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読んだ本の感想あれこれ。
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9940d59e.jpeg     発行年月:2012年11月

    覚えてる? 今、あのときの未来だよ

高校二年の春、卒業生を送る会の合唱で、未来への願いを託した調べに心を通わせあったクラスメイト。御木元玲、原千夏、中溝早希、佐々木ひかり、里中佳子、東条あや。三年の月日が流れ、少女たちは二十歳になった。玲は音大の声楽科に進んだが、自分の歌に価値を見いだせなくて、もがいている。劇団でミュージカル女優をめざす千夏が舞台の真ん中に立てる日は、もう少し先みたいだ……。ぐるぐる、ぐるぐる。道に迷っている彼女たちを待つのは、どんな明日なんだろう――。小説誌「紡」で発表された四編(「シオンの娘」「スライダーズ・ミックス」「バームクーヘン、ふたたび」「Joy to the world」)に、福井のタウン誌連載「コスモス」、そして、書き下ろし「終わらない歌」の全六編を収録。傑作『よろこびの歌』待望の続編!

                                       (実業之日本社HPより)




覚えてる!覚えてる!
『よろこびの歌』
 では高校生だった彼女たち。
20歳になって、それぞれが成長した姿を見られて嬉しかった!



母親がバイオリニストで、音大の付属高校の受験に失敗した、玲は、大学では音大に合格出来たんですね!!
それだけでも良かったぁ~!!と思ってしまった。


それから、ピアノが大好きなのに家庭の経済状況からその道に進むことを諦めていた千夏は、
大学進学をせずに、劇団員として活躍していた。
また別の夢を見つけたんだなぁ~。

中学でソフトボ-ルで活躍していたけれど怪我で推薦入学が決まっていた高校を辞退して、玲や千夏と同じ高校に進学した早希は、大学ではスポ-ツ科学を学び、将来はスポ-ツトレ-ナ-になろうと勉強している。


高校を卒業して、彼女たちは、それぞれの夢の実現にために努力している。
そして、友情も続いていて、劇団の公演で大きな役が決まった千夏。
その千夏の推薦で歌を歌う役のオ-ディションを受けた玲。
公演のタイトルが『終わらない歌』。


ああ、また彼女たちのその後の成長ぶりが知りたい!と思ってしまった。


★★★★
 
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41reXZmFSWL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年5月


心をそっと包みこむ、等身大の成長小説
未熟児として生まれ、ばらばらの父母のもと、
欠落感と一緒に育ってきた私は、介護ヘルパー先の
横江先生の家で額装の仕事に出会う。
ずっと混線していた私の心が、ゆっくり静かにほどけだす-----。


                     (集英社HPより)



音楽がらみの話を書かれる宮下さん。
今回も表題からして、音楽の話かな?と思ったら・・・ちょこっと違っていました。

でもガ-シュウィン作曲で知られる「サマ-タイム」は、主人公の佐古(名前は??)にとって特別なものでした。

佐古は早産で生まれいろいろな機能が未発達のままだった。
成長しても人とはちょっと馴染めず、その要因のひとつは、相手が話す言葉のなかに意味不明の雑音が混じるため、返答がうまく出来ないという。

しかし、高校を卒業し、運よく薬問屋に就職できたが、半年で会社は倒産。無職となる。
その後、ホ-ムヘルパ-の資格を取り、ケアセンタ-に派遣登録して、最初の派遣先が
物語の場となる元教師の横江先生宅。
先生の話口調は穏やかで、佐古の耳にもすんなり入るため会話に困ることがない。
意思疎通がウマくいくって良い人間関係を築くには大切ですからね。
先生の息子さん(名前は?)はお客さんが持ち込む絵の額装をするのが仕事。
先生の住む家の隣でお店を出していて、佐古はその手伝いも兼ねるようになる。
それから、先生の孫・隼とも出会う。
隼は、佐古の中学時代の同級生だった。佐古と同い年の19歳。

2人の会話も良かったなぁ~。
隼は、仕事に就くのが夢と佐古に言う。バイト先では怒られてばかりで、長続きしないとか。

こうすればいいとかそれは良くないとか言うわけではない佐古との会話で、隼は救われたかんじ。

佐古は良い子だな・・・・。

物語の後半、小学校のとき、行方知れずになった父親が突然、帰宅する。
平然と受け入れる母。
最初は違和感を抱きながら、自然と父と娘としての会話が成り立つ過程がウマく描かれていた。

良い事があると知らず知らずのうちに口ずさんでいた「サマ-タイム」を父が聞き
「楽しいことがあると歌っていたな」という場面が素敵だった。

父親が好きでよく聞いていたというCD「エラ・イン・ベルリン」は佐古も気づいたら好きになっていて
そのCDを見つけて「おまえも好きなのか?」と言うシ-ンも良かった。

わたしは知らなかったので、ちょっと視聴してみたけど
おぉ~!!凄くいいじゃん!!と感動した。
ジャズなんてあまり普段は聞かないけれど、この歌声は良い!
CD欲しくなった。41XFVA7SXKL__SL500_AA300_.jpg


宮下さんは、やはり音楽に詳しいなぁ~。
わたしが無知なだけか?^^;


佐古は、優しい人たちが周りにいて、良かったな~。
ちょっと人と違うと、そのことを偏見で判断したりする人がいるけど
そういう社会は、佐古みたいな子は生きにくいだろうね。

その人の良い部分を最大限に引き出してあげられる人が一人でも居たら
その人は、自分が生きていくことに自信を持てるだろう。

なんて、偉そうに書いてる自分がちょっと上から目線っぽくてイヤだけど・・・・^^;


兎に角、良い物語でした!!


★★★★★
 

59ec12d1.jpg発行年月:2011年10月

予約を取ることも難しい、評判のレストラン『ハライ』。10月31日午後6時に、たまたま一緒に店にいた客たちの、それぞれの物語。認知症の症状が出始めた老婦人、ビデオを撮っていないと部屋の外に出られない青年、人の失敗の匂いを感じてしまう女性など、その悩みと前に進もうとする気持ちとを、丹念にすくいとっていく。

                      (双葉社HPより)


レストラン「ハライ」・・・どこかの言葉で「晴れ」の意味。
そのレストランに予約を入れ訪れる人たちのレストランを訪れる前の出来事を綴った短編集。

予約する人たちは6人。
お話は「予約1」~「予約6」まで。

「予約1」
大学を卒業し、コンビニで働く青年。
付き合っていたと思った彼女は、いけ好かない同期の男と結婚した。

「予約2」
夫が亡くなり、一人暮らしの老婦人。
時々、頭痛に襲われ記憶がごちゃごちゃになる。
夫が生前、美味しいから一緒に行こうと言っていたレストランに行かなかった自分を後悔する。

「予約3」
隣に住んでいた幼馴染の同級生・ヨッちゃんが実家に来ている様子。
いつも一緒に居たのに、小学5年生の頃、あることがキッカケで意識して離れて行動するようになり、彼はその後、不良になった。大人になった今も特に交流はなく・・・・でも偶然、コンビニで顔を合わせる。

「予約4」
幼い時に両親は離婚。高校生のとき、母が他界。
姉は結婚し家を出て、高校生の妹と二人暮らし。
家に引きこもり、ビデオカメラばかりをいじっているボク。
妹が友達を連れて来ていることにも気づかすいたけど、その友達は学校でイジメに遭っていて妹はその友達を匿っていたと知る。

「予約5」
ホテル内にあるブッフェレストランでオムレツ担当として働く。
そこによく食べに来る女性が気になっている。
ホテルを出た場所で彼女とバッタリ会って、そこから始まる関係。

「予約6」
幼い頃からちょっと焦げ臭いような匂いの正体が気になっていた。
23歳のある日、それは失敗の匂いだと気づく。


この6つのお話の主人公たちが、どういう経緯でレストラン「ハライ」に予約を入れることになっていくのか?楽しみにしながら読みました。
ちょっと切ないお話もあれば、これから展開されるであろうちょっと楽しい場面を想像したりで、どのお話もとても良かった!

最後に10月31日の夜のレストラン「ハライ」に居る、今までの登場人物たちの様子が描かれる場面は、その場の様子が頭に浮かんでくるようだった。

「誰かが足りない」・・・・その誰かは、それぞれの人たちが大切に思う人。
足りない誰かがもう自分の元には来ない人も居るし、これからは側にいるんじゃないかな?と思われる人も居て、これからのそれぞれの物語もちょっと知りたいと思ってしまう。

人にはそれぞれの物語があるんだなぁ~と当然のことに気づかされた。


                                        ★★★★★
af4d7115.jpg発行年月:2011年1月


 大学を卒業した結乃は、
田舎に戻り「ひとをきれいにする仕事」を選んだ。

注目の著者が、真摯に生きる女の子を描く、
ささやかだけど確かな“しあわせ”の物語。

                        (ポプラ社HPより)



宮下さんの作品は、成長する女性を描いてくれるので、前向きな気持ちになれます。

今回のお話は、大学を卒表し郷里・福島に戻り、ショッピングモ-ルの化粧品売り場で美容部員として働き始めた女の子の話。

当初は、デパ-トの化粧品売り場で働くことを夢見ていたのに、配属先はショッピングモ-ル。
けれど、職場の先輩・馬場さんやお客さんたちと関わるなかで、働く事の意味を見つけていく。

主人公の結乃(よしの)は、実家で母親と妹と暮らしているが、二人は結乃が化粧品を売るという仕事に嫌悪感を抱いている。
女性の仕事としては、良い仕事だと思うのに、なぜ?と思いましたが、読むとなるほど・・・というわけがあった。
けれど、やがて、その気持ちも軟化していく。

化粧品って、やはり女性には、かなり重要なアイテムなんだ!

職場では、先輩の馬場さんには、固定客が何人かいるのに、結乃が接客する客は、世間話だけして何も買わない人などで自分の何がいけないのか?悩んだりする。
結乃は悩みながらもお客さんには、常に丁寧に接している。
この人は、何を求めてここに来たのか?
この人に、何をしたら喜んでもらえるのか?

働くって、ただ決められたことをこなしてお金を貰うだけじゃないんだよね?

いろいろ悩みながら、多くのことに気づきながら成長していく。

結乃の謙虚な様子は、初々しく好感が持てました。

 
成長していった結乃のその後もまた覗いてみたいなぁ~なんて思わせてくれる爽やかな読後感を残す物語でした。

★★★★
6ee4ac9c.jpg   発行年月:2010年10月

   特別な誰か、ではない私の普通で愛しい十年日記

   夫のため田舎に移り住んだ梨々子が妻、母、女として
   迷いながら進む日々を丁寧に綴る。
   注目の著者がすべての女性に贈る“私の物語”

                             (文藝春秋HPより)


ある日、突然、夫が会社を辞めて田舎に帰ろうと言う。
夫との出会いは、会社の上司の紹介で、会った途端に好きになった。
何もかもが格好よくて、理想的だった。
夫の間には、息子が二人。
幸せだった・・・・・でも・・・・
夫は、鬱と診断されて、下の息子は、コミニュケ-ションを上手く取れない。

ちょっと重く暗い設定なのですが・・・
夫が望むように、夫の実家のすぐそばの田舎に東京から移り住み、そこでの生活をスタ-トさせる梨々子。
30歳のときから、2年後ずつ話が進み、段々と田舎暮らしに馴染んでいくかんじ。
夫の鬱病もさほど深刻な状態にはならず、社会生活も普通に送れていて、ホッとした。

夫の実家との付き合い。
ご近所さんとの付き合い。
子どもの学校でのこと。

主婦なら、多少なりとも同じような事を感じる場面があるんじゃないかな?というお話でした。

梨々子が途中、芸能人・アサヒと出会い、二人だけで会うことがちょくちょく。
この辺、ちょっと現実離れしてたかんじですが、何もかも捨ててついて行きたいと考えることはあっても、ちゃんと理性的な結論を出したのは偉かった!!

ラストは田舎に住んで10年目の話。
回り道の一歩一歩が自分の人生・・・なるほど・・・。

地味な話でしたが、所々で「そうだよね~」とか「なるほどね~」と思ってしまった。

最初、笑わない人は苦手だと良い印象でなかった同じマンション住人の塩原さんが結構、好きだった。
病院のボランティアを梨々子に勧めた時、梨々子が「人の役にたてるなら・・・」みたいな話をした際に「そんな期待はしないほうがいい・・・人の役に立てるかはわからないけど、自分の役には立つ」みたいな事を言ったときは、何だかよくわからないけど、感動した。
ボランティアって「人の役に立つ」なんて、上から目線の人には向いてないことなのかもね。

このタイトル、ちょっと長くて面白いけど、
ちゃんと話のなかに出て来て、最後までそれが活きていました♪

ハッピ-エンドと言えるのかはよく分からないけど、梨々子は田舎に移り住んだ10年前より随分、逞しくなった様子。
何も状況はかわらなくても年を経た分だけ、人はいろいろな事を人から吸収して気持ちに余裕を持ちながら生活を続けていけるようになるのかも。


★★★


 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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