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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年7月


 直木賞作家が描く、切なくて激しい純愛小説集。みつばち・金魚・トカゲ・猿・孔雀をモチーフにした恋愛を描きますが、甘い蕩けるようなものではない。重く・強い、読み手の心を鷲掴みにして離さない、たたきのめされるような短編集。

                    (双葉社HPより)




朱川さんらしい怪しい話が多かった。

どの話も恋愛話なんですが・・・ありふれた男女の愛とは違う世界。


<みつばち心中>
同性の指に欲望を感じる性癖を持つ女性。


<噛む金魚>
42歳主婦。夫は歯科医で恵まれた結婚生活を送っていると世間は見ているが、
実は処女のまま。自分を変えたいと出会い系サイトで一人の男性と知り合い
実際に会うことにする。


<夢見た蜥蜴>
蜥蜴のわたしは、サラと呼ばれ可愛がられている。
尻尾がなく、体中傷だらけのわたしをニンゲンの彼は優しく治してくれる。


<眠れない猿>
子どもの頃から「猿」と呼ばれて来た。
容姿からそれは仕方ないと諦めている。
けれど、自分に好意を示してくれる女性・尚美と知り合った。


<孔雀墜落>
弟のタケルが突然訪ねてくる。
ホルモン注射のため、見た目は女性になっている。
わたしには、8年間不倫関係の男がいるが、タケルはその男に脅迫電話をかける。



最初の話は、ちょっと気持ち悪かった。
人の性癖っていろいろだけど・・・^^;

一番ホラーっぽいのは、<夢見た蜥蜴>かな?
文章から映像を想像すると結構、怖い(;O;)

<眠れない猿>と<孔雀墜落>は、切なく哀しい。


どれもそれぞれ面白く読んだ。


                             ★★★

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発行年月:2013年10月

「見ている風景は、誰も似たようなものだわ。そこから何を見つけるかは、あなたの心しだい……」

 どんな時代にも、どんな場所でも、映画や本のような作られた世界のなかでも、自由自在に行き来できる「旅行者(トラベラー)」である少年が、白馬とともに旅する世界をそれぞれ「箱庭」に見立て、短篇の名手が物語を紡ぐ。

 国道四号を悠々と歩きつづけるゾウ(「誰もゾウにはかなわない」)、夕暮れの車窓から見えるオレンジ色の旗(「黄昏の旗」)、ジェフじいさんが壊した機械人形(「ヴォッコ3710」)、幽体離脱して好きな女性の危機を救った男(「人間ボート、あるいは水平移動の夜」)、アンデス山中で見たファニカの正体(「ひとりぼっちのファニカ」)、最果ての岬に響く哀調に満ちたバイオリンの音(「傷心の竜のためのバイオリンソナタ」)、真っ白な水着を着た僕たちの女神(「三十年前の夏休み」)などなど。

 笑いあり、涙あり、恐怖あり……直木賞作家が贈る、ちょっと不思議で懐かしい連作短篇集。 

                   (PHP研究所HPより)


箱庭旅団の第二弾ですね。
今回も箱庭的にいろいろな場所でいろいろな時代で起きたちょっと不思議なお話が
満載でした!
15編もあるので、ひとつひとつは短いですが、どれも面白い!


<再び旅立つ友へ>
中2のとき、転校してきた翔は、イケメンで優等生なのに、なぜか中途半端なヤンキーの
俺と一緒に行動することを好む。
あまり出来のよくない俺と同じ高校に行くと言い、トップクラスの高校にも
余裕で合格できる能力がありながら、本当に同じ高校に進学。
けれど、別れるときがきた。

本当に翔は人間じゃなかったのかな?


<誰にもゾウにはかなわない>
ゾウがある日、突然現れる。そして再び消えて行った。

ただそれだけの話なのになんかいい。


<ヴォッコ3710>
ある地区のゲートで入鋏係として雇われているジェフじいさんは、ゲート下の個人書斎
で言葉の研究をしている。なのでゲートを通りたい者はゲートを通過するのに
時間がかかる。そして、ゲート利用者の一人が、入鋏係のロボットを寄付する。
ロボットは女性で、仕事も早く、ゲート利用者は大喜び。
最初は研究に没頭できて喜んでいたジェフじいさんだったけれど・・・

ジェフじいさんの大人げのなさに笑える。


<市長選怪文書>
市長選に立候補している某山〇〇氏は、カラス狐だという怪文書が届く。
その根拠を述べる文が続く。

う~ん、ただのやっかみじゃないか?
こういう人居そうだけど、ホントにカラス狐だったら、どんな風に市長として
働くか逆に見て見たい気もするけれど・・・・



<運命の女、のような>
小4で転校してきたミナコとは、偶然に思わぬところで会うことが度々。
大人になっても、そんなことがあったけれど、お互いに違う人と結婚し
別々の人生を歩む。
けれど、最期は・・・・

こういう偶然、すごい!!
本当にこれは、運命だよ!!


<黄昏の旗>
電車の窓から見えるとある住宅街の一角にあるオレンジ色の旗。
気になり、その街に途中下車して向かってみる。
すると離婚して別々に暮らす、元妻と娘の5年前の姿が・・・

う~ゾッとした。
さみしい心に忍び込む魔の手。
 


<人間ボート、あるいは水平移動の夜>
この題そのままの話。
幽体離脱して、街をふらふら・・・戻れるとわかっていれば、案外楽しいかも。


<未来人ビストロ>
小学生のころのタイムカプセルにあったミツルの手紙に
30年後八重洲二丁目の「コンコルド」というビストロに来たら、ビフテキを
ご馳走すると。

不思議な話?と思ったら・・・良い話でした♪
友だちっていいな~。


<ひとりぼっちのファンカ>
父親が12歳のときにファンカに出会ったはなし。

ちょっと哀しいファンタジー。ひちりぼっちになったファンカが可哀想。


<僕のおじさんはヒーロー>
悪者を倒しにいくといったまま行方不明のおじさんのことを心配する僕。

どこにいったんだろね?


<時計のまち>
10歳のとき、母に連れられて行った時計のまちの記憶。
母はいつもより華やかに着飾り、待っていてと言い残して一人で何処かへ。
戻らなかったら、この封筒の中を見てと言われ不安になるわたし。
そこに少年が来て、不可解なことを言う。

この置いてけぼりの少女の不安な気持ち・・・なんだかすごくよくわかった。
少年が一番、不思議。


<傷心の竜のための無伴奏バイオリンソナタ>
剣士・ジークは王の命令で、人々を苦しめる竜がいるという噂の真偽を確かめに行く。
そして知った真実は・・・・

ちょっと切ない竜のお話。ジークが奏でるバイオリンで、少しは癒されたのかな?


<三十年前の夏休み>
高校2年の夏、友だちと海に行く。
将来何になりたいか話したり・・・近くにいた女性にじゃんけんで負けた者が
声を掛けようということになる。その人は21歳のユミさん。
話を全部聞かれていた。

ああ、こういう青春の思い出話、いいな。


<アタシたちのステキな家>
家族4人で引っ越した家は快適。
みんななぜか、明るい方に少し変わったかんじがするけれど・・・
前に住んでいたのも同じ家族構成の4人家族だった。

うわ~怖い、
これはホラーですね・・・(;O;)


<カムパネルラの水筒>
夜空を見上げて野原にいたはずが気づくと鉄道の客席で、歩いてきた老人に「カムパネルラ」と呼ばれる。

銀河鉄道の夜を思い出させるステキなファンタジー♪



こういう短編集楽しい!!
是非、また箱庭旅団お願いします!


                          ★★★★★





発行年月:2013年6月


きっと、また会える。あの頃、団地は、未来と過去を繋ぐ道だったから。

三億円事件の時効が迫り、「8時だョ!全員集合」に笑い転げていたあの頃。ひとつの町のような巨大な団地は、未来への希望と帰らない過去の繋ぎ目だった。失われた誰かを強く思う時、そこでは見えないものがよみがえる。ノスタルジックで少し怖い、悲しくて不思議な七つの物語。ベストセラー『かたみ歌』に続く感涙ホラー。

                   (新潮社HPより)




東京の北部埼玉県境に出来た大型団地、虹ヶ本団地が舞台。

そこに住む人たちの少し不思議で切ないお話7つ。
でもちょっと温かい気持ちにもなれるのが朱川さんの特徴。
時代背景が自分の子ども時代と被るので、懐かしいものが沢山登場するのも楽しみ。


<遠くの友達>
小学3年生で虹ヶ本団地に引っ越してきた裕樹。
夏休みの引越しなので、友達もいない状態で寂しい思いをしていたが
不思議な動物を、目撃し、それから不思議と友達が出来る。


<秋に来た男>
突然、見ず知らずの男から自分の妻を返してほしいと言われ戸惑う。
男の妻は5年前に失踪し、やっと見つけたというが・・・。


<バタ-クリ-ムと三億円>
三億円強奪事件がもうすぐ時効を迎えるというニュ-スが頻繁に流れる。
事件の起きた日は、完全無欠の美少女だった従姉妹のマリアが亡くなった日。
自分とは正反対のマリアに妬ましさを感じていた自分だったけれど・・・


<レイラの研究>
中学生の良輔は探偵まがいの推理を日常的にしていた。
同級生の澄川玲子の密かに思いを寄せているのだが、学校では無愛想。
そしてある日、長い髪をバッサリ切ってきた。
なぜだろう?
違う場所で偶然、会った玲子に勇気を出して声を掛けると意外と明るく会話が弾みその二面性も謎。


<ゆうらり飛行機>
4歳の息子を亡くした杉下。
息子はインフルエンザで亡くなったが、そのことをつい攻めたことが元で妻は家を出て行き一人暮らし。
いつも模型飛行機を飛ばしている森下氏と言葉を交わすようになり・・・


<今は寂しい道>
激しい雷雨から逃れようと雨宿りをしていたら・・・雷と同時に見つけた不思議な動物。
怪我をしている様子なので家に連れ帰る。
すると夜、見知らぬ少女が現れ「友達のところに連れて行って・・・」と頼まれる。


<そら色のマリア>
マリアの恋人だった尚希は、マリアは何者かに殺されたと信じていた。
そして、犯人らしき男を突き止め、その男の住む団地に自分も住み密かに男を尾行していた。
ある日、川で溺れていた少年たちを見つける。
すると男が川に入り一人を抱きかかえ尚希が、川岸に引き上げるという連携で
子どもたちを救出することが出来た。
尾行していた男と面識の出来たところでマリア殺害の事実を問い詰める。



少しずつ、別々の話の登場人物たちがリンクしていくのが
ひとつの団地のなかの物語の楽しさ。

ちょっと哀しく切ない話ばかりですが、そんな中にも人の優しさも感じられ
子どもだった者が後に成長した姿で再登場したり、ちょっとした仕掛けが嬉しい。


登場した懐かしい物は8時だよ全員集合とか、ボクシ-のボ-ルペンでミニカ-の消しゴムを弾いて遊ぶとか、夏休みになるとやる「あなたの知らない世界」。
怖がりなので、弟が見たがると違う部屋に避難したっけ^^;
1960年代生まれのわたしには共感できる懐かしさがたまりません。

ちなみに朱川さんは1963年生まれなので、ほぼ同年ですね。


                           ★★★★
51vbMYluEvL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2013年3月


また、あの基地に集まろう。そう誓ったのに

同級生4人の男子が作った秘密基地を巡る表題作「サクラ秘密基地」など夕焼けのような郷愁と、乾いた心に切ない涙を誘う6本の短編。

                       (文藝春秋HPより)




昭和を描いた短編6つ。

「サクラ秘密基地」
小学4年生のマナブ、同級生のヨシヒロ、その弟で小2のミツヒロ
ミツヒロの友達・ショ-スケ、4人は放課後一緒に遊ぶことが多く、本当の兄弟みたいに仲良しだった。
それぞれが抱えた家庭の事情を4人でいれば忘れられたのに・・・・・。

ショ-スケが可哀想で、胸が痛くなりました・・・(/_;)


「飛行物体ルル-」
小学校で同級生だった啓子とマリ。
お互いが当時は珍しいかぎっ子だったため、放課後は一緒に過ごすことが多かった。
二人でUFOの合成写真を撮ったら地元の新聞に掲載されマリが取材を受けた。
けれど、そのことが二人を仲たがいさせることに・・・・。

最後、啓子が入信した宗教団体が分かったときはゾッとした。


「コスモス通信」
よくわからない手紙が綴られて、誰かの思い出話?と思っていたら・・・・
その書いた本人は遺体で発見され、所持していた手紙だった!
うわ~気持ち悪い話。


「黄昏アルバム」
写した覚えのない写真が撮れるカメラ。
その元々の持ち主は・・・・

これもちょっと怖かったなぁ~。
死んでも強い思いはこの世に何か残すのかな?


「月光シスタ-ズ」
精神を病んで亡くなった母親のことを語る。
が、姉によると自分も母親と同じ病気を子どもの頃、患っていたと言う。

不思議な話、そしてやはり怖い。


「スズメ鈴松」
アパ-トの住人・鈴松と呼ばれた乱暴者の話。
酔っては暴れる男だけど、小2の息子・ヒロ坊には愛情を注ぐ優しい父親の姿を見せる。
そんな父子と親しくなった河本が語る。

最後はジ~ンと来た。
これは良い話で感動出来た。
最後がこの話でよかった!


どの話も読みやすく、引き込まれた。
読み終えてから表紙の絵を見ると・・・・泣ける(/_;)



 

★★★★

51730GR98JL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2008年2月
 


死んでしまったはずのあの人が見守っていてくれる街……。東京の下町、アカシア商店街に起きた心暖まる、7つの奇蹟の物語。

不思議なことが起きる、東京の下町アカシア商店街。殺人事件が起きたラーメン屋の様子を窺っていた若い男の正体が、古本屋の店主と話すうちに次第に明らかになる「紫陽花のころ」。古本に挟んだ栞にメッセージを託した邦子の恋が、時空を超えた結末を迎える「栞の恋」など、昭和という時代が残した“かたみ”の歌が、慎ましやかな人生を優しく包む。7つの奇蹟を描いた連作短編集。

                                           (新潮社HPより)


朱川さんらしい、懐かしくて、ちょっと怖くて、でも心温まるお話が7つ。

どの話も「アカシア商店街」とその周辺が舞台。
アカシア商店街のなかにある古本屋の年老いた店主が独特な雰囲気で良かった。

店に来るお客さんには、本人には気づかれない心配りを忘れない。
でも、そんな店主にも過去には、哀しい出来事があり、そのことをずっと重たいものとして抱えていたと知る。

あの世と通じていると言われるお寺の存在の怪しさも物語の良い雰囲気づくりを買っていた。
お寺で遊んでいた少女が古本屋の店主に言付けを伝える場面は、ジ~ンとした。

全体の雰囲気も昭和が舞台なので、懐かしい。

表紙の絵もいいなぁ~(^^)


                                       ★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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