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読んだ本の感想あれこれ。
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419e61a8.jpg   発行年月:2011年2月

  ひそやかに、大胆に。世界をひっくり返し、
  真実をつくりかえてみせよう。
  彼女を、落胆させてはならない。

   開店して2年。店員は2人。「リサイクルショップ・カササギ」は、
   赤字経営を2年継続中の、ちいさな店だ。

   店長の華沙々木(カササギ)は、謎めいた事件があると、
   商売そっちのけで首を突っ込みたがるし、
副店長の日暮は、売り物にならないようなガラクタを高く買い取らされてばかり。

でも、しょっちゅう入り浸っている中学生の菜美は、
居心地がいいのか、なかなか帰ろうとしない----。
 
                                           (光文社HPより)


ほのぼの系の道尾作品は、今まで読んでなかったので新鮮なかんじで、なかなかこういうのもいいなぁ~(^^)

リサイクルショップ・カササギの店長・華沙々木と副店長・小暮のコンビが良い!
三浦しをんの「多々便利軒」を連想させるものもあったけど。
ま、こちらはリサイクルショップということで、少し違うかな?^^;

華沙々木と小暮ふたりの元に度々、来る中学1年生の南見菜美の存在が気になりながら読み進むと、どういう経緯で、このリサイクルショップに来るようになったかがわかる。
なるほど・・・。

春夏秋冬4つの季節の話があって、その一つ一つに謎めいた事が起きる。
そして、それを推理する華沙々木。
一応の推理は、なかなか良い線を行ってるのだけど・・・結局、その事実はその推理とは別のもの。
しかし、この当たらない推理もまた読んでいると楽しくて、2段構えの推理の様子はワクワク感が増した。

いつも小暮に品物を価値以上の値で売る黄豊寺の住職さんも最後には、ユ-モアもありとても優しい心の持ち主なんだとわかって嬉しかった!

読んでいると、楽しくて、まだまだ、続きを読みたい!と思わせてくれる。
続編をまた、暫くしたら書いて欲しいなぁ~。
ああ、でも今までの路線、ちょっとダ-クな物語も読みたいけれど・・・。

いろいろな物語を書ける作家さんなんだと再認識させてもらいました(^^)


★★★★

   
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4e07918d.jpg   発行年月:2010年9月


   きっと生涯忘れない、子供たちとカミサマの物語

   「ヤドカミ様、僕の願いを叶えて」。
   行き場のない思いを込めた他愛ない儀式がやがて……。
   子供たちの切実な心が胸に迫る俊英の傑作!

                            (文藝春秋HPより)


舞台は鎌倉市にほど近い海辺の町。
小学5年生の慎一は、父親の会社倒産を機に両親と共に2年前、祖父の暮らすこの町に越してきた。
父親が亡くなり、今は祖父と母の3人暮らし。
祖父は、しらす漁をしていたが、海に投げ出される事故で片脚を切断している。

友達がなかなか出来ない慎一だが、唯一仲良くしているのはクラスメイトの春也。
春也も転校生。
酒癖の悪い父親の暴力に耐えている。

そして、クラスで最初に声を掛けてくれた鳴海。
鳴海の母親は、慎一の祖父の事故の際に、亡くなっている。


それぞれの子どもたちが抱えているものが重く暗い。
子ども同士の会話には、子どもらしいものはあるが、閉塞感が始終ある。

慎一と春也の二人の遊びは、ヤドカリを二人の秘密の場所で、神様に見立てて願いを叶えてもらう儀式めいたもの。
少々、残酷な方法だが、二人にとっては、それが抑圧されたものを解き放つ行為なのか?

仲良く一緒に居る二人だが、本音の部分では、お互いに抱く気持ちは、複雑。
途中からこの儀式のような遊びに鳴海が加わったことで、よりそれぞれの気持ちにザワザワしたような不穏な空気感が漂う。

子ども達の心理描写がすごく巧く表現されていた。

慎一たちの親たちの関わりもまた複雑に絡み合っていて、
それが更に慎一たちの心を乱す。

こんな環境に居なければ、きっと楽しい毎日を笑って暮らせていただろうに・・・・
なんだか苦しくなるような話でした。

ミステリ-の要素は、弱いし、道尾さんに期待する伏線が最後に見事に結びついて、アッと驚く結末はないけど、こういう作品も凄くいいな!

最近は、ラストに大どんでん返しのミステリ-から少し離れた作品が続いているけど、いろいろな作品をこれからも読ませて欲しい。


★★★
778f7649.jpg発行年月:2010年5月


コインが4枚。何に見える? 恋は謎かけから始まった。「月9」原作、書下ろし!

お前の一言が、俺の運命を変えていく----冷徹な手腕でビジネスを成功させる青年社長・葉月蓮介が、夜の上海で巡り合った女。ありえない二人の物語は、美貌の中国人モデル、部下の社員らを巻き込んで予測不能の展開に……。話題沸騰、いま最高潮の人気作家がフジテレビ月9ドラマのために書下ろした眩いラブストーリー!

                                       
(新潮社HPより)


月9は、キムタクが主演でしたね。
ドラマは1話だけ観たかも。あまり面白くなさそうで、その後は見てません^^;

でも原作は、道尾さんなので、本なら面白いかと期待して読んでみました。

結果・・・・・う~ん。あまり面白くなかったかな?
普通の恋愛小説としてなら、軽く読めて、まあまあいいんでしょうけど、道尾さんが書いてるんだと過度な期待感があったのがいけなかったか?

登場してくる人物たち、みんな自分の人生を懸命に生きてるかんじがして好感が持てました。
この本の主人公・蓮介も社長という地位にいながらも、意外と謙虚だったし、ドラマのキムタク演じる主人公とは、ちょっと印象が違ってよかった(^^)

あとがきで、知ったけど、フジテレビのプロデュ-サ-から声が掛かっての製作だったんですね。
ストリ-自体にが局側から要望や制約があったとか。
だからか~。
わたしとしては、自由に道尾さんが書いたものの方が良かったな。
道尾さんも本心は「プロデュ-サ-の制約がなければ、もっと面白くできたのに~」じゃないかな?
なんて勝手に想像しちゃっりして・・・・^^;

普通の恋愛話ならほかの方に任せたらいいでしょう。
道尾さんの作品を読んで声掛けたならゴチャゴチャ制約とかしないでよ~
なんてちょっと怒りすら覚えた。

兎に角、次の作品は、道尾さんらしいのが読みたいです!


でも、電車の中で携帯電話とおならの出てくる箇所は笑いました!
「プロムナ-ド」のなかにも似たような話が出て来たので(^^)

冒頭に書いた面白くないは言い過ぎかもしれないけど・・・
今回はちょっと辛めの★の数にしました。


★★
 
9b330fc9.jpg発行年月:2010年5月


作家になるまでの道程から、昔好きだった女の子の話まで・・・、
一篇一篇に驚きが詰まった、新感覚のエッセイ54篇。
初めて描いた絵本&戯曲も特別収録。


                         (ポプラ社HPより)



読む前から、ワクワクしてました。
で、読み始めたら、これが面白くて、アッという間に読み終えました。

道尾さんの日常で感じるあれこれ。
あ~こういう事、考える人なんだぁ~。なんて思ったり。

幼い頃の思い出を書いた話もあって・・・・授業中、トイレに行かせて貰い、なんとか間に合ってホッとして席に戻ったけど、「流してない!」と気づいて取った行動が、可笑しかった。
でも良いこと思いつきましたね・・・笑

ほかにもクスッと笑っちゃうことがあれこれあって、なんだか作品は、ちょっと暗かったりするんだけど、道尾さん楽しい♪

自分の頭のなかで、あれこれ想像して、笑ってはいけない場所(葬式とか)で、どうしようもない笑いがこみ上げてくるとか。
こういう想像力があって、いろんな作品が提供されてるわけなんだなぁ~。

特別付録の17歳のときに作った絵本「緑色のうさぎの話」と
19歳で書いた戯曲「誰かが出て行く」も、なかなか良かった。
戯曲の方をラストシ-ンで提示される謎がさっぱりわかりません。
どなたか教えていただけないでしょうか。
としていますが・・・・わたしもわかりません^^;
でも、わからなくてもいいんじゃないかなぁ~?

どの話も面白かったけど、第三章の「マナ-違反の怪奇現象」は、爆笑物でした!
ほんと!?
最後のオチも完璧!拍手!!
お笑いセンスもあるかも~。

笑える明るい話も案外、書いたら面白いんじゃないかなぁ~?

道尾さんの可能性は大きいぞ!

楽しいエッセイでした。
また暫くしたら、日常にあれこれをエッセイで書いて欲しいな♪

★★★★★
a1304bd0.jpg発行年月:2010年3月


痴呆の母を抱える中年男性、ホームレス殺害に手を染めた小学生の兄妹…大切な何かを守るため、人は悲しい嘘をつく。
一匹の蝶が絶望の果てに見た光景とは------

人間の弱さと優しさを描く連作長編。

     
                       
                        (集英社HPより)

第1章から第6章まで
それぞれの主人公たちが抱えるものは重たく暗い。
途中までは、この先、彼らに救いはあるのか?と読みながらこちらの気持ちまで落ち込む。

が、それが次第に変化する。

最初は短編集かと思われた話でしたが、主人公たちはほかの話少しずつ繋がっていく。
人と人が接するなかで、新たな関係が生まれ、そのことにより光が見えてくる。

話の所々に出てくる、虫(蝶とか・・・)、そしてそれぞれの人が目にする光。

植物は、風によって、あるいは虫によって花を咲かせ、人は人と接するなかで光を見いだし
また先に進んでいける(花を咲かす)という事なのかな?

第6章まで進みながら、前に出てきた人がこの人とこういう形で接点があったんだ!とか
同じ場面をほかの人の見方から描き、なるほど~本当はそういう事だったのね?など

驚きと喜びを感じながら、最初の重い雰囲気が少しずつ溶けていくかんじでした。


段々に希望に向かうお話でホッとしました。

話の展開の上手さはさすがです!

そして、この本の装丁と表題も、素晴らしい!!
文句のつけどころがない1冊でした(^^)

★★★★★
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