発行年月:2016年12月
鬼は、人から真実を引き出す。人は罪を犯すものだから
江戸の洒落者たちに人気の袋物屋、神田の三島屋は“お嬢さん”のおちかが一度に一人の語り手を招き入れての変わり百物語も評判だ。村でただ一人お化けを見たという百姓の娘に、夏場はそっくり休業する絶品の弁当屋、山陰の小藩の元重臣、心の時を十四歳で止めた老婆……訪れた客が語り出したのは――
(日本経済新聞出版社HPより)
第一話「迷いの旅籠」
13歳のおつぎの語り。
ある農村での出来事。
村の名主の離れに居候していた絵師が引き起こしたこと。
あの世よこの世をつないだ瞬間に起きた諸々の怪事。
昔から伝わる祭り事って、なんだか恐ろしいものが秘められているなぁ~。
おつぎちゃんが幸せであるますように・・・。
第二話「食客ひだる神」
仕出し屋の<だるま屋>主人・房吾郎の語り。
だるま屋は、三島屋も春の花見の場所でいただくお弁当は毎年ここのと
決めているお馴染みの店。
その主人が語る店を開くまでの経緯と、店の秘密・ひだる神のこと。
こんな神様、ちょっと愛嬌あっていいな。
房吾郎の明るい話口調も楽しい♪
第三話「三鬼」
元、藩の家老務めをしていたお武家さま・村井清左エ門の語り。
妹を浚い惨い仕打ちをした男3人を相手に刀を抜いた村井。
一人を討ち取った。
その後、山奥の村で勤めることになる。
その村人たちから「鬼がいる」と聞くが・・・
復讐に燃える男の切なさ。
第四話「おくらさま」
見た目は老婆だが、その出で立ちは若い娘・梅の語り。
自分は3姉妹の末っ子。
家は香具屋を営み、家の守り神・おくらさまの話を父親からよく
聞かされていた。
あるとき、近所の火事により延焼の危機が迫るがおくらさまによって
家は無事だった。
が・・・その日から次女のお菊が行方知れず。
この話が、なんだか一番怖かったなぁ~。
梅さんは、子どもの頃、こんな体験をして、ずっと心の中に
重たくそれを抱えたままだったのかと思うと可哀想。
今回の百物語も興味深いお話ばかり。
またドラマ化してくれないかなぁ~
★★★★
発行年月:2016年10月
ベストセラー作家、初の現代ミステリー長編! かつて病院だった建物に集う、少年少女 たち。彼らの目的は安楽死をすること――。だがそこにはすでに、一人の少年が 横たわっていた。
(文藝春秋HPより)
表題から、自殺願望の子たちの物語かな?と予測がつきました。
が・・・12人がひとつの場所に集まるところから始まる話。
主催者は14歳のサトシ。
サトシを含む12人が集い、それぞれ、最後は死を選ぶという決められた
状況のなかで、議論していく。
そして、12人のほかにもう一人。
子ども達が死を選んでここに来た理由はいろいろ。
病気を苦にしていたり、虐めに悩んでいたり・・・・
なかには理解に苦しむ理由の子もいたけれど、彼らは真剣に考えて
ここに来た。
主催者のサトシが淡々とことを進めていく様子に
何か、別の目的を遂げようとしているのかな?と予測した。
そして・・・・。
最後は、こうなって欲しいと読者の多くが望む結末になったと思う。
その点はホッとした。
ゼロ番の少年のことは、ちょっと切ないけど
この後、皆が以前より生きることに辛さを感じなくなったらいいな。
一番気になるのは、サトシのその後。
もっと14歳らしい生き方してほしい。
★★★★
発行年月:2016年10月
16年前の幼女殺害と酷似した事件が発生。かつて刑事として捜査にあたった神場は、退職した身で現在の事件を追い始める。消せない罪悪感を抱えながら──。元警察官の魂の彷徨を描く傑作ミステリー。
(集英社HPより)
定年退職した元刑事の神場智則。
妻の香代子と共に四国巡礼の旅に出る。
神場には、心の中にずっと引っかかっている事件がある。
16年前の幼女殺害事件。
被害者の幼女を発見したその場に居合わせ、衝撃的な当時の様子が
頭から離れない。
そして、巡礼の途中、知った幼女殺害事件。
16年前のことと、嫌でも結び付けてしまう。
定年退職しても尚、刑事。
新に起こった事件の真相が気になり、元部下に経緯を聞く。
実際は、こんなことそうそう、ないだろうけどね。
神場の正義感は凄いと思うけど、妻の香代子がそれを支えている姿の方に
感動した。
また二人の娘・幸知とのこと。
幸知が付き合っている刑事・緒方は、神場の部下。
人間として素晴らしいとわかっていても、娘がその妻となる事には
難色を示す父親としての考え方。
家族の在り方のようなものも考えさせられる物語。
★★★★
発行年月:2016年3月
万城目ワールド10周年。新たな幕開けを告げる、最強の「奇書」誕生!
が・・段々と怪しい人物(?)たちが登場。
全身黒ずくめの女<カラス>。
謎の少女。
それから死んだはずの祖父。
パラレルワールドみたいな別世界に迷い込んだ形で物語が進み
ちょっと訳がわからなくなりながらも、面白いなぁ~と
どんどん読み進めることが出来た。
で、最後、結局なんだったの???
まあ、こういう話は、読んでる過程が楽しければいいか?^^;
★★★
発行年月:2016年3月
悪辣弁護士・御子柴礼司、医療少年院の恩師・稲見が殺人で逮捕された――
圧倒的迫力のリーガル・サスペンス!
またしても止まらない「どんでん返し」!!
「王様のブランチ」「ダ・ヴィンチ」などで話題沸騰!
『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』シリーズ最新作!!
改めて問われる「贖罪」の意味とは――
韓国船が沈没し、251名が亡くなった。
その事故で、女性から救命胴衣を奪った日本人男性が暴行罪で裁判となったが、
刑法の「緊急避難」が適用され無罪となった。
一方、医療少年院時代の恩師・稲見が殺人容疑で逮捕されたため、
御子柴は弁護人に名乗り出る。
稲見は本当に殺人を犯したのか?
(講談社HPより)
悪辣弁護士・御子柴礼二シリーズ。
冒頭の韓国船の沈没事故は、少し前の事故を思い出した。
緊急避難の場で他人が装着していた救命胴衣を殺人まで犯して奪い
命拾いした男。
それが後の事件の核心的人物になる。
なんとなく想像していたけど、嫌な話でした。
その生き延びた男が選んだ仕事が老人施設の介護士。
巷でも、介護士による入所者への虐待問題が報道されることが度々だけど
嫌だな、こういうの。
日常的に虐待を繰り返していた介護士が殺され、その加害者・稲見武雄は
御子柴の恩人だったという展開。
少年時代に殺人を犯し、医療少年院で更生した御子柴の恩師ともいうべき男。
稲見の罪を軽くしようと奔走する御子柴は、恰好良かった!
稲見は罪を償うと言い張るが、色々な手立てで相手の介護士の悪業を法廷で晒す。
最初から最後までどんどん読める面白さ。
御子柴の人情にもホロリ。
また違う場面での御子柴の活躍を読みたいなぁ~。
★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;