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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年6月


 

歌舞伎子役と親同士の確執を描くミステリー

「美しい夢ならば、夢の中でも生きる価値がある」
『サクリファイス』で大藪春彦賞、第5回本屋大賞2位を獲得した、近藤史恵氏が長年温めてきた、歌舞伎の子役を主人公にしたミステリー。
市川萩太郎は、蘇芳屋を率いる歌舞伎役者。花田屋の中村竜胆の急逝に伴い、その息子、秋司の後見人になる。同学年の自分の息子・俊介よりも秋司に才能を感じた萩太郎は、ふたりの初共演「重の井子別れ」で、三吉役を秋司に、台詞の少ない調姫(しらべひめ)役を俊介にやらせることにする。しかし、初日前日に秋司のおたふく風邪が発覚。急遽、三吉は俊介にやらせる。そこから、秋司とその母親由香利との関係がこじれていく。さらに、秋司を突然の難聴が襲う。ふたりの夢である「春鏡鏡獅子」の「胡蝶」を、ふたりは舞うことが出来るのか…?

                        (小学館HPより)





表題に「殺し」なんてついているので、誰か殺されちゃうのかな?と思って

しまってドキドキしましたが、予想が外れてホッとしました。

歌舞伎の世界の話は全く知りませんが、周囲の期待を背負って、幼いときから
稽古を積んで大変な人生だなぁ~と感じた。

父親を亡くした秋司の後継人となった市川萩太郎。
その息子・俊介は秋司と同学年。
踊りに対しては、秋司の方が優れていたが、おたふく風邪の後遺症で難聴に
なってしまう秋司は、初舞台も諦め、その後、歌舞伎の世界から消える。

俊介と秋司が後半青年になって再会の場面は感動的。
二人とも人間として立派だなぁ~。

二人が同じ舞台で踊る姿を想像するとワクワクするが、それを読む前に物語は
終わってしまった。

歌舞伎にちょっと興味が沸いてくる作品でもあり
歌舞伎が好きな人なら、もっと楽しめるかも。

子どもを主役にした物語なのも読みやすくて良かった。


                          ★★★★

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発行年月:2013年6月


 仕方ないものだな。男というものは。

吉原で火事があった。
青柳屋の遊女・梅が枝は逃げ遅れて火傷を負ったという。
同心・玉島千蔭は梅が枝を気遣うが、すぐに見舞いに行こうとはしない。
千蔭は梅が枝の客ではないし、深い仲でもないから。
行ってどうこうできるわけでもないから。
やがて、梅が枝の身請けの話が進んでいるという噂が、千蔭の耳に入る─。
吉原。芝居町。華やかな舞台の陰には、行き場のない想いがわだかまる。

                   (光文社HPより)


シリ-ズ物とは知らずに読んだので、事件解決に奔走する同心・玉島千蔭とその
下で働く八十吉に最初は、馴染めず・・・話を追うたびにだんだんと千蔭の人柄に魅力を感じていきました。

4つの連作集。

<むじな菊>
長屋の差配人として人望も厚かった銀治が何者かに殺された。
疑わしい男がすぐに現れたが、犯人は・・・


<だんまり>
夜中にひとりで歩いている男の髷を切る変わった事件が連続して起きる。
犯人の目的は何なのか?


<土蛍>
吉原の火事でやけどを負った梅が枝。
その梅が枝に身請け話が持ち上がる。
千蔭は気にしつつも冷めた態度。


<はずれくじ>
ツキに見放されたような男・直吉。
そんな男が冨くじを買えば当たるとお金まで用立てて貰い、くじを買うように言わる。
が・・・後日、直吉は土左衛門となって発見される。


事件の真相解明の段階はまあまあ面白いけれど、その真相がわかると
何ともやり切れない気持ちにさせられた。

特に最後の<はずれくじ>は、あまりにも不憫な直吉・・・(:_;)
最後の話くらい、少し明るいものであってほしかったのになぁ~。


千蔭と梅が枝は、態度ではお互い淡泊なかんじだけれど本心は相思相愛なのかな?


近藤さんは、時代物も書かれて、本当になんでも書ける人なんだな・・・。


                           ★★★
51ZgK-SLPqL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2013年4月


決して交わるはずのなかった、俺たち。喪失を超えるように、ただ走り続ける----。

命をかける覚悟? 誰かを傷つける恐怖? そんなもの呑み込んで、ただ俺は走りたいんだ。ひたすらに、自分自身と向き合うために。助けられなかったアイツのために――。一年間限定で自転車ロードレースに挑むことになった正樹。「サクリファイス」シリーズ4作目、新たな舞台は大学自転車部! ファン待望の最新長編小説。

                        (新潮社HPより)


『サクリファイス』『サヴァイヴ』『エデン』は、プロのロ-ドレ-サ-たちを描いた作品でした。
今回は、大学の自転車部。
そこに大学で始めて自転車部に入った新入生・岸田正樹を中心に自転車部の面々を描く。

自転車初心者の正樹は、フランス帰りでそれまでは、柔道を続けていた。
中学のとき、同じ柔道部員が顧問からのしごきにより後遺症を残す不運に見舞われた。
自分がそのしごきを途中で止められたかも?と思うことから責任を感じて苦しんでいる。

 
そして、自転車部のエ-ス・櫻井元紀は、喘息の持病持ち。
兄を自転車のレ-ス中の事故で亡くした過去を抱えている。


心の奥に、重い過去を抱えながらの二人が、最初は先輩、後輩の関係だったのに、次第に正樹が
才能を発揮し始めると、よきライバルになっていく。

彼らのその後を知りたくなった。
続編がまた出るのかなぁ~?

プロの世界より、初々しさがあって爽やかな青春物語という雰囲気で読みやすかった。




しかし、本のタイトルがなぜ「キアズマ」なんだろ???
一応、キアズマの解説が本の裏にありました。

キアズマ・・・・減数分裂の前期後半から中期にかけて、
相同染色体が互いに接着する際の数か所接着点のうち、染色体の交換が
起こった部位。X字形を示す(三省堂・大辞林)

岸田正樹と櫻井元紀を相同染色体に例えてか?
う~ん、もっとわかりやすい表題で良いんじゃなのぉ~?^^;

★★★★



 
51V0u3Q4GAL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2008年6月

下町の小さなレストラン、ビストロ・パ・マルでは相変わらず、変わり者の三舟シェフが素敵に美味しい料理の数々で客たちの舌を喜ばせ、相変わらずの名推理で客たちの持ち込む謎を解いてみせます。今回の目玉は、フランス時代の三舟シェフのエピソードが二つ。しかもひとつは、『タルト・タタンの夢』を読まれたあなたもきっと作ってごらんになったでしょう、あのヴァン・ショーにまつわる物語なのです。あなたの〈パ・マル〉へようこそ!

                           (東京創元社HPより)


『タルト・タタンの夢』の続編。
シェフ二人(三舟、志村)とソムリエ(金子)、ギャルソン(高築)4人だけの小さなレストランの物語。
今回も短編形式で、ちょっとした謎を三舟シェフが解明していく。


「錆びないスキレット」
どんなにちゃんと手入れをしても錆びてしまうスキレット(分厚い鋳鉄で出来たフライパン)の謎

「憂さばらしのピストゥ」
三舟シェフのレストランにいた頃は新米シェフだった青年が自分の店を出した。
そこに常連として来るのはその店のビルのオ-ナ-の娘。
ベジタリアンの彼女がそこで注文するピストゥが美味しいと聞いたが、三舟は、違和感を覚える。

「ブ-ランジェリ-のメロンパン」
パ・マルのオ-ナ-である小倉から、近いうち開店のパン屋のオープンにあたって手伝いをして欲しいと頼まれた三舟。
パンに合う料理を提供したいという。
そして、そのパン屋のすぐそばに、昔ながらのパン屋・ブランがあり・・・・。

「マドモアゼル・ブイヤベ-スにはご用心」
訪れると必ずブイヤベ-スを注文する女性客の目的は・・・・?

「氷姫」
ギャルソン・高梨がパ・マルに訪れた最初のエピソ-ド。
カキ氷が大好きだった片思いの女性とのはなし。

「天空の泉」
フランス時代の三舟シェフのエピソ-ド。
レストランで偶然、知り合った女性写真家・ヒサコに「星の王子さま」のスト-リ-を交えて
彼女の悩みを聞いたあとアドバイスをする。そして、気持ちを前向きに変える。

「ヴァン・ショ-をあなたに」
こちらもフランス時代の三舟シェフの話。
美味しいヴァン・ショ-をつくるという、おばあさんの元につれて行って貰ったシェフ。
しかし、今までと味が違うと連れて行った人は言う。
どうして味を変えたのか?


どれもミステリ-というほどの謎ではなかったのですが、何かに悩んでいる人の気持ちを聞いて
その憂いを取り除いてあげる三舟シェフの推理には今回も脱帽でした!

ギャルソン・高築くんの片思い~失恋の話は切なかったなぁ~。
これから、高築くんに良い人が現れるといいな。

それにしても三舟シェフ、格好いい!!

これは、まだまだ続いて欲しいです。



ここでちょっと訂正・・・・^^;
これを読んでいる主人から「氷姫」の語り手僕=高築くんじゃないのでは?
という指摘あり、再度よ~く読んだら、なるほどこれは高築くんじゃないですね。
高築くんの名前は智行で、ここでの僕は圭一ですから~。
言われれば、なんだか高築くんらしからぬかんじだし、ウエイタ-として高築くんがチラッと出てました。
高築くんは実は辛い恋を経験してたのかぁ~と思ったけど、別人でちょっとホッ。



 

★★★★★

 
41CjTDtgFCL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2007年10月


下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。風変わりなシェフのつくる料理は、気取らない、本当にフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。そんな名シェフは実は名探偵でもありました。常連の西田さんはなぜ体調をくずしたのか? 甲子園をめざしていた高校野球部の不祥事の真相は? フランス人の恋人はなぜ最低のカスレをつくったのか?……絶品料理の数々と極上のミステリ7編


                     (東京創元社HPより)



小さなフレンチレストラン<パ・マル>が舞台のミステリ-が7つ。
カウンタ-席7つ。テ-ブル5つ。
シェフは店長でもある三舟、料理人は志村、ソムリエはレストラン従業員のただ一人の女性・金子、
そして、物語の語り部でもあるホ-ル係りの高築。

表題作は一番最初
タルト・タタン・・・りんごをいっぱい使った焼き菓子。
読んでいたら食べたくなって来た!^^;

ほかのお話にも美味しそうな料理が出てきて、名前も聞いたことないようなものもあって
ミステリ-よりも料理の方が気になった^^;

ミステリ-は、そんなに重くなく、ちょっとした疑問が浮かぶけれど、その理由を知れば、なるほどねと納得出来るようなもの。

最後の「割り切れないチョコレ-ト」が好きだったなぁ~。
チョコレ-ト店<ノンブル・プルミエ>・・・・意味は素数。
ベルギ-に修行で出かけた兄は帰国後は人が変わったようだと妹が言う。
優しい兄だったのに・・・・入院した母親の見舞いに行かないと。
素数の数しか、箱詰めにされたチョコレ-トがない意味は・・・・彼の優しさだったんですね。


第二弾が発行されているようなので、またの機会に読んでみよう。


★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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