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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2006年8月


第135回芥川賞受賞作!
暑い夏の一日。僕は30歳を目前に離婚しようとしていた。現代の若者を覆う社会のひずみに目を向けながら、その生態を軽やかに描く
担当編集者より
アルバイトで、自動販売機に清涼飲料水補充のトラック配送をする主人公の敦。8月最後の暑い日、女性ドライバーの水城さんに敦の離婚に至る経緯を尋ねられて……。夢と仕事と生活に追われ、真剣であればあるほど2人の心がねじれていった結婚生活。何かを思う気持ちを「捨てる」こと。その重さが熱く切なく、また、水城さんと敦の軽妙なやりとりの中にある信頼関係が心地良く胸に響きます。芥川賞受賞の表題作と、受賞翌日から著者が取り掛かった渾身の第1作も併録します。

                  (文藝春秋HPより)


表題作の「八月の路上に捨てる」は
離婚をする男・敦の話。
大学で知り合って結婚して4年。
脚本家になることを夢見ていたが、今は自販機の清涼飲料水をトラックで補充して
廻るバイト。
一緒に働く先輩で正社員の水城さん(女性)は離婚歴あり。
水城さんに結婚生活のあれこれや、離婚に至るまでの自分の気持ちを
話しながら仕事をしいている。

結婚を持続させるか離婚するか?
なるほどね・・・
こういう関係になると確かに一緒にいることが苦しくなるかもね。
子どもでもいればまた違った方向に行ったかもしれないけど・・・・
心理描写が巧みで面白かった!
芥川賞って難解なのあるけど、これは読みやすかった!


もう1つの「貝からみる風景」は
同棲している淳一の話。
恋人の鮎子と夕方、スーパーで合流するのだが、その待ち時間にお客様の声
のコーナーで客の相談(要望)とお店側の回答を読むのが楽しみという。
気にしたことないけど、なるほど、面白いかも。

ふるさとの金沢で一人暮らしの父親とFAXでやり取りしているというのも
面白い。

たわいもない日常の様子がいい。
こちらの男女はまだ暫く良い関係が続きそう。



男性目線の話、面白いな。


ちょっと調べたら、角田光代さんの元夫らしい。
今は離婚してお互いに再婚しているそうだけど。
へ~と思った。

でも、この人の文章好き。
ほかの作品も読んでみたい!


                        ★★★★


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発行年月:2021年4月


最終話に仕掛けられた一話目への伏線。
気付いた瞬間、心を揺さぶる、鳥肌モノの衝撃が襲う!!
読売新聞、日経新聞、本の雑誌……各紙書評で絶賛の声続々!
「驚きの完成度!」――瀧井朝世さん(『スモールワールズ』公式HP書評より) 
「BL界の鬼才恐るべし」――北上次郎さん(日本経済新聞 5月6日書評より)
夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。

                       (講談社HPより)


6つの短編。
どれも楽しめる。
覚書として記すので、ネタバレあり。


<ネオンテトラ>
広告代理店に勤める夫と暮らしている美和。
流産を繰り返し妊活中だが、夫は浮気?
ふとしたことから中学生の姪・有紗の同級生という蓮沼笙一とコンビニで
たびたび夜、会うことに。
両親と良い関係にない笙一を気に掛けるが・・・
姪は笙一の子を妊娠。
その子どもを自分の子どもとして育てる美和。夫も承知で。


最初から随分、凄い話だな。ちょっと怖いな・・・と思う。
飼っているネオンテトラの繁殖に例えるのは巧いなぁ~。



<魔王の帰還>
夫と別れたと姉の真央が実家に戻ってきた。
身長188cmで態度も大きい姉だから、か細く弱弱しい夫とは元から
合わないと思ってた弟の鉄二。
しかし、真相は、真央の夫・勇が難病にかかっていることを知り
真央に別れを切り出したのだと知る。


真央=魔王・・・最高にカッコいい!!



<ピクニック>
希和子は、単身赴任中の夫の元へ孫の未希〈生後10か月)を預かるからと
娘の瑛里子を送り出す。
が、その間に未希は亡くなってしまう。
気づいたときには息をしていなかったと。
病院からの通報で駆け付けた警察官は、虐待の疑いがあるという。
希和子は逮捕されてしまう。
信じられない瑛里子は、母が虐待をするはずがないのだと主張し続け
やがて釈放。同時に瑛里子は妊娠していることが判る。



一見、不幸なことはあったけど、まあ良かったかな?と思いかけたけれど
えぇ~!!そういうことだったのか?
瑛里子には妹がいた。生後6か月のとき、急性心不全で亡くなっているが
心因は瑛里子が妹を抱きかかえ落としてしまい、その上に瑛里子自身が
乗ってしまったためと・・・・ギャ~なんてこと!?
希和子自身はそのショックで精神的に参り、後々、トラウマに
それが今回の未希の死に関係してくるとは・・・(◎_◎;)
平和そうな冒頭の場面から真逆の話。



<花うた>
兄を殺された新堂深雪とその兄を殺した向井秋生の往復書簡の形式で
進む。

最初は、憎しみをぶつける深雪だが、秋生の返事を読むうちに
その境遇やら考え方に理解をし始める。
ある日、秋生は刑務所内で転倒し、記憶の一部が飛んでしまう。
収監されている者のなかに秋生のことを恨んでいる者がいてその者が
秋生を故意に転倒させた。
10年後、出所した秋生を引き受けることに決めた深雪。


こういう関係は実際にあるのかな?
罪は憎むけれど、その人のことを知ると人としては憎めないってこと?
なんとなくわかるような気もするけど、こんな風に生きることに
なるなんて、ちょっと切ないな。


<愛を適量>
高校教師をしている慎悟の元に見知らぬ男性が。
なんと12歳の時に別れた娘だという。
27歳になった娘・佳澄は、トランスジェアンダーで男性に!
タイで手術を受けるので、その準備期間は、居候させてほしいという。

これは、ちょっと面白かった。
手術費用500万を父親から奪ってタイへ向かう。
でも、きっと帰国後は父親の元にきて、報告するんじゃないかな?
娘の今後のためと思えば500万は諦められるでしょう。


<式日>
後輩から父親が亡くなったから式に参列してほしいと連絡を貰う俺。
俺は定時制の高校に通っていたが、ある日、教室に「試験前なのに辞書を忘れて
しまって・・・」と来たのが後輩。
大変だなとメモを渡し、持っていた豆菓子の小袋を1つ渡すと
机のなかに翌日、紙切れのメモで「おいしかったです・・・・」と返事が。
その後、連絡先を交換し親しくなった関係。
後輩の父親は飛び降り自殺。中学3年の時両親は離婚して母と姉とは
それ以来、会っていないという。
後輩の元にも会いに来たことがあったがドアを閉めたきり警察を呼んで
父親を拒否したのだと。



え~と、この後輩は第一話<ネオンテトラ>の笙一ってことかな?
そうかぁ~。両親が離婚して、父親と二人。
高校2年で中退したということは、その後も結構、苦労したんだろうな。
付き合っていた有紗との関係は絶ったままだったのか?
子どもには会えてないんだな。
バイク事故で死んじゃったと有紗が一話で言っていたけど、父親の葬儀後
そんなに経たずにかな?
衝動買いでネオンテトラは買ったのかな?

いろいろ、考えちゃう。



色々な人生あるな・・・という短編集。
初めて読んだ作家さんだけど、他のも読みたくなる。



                      ★★★





発行年月:2021年9月


過熱する親の心情を余すところなく描いた、凄まじき家族小説。
専業主婦、有泉円佳の息子、翼は、小学二年生。興味本位で進学塾の全国テストを受け、中学受験に挑戦することになる。最大手の進学塾「エイチ」に入った翼は、男子四天王といわれる難関校を狙う。中高一貫校を受験した経験のある夫真治と、それを導いた義父母。中学受験にまったく縁のなかった円佳が、塾に、ライバルに、保護者達に振り回され、世間の噂に、家族に、そして自分自身のプライドに絡め取られていくーー。

                     (光文社HPより)


小学生が中学受験のために、こんなにも追い込まれた生活を強いられるのか?
恐ろし過ぎて・・・都会に住んでいなくてよかったぁ~と思った。

周りの環境が、受験するのが当たり前みたいな中で、子どもは親の示す道を
進むしかない。
そして期待に応えようと必死で。
その必死さが段々、痛々しく思える。

母親の方は、ちょっとこのやり方は子どもを追い詰めているだけなのでは?と
思ったりするけれど、父親は自分も同じように親にされてきて今があると
思っているので、これが正しい親の姿だと信じ切っているのがまた
なんとも辛いところ。


結果、翼君自身が決めた進路で何とか落ち着いたけれど
最初から最後まで息が詰まった。


はぁ~疲れた。


実際、リアルな受験戦争のなかにいたら、もう少し違う感想だったのかな?



                       ★★★



発行年月:2020年3月

『桐島、部活やめるってよ』でのデビューから十年。森永製菓、ディオール、JT、JRA、アサヒビール、サッポロビール、資生堂、JA共済など、様々な企業からの原稿依頼があった。原稿枚数や登場人物、物語のシチュエーションなど、小説誌ではあまり例を見ないような制約、お題が与えられるなか、著者はどのように応えてきたのか!?
「キャラメルが登場する小説」「人生の相棒をテーマにする短編」「ウイスキーにまつわる小説」「20を題材にした小説」など、短編小説十四本、エッセイ六本。
普段は明かされることのない原稿依頼内容と、書き終えての自作解説も収録された一冊。十周年に合わせて依頼された新作小説も収録。

                   (集英社HPより)



小説かと思ったら、違った(^^ゞ
でも面白かった。
小説家って、こういう仕事もあるのかぁ~と。
皆が受けているわけじゃないだろうけど、朝井氏自身、こういうの好きなのかな?


色々な企業の発注内容に沿った物語。
どれも面白かった。

それぞれの最後にある感想戦という場では、物語を生み出す話や
内容について自分で突っ込むような話もあり、茶目っ気がある著者だなぁ~と
感じた。

特に「アサヒビール」の話は、物語の内容も面白かったけけど、突っ込みどころも
あって、それを著者も承知で感想戦に書いていたので、笑えた^m^

今後も発注受け続けてください!



                        ★★★



発行年月:2021年3月


30余年を経て甦る「早すぎた名作」
現在を加筆し、堂々復刊
舞台は1989年、東京・中野。その一角だけ武蔵野の面影を残すような樹木の生い茂る洋館のアパート。
ここに暮らすのは6歳から66歳までの男女7人。
世代も境遇も異なるが、生まれた家や婚家などで家族に傷つき、偶然にここに集まってきた。
大家族のように暮らしながら、それでいて個の生活に踏み入らない節度に、住人は癒やされ、強くなっていく。樹々や草花、鳥や昆虫、そして手作りの料理の数々…。
日常をいとおしむような場面に彩られた小説は、今こそ輝きを放つ。
いろんな家族があるのよ。本当にいろんな、ね。
あなたは、まだ知らないけど…。
『血縁の家族に疲れ切って、「結縁」の家族を新しくつくりあげる人々を書いた『偶然の家族』。この小説には、年が離れたゲイの恋人同士も登場する。(中略)。親しい文芸関係の編集者から、言われた。「なぜ、敢えてゲイを書く必要があるのだ」。なぜと問われても、わたしが心惹かれるのは、書きたいのは、社会の枠組みから、ともするとはずれがちなひと、はずされる人々なのだ。』( 『「わたし」は「わたし」になっていく』=東京新聞= より)

                 (東京新聞HPより)





30年前に書かれたもの加筆して復刻なんだ~。

落合恵子さんの本は、あまり読んでこなかったので、この作品も知らなかった。
でも、復刻してくれたおかげで読めた。

理想的な人間関係。
7人の住人たちが、それぞれ、ちょっとした心の痛みを抱えている。

今は家族の在り方も30年前と少し変わってきている。
いろいろな家族の在り方があってもいいと思う。


30年後、現在の7人のことが最後に書かれていたし、冒頭は当時、唯一の子ども
だった志賀滋の手紙も。

小学生の滋の父親参観日に、大学生の宗太以外が出向く場面が
なんとも微笑ましかった。

これ、ドラマ化しても面白そうだな・・・なんて思った。



                       ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
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