発行年月:2019年12月
あらゆる色が重なって、黒になるんだーー。
拉致した女性の体の一部を家族に送り付け楽しむ、醜悪な殺人者
突然、様子のおかしくなった高校生のひとり娘
全ては自らが過去に犯した罪の報いなのかーー!?
推理作家協会賞受賞作家が、人間の悪を描き切った驚愕のミステリー!
あまりに似すぎている、あの時に聞いた話とーー。
不動産会社を経営する財前彰太は妻の由布子、ひとり娘の美華と幸福に満ち足
りた生活を送っていた。だが、その暮らしに不穏が兆す。世間を騒がす女性拉致事件の
手口に覚えがあるのだ。被害者の衣類や髪、爪などを家族に送り付けて楽しむ殺人者。
それは十八年前、探偵事務所に勤めていた彰太が、娘の復讐をしたいという老人から
捜索依頼を受けた拉致監禁犯のやり口と瓜二つだった。
当時、妊娠中の由布子と結婚するため、金が必要だった彰太は、叔父の会社の
乗っ取りを画策。依頼人に伯父が犯人だと嘘の報告をしたのだーー。
あの時の真犯人が再び動き出したのか!?
日本推理作家協会賞受賞!『愚者の毒』の著者が放つ最新ミステリー!!
(祥伝社HPより)
恐ろしい話。
主人公の財前彰太は、伯父・文雄の財産を継いで今は取締社長。
妻(由布子)とお嬢様の通う高校2年の娘・美華と暮らしている。
伯父の後を継いだのは、彰太のある悪だくみが成功したから。
以前は、興信所勤務の彰太が、ある人物に恨みを抱きその復讐心に燃える依頼人の心理を
利用して、伯父を殺害するよう仕組んだ。
その罪悪感が彰太を苦しめる。
依頼人が憎んでいた人物は、今も世の中にのさばり、18年前、依頼人の娘にしたことを
再び、別の誰かに始めたか?と思わせる殺人事件が起きる。
登場人物たちが多いのだけど、話の流れの中で自然に入ってくるので混乱せず
後々、わかる事件の真相で、びっくりする。
なんとなく怪しくないか?と思っていた大黒様の息子・若院の裏の正体が明かされて
えぇ~!?
彰太の若い頃、少年鑑別所送りになったとあったけど、一緒に罪を犯した妹は?と
ずっと気になっていたのだけど、最後にえぇ~!?
ああ、凄い話。
人って、そんなに悪人って人じゃなくても、出会う人やその時の心理状態で、とんでもない
悪が表に出てしまう怖い生き物なんだと思った。
表紙の美しい絵も、今は見ると怖い。
よく考えられた話ではある。
物語としては面白かった!
★★★★★
発行年月:2018年9月
お告げの意味に
気づいたとき
ふわっと心が
あたたかくなる
なんでもない
言葉をきっかけに、
思い悩む人たちの
世界がガラッと変わる――。
読書メーター
読みたい本ランキング
月間(集計期間:7月9日〜8月8日)
第1位
猫のお告げが導く
7つのやさしい物語。
失恋のショックから立ち直れないミハルは、ふと立ち寄った神社で、お尻に星のマークがついた猫――ミクジから「ニシムキ」と書かれたタラヨウの葉っぱを授かる。宮司さんから「その“お告げ”を大事にした方が良いですよ」と言われたミハルは、「西向き」のマンションを買った少し苦手なおばの家を訪れるが……。中学生の娘と仲良くなりたい父親。なりたいものが分からない就活生。家族をないがしろにしたと後悔する頑固おやじ。転校先でクラスに馴染めない男の子。20年来の夢を諦めるべきか迷う主婦。自分のしたいことに臆病になった占い師。なんでもない言葉をきっかけに、思い悩む人たちの世界がガラッと変わっていく――。猫のお告げが導く7つの温かい物語です。
(宝島社HPより)
初読みの作家さん。
表題に惹かれて読んでみたら・・・すごくいい!
神社にふらっと現れる猫が、悩める人にふさわしい一言が書かれたタラヨウの葉っぱを
プレゼント。
7つのお話にそれぞれ、今の自分について悩む主人公。
神社に導かれるように出向いて、そこで猫からのお告げ。
たった一言
<ニシムキ>
<チケット>
<ポイント>
<タネマキ>
<マンナカ>
<スペース>
<タマタマ>
たった一言なので、その後、その言葉に出会うたびに敏感に反応してしまう
主人公たち。
自分でそのお告げの意味を見つけていく過程もいい。
最後の宮司さんの話、<ここだけの話>でそれぞれの悩める主人公たちのその後のことが
話される。みんな有意義な生き方している。
宮司さんの人柄もいい。
こんな神社が身近なところにあったら、通いたい!
★★★★
発行年月:2020年5月
(光文社HPより)
<願いごとツユクサ>
<おまじないコスモス>
<占いクレマチス>
<花をつなぐ>
それぞれの章は、繋がった話。
最初の話と次の話を読むと、違う人物が出てくるので混乱(^^ゞ
おまけに時系列も、ちょっとしたトリックで混乱。
でもそれがないと、ドキドキハラハラ感が半減してしまうので
この方法は巧いなぁ~と思った。
川の近くで見つかった女の子の遺体。
この事件が物語のキモなんだけど、犯人として捕まった人物は既に亡くなっている。
が、その人は、最後まで無実を訴えていた。
冤罪って辛いな。
登場人物の相関図が欲しくなり、自分なりにメモしながら。
ちょっと混乱してきたけど、なるほど。
悲劇が再び起きてしまったのか?と思ったけど、最後にそうではなかったことが
わかってホッとした。
章ごとの草花を使った、おまじないは、子どもの頃、似たようなこと
やってたなぁ~と懐かしかった。
★★★
発行年月:2020年4月
燃え盛る民家。
取り残された少女。
灼熱の地獄に飛び込んだ、一人の男。
炎の中から助け出された少女は、そのまま男に連れ去られた――。
新潮ミステリー大賞作家が描く、ある双子の男女にまつわる二十余年の物語。
さみしさが、ぬくもりが、心に触れる傑作青春ミステリ。
クリスマスの夜。百キロ以上のスピードで暴走する車を、二台のパトカーが猛追していた。
時は二時間ほど前に遡る。その男は、偶然、火事の現場に遭遇する。家の外で助けを求める母親。二階の窓からは、泣き叫ぶ娘の姿が見える。男はこの状況に運命を感じていた。男が取った行動は、誰も予想しないものだった。燃え盛る家の中へと飛び込んでいったのだ。それから五分足らずで、男は家から出てきた。胸には十歳の少女をしっかりと抱きかかえている。周囲から、歓喜の声がこぼれる。しかし、男が次にとった行動に周囲は唖然とした。
男は少女を母親に手渡さず、車に乗せてそのまま逃走したのだ
(集英社HPより)
エピローグからは、何やら重たい物語が始まりそうな予感。
でも、違った!
いきなり小学生の男女の双子・勇帆と帆名の物語。
姉弟喧嘩があったり、親友たちとの出来事が綴られ、
え?ふつうの青春小説?と思いながら読んでいく。
中学~高校と成長し、それぞれの人間関係とか語られる。
双子の両親の離婚騒動もあったり、読んでいて飽きない。
けれど、最初の話は、これからどうつながっていくの?
と疑問が頭の片隅に常にあるかんじ。
全てのことが繋がるのは、終盤。
なるほど・・・。
結果、最初のエピローグは、嫌な結末にならずに良かった。
なかなか、面白かった。
でも、この表題はなんで?
そこだけがわからない。
★★★
発行年月:2019年6月
いつかのあなたが、きっと、この教室の中にいる。著者渾身の感動作!
もくじ
第二章 こんなものは、全部通り過ぎる ……中学受験を控えた優等生・川島杏美の物語
第三章 いつか、ドラゴン ……うまく言葉で気持ちを表現できず『問題児』とされている武市陽太の物語
第四章 泣かない子ども ……クラスの『女王』カナの親友・見村めぐ美の物語
エピローグ
(角川書店HPより)
小学6年生のあるクラスの子どもたちの物語。
章ごとに主人公が変わる。
このころのって、ホント、学校の人間関係が全てだったかも。
特に小学生の高学年~中学生くらい。
クラスのなかには、なんとなくリーダーっぽい子が男女それぞれにいて、
勉強も良く出来て運動が出来きて、明るく活発ならリーダーとして合格。
でも、そんな子は実際少なくて、勉強が出来なくても、何か秀でたものがあって
(可愛いとか、喋りが面白くて明るいとか)リーダーっぽい存在になる子も。
クラス替えは、結構、緊張したし、気の合う子と友達になれるかで
学校生活が決まるかんじだったな~。
それでも、昔は、携帯とかなかったから、下校すれば、皆、それぞれひとり。
今は、その点、lineとかあるから、大変かもね。
物語のなかで、子どもたちは、建前と本音で結構、悩んでいる。
最終章では、このなかの一人が小学校の教師になって教壇に立ち、皆に
最初の挨拶をしている場面。
教師になった子は、目立たなかったけど、色々、冷静に皆を見ていた子。
生徒たちを前に「わたしは皆さんを知りたいと思い続けます」という言葉。
いいなぁ~。
上っ面の言葉や見せかけの態度だけで、人を決めつけないって大事。
教師になろうとしている人には、読んで欲しい!
★★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;