浮かんでくるような楽しさがあった。
<寝室>
5年間付き合った恋人から別れを切り出されショックを受ける文彦。
文彦には妻子がある。
恋人から言われた言葉「あなたはどのくらい困ったひとかわかっていない」
未練が残ったまま帰宅した文彦だったが、帰宅した途端、その気持ちは薄れベッドで寝ている
妻をみて恋人と別れたことに感謝したい気持ちになる。
まったくもって困ったおとこだ・・・・笑
<おそ夏のゆうぐれ>
付き合って半年の男と旅行。
旅行先で男に向かって「食べたい」という。
文字通りの意味にビックリしたが・・・・食べたのはほんの指の皮膚。
ちょっと怖い女。
食べれば自分の一部になっていつも一緒にいる気分でなにも怖くなくなるからと・・・
一番怖いのは、この女だよ~。
でもなんとなくそういう自分も冷静に見ているかんじで更にゾッ。
話としては面白かった。
<ピクニック>
結婚5年の夫婦。
週末は近所の公園に昼食を持って出かける。
ピクニックは妻の好み。
夫がその理由を聞くと「外で見る方があなたがはっきり見えるんだもの」と。
ちょっと不思議なかんじ。
夫もそれを感じるが・・・・この夫婦の今後がちょっと心配。
<夕顔>
付記にもあったが、これは江國流、源氏ものがたり。
儚く美しい源氏のピュアな恋物語。
<アレンテ-ジュ>
ポルトガルが舞台。
ゲイのカップル、マヌエルとルイシュが、リスボンからアレンテ-ジュに旅行。
旅行先で出会った人たちとのことで、小さな諍いが起きるが、仲直り。
町の様子がなんだか面白い。
街頭もまばらな道の壁に一列に並んだ、おばあさん8人は、江國さんがポルトガルに
旅行中、実際にみたそうだ。
どうしてそんな風に並んで??理由がしりた~い!!
どの話もとってもよかった。
たぶん、江國さんの文章が読んでいてとても心地いいからかな?
それぞれの話のなかで、登場する人たちが、身近な人からの言葉や態度から
ちょっとした違和感とか孤独感を感じる瞬間がうまく描かれていた。
いつもながら表題のセンスには脱帽です♪
ある夏のこと。旅先で道に迷った私が声をかけた小さな女の子。
ふたりのいっぷう変わった友情が紡ぎ出す、
不思議で素敵な物語----。
(白泉社HPより)
新聞記者をする私が、仕事で出かけた先で道に迷って出会った小さな女の子。
女の子に付いて行き、女の子の家で泊まらせてもらい、一緒にお散歩に出かけたり・・・。
私には恋人が居て、彼には明日、電車で帰る時刻まで教えてあるのに、
なかなかその電車の駅にたどり着けない。
女の子は一人で住んでいて、食事の支度やら、お菓子やら何でも用意してくれる。
家にはお喋りするお皿。なんと車の運転までしちゃうお皿。
そして散歩の途中で出会ったお喋りする風呂敷。
奇妙だけれど、何だか楽しい。
新聞記者の私は、そして突然、恋人の待つ元の場所に戻る。
きっかり帰ると告げた日の告げていた時刻に。
そして、私は恋人とその後、結婚し、子どもが生まれ孫も出来て・・・
すきまのおともだちたち・・・・すきまに落ちたときには又会える。
ファンタジックで楽しいお話でした!
挿絵のこみねゆらさんの絵も可愛くて色使いが素敵!
江國さんの不思議なお話に合っていました。
★★★★
姉妹のルールは好きな人を<共有すること>
ブエノスアイレス近郊の日系コロニアで育った佐和子とミカエラの姉妹は、少女の頃からボーイフレンドををルールにしていた。留学のため来日した二人だったが、誰からも好かれる笑顔の男、達哉と知り合う。達哉は佐和子との交際を望み、彼女は初めて姉妹のルールを破り、日本で達哉と結婚する。同じく達哉に好意を抱いていたミカエラは父親がはっきりとしない命を宿してアルゼンチンに帰国する。20年後、佐和子は突然、達哉に離婚届を残して、語学学校の教え子であった田渕ともに故国に戻る。一方、ミカエラは成長した娘アジェレンと暮らしていたが、達哉が佐和子を追いかけてアルゼンチンにやってくると……。
(小学館HPより)
登場人物たちの考え方、行動、どれにも全く共感は出来なかったなぁ~。
でも、それぞれの行動に嫌悪感みたいなものは、なく淡々と恋の行方を傍観してるかんじで読んでいた。
姉・佐和子(カリ-ナ)は、達哉と結婚し、日本で暮らしていたが、ある日、一方的にアルゼンチンに帰国してしまう。
そして、ほかの男と暮らし始める。
妹・十和子(ミカエラ)は、娘のアジェレンと暮らしているが、アジェレンの父親が誰なのかは明らかにされない。
そして、かつては達哉に好意を抱いていた。
アジェレンは、母親(ミカエラ)の上司である男性(妻子あり)と恋愛中。
結婚したら、恋愛なんて・・・・と思ってる自分には全くもって自由奔放な登場人物たち。
ある意味、うらやましいかも(笑)。
似たもの同士だから、大して問題にもならず、成り行き任せのかんじで過ぎていく。
日本とアルゼンチンの両方が舞台で、ちょっと異国のかんじも味わえて面白かった。
江國さんのその場の情景が浮かぶような文章なので、楽しく読めた。
表紙の写真も雰囲気あって◎!
表題の「金米糖の降るところ」の意味も文中にあるけど、ロマンチックな発想で素敵だった!
★★★★
12 | 2025/01 | 02 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | 4 | ||||
6 | 7 | 9 | 10 | 11 | ||
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;