発行年月:2016年4月
「もしかして、私、ニセモノなんじゃない?」。ある日、六年間連れ添った妻
はこう告白し、ホンモノ捜しの奇妙な日々が始まる……。真贋に揺れる夫婦の不確かな愛情を描く表題作ほか、無人の巨大マンションで、坂ブームに揺れる町で、非日常に巻き込まれた四組の夫婦物語。奇想の町を描く実力派作家が到達した、愛おしき新境地。
(新潮社HPより)
ドラマ「世にも奇妙な・・・」みたいなお話4編。
どれも夫婦が巻き込まれる不思議な世界。
<終の筈の住処>
新築マンションを購入し転居してきた夫婦。
同じマンションの住人に全然合わない不自然さ。
近隣住民が異常なほどの過熱した建設反対運動を行っている不可解さ。
<ニセモノの妻>
突発性真偽体分離症の感染者が国内でも相次ぐなか妻が突然、自分はニセモノかも
しれないと言いだす。そしてニセモノだという妻と共にホンモノを探す。
<坂>
坂ブームが起きる前から坂のある土地を購入し妻と二人で暮らしていた。
妻は坂愛好家としてどんどんエスカレートしていく。
それについて行けない夫。
「あなたとは傾きが違うみたいね」という蔑みの言葉・・・。
一般住民と坂愛好家のバトル勃発。
<断層>
断層被害者の妻を温かく見守る夫。
自分が断層の裂け目に落ち込んだことを自覚しないように。
どれも不思議な話で、よくもまあこんな話、思いつくものだと感心^m^
やはり表題作が一番、印象的かな?
ニセモノの妻(かな?)が良い人で・・・。
最後の<断層>は、なんだか哀しいけど優しく温かい、不思議なかんじ。
★★★
発行年月:2015年3月
本物そっくりな動物のイメージを「表出」することができる能力者の日野原柚月。
動物園などで力を生かしていたが、力の運用を国家で統べる「研究所」が設立され…。
異能力にまつわる中編2本を収録。
(集英社HPより)
何処かで似たような話あったかなぁ~?と
後で調べたら・・・
「バスジャック」で出てきた動物園と「廃墟建築士」で出てきた図書館の
話とリンクしているんですね~。
記憶力衰退で、読み終わるまで変な既読感がモヤモヤしてました^^;
話の設定は、とても面白い。
イメージで動物の姿を現すなんて。
でも、そこにやはり国家権力が加わると話はややこしくなりますね~。
もう少し、ファンタジー要素だけの話が好きなんだけどなぁ~。
話は<研究所>と<遊園地>に分かれていますが、ちゃんと話は続いていて、
遊園地の方で、一応、めでたしめでたしで終わり良かったかな?
たくやくんと柚月の関係がいいです^m^
★★★
インターネット上ではじまる、不条理な「戦争」
デモ、炎上、ステルスマーケティング─―。市町村合併を巡って、市役所VS反対派の静かなゲリラ戦がはじまった。現代の「見えない戦争」を寓話的に描く、ヒット作『となり町戦争』に続く系譜の会心作。
(集英社HPより)
これは以前に読んだ『となり町戦争』のもうひとつの物語ということなのか?
A市とC町の統合話から始まる、市民町民間の見えない戦争。
実際、統廃合は、全国各地であるだろうけど、こんな風に表面上には出てこないところで
双方の住民たちの思いが衝突したら?と考えると、ちょっと不気味。
今はネットで個人の気持ちを公に匿名で表し、それに共感する人たちが集まり、ひとつの行動を
起こすことも可能な時代。
う~ん、ここに書かれた物語は、フィクションだけど、こんなことが実際にも起きる時が来るのかな?
なんて考えてしまった。
「となり町戦争」をもう一度読み返してみたくなった。
★★★
喪失、絶望、再生----もう一人の“私”が紡いでゆく、滑稽で哀しくて、少しだけ切ない九つの物語。『失われた町』『刻まれない明日』に連なる“町”を、気鋭の写真家との奇跡的なコラボレーションで描く連作短編集。午前4時8分で時間が止まり、住民たちは年もとらず永遠に眠り続ける町が舞台の「四時八分」など、喪失感溢れる不条理な三崎ワールド、全開!
(朝日新聞出版HPより)不思議な町を扱った、お話9つ。
どれも面白かった。
非現実的な世界だけど、写真が添えられていることで、リアルな世界が頭のなかに浮かぶという不思議な楽しさがありました。
表題作の「海に沈んだ町」は、切ないかんじ。
次の「団地船」も同じような、なんともいえない哀愁があったなぁ~。
7番目に登場の「橋」は、そこに住む住人の気持ちで読むと、ゾッとした。
ある日、突然、町にある橋を別の物に架けかえると言う話。
市役所から委託されて1件ずつその主旨を説明に廻る女性の言葉は、なにもかもが納得出来ないものですが、納得出来ないと言い返すと、また信じられない言葉が返って来て・・・・・
そして写真の橋には絶句でした!!
ヤダ、こんな橋を渡らないと他に行けないなんて~!と思ってしまった(笑)
読み手によって捕え方はいろいろでしょうけど、こういう類の話は好き。
三崎さんの物語は、いつも不思議。
でもそこがたまらない魅力。
発行年月:2009年7月
いつか忘れなくてはいけない大切な人。
あの感動から3年-------
“失われた時”が息づく街を舞台に描く待望の長編
存在しないはずの図書館から借りられる本
ラジオ局に届く失われた人々からのはがき
響き渡る今はもう無い鐘の音
席を空けて待ち続けているレストラン
「開発保留地区」行の幻のバス
「開発保留地区」------それは10年前、3095人の人間が消え去った場所。街は今でも彼らがいるかのように日々を営んでいる。
(祥伝社HPより)
「失われた町」の続編のような・・・・でも内容はすっかり忘れている^^;
何故、どういう経緯でこの物語でいう「開発保留地区」の人々だけが消えてしまったのか?
ちょっと解らない部分多いのですが・・・・
けれどこの作品だけでも十分、楽しめました。
消えた人々には、家族や知り合いが居て、今も消えた人達を忘れられずに生きている。
時にふと感じる気配。
消えてしまっても存在しているのだ!と信じたい気持ちがあるはずもない気配まで生み出すのか?
未だ居なくなった者たちを忘れられず、その者が居ない世界で前を向いて進もうとしなかった人々だが、少しずつ、それぞれが接触し、お互いの傷を癒していく。
物語は連作方式でいろいろな登場人物が入れ替わりで登場。
最初の話で出てくる「歩く人」も最後で再び登場し・・・読みながらバラバラの個人が互いに結びつきを持っていく様子に希望の光をみるようで嬉しかった。
記憶が薄れている前作の「失われた町」をもう1度、読んでみたくなった。
★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;